アルファードが大規模な「一部改良」を実施!新型エルグランド迎撃へ万全の構えか
トヨタ自動車は2026年6月3日、大人気ミニバン「アルファード/ヴェルファイア」の一部改良モデルを発売しました。7月に16年ぶりとなるフルモデルチェンジを予定している日産のミニバン「エルグランド」を意識したものと思われ、その内容は「一部改良」のレベルを超えた大規模なものになっています。今回は、アルファードの一部改良のポイントを整理したうえで、発売を控えた新型エルグランドとの比較やリセールバリューの動向についてまとめます。
ライター
ラインナップ拡充と足回りの刷新でエルグランドに対抗
まずは、アルファードの一部改良について、ポイントを整理してみましょう。注目すべき点は、「電動化モデルの選択肢拡大」と「足回りの熟成」です。ミドルモデルとなる「Z」グレードには、PHEV(プラグインハイブリッド)モデルが追加。モーター駆動による高い静粛性とV2H(車から家に電力を戻す機能)などの外部給電能力を備えているのが特徴です。また、ハイブリッドモデルには装備を充実させた「G」グレードが新たに設定されました。14インチ大型ディスプレイや電動シートが標準化され、ラインナップの実質的な底上げが図られています。なお、「G」グレードの追加に伴い、これまでのエントリーグレードだった「X」は廃止となります。
そして、一部改良したアルファードでは、今度の一部改良で全車に「周波数感応型ショックアブソーバー」標準装備。周波数感応型ショックアブソーバーとは、路面からタイヤへのインプット(微振動や大きな揺れ)に応じて、ショックアブソーバー内のバルブが減衰力を自動で機械的に切り替える機構で、これにより荒れた路面での振動を適切に抑えつつ、コーナリング時の安定性を高め、良質な乗り心地を実現します。アルファード本来の評価の高い乗り心地について、さらなるブラッシュアップがはかられた形です。

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【クルマ大好きライター】井口裕右
一部改良したアルファードの車両本体価格は、約559万円(G・ハイブリッド)から約1069万円(PHEV・Executive Lounge)となります。またPHEVモデルは国のCEV補助金の対象となり、補助金額はExecutive Lounge(PHEV)で68万円、Z(PHEV)で85万円となります。
アルファード VS 新型エルグランドの対決はどうなる?

では、王者アルファードに挑む日産 エルグランドのフルモデルチェンジは、どのような点がポイントでしょうか。
まず大きなトピックスとなるのが、ボディサイズの大型化です。全高は先代モデルから一気に160mmアップの「1,975mm」へ。全幅も「1,895mm」と大型化し、アルファードを上回るボディサイズにより、室内空間の圧倒的な開放感を獲得しました。また、新型エルグランドでは、ガソリン車の設定を廃止し、エンジンで発電しモーターで走る「第3世代e-POWER」に一本化。4輪を精密に電動制御する「e-4ORCE」との組み合せにより、システム出力340馬力という圧倒的なパワーを実現しています。
そして乗り心地については、ブレーキ時のピッチング(前後の揺れ)をモーターで制御する「スムースストップ機能」や、電子制御サスペンション(インテリジェント ダイナミックサスペンション)を採用し、乗員が揺れない快適性を追求している点もポイントです。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
新型エルグランドは、EVライクな強力な加速と静粛性、そしてe-4ORCEによる高いコーナリング安定性を武器にしており、高級サルーンの雰囲気が強いアルファードと比較して、よりドライバーズカーとしての性格が強い点が特徴です。
しかし、新型エルグランドに“弱点”があるとしたら、このラインナップ構成です。新型エルグランドは「第3世代e-POWER」と「e-4ORCE(4WD)」の組み合わせに絞り、かつ装備を充実させた7人乗りモデルのみという強気のラインナップで、車両本体価格は約689万円か約757万円という2択。対してアルファードは、2WDのガソリン車やハイブリッド車を含め、約559万円からユーザーニーズに応える選択肢が存在する点が強みと言えるでしょう。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
全く新しいクルマにフルモデルチェンジするとはいえ、現行のエルグランドが400万円台からスタートだったと考えると、新型エルグランドを割高に感じてしまうユーザーもいるかもしれません。新型エルグランドの2グレードの違いが、日産の運転支援技術である「プロパイロットの有無」という点も気になるところです。
現行アルファードのリセールバリューに変化は生まれるか?
