自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が決めた! 神コスパ中古車:フォルクスワーゲン ID.4は「買い」だ! ドイツBEVの中古車が欲しくなる3つの理由

フォルクスワーゲン初となるBEV(バッテリー電気自動車)SUVの中古車が驚異的なコスパだ。国産車では味わえないリヤモーターにリヤ駆動のレイアウト、BEV専用プラットフォーム由来の広い室内空間と軽快なハンドリングのドイツEVが、わずか3年落ちで新車価格の約40~65%程度となる相場。まさに神コスパ中古車と呼ぶにふさわしい一台だ。

【自動車のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

フォルクスワーゲン ID.4(E2系)ってどんなクルマ?

フォルクスワーゲン ID.4は、2022年11月に投入されたフォルクスワーゲン初のBEV(バッテリー電気自動車)SUVである。「MEB(モジュラー・エレクトリックドライブ・マトリックス)」と呼ばれるBEV専用プラットフォームを採用し、全長4,585mmのコンパクトなボディに広大な室内空間を実現した。

BEV専用プラットフォームの恩恵で、フロントのオーバーハングは非常に短く、ホイールベースは長い。その結果、CセグメントのコンパクトSUVながら、このクラスではトップレベルの室内空間を確保している。

国産車では味わえないRR(リヤモーター・リヤ駆動)レイアウト

ID.4の大きな特徴は、ほとんどのモデルが前輪駆動(FF)であるフォルクスワーゲン車でありながら、後方に電動パワーユニットを搭載した後輪駆動(RR)を採用している点だ。この結果、前後重量配分は47:53と理想的な数値を達成。加えて、大きく重いリチウムイオンバッテリーを床下に配置することで、一般的なガソリン車と比べて大幅に低重心化されている。こうした設計により、ID.4は優れた走行性能を手に入れた。

グレードは、ライトとプロの2グレード構成。プロはバッテリー容量が大きく、より長い航続距離とパワフルな走りが楽しめる仕様となっている。

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    ID.4の外観デザインは、派手さこそないが、フォルクスワーゲンらしいシンプルで飽きのこない完成度の高さが魅力。

    Cd値0.28という空力性能も見逃せない。大きく傾斜したAピラーやバンパーからサイドへ流れるような造形など、BEVの航続距離を伸ばすための徹底した空力デザインが光る。

    乗り心地はフォルクスワーゲンらしいカチッとした快適な乗り味で、ストローク感もありしなやかだ。
    「ライト」グレードは170馬力&310Nmで必要十分、「プロ」グレード(改良前)は204馬力&310Nmで伸びのある加速が楽しめる。

フォルクスワーゲン ID.4(E2系)中古車相場を確認してコスパチェック

ID.4に限らず、ほとんどのBEVは新車購入時に補助金を受けている。中古車マーケットでは、新車価格から補助金相当額を差し引いた金額が実質的な車両価格とみなされるため、リセールバリューは大きく下がって見える。その結果、多くの中古BEVは非常に安価な相場で推移しているのだ。

さらに、スマートフォンと同じ感覚で「短期間でバッテリーが劣化する」と考えている人が多い点も、中古BEV人気の低迷に拍車をかけている。とはいえ、最近のBEVはバッテリーの劣化も少なく、新車ID.4には8年または16万kmのバッテリー保証が付帯している。バッテリー劣化をそれほど心配する必要はないだろう。

フォルクスワーゲン ID.4(E2系)「プロ」の新車価格と中古車価格を比較
フォルクスワーゲン ID.4(E2系)プロ 価格
新車価格(2023年当時) 約649万円
中古車相場(2023年式)
※中古車情報メディア調べ 2026年6月時点
約260~420万円
新車と中古車の価格比 約40~65%
※中古車相場は2026年6月調べ

わずか3年落ちの2023年式が、当時の新車価格に対して約260~420万円という中古車相場になっている。新車価格比にすると約40~65%。ざっくり言えば、3年落ちのモデルが新車価格の35~60%オフで手に入る計算だ。これはもう、まさに神コスパ中古車と呼ぶほかない。

「お買い得とはいえ、中古車で買った後にもリセールバリューが急落するのでは?」と心配する人もいるだろう。けれども、3年かけて大幅に下がったリセールバリューが、同じペースで下落し続けるリスクは低いと考えられる。今後は年式の経過とともに緩やかに下がっていくと予想できるため、大きな損失を被るリスクは小さいはずだ。

このID.4のリセールバリューがいかに低く、中古車で買う価値があるクルマなのか。人気の国産ハイブリッドSUVと比べて確認してみよう。

トヨタ RAV4「ハイブリッドG」と比較
<参考> トヨタ RAV4ハイブリッドG(50系) 価格
新車価格(2023年当時) 約430万円
中古車相場(2023年式)
※中古車情報メディア調べ 2026年6月時点
約335~403万円
新車と中古車の価格比 約78~94%
※中古車相場は2026年6月調べ

