自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が語る! BYD ラッコ試乗記〜日本仕様を突き詰めた両側スライドドアの軽BEV! 価格破壊の黒船は「買い」か?〜

ついにBYD ラッコが日本上陸。海外メーカー初の軽規格BEVは、軽BEV唯一の両側スライドドアを備えたスーパーハイトワゴンで、航続距離は軽BEV最長の320km。補助金に頼らない214万5000円からの価格、低重心が生むキビキビとした走り、据置率50%ローンの注意点を交えた試乗記とリセールバリュー予想をお届けする。

【自動車のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

即断即決、トップダウン、驚異の開発スピード……話題に事欠かないBYD

急速な成長を続ける中国のBYD。2025年には、アメリカのテスラを抜き、EV世界販売ナンバー1の座に就いた。その成長の速さは、グループを率いる王伝福(ワン・チュアンフー)CEOの強烈なリーダーシップによるものだ。

その即断即決ぶりは凄まじい。ラッコの開発を命じたのも、王伝福CEOだ。2023年10月のジャパンモビリティショーで来日した際、軽自動車の多さに衝撃を受け、その場で軽BEVの開発を指示。翌2024年1月には、ラッコの開発が始まったという。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    ショー会場で軽自動車の多さに驚き、その場で開発を指示。

    わずか3カ月後には開発スタートだなんて、日本のメーカーではまず考えられないスピード感だ。

加えて、「垂直統合型」と呼ばれる開発体制も、BYDの驚異的な開発スピードを支えている。ほとんどの部品を自社グループ内で開発するため、多くのサプライヤーとの調整が必要な大半の自動車メーカーとは、まったく異なる開発手法となる。

日本のサプライヤーに勤務していたことがあるBYDのエンジニアによると、日本では企画が経営層に上がり、承認されるまでのプロセスに多くの時間が費やされ、ようやく開発がスタートする。さらに、現場レベルでも承認までの時間が長い。一方、BYDでは現場レベルでも即断即決が多く、これも開発スピードが速い理由だという。こうしたBYDの開発スピードを脅威と考えているメーカーは多く、各社で開発期間短縮の模索がすでに始まっている。

まさに、クルマそのものだけでなく、自動車ビジネスの根本から異なるBYDの手法に注目が集まっている。

高価格化が進む軽マーケットに価格破壊王BYDが送り込んだラッコ

すべての自動車メーカーが、軽自動車は価格が重要だと口をそろえる。そういいながらも、軽自動車の価格はドンドン上昇。人気スーパーハイト系の上級グレードでは、200万円超えが当たり前になっている。軽BEVに至っては補助金ありきの価格設定が多く、補助金を差し引いた実質価格だと200万円を切る、とアピールするのが定番だ。

そんな中、ラッコのエントリーグレード「200」の価格は、驚きの214万5000円。国産軽BEVのエントリーグレードと比較してみよう。

車種名 エントリーグレード 車両本体価格(税込) 国の補助金(CEV補助金) 補助金適用後の実質価格
BYD ラッコ 200 2,145,000円 150,000円 1,995,000円
日産 サクラ S 2,448,600円 580,000円 1,868,600円
ホンダ N-ONE e: e: G 2,699,400円 580,000円 2,119,400円
*補助金額は2026年10月時点

実質価格では日産 サクラの安さが目立つが、これは58万円という高額な補助金ありきの価格設定。ラッコとの補助金差は43万円もある。

しかも、サクラとN-ONE e:はヒンジ式ドアのハイト系。対してラッコは、コスト高になる両側スライドドアを備えたスーパーハイト系だ。

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    ラッコは、補助金なしでも十分に競争力のある価格になっていることに驚かされる。

    まさに、価格破壊王BYDらしい戦略だ。

BYD ラッコだけアイヌ語の謎

BYDの「海洋シリーズ」の車名となったラッコ。シールやシーライオンが英語なのに対して、なぜかラッコだけはアイヌ語由来となる。まぁ、軽規格で日本専用ということもあるのだろう。

BYDによると、ラッコは海とともに生き、知恵(貝を割る小さな石)で毎日を生き抜く「賢さ」と、「愛らしさ」「親しみやすさ」の象徴。一方で、絶滅危惧種に指定されている存在でもある。地球環境を守ることは、海を守ること。それは、未来世代を守ること。そんな想いから、新しい軽自動車を「ラッコ(RACCO)」と名付けたという。