新型エルグランドの登場により、「アルファード/ヴェルファイア」VS「エルグランド」の対決色がより鮮明になることになりますが、現在のアルファードのリセールバリューや買取相場の動向にどのような変化が予想されるのでしょうか。リセールバリュー総合研究所・所長の床尾一法が解説します。
リセールバリュー総合研究所 管理運営者
中古車情報誌の最大手での制作、自動車メディアの立ち上げ責任者などを経験。20年以上マーケティングのインハウスやコンサルタントで活動。2017年に人材開発へ転向。対話空間や学習空間の設計、言語化と構造化設計を得意とする。CompTIA CTT+ Classroom Trainer Certification取得。2023年より、マーケティングに復帰。中古車マーチャンダイジングの研究とともに、メディア運営設計を担っている。実は元カメラマン。
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リセバ総研所長 床尾一法
天下のトヨタ、しかもリセバ王「アルファード」ですから、「エルグランド」が車格的に競合する車種であったとしても、リセールバリューのライバルにはならないだろう、という見解です。
そもそも、「トヨタ」の「アルファード」というブランドが強すぎて、国産高級車といえばこの1択といった様相、指名買いの状態です。
新車で乗って、2〜3年で売ってもトータルで負担が少ない車種として認知されています。
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リセバ総研所長 床尾一法
一方で、新型エルグランドは「クルマ選び」の中から選択される状態を目指すことになります。
もちろん、日産好きの指名買いによる他社からの出戻りも想定されますし、感度の高いクルマ好きの高評価が広まれば、当初はヒットする可能性もあります。
しかし、問題は需要が一巡した後。
話題性や高性能っぷりが喧伝され続けるような状況にならないことには、新車販売も厳しい戦いが続くことになると考えられます。
| 集計期間:2026年1月1日(木)〜2026年5月31日(日) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 日産 エルグランド TE52型 250ハイウェイスターS(7人乗り) | ||||
| 経年 | 年式 | 新車価格※ | 平均売却予想額 (買取相場) |
リセールバリュー値 |
| 2年落ち | 2024年式 | 408.2万円 |
¥2,425,000 |
59% |
| 3年落ち | 2023年式 | 403.8万円 |
¥2,750,000 |
68% |
| 4年落ち | 2022年式 | 379.9万円 |
¥2,304,000 |
61% |
| 6年落ち | 2020年式 | 369.5万円 |
¥1,566,000 |
42% |
| 7年落ち | 2019年式 | 353.2万円 |
¥1,226,470 |
35% |
| 8年落ち | 2018年式 | 353.2万円 |
¥1,133,333 |
32% |
| 10年落ち | 2016年式 | 339.6万円 |
¥858,000 |
25% |
| 11年落ち | 2015年式 | 339.6万円 |
¥637,777 |
19% |
| ※車両本体価格(当該年の後半に改定された価格は翌年に反映している場合があります) | ||||
| © 2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所 | ||||
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リセバ総研所長 床尾一法
上記は流通量の少ない先代エルグランド(E52系)の中で、買取査定のサンプルが比較的多かったTE52型「250ハイウェイスターS(新車価格は7人乗り)」のリセールバリュー値です(集計期間は2026年1〜5月)。
経年2年落ちの数字が極端に低いのは集計母数が少ないための個体差で、本来はおそらく70%前後の値だと思われます。
ただし、新型エルグランドの場合、日産という会社の状況を反映した話題性、電動化や安全装備のテクノロジー進化、アルファード級の競合車種の再出馬ということもあり、状況は異なります。
初期モノにつきまとう供給の問題や、初物ご祝儀相場を想定すると、リセールバリュー値(残価率)100%前後で推移する可能性は否定できません。
ですが、現行型(40系)アルファードのハイブリッド車でみた場合、リセールバリュー値は、2026年6月時点で当年式が95%前後、経年1年落ち以降は88%前後を推移しています。
エルグランドの場合はそのさらに下、経年1年落ち以降で80%に届くかどうか、70%台後半あたりに着地するのではないかと予想します。
まとめ
これまで長年に渡り、高級ミニバン市場はアルファード/ヴェルファイアの“一強状態”が続いていましたが、今回の16年ぶりにフルモデルチェンジする新型エルグランドの登場で、寡占に等しい高級ミニバン市場が変化する可能性もあります。挑戦者たる新型エルグランドがその座を脅かすのか?それとも王道を歩むアルファードが選ばれ続けるのか?今後の動向から目が離せません。