トヨタ RAV4「ハイブリッドG」の新車価格に対する中古車価格比は約78~94%と非常に高い。新車価格に迫る値付けの中古車すら存在するほどだ。円安を背景とした日本の中古車輸出の好調が高いリセールバリューを生み出しているとはいえ、ID.4との価格比の差は歴然としている。

不人気のBEVだからといって、ダメなクルマではない。リセールバリューは需要と供給で決まるものであり、クルマの性能とは無関係だ。ID.4はフォルクスワーゲン初のBEVとして非常に力の入ったモデルであり、走行性能、デザイン、居住性など、ほぼ全方位で高い完成度を誇る。そんなID.4の中古車相場が激安なのであれば、神コスパといえ、まさに中古車で買うべきモデルだ

フォルクスワーゲン ID.4(E2系)が「神コスパ」な中古車となるワケ

中古車価格やリセールバリューは、基本的に需要と供給のバランスで決まる。人気があり供給が少ない車は高く、その逆は安くなる。ID.4のリセールバリューが低い(=中古車が安い)主な理由は以下の通りだ。

なぜリセールバリューが低い?(=中古車価格が安い?)
輸入BEVの認知不足 輸入車の新型BEVということもあり、一般ユーザーへの認知が進んでいない。
BEV特有の「不安」 バッテリーの劣化、航続距離、充電環境などへの不安が根強く残っている。
SUVデザインが
トレンドとの乖離
近年のSUVトレンドはアウトドア色を前面に出したタフネス系。ID.4は流行りではない都会派デザインである。
残価保証額の影響 フォルクスワーゲンの残価保証型ローン「ソリューションズ」での5年後買取り保証額が180万円と低く、これがリセールバリューの指標の一部になっている可能性がある。

日本のBEVシェアは1~2%程度で低迷しており、多くのユーザーが「次はハイブリッド」と考えているのが現状である。補助金がなくなれば「購入意欲が下がる」と答える層も多い。こうした状況を踏まえると、BEVの中古車価格が突然高騰するとは考えにくい。

一方で、「不人気=悪いクルマ」ではない。

新車では手が出しにくい輸入BEVが、中古車市場では手頃な価格で手に入る。高品質で高性能なBEVを驚きの価格で購入できる、それが神コスパ中古車の魅力なのだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    もしこれで「BEV=神コスパ中古車!」という実態が浸透し、BEVの中古車が売れるようになれば、中古車相場も上昇してリセールバリューも上がるかもしれない・・・

    が、その可能性は非常に少ないだろう。しばらくは低迷が続くと思われる。

    ともかく、電気自動車(EV)の中古車は、現状「買い手市場」のため神コスパ状態なのだ。

神コスパ中古車フォルクスワーゲン ID.4(E2系)を買いたくなる3つの良いところ

ID.4の良いところ1:低重心化による軽快なハンドリング

ID.4はRR(リヤモーター・リヤドライブ)レイアウトを採用している。ボンネット内にエンジンなどの重量物がないため、前後重量配分は47:53と理想的だ。その結果、プログレードで2トンを超える重い車体でありながら、フロントノーズが軽快にイン側を向き、クルっと向きを変えてくれる。2,770mmという長いホイールベースにもかかわらず、右へ左へとヒラヒラと軽快にカーブを抜けていく走りは痛快だ。

加えて、大きく重いリチウムイオンバッテリーを床下に搭載したことで、背の高いSUVでありながら重心はかなり低い。高速道路のジャンクションなど速度の高いカーブでは、やや硬めのサスペンションと低重心化により路面にピタッと張り付くように走り抜ける。車体の傾きも少なく、恐怖感が少ないのも大きな美点だ。

ID.4の良いところ2:滑りやすい道にも強く走りも楽しい後輪駆動

ID.4は、国内フォルクスワーゲン車では唯一の後輪駆動モデルだ。FF(前輪駆動)を得意とするフォルクスワーゲンが、あえてRRを選択したのは、楽しい走りへのこだわりにほかならない。

カーブ旋回中はアクセル操作ひとつで走行ラインを自在にコントロールでき、ドライバーの意のままに走る。通常モードでもわずかにリヤタイヤの滑りを許容するので、ちょっとリヤをスライドさせるアグレッシブな走りも楽しめる。

後輪駆動車は一般的に滑りやすい路面を苦手としてきた。ところがID.4はモーター駆動のため、ガソリン車よりも緻密なトラクションコントロールが可能だ。前輪駆動のガソリンSUVが苦労するような滑りやすい坂道もグイグイと登っていく。ちょっとした雪道であれば、苦労することはないだろう。

ID.4の良いところ3:実用性の高い広い室内と荷室

ID.4はBEV専用プラットフォームの採用により、ショートオーバーハング&ロングホイールベースを実現。ホイールベースの長さは室内の広さに直結するため、とくに後席の居住スペースは同クラスのガソリン車やハイブリッド車より広く、足元にはかなり余裕がある。

