中古車相場のマメ知識 【中古車相場のプロに聞く(2)】オークション会場の知られざる裏側!

「中古車相場のプロ」〝IK〟さんに聞く、今回は中古車オークションの裏側を赤裸々に語っていただきました。世の中で販売されている中古車は、主にオートオークション会場で取引をされていて、その会場に足を踏み入れたことがある一般ユーザーの方はそんなに多くはないでしょう。会場内の様子や競りの方法、クルマをどのように確認するのかなど、オートオークションを通した中古車流通のリアルな裏側を教えていただきました!

【中古車相場のプロ】〝IK〟

中古車売買の査定部門管理職

株式会社IDOM(旧社名:株式会社ガリバーインターナショナル)で中古車マーチャンダイジングチームの査定部門に所属。中古車の販売価格や売却価格を決める「査定」の仕事に20年以上携わっている、中古車相場のプロ。
ちなみに自身は、同じクルマを長く乗り継ぐタイプ。

繁忙期には1日で約16,000台がオークションに

(編集部:AK)Xさん、今回はオートオークションについて教えてください。そもそも中古車のオークションとはどんなものなのですか?

(相場のプロ:IK)とても広い大きな会場で行われる、中古車の「競り市」ですね。
中古車の買取をしたり販売している業者が参加して、出品されている目当ての中古車に対してオークション形式で値段をつけていき、最も高値を出した業者がその価格でそのクルマを買い付けることができるものです。

(編集部:AK)そこでの取引される価格が中古車の相場そのものなんですね。

(相場のプロ:IK)そうです。なので人気の高いクルマは買い付けたい人が多くいるため、競りではどんどん値段が上がります。

とはいえ、クルマの車種や年式、状態によってだいたいの相場は決まっているため上がり続けるというわけではなく、ある程度の価格帯に収まりはしますが。

(編集部:AK)オークションには何台ぐらいの中古車が出品されるんですか?

(相場のプロ:IK)たとえば中古車業界の繁忙期である2〜3月は出品されるクルマも多い時期なので、1日でだいたい16,000台程度の中古車が取引されていますね。

(編集部:AK)1日で16,000台ですか!?

(相場のプロ:IK)はい。でも、魚市場のマグロの競りみたいな感じで、クルマ1台の競りが数十秒ぐらいで終わるのであっという間ですよ。

オークション会場には中古車が出品される「レーン」と呼ばれるものがあり、私がよく行く会場だと10レーンぐらいで出品されています。各レーンでどんどん競りが行われていくので、一般の方が見たら確かに驚くでしょうね。

日本のオートオークションならではの点、それは・・・

(編集部:AK)オークションの流れを詳しく知りたいです。出品されるクルマは事前に確認できるんですか?

(相場のプロ:IK)出品されるクルマの現物を事前(オークション開催日以前)に目で見て確認することはできません。
出品されるクルマの情報が載っている出品表が、オークション会場が運営するWebサイトに掲示されるので、テキストで基本的な情報だけは確認することができます。そのリストをもとに、ガリバー(IDOM)として買い取りたいクルマや、ガリバー各店舗のお客様からのご要望などにあわせて、目当てのクルマをチェックしておきます。

(編集部:AK)オークションの開催当日に初めてお目当てのクルマを生で見ることができるというわけですね。

(相場のプロ:IK)そうです。オークション開催の当日は出品されるクルマの現物を下見できる広い会場があるので、そこに行けば目当てのクルマを競りが始まる前に確認することができます。

そのクルマの競りが終わるまでは、自由に下見ができるようになっていますね。

(編集部:AK)下見ではどういうところをチェックするんですか?

(相場のプロ:IK)事前にチェックした出品表では確認できない外部の傷や汚れを見て、鍵も借りられるので内装の状態やエンジンルームも確認したりします。

ただ、基本はオークション主催者側が提供する出品表に書かれている内容をみんな信頼していて、そこは日本のオートオークション特有なところかもしれません。

日本の中古車市場は、クルマの外装の傷をレベル別で表した「車両展開図」と呼ばれるチェック表や、外部の評価機関にクルマの状態を見てもらって点数化した「評価点」という制度がしっかりしていて、それは海外にはない日本ならではの制度だと思います。

※オートオークション会場で使用されている車両展開図とは異なります。

(編集部:AK)日本のオークションは信頼のうえに成り立っているんですね。ちなみに、傷の状態が記された車両展開図などは一般にも公開されるものなんですか?

(相場のプロ:IK)いえ、展開図は一般公開されません。オートオークションで中古車の競りに関わる中古車業者だけが確認できるものです。

それを参考にしながら店頭での販売価格を決めたり、お客様に対して提示する車両の状態に関する情報をまとめたりしていきます。

気の抜けない一発勝負の世界

(編集部:AK)オークションには中古車流通に関わる事業者がどれぐらい集まるんですか?

(相場のプロ:IK)おそらく1,000社以上は来てますね、さすがに細かいところまで数えたことはないのですが・・・多いときは3,000社ぐらいいるように見受けられます。

(編集部:AK)1,000以上の業者が競りをして中古車の買い付けを行うのは凄い光景ですね。ちょっと想像できないのですが、実際のオークションはどのように行うんですか?

(相場のプロ:IK)会場は映画館のようになっていて、我々事業者が座る各テーブルの上にモニターと金額を入力する端末があり、前方には出品車の映像を流すレーンごとのスクリーンがあります。

レーンにお目当てのクルマが出てきたら、手元の端末により1万円単位でボタンを押していき、競りに参加します。本当にあっという間に終わるので、気が抜けませんよ。

(編集部:AK)競りの金額は1万円単位なんですね。

(相場のプロ:IK)基本は1万円単位で、競っている最後のほうは5千円、3千円単位と細かくなります。

価格に数秒間変動がなかったら、その金額で競り落とされます。決まってしまったものに「待った」はできないので一発勝負。オークションをゆっくり眺めている暇もありません。

(編集部:AK)競りのスタートの金額は決まっているんですか?

(相場のプロ:IK)競りの最初の価格である「スタート金額」は、クルマを出品する側が設定できます。

同様に、この金額を超えたら確実に売るというラインである「売り切り金額」も設定可能で、この金額に達しなかったら競り落とされたとしても売らない、という選択をすることもできます。
両方の金額ともオークションの直前まで調整ができますが、スタート金額を上げてしまうと買う側のハードルが上がって競られにくくなるため、売り切り金額(売り切りたい希望の価格)を調整することが多いですね。

(編集部:AK)なるほど! よくわかりました。オークションって面白いですね。次回は昨年2023年のオークションを振り返った相場分析をお聞きします!(つづく)

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