中古車相場のマメ知識 【中古車相場のプロに聞く（4）】いま「高値で売れるクルマ」とは？

やはり為替の影響が大きかったですね。
円安のため海外の人が買いやすい状態で、海外向けの中古車の相場は大きく動きました。「出物（でもの）」と呼ばれる、質がよくてリーズナブルな中古車が海外に買われ、日本国内から出ていってしまったので、国内中古車市場への供給量が減ったぶん販売価格も上がりました。
改めて、海外の力は大きいと感じた１年でしたね。

アルファードですね。
日本でも海外でも人気が高いクルマなので、今も毎日のオークションで出品されて、高値で取引されています。アルファードは新型だけでなく、1つ前のモデルも人気が高いんです。

海外の富裕層は参考情報である新車価格もそんなに見ないで買っていくこともあり、アルファードは強く印象に残りました。

そうですね。ただ、中古車には「現地輸入規制」というものがあり、各国で「海外での新車登録日より3年未満の車両でなければ輸入できない」などのルールがあるので、その年数を超えると相場、リセールバリューが下がるというところはあります。

トヨタのクルマはやっぱり強くて、安定して高い金額で売れますね。他のメーカーは日本の相場よりもかけ離れて高く売れるということはほぼありません。やっぱり世界でもトヨタが強いです。

中古車の相場は年や年度の変わりにいろいろな変化が起こることがよくあります。

そのなかで２０年以上にわたり中古車相場に携わってきた私でもよくわからない動きが最近あって、なぜか「ランドクルーザー プラド」などの一部車両だけが、10月～11月の秋頃に高騰するんです。アリオンやプレミオなど日本ではあまり走ってないようなクルマが、バングラディシュやマレーシアなどで価格高騰していて、それが不思議なんですよね。

うーん、1つには絞り切れないですね……。

これまでの話と視点を変えて「海外向けのクルマ以外」で考えると、マツダのロードスターでしょうか。

ロードスターはオープンカーでライバルが少なく、相場が落ちづらいです。最新モデルに限らず初期モデルも今でも人気があり、私も非常にいいクルマだと思います。根強くリセールバリューが高いですね。あとは平成初期のスポーツカーもずっと高値がついています。コレクターがいたりして、海外でも需要が高いですね。

SUVは先ほどの現地輸入規制では「7年以内」で取引されるため、7年以内のものはだいたい高値で売れます。びっくりするのは昔のモデルを復刻させた人気のピックアップトラック、ランドクルーザー70は新車で300万円ほどのものですが、いろいろオプションがついた中古車が600万円で取引されていました。

そもそも同じクルマが再製造されることってクルマの世界ではほぼないので、そのこと自体が人気の高さ、相場の高さを示していますね。

実際、株のような感覚で所有している人もいると思いますよ。
今はガリバーのECサイトなどで「何年式で、何万キロ走った車種がいくらで売買された」などの取引実績などがネット上にたくさん出ているので、そういうものを見て相場を調べながら投資目的でクルマを買う人もいますね。

そうかもしれません。ただ、現時点の状況はいろいろなサイトを見ることでわかっても、「今後どうなっていくのか」という未来予想はまさに株と同じでわからないんです。急に予想もしなかったクルマの価格が高騰したりすることもあるので。

その価格でいうとコンパクトSUVになりますね。

ランドクルーザープラド系とは違った小型のSUVで、マツダではCX系、トヨタではライズやCHRなどがあります。これらはお手頃かつ値崩れしづらいです。手放すときも「意外と高く売れたね」ということが多く、この中で得に人気が高いのはCHRです。

ステップワゴンのハイブリッドモデルですかね。令和元年から3年頃に売られていたものは販売台数が少なかったからか、人気が高いですね。これは私から見ても意外です。

ステップワゴンは、ノアやヴォクシー、セレナの陰に隠れていて、そんなに人気があるクルマというイメージはなかったからです。実際、ミニバンはセレナとボクシーが完全に2強の状態が続いています。ちなみに、ステップワゴンが最近人気と言っても、全てのモデルが人気なわけではないのでそこは注意してもらいたいですね。

性能がよくて安い中古車というとオデッセイですかね。
ステップワゴンと比べても快適性が高く、運転しても疲れづらいです。装備もよいものがついていて、中古車としてのオデッセイは魅力的だと思います。

ステップワゴンとともに背の低いミニバンブームをつくったクルマで、ブームが去って忘れられていた感はありましたが、中古車として考えるとコストパフォーマンスは高いですね。セレナやヴォクシーと同じような性能をもちながら、より割安に買うことができます。