自動車税のことを知らないまま払っている?約9割が知識不足

2026年4月、リセールバリュー総合研究所では、20代〜50代のクルマ保有者434名を対象に「自動車税に関する実態・実感調査」を実施した。自動車税に対する理解度や負担感に加え、走行距離課税の認知・意識や既存制度への評価、税負担の変化がカーライフに与える影響を多角的に分析してみよう。

4人中3人が「痛税感」4月の納付通知

まずは納付書を開けたときの率直な気持ちを聞いてみた。「毎年のことだが、やはり痛いと感じる」が54.6%、「またこの額か…と怒りや不満を感じる」が20.5%。両者を合わせると75.1%、4人中3人が納付に対して何らかのネガティブな感情を抱いている。「想定内なので何も感じない」と答えた冷静派はわずか11.8%にとどまった。

納付通知が届いたときの率直な気持ち(全体/n=434)
毎年痛いと感じる
54.6%
またこの額か…と怒り
20.5%
想定内で何も感じない
11.8%
手続きが面倒
11.3%
その他
1.8%
©2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所

注目しておきたいのは、この痛みと怒りの合算比率に年代差がほぼ出ない点だ。20代71.9%、30代73.0%、40代77.0%、50代74.3%。いずれも7割を超える。つまり、若い世代ほど痛みを強く感じるとか、年配層ほど慣れて感じなくなる、といった傾向は見られない。クルマを保有して納付書を受け取るかぎり、世代にかかわらず痛税感を抱いているようだ。

痛みや怒りを感じる人の比率(年代別)
20代
71.9%
30代
73.0%
40代
77.0%
50代
74.3%
「毎年のことだが、やはり痛いと感じる」「またこの額か…と怒りや不満を感じる」の合算比率。
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性別でも比率はほぼ同じで、男性74.7%、女性75.6%だった。痛みに性差はない。

自分が払っている税額を正確に把握していない

これだけ多くの人が痛みを感じている自動車税だが、実は自分が毎年いくら払っているかを正確に把握している人は4人に1人にも届かない。「正確な金額を把握している」と回答したのは全体で23.3%。「だいたいの金額はわかる」が56.7%、「よくわからない/意識したことがない」が20.0%だった。

男女別に分けてみると、ここで明確な差が出た。正確な把握をしているのは男性30.4%に対し、女性16.1%。男性が女性のおよそ倍だ。逆に「よくわからない/意識したことがない」は女性25.3%、男性14.7%と、こちらは女性が約1.7倍になった。

自分の自動車税額の把握度(男女別)
正確に把握

男性

30.4%

女性

16.1%
だいたい分かる

男性

54.8%

女性

58.5%
よく分からない

男性

14.7%

女性

25.3%
バーの幅は最大値60%を100%基準として可視化(数値は実際の比率)。
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同じ世帯のなかで男女がそれぞれの車を保有していても、自分のクルマにかかる税額を正確に把握しているかどうかには明らかな差がある。クルマの維持コストの可視性、家計のなかでの分担構造が、そのまま反映されている格好だ。

自動車税と自動車重量税を説明できる人は1割強

もうひとつの知らなさが、税金の種類そのものに対する認識だ。クルマには自動車税(種別割/毎年4月課税)と自動車重量税(車検時に課税)という2つの主要な税が存在するが、「それぞれの仕組みを理解しており、説明できる」と答えたのはわずか13.4%。「名前は知っているが、違いはよくわからない」が57.1%で最多、「そもそも2種類あることを知らなかった」が29.5%にのぼった。

自動車税と自動車重量税の違いに対する認識(男女別)
説明できる

男性

21.2%

女性

5.5%
名前のみ

男性

60.4%

女性

53.9%
2種類と知らず

男性

18.4%

女性

40.6%
バーの幅は表示の都合上、最大値50%基準で正規化(数値は実際の比率)。
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男女差はこの設問でさらに大きく出た。2種類あることを知らなかったは女性40.6%に対し男性18.4%で、女性が男性の2倍以上。説明できると答えたのは男性21.2%、女性5.5%と、4倍近い差だ。痛みには男女差がないのに、税の構造そのものへの理解には大きな性差が残っている。見過ごせない非対称性だろう。