ラッコに似てない!? が、カッコカワイイ系デザイン

まずは外観デザインから見ていこう。

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    ラッコのフロントフェイスは、正直ラッコに似ているとは思えない。

    だけど、目が離れたように見えるヘッドライトは、なぜか可愛らしく見える。

サイドビューは、なかなか筋肉質な印象。ボディ上部と下部には水平のキャラクターラインが走り、フェンダーまわりはグッと張り出したように見せることで、力強さを演出している。

そして、リヤビューにはひと目でラッコだと印象付ける横一文字タイプのLEDコンビネーションランプを装備。グッとサイドまで回り込む立体的な造形としている。国産軽自動車に多い安価な電球タイプのLEDとは異なり、シームレスに発光する。高級感もあるアイテムだ。

質感、装備ともに高レベルなBYD ラッコのインテリア

ラッコのインパネは、柔らかな面をもった水平基調のデザイン。質感も良好だ。メーターは7インチの液晶ディスプレイ。デザイン的には先進感があるものの、文字が小さく見にくい印象を受けた。

一方、エアコンの操作は10.1インチのディスプレイ内ではなく、ボタンタイプ。慣れるとブラインドタッチで使えるので扱いやすい。

最上級グレードの300プレミアムには、合成皮革のシート表皮を採用。ちょっとシットリとした触り心地で、なかなか快適だった。

2タイプのバッテリーを用意したBYD ラッコ

ラッコには、容量の異なる2タイプのバッテリーが用意された。

グレード バッテリー総電力量 一充電走行距離(WLTCモード) 電費(一充電走行距離÷バッテリー総電力量)
200 22.4kWh 210km 約9.4km/kWh
300プラス/300プレミアム 35.8kWh 320km 約8.9km/kWh
*電費は一充電走行距離÷バッテリー総電力量で編集部算出

国内軽BEVでは、ホンダ N-ONE e:が29.6kWhのバッテリーを搭載し、295kmという航続距離を実現している。ラッコの300シリーズはN-ONE e:を上回る容量のバッテリーを搭載し、国内最長の航続距離をもつ軽BEVとなった。

最新技術「X-PACK」を日本専用の軽BEVに初搭載

ラッコのバッテリーは、BYDお得意のリン酸鉄リチウムイオンバッテリー。しかも、BYDの最新技術である「X-PACK」を搭載する。

このX-PACKは、駆動用バッテリーに加え、電子制御ユニット、DC/OBC統合ユニット(DC-DCコンバータと車載充電器)、高電圧配電ユニット、バッテリーコントローラー、PTC/ACコントローラー(EVやHEVのエアコンシステムで暖房用のPTCヒーターと冷房用のエアコンコンプレッサーの作動を一体的に制御する電子制御ユニット)、車両コントロールユニットまでをバッテリーユニット内に統合したもの。駆動輪まわりはほぼモーターのみになるため省スペース化でき、配線も減ることから、コストダウンや軽量化にも貢献する。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    最新技術のX-PACKを、日本専用の軽BEVに躊躇なく初搭載する。

    ここが、BYDの凄さでもある。

高コストな技術で高いボディ剛性を実現した専用プラットフォーム

ラッコのプラットフォームは、軽規格に合わせた専用設計。X-PACKは「CTB(Cell to Body=セル・トゥ・ボディ)」技術により、ボディの構造用部材としても使われ、高いボディ剛性を実現している。

さらに、約70%に高強度鋼板を採用。ルーフとサイドパネルは、従来のスポット溶接ではなく、高級車に使われるレーザー溶接でシームレスにつなぎ合わせた。これにより、「スーパートール」「左右・電動スライドドア」という構造でありながら、軽自動車としては極めて高いボディ剛性を実現している。

こうした高コストな技術を導入したのには訳がある。ラッコは、国内の衝突安全性能評価「J-NCAP」で、最高レベルを目指して開発されたからだ。

モーターも新開発! BYD ラッコの加速は穏やか系

例えば、日産 サクラのモーターは、エクストレイルの後輪用と共通。こうすることで、コストを下げる努力をしている。BYDも数多くのBEVを販売していることから、ラッコのモーターも何かの流用かと想像していた。ところが、なんとモーターも新開発。ちょうどよいものが無かったことに加え、コンパクトなモータールームに収めるためにも新開発したという。