納得度は10点中3.34点で年代が上がるほど不満

では、現在の自動車税額にどの程度納得しているか。0〜10点の11段階で聞いたところ、平均は3.34点だった。0点(全く納得できない)が20.5%でモードに次ぐ値となり、4点以下、つまり不満寄りの回答が60.6%に達する。納得感の中心点である5点が23.5%で最頻値だが、その上の6〜10点を合わせても15.9%にすぎない。

自動車税額への納得感(10点満点/全体)
3.34
納得度の平均(10点満点)
60.6%
4点以下と回答(不満寄り)
20.5%
0点(全く納得できない)
0点(全く納得できない)
20.5%
1点
6.2%
2点
10.6%
3点
15.0%
4点
8.3%
5点
23.5%
6点
6.2%
7点
6.0%
8点〜10点
3.7%
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年代別に平均点を見ると、痛み感とは違って明確な傾斜が現れた。20代4.03点、30代3.69点、40代3.12点、50代2.74点。年代が10歳上がるごとに、ほぼ直線的に納得度が下がる。

納得度平均点(年代別/10点満点)
20代
4.03点
30代
3.69点
40代
3.12点
50代
2.74点
バー幅は10点を100%基準として正規化。
©2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所

20代は痛み感の比率こそ7割を超えるものの、納得度の絶対値はほかの年代より高い。50代は痛み感も74.3%と高く、納得度も2.74点で最低。長年払い続けてきた人ほど不満が積もっている格好だ。クルマ保有歴の長さは、税制への寛容さにはつながらないと言える。

許容できる額と現実のギャップ

納得して払える上限額を聞いたところ、「10,000円未満」が49.1%で半数を占めた。1〜2万円未満を加えると74.7%、つまり4人中3人は2万円が上限だと回答している。これに対して、現在の自動車税額(Q6)の中央値とのギャップを計算すると、約88.1%の回答者で現在の税額が自分の許容上限を上回っていた。許容と現実の差は中央値で7,750円、平均で約1万1千円にのぼる。

納得して払える上限額と現実との乖離
88.1%
現在の税額が自分の許容上限を超える人
7,750
現実と許容上限の差(中央値)
49.1%
許容上限「10,000円未満」と回答
10,000円未満
49.1%
1〜2万円未満
25.6%
2〜3万円未満
13.8%
3〜5万円未満
8.1%
5万円以上でも納得
3.5%
現実から許容上限を引いた値の中央値は約7,750円。Q6(現在の税額帯)とQ7(許容上限)の中央値ベース計算。
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使い道がわからないが38.7%

税収の使い道について聞いた設問では、「考えたことがない/わからない」が38.7%でトップとなった。「道路の建設・整備に使われている」が38.0%でこれに並び、「一般財源として自由に使われている」が14.7%、「環境対策(CO2削減など)に使われている」が8.5%と続く。

注目すべきは、この使い道の認識が納得度に大きく効いている点だ。使い道を環境対策と認識している人の納得度平均は4.65点、道路整備が3.68点、考えたことがないが2.93点、一般財源が2.77点。納得度の高い順に並べると、環境対策、道路整備、無関心、一般財源となり、用途が見えていて社会的意義があると感じられる人ほど納得しやすい構造が浮かぶ。

税収の使い道に対する認識と納得度の関係
環境対策と認識
4.65点
道路整備と認識
3.68点
考えたことがない
2.93点
一般財源と認識
2.77点
バーの値はQ5納得度の平均点(10点満点)。バー幅は10点基準で正規化。
©2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所

逆に、一般財源として自由に使われていると認識している人の納得度2.77点は、平均の3.34点を大きく下回る。

半数以上が自動車税の優遇・重課制度を知らない

自動車税制をめぐっては、エコカー減税、グリーン化特例、CEV補助金、13年超重課など複数の優遇・重課制度が走っているが、これらの認知度はおしなべて低い。内容まで知っていると答えた人の比率は、エコカー減税20.7%、13年超重課21.2%、グリーン化特例13.1%、CEV補助金11.5%。いずれも2割前後にとどまり、しかも知らないと答えた人は3制度で過半数を超えた。

主要な自動車税制4制度の認知度
エコカー減税
20.7%
52.1%
27.2%
13年超重課
21.2%
25.1%
53.7%
グリーン化特例
13.1%
32.9%
53.9%
CEV補助金
11.5%
28.8%
59.7%
内容まで知っている
名前だけ聞いたことがある
知らない
©2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所

名前だけでも見聞きしたことがあるのはエコカー減税が72.8%(内容理解+名前のみ)と健闘しているが、CEV補助金は40.3%にとどまる。EVへの乗り換えを促す主要施策のひとつが、対象となるはずのクルマオーナーの6割に届いていない格好だ。

6. 13年超重課を今回初めて知ったが46.5%

4制度のなかでも、長く乗っているクルマに直接効いてくる13年超重課の認知を単独設問で聞いたところ、「今回初めて知った」が46.5%にのぼった。残り半数強のうち「知っていたが、買い替えの判断には影響しなかった」が26.0%、「知っていた(買い替え時に意識した)」が27.4%だ。

13年超重課を知っていたか(全体)
今回初めて知った
46.5%
知っていたが買替に影響せず
26.0%
知っていて買替時に意識した
27.4%
新車登録から13年を超えると自動車税が約15%上乗せされる仕組み。
©2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所

これを13年超重課に対する受け止め方と重ねると、複雑な感情が浮かび上がる。「物を大切に長く使う時代に完全に逆行していると思う」が38.5%、「古い車を愛好する人への不当な罰金のように感じる」が20.5%。否定的な受け止めを合わせると59.0%に達する。一方、「買い替えを促す経済政策として、やむを得ない仕組みだと思う」11.3%、「環境負荷を減らすために必要な制度だと思う」7.8%と、肯定派は合わせても2割に届かない。

13年超重課に対する受け止め方(全体)
物を大切にする時代に逆行
38.5%
特に何も感じない/不明
21.0%
不当な罰金のように感じる
20.5%
買替を促す経済政策
11.3%
環境負荷低減に必要
7.8%
その他
0.9%
否定的な受け止め(時代に逆行および不当な罰金)を合わせると59.0%。
©2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所

環境政策として導入された制度が、設計時の意図と納税者の実感のあいだには大きな溝がある。「特に何も感じない/わからない」が21.0%もあるのは、そもそも制度を知らなかった人たちが多く含まれる結果と読み解ける。

走行距離課税の議論に対する認知度は低い

近年議論が始まった走行距離課税についても聞いた。「内容まで理解している」は9.7%にすぎず、「名前や概要は聞いたことがある」36.9%、「今回初めて聞いた」53.5%。半数以上のクルマオーナーが、議論されていることすら知らない状況だ。

走行距離課税の認知度(男女別)
内容まで理解

男性

14.7%

女性

4.6%
名前や概要は

男性

43.8%

女性

30.0%
今回初めて聞いた

男性

41.5%

女性

65.4%
バー幅は最大値50%基準で正規化(数値は実際の比率)。
©2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所

男女別に見ると、認知の差は鮮明だ。今回初めて聞いたと答えたのは女性65.4%に対し男性41.5%。内容まで理解しているのは男性14.7%に対し女性4.6%。重量税の知識と同じ非対称がみられる。

賛否を聞くと、結果は反対計66.4%、賛成計33.6%で、反対が賛成の2倍にのぼった。とりわけ「強く反対(クルマ離れを加速させる、不公平だ)」が38.2%と最多で、走行距離が長い地方在住者・通勤層を中心に強い拒否感がうかがえる。