そんなラッコのモーターは、最大トルク160Nmでフロントタイヤを駆動する。サクラの195Nmよりやや低い数値で、車重は約150kgも重い。しかも、サクラのようにグイっと力強く発進する制御ではなく、穏やかに加速する制御にしたこともあり、走り出しはBEV感があまりない。

項目 BYD ラッコ(300プレミアム) 日産 サクラ
モーター最高出力 47kW 47kW(64ps)
モーター最大トルク 160Nm 195Nm
車両重量 1,230kg 1,070〜1,080kg
  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    個人的には、サクラのグイグイ感が好み。

    それだけに、BEVならもう少しトルクが欲しいなぁと感じた。

高速道路でも余裕あり、静粛性も高い

高速道路では、スルスルと滑らかに加速。とくにパワフルさは感じないものの、速度をドンドン上げていく。ガソリンのスーパーハイト系にありがちな、登り坂だと100km/hを維持するのも大変、ということは無い。

ラッコは、BEVなので静粛性はとても高い。高速道路では、速度が上がるにつれて徐々にルーフとAピラーまわりからゴーっという風切り音がやや聞こえてくる。とはいえ、耳障りな音量ではなかった。

スーパーハイト系なのに、キビキビ走る! BYD ラッコのハンドリング

スーパーハイト系のガソリン車は、操縦安定性という面ではかなり厳しい。狭い全幅に高い全高なので重心がとても高く、運動性能を語るにはあまりに不向きだからだ。

ところが、ラッコは違う。フロア下に大きく重いバッテリーを搭載したことで、重心高はかなり低くなっている。加えて、CTB技術によりボディ剛性も高く、前後の重量バランスも良好だ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    少し重めのステアリングをクイっと動かすと、思いのほかすぐに曲がりだす。

    これは、ちょっと気持ちいい!

高速道路のジャンクションのように、高い速度での旋回は得意分野。スーパーハイト系ガソリン車は、重心の高さゆえに、なかなか思った走行ラインに乗せられないケースが多い。

対してラッコは、スイっと向きを変え、想定した走行ラインを見事にトレースする。N-ONE e:をベースとしたスーパーONEほどではないものの、ピタッと路面に張り付いたように走る。

BYD ラッコの乗り心地はスペーシアとN-BOXの間くらい?

ラッコの乗り心地は、ちょっと引き締まった乗り味。スペーシアほどガチガチではなく、N-BOXほど柔らかくないという感じだ。良路では、とくに不満のない乗り心地。もっとも、速度が高めで大きくうねりのある路面では、1,230kgもある車重が悪い方向に働くようで、縦揺れが一発で収まりにくい。

総じて、前席は快適だ。ところが、後席の評価はちょっと異なる。リヤサスペンションの取付部の上に座っていることも影響しているのか、前席では感じなかったゴツゴツとした突き上げがお尻を刺激する。縦揺れもやや大きめだった。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    後席は、クラストップレベルと思われるほどとにかく広い。

    それだけに、乗り心地はもう一工夫欲しいところだ。

BYD ラッコのグレード選びは「300プレミアム」がイチオシ

ラッコのグレードは3つ。エントリーグレードの200に中間グレードの300プラス、最上級グレードの300プレミアムとなる。

グレード バッテリー総電力量 一充電走行距離(WLTCモード) 車両本体価格(税込)
200 22.4kWh 210km 2,145,000円
300プラス 35.8kWh 320km 2,398,000円
300プレミアム 35.8kWh 320km 2,497,000円

エントリーグレードの200でも両側パワースライドドアが標準装備なので、予算重視で街中メインというのであれば200でも十分といえる。予防安全装備や運転支援機能も上級グレードとほぼ変わらないので、買い得感がある。

300プラスには装着されておらず、300プレミアムに標準装備されている主な装備は以下の通り。

主な装備 300プラス 300プレミアム
アラウンドビュー - 標準装備
足元投影ガイド付きハンズフリースライドドア - 標準装備
運転席パワーシート - 標準装備
ホットカップホルダー - 標準装備
リアセンターアームレスト - 標準装備

これらの装備差により、300プレミアムは300プラスより約10万円アップする。初期の受注でも、300プレミアムが全体の80%を占めている。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    この程度の価格差なら、積極的に300プレミアムを選んだ方がいい。