走行距離課税が導入された場合の賛否(全体)
強く反対
38.2%
どちらかといえば反対
28.1%
どちらかといえば賛成
25.6%
強く賛成
8.1%
反対計66.4%、賛成計33.6%。反対が賛成のおよそ2倍となった。
©2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所

注目しておきたいのは、走行距離課税の認知度と賛否の関係だ。内容まで理解している層では強く反対が21.4%、今回初めて聞いた層では強く反対が42.7%。情報が少ない層ほど強硬な反対に傾くという傾向が読み取れる。クロスのもう一面として、今回初めて聞いた層では強く賛成も12.9%とほかの層より高く、知識の薄さが態度の極性を高めている格好だ。

税額が上がれば1割超がクルマを手放す?

もし自動車税が現在の1.5倍に引き上げられたらどうするか。「今のクルマに乗り続ける(他の出費を削る)」が43.8%でトップ。「軽自動車に乗り換える」18.7%、「EV・ハイブリッドなど税制優遇のある車に変える」13.4%、「クルマを手放す(カーシェア等に移行)」12.0%、「排気量の小さいクルマに買い替える」11.1%と続く。

自動車税が1.5倍に引き上げられたら、どうするか(全体)
今のクルマに乗り続ける
43.8%
軽自動車に乗り換え
18.7%
EV・HVに乗り換え
13.4%
クルマを手放す
12.0%
排気量の小さい車へ
11.1%
その他
1.2%
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看過できないのは、クルマを手放すと答えた層が12.0%に達する点だ。納税者の1割強は、税負担が現状の1.5倍になればクルマ保有そのものを諦めるという意思を示している。男女別では、男性16.1%、女性7.8%と男性のほうが手放す意向が強く、女性は他の出費を削って今のクルマに乗り続けるを選ぶ傾向にある。

過去にすでに自動車税負担を理由に行動した経験を聞いたQ10では、「特に何もしていない」が69.4%で最多だが、「軽自動車に乗り換えた」13.4%、「排気量の小さい車に買い替えた」9.4%、「保有台数を減らした(2台→1台など)」9.2%と、3割超のクルマオーナーが何らかの自衛行動をすでにとっている。

87.6%が思ったより自分は知らなかったと回答

最後に、ここまでの設問を通じて感じた自分の自動車税知識を聞いた。「思ったより知らないことが多かった」49.8%、「ほとんど知らなかった」37.8%。合計87.6%が、自分の知識不足を自認している。「十分だったと思う」と答えたのはわずか12.4%だ。

設問を通じて感じた自分の知識(全体)
87.6%
思ったより知らないとほとんど知らなかったの合計
37.8%
ほとんど知らなかった
12.4%
十分だったと思う
思ったより知らないことが多かった
49.8%
ほとんど知らなかった
37.8%
十分だったと思う
12.4%
©2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所
痛みは身体感覚として強く残っている。しかし、その痛みの正体を制度として把握している人は、9人に1人ほどしかいない。

まとめ

4月の納付通知に痛税感を抱く人は4人中3人。にもかかわらず、自分の税額を正確に把握している人は4人中1人弱、税の種類すら把握していない人が3割。制度知識は2割前後で頭打ちとなり、納得度は10点中3.34点。痛みは感じるものの、税制そのものに関してはあまり知られていないという実態が見えた。

また、税の使い道についても「考えたことがない/わからない」が38.7%、一般財源として認識する人が14.7%。両者ともに納得度は低い結果となっている。

自動車業界に関わるメディアとして、今後も税制の理解とその構造について調査を続けていきたい。

調査概要
■ 調査名:自動車税に関する実態・実感調査
■ 調査時期:2026年4月8日〜4月14日
■ 調査方法:インターネット調査(サーベロイド)
■ 調査対象:自家用車を保有する20歳〜59歳の男女 ※自家用車の保有者に限定
■ 有効回答数:434名(男性217名/女性217名)