据置型ローン「RACCO楽っとプラン」の据置率50%には要注意

注意したいのが、BYD RACCO専用の5年据置型ローン「RACCO楽っとプラン(ラコラク)」。いわゆる残クレ(残価設定型クレジット)に近い仕組みで、BYD公式の支払い例では、200で月々6,800円から(頭金0円、ボーナス払い9万円×10回、実質年率2.9%、2026年7月28日現在)となっている。

このローン、なんと据置率(残価設定)50%という高額設定。注意ポイントは、5年後の残価は「保証されない」こと。BYDによると、新車へ乗り換える場合や売却する場合、最終回据置金額での車両買取は保証されず、据置金額と査定金額に差額が生じた場合は、その差額を自己負担で清算する必要がある。

参考:ホンダ N-BOX(※「カスタム」「ジョイ」など派生車種すべてを含む)のリセールバリュー値
集計期間:2026年7月20日(月)〜2026年10月17日(土)
参考:ホンダ N-BOX(※派生車種すべて)のリセールバリュー値(過去90日間:平均売却予想額の中央値÷新車価格の中央値で算出)
経年 年式 新車価格中央値※ 平均売却予想額の中央値
(買取相場)
リセールバリュー値
当年式 2026年式 213.0万円
¥1,315,000
62%
1年落ち 2025年式 206.9万円
¥1,260,000
61%
2年落ち 2024年式 206.7万円
¥1,230,000
60%
3年落ち 2023年式 188.0万円
¥1,100,000
59%
4年落ち 2022年式 187.6万円
¥985,000
53%
5年落ち 2021年式 181.3万円
¥850,000
47%
※新車価格は、その年式が販売された年の車両本体価格。査定データに実在する型式の全グレード・全月の価格から中央値を求めています。
リセールバリュー値=平均売却予想額の中央値÷新車価格の中央値。中央値は一部の高額・低額な車両に左右されにくいため、代表的な残り方を示します。
集計期間は2026年10月17日時点から過去90日間(7月20日〜10月17日)
  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    日本一売れている人気軽自動車のN-BOXでさえ、5年落ちの残価率(リセールバリュー値)は50%を切っている。それを考えると、この据置率はかなり強気で、リスクもある。

    「RACCO楽っとプラン」を利用したいなら、仕組みをよく吟味しよう。

※据置型ローンの仕組みなど、詳細については公式サイトでご確認ください。

BYD ラッコのリセールバリュー予想は?

最後にリセールバリューを予想してみよう。ラッコは2026年7月に発売されたばかりで査定データがまだ無いため、まずは同じ軽BEVの先輩である日産 サクラのリセールバリューを確認することにした。

参考:日産 サクラのリセールバリュー値
集計期間:2026年7月20日(月)〜2026年10月17日(土)
参考:日産 サクラのリセールバリュー値(過去90日間:平均売却予想額の中央値÷新車価格の中央値で算出)
経年 年式 新車価格中央値※ 平均売却予想額の中央値
(買取相場)
リセールバリュー値
当年式 2026年式 — — —
1年落ち 2025年式 270.9万円
¥1,260,000
47%
2年落ち 2024年式 265.9万円
¥910,000
34%
3年落ち 2023年式 254.9万円
¥945,000
37%
4年落ち 2022年式 239.9万円
¥890,000
37%
5年落ち 2021年式 — — —
※新車価格は、その年式が販売された年の車両本体価格。査定データに実在する型式の全グレード・全月の価格から中央値を求めています。
リセールバリュー値=平均売却予想額の中央値÷新車価格の中央値。中央値は一部の高額・低額な車両に左右されにくいため、代表的な残り方を示します。
集計期間は2026年10月17日時点から過去90日間(7月20日〜10月17日)

ご覧の通り、サクラの1年落ち(2025年式)のリセールバリュー(残価率)は47%。わずか1年で新車価格の半分を切っている。2年落ち(2024年式)は34%、3〜4年落ち(2023〜2022年式)は37%と、軽自動車としてはかなり低い水準だ。2年落ちが3年落ちを下回る逆転も見られるが、これは査定件数が125件と多くないBEVゆえの個体差によるものだろう。この数値は、あくまで参考値として扱いたい。

サクラはBEVのため購入時に高額な補助金が支払われ、その分、新車価格比のリセールバリューは低く出やすい。そこで、販売当時の補助金(2022〜2024年式は55万円、2025年式は57.4万円)を差し引いたサクラの「実質車両価格」で試算し直すと、1年落ちが約59%、2年落ちが約43%、3年落ちが約47%、4年落ちが約48%となる。

一方、BYD自身のBEVであるドルフィン ロングレンジ(2023年式)の中古車店頭価格は約230〜270万円。買取相場ではないものの、当時の新車価格比で約57〜66%まで落ちている。

一般的にリセールバリューの元となる中古車買取相場は、中古車の需要と供給で決まる。リセールバリューは良いクルマだから高くなり、悪いクルマだから低くなるというものではない。あくまで需要と供給のバランスだ。

先輩の軽BEVであるサクラが3年落ちで37%、BYDのドルフィンでさえ3年落ちの店頭価格で6割前後まで落ちていることを考えると、ラッコが5年後に残価50%というのは少々考えにくい。両側スライドドアのスーパーハイト系という人気ボディは追い風になるものの、ラッコのリセールバリューはやや低めになると予想する。具体的には、3年後で約38〜42%、5年後で約30〜35%程度と見ている。

グレード 車両本体価格 3年後の予想買取相場(残価率38〜42%) 5年後の予想買取相場(残価率30〜35%) RACCO楽っとプラン 最終回据置金額
200 2,145,000円 約82〜90万円 約64〜75万円 1,072,000円
300プラス 2,398,000円 約91〜101万円 約72〜84万円 1,199,000円
300プレミアム 2,497,000円 約95〜105万円 約75〜87万円 1,248,000円
*予想値はリセバ総研編集部による試算。最終回据置金額はBYD公式の支払い例(2026年7月28日現在)による

補助金15万円を差し引いた実質車両価格(約200〜235万円)で見ても、3年後の残価率は約40〜45%。ラッコは補助金が少ない分、新車価格比と実質価格比の差が小さいのが特徴だ。仮に5年後の買取相場が予想通りなら、最終回据置金額との差額は200で約32〜43万円、300プレミアムで約37〜50万円となる計算だ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    ラッコのリセールバリューを読むうえで頭に入れておきたいのが、補助金の少なさだ。

    サクラは58万円もの補助金が出る分、新車価格比の残価率は低く見えるが、補助金を差し引けば5割前後。対してラッコは補助金が15万円と少ないため、実質価格で見ても残価率はそれほど上がらない。

    加えて、BEVの中古車相場は、新型車の値下げやバッテリー技術の進化に引っ張られやすい。価格破壊王BYDの戦略次第では、相場が下振れする恐れもある。

    据置率50%のローンを使うなら、5年後に差額を支払う可能性まで織り込んでおきたい。逆に、2〜3年後には値ごろ感のある個体が出回るはずで、コスパの高い良質な中古車として狙うのもアリだ。

BYD ラッコは「買い」なのか?

ラッコは、軽BEV唯一の両側スライドドア、軽BEV最長となる320kmの航続距離、低重心がもたらすキビキビとした走りを備え、日本メーカーが躊躇してきた軽スーパーハイトBEVを、補助金に頼らない価格で実現した。開発スピードも価格戦略も、まさにBYDらしい一台だ。

一方で、リセールバリューはサクラ同様に低めに着地する公算が大きい。とくに据置率50%のローンは、5年後の差額精算リスクを理解したうえで選びたい。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    自宅で普通充電ができ、街乗り中心で長く乗るつもりなら、ラッコは十分に「買い」といえる一台。

    逆に、数年での乗り換えが前提なら、据置型ローンの使い方には慎重になりたい。

BYD ラッコ(CK系)スペック一覧

項目 スペック
代表グレード 300プレミアム
全長×全幅×全高 3,395×1,475×1,800mm
ホイールベース 2,520mm
最低地上高 130mm
車両重量 1,230kg
乗車定員 4名
モーター型式 TZ180XSAB
モーター最高出力 47kW
モーター最大トルク 160N・m
一充電走行距離(WLTCモード) 320km
バッテリー種類 リン酸鉄リチウムイオン
バッテリー総電力量 35.8kWh
電費(一充電走行距離÷バッテリー総電力量) 約8.9km/kWh
駆動方式 前輪駆動(FF)
サスペンション形式 前:ストラット 後:トーションビーム
タイヤサイズ 前後 165/65R15
最小回転半径 4.8m
車両本体価格(税込) 200:2,145,000円/300プラス:2,398,000円/300プレミアム:2,497,000円