荷室も広大だ。荷室容量は543Lとクラストップレベルを誇る。使い勝手のよさは、さすがフォルクスワーゲンと言えるだろう。

フォルクスワーゲン ID.4(E2系)の中古車を選ぶときに気をつけるべき4つの注意点

ID.4の中古車を選ぶときの注意点1:充電環境をチェック

BEVは自宅での充電が基本となる。そのため、自宅に200V電源が必要だ。100Vであっても、簡単な工事で200Vにすることが可能である。ただし、多くの場合、戸建ての自宅敷地内に駐車場があることが前提となる。マンションなどの集合住宅で200V電源を使えるところも増えてきているが、まだまだ少ない状況だ。野ざらしの月極駐車場などでは、ほぼ充電できない点には注意してほしい。

ID.4の中古車を選ぶときの注意点2:新車保証継承の確認

新車のID.4には、8年または16万kmのバッテリー保証が付帯している。充電容量が70%を下回った場合が保証対象だ。バッテリーは非常に高価なパーツであるため、なるべくリスクは回避したい。中古車であっても、こうした新車保証が継承されているかどうかの確認が重要だ。購入時には、新車保証の継承が可能かどうか、必ずチェックしておこう。

ID.4の中古車を選ぶときの注意点3:過走行車には注意

BEVの充電は普通充電が基本。急速充電はあくまで長距離移動のサポートとして使う方がよい。急速充電は駆動用バッテリーに大きな負荷がかかり、劣化を加速させるためだ。年間2万km前後以上を走っている中古BEVには要注意。普通充電では追いつかず、頻繁に急速充電をしている可能性が高いからである。こうした車両は選択肢から外した方が無難だろう。

その一方で、長期間乗ることがなくバッテリーの放電状態が続いた車両にも注意が必要だ。見た目や走行距離だけでは判断できないため、不安な場合は購入前にディーラーでバッテリー診断をしてもらえるかどうか確認するとよい。

ID.4の中古車を選ぶときの注意点4:BEVはタイヤの摩耗が早い

BEVは車重が重い。ID.4のプログレードは2,140kgもあり、ボディサイズがやや大きいトヨタRAV4ハイブリッドZ(1,720kg)と比べても、その差は歴然だ。この重い車重に加え、BEVは大トルクを発揮するためタイヤへの負担が大きい。ガソリン車やハイブリッド車なら新車から3万kmほどもつタイヤが、BEVでは2万km前後で摩耗しきってしまうケースも多い。高年式で走行距離の少ない中古BEVであっても、タイヤチェックは念入りに行いたい。購入後すぐにタイヤ交換となれば、かなりの経済的負担となるからだ。タイヤの残溝が少ない車両であれば、タイヤ交換を前提に商談を進めるのが賢明だ。

フォルクスワーゲン ID.4(E2系)の中古車はどのグレードと年式を買うべき?

お勧めは装備充実の「プロ」グレード

グレード選びで注意したいのが、デビュー直後に導入されたローンチエディション。数か月後に導入された標準グレードでは、制御の改良により航続距離が伸びているためだ。よほど安価でない限り、ローンチエディションは選択肢から外すべきだろう。

その上で、エントリーグレードのライトか、上級グレードのプロかという選択になるが、結論から言えばプログレード一択だ。ライトグレードでは、パワーシートやパノラマガラスルーフ、パワーテールゲート、純正インフォテイメントシステム「Ready 2 Discover MAX」、20インチアルミホイール、一部運転支援機能がないなど、装備がかなり簡素化されている。せっかく輸入車を選ぶのであれば、装備が充実している方が満足度は高いはずだ。

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    2026年1月の一部仕様変更後モデルのプログレードは、最大トルクが545Nmという大トルクを誇る。

    現時点ではこの仕様変更後モデルの中古車はまだ流通していないが、1年ほど経過すれば出回ってくるだろう。

    そうなれば、さらにパワフルなプログレードの中古車がお勧めになるので、今後の中古車市場にも注目したいところだ。

フォルクスワーゲン ID.4(E2系)の新車価格と補助金
グレード 新車価格
ライト 5,287,000円
プロ 6,618,000円
補助金(2026年6月調べ) 46万円

フォルクスワーゲン ID.4(E2系)の歴史と主な改良の概要

2022年11月 ID.4の日本国内導入を発表

2022年12月 標準グレードの発表および改良

「ライト」グレード
バッテリー容量52kWh(変更なし)。航続距離388km→435kmに向上。

「プロ」グレード
バッテリー容量77kWh(変更なし)。航続距離561km→618kmに向上。

2026年1月 一部仕様変更

「ライト」グレード
バッテリー容量52kWh→55kWhへ増量。航続距離435km→409km。

「プロ」グレード
バッテリー容量77kWh→82kWhへ増量。航続距離618km→587km。最高出力150kW(204PS)→210kW(286PS)。最大トルク310Nm→545Nmへ大幅向上。

150kW級の充電受け入れ能力に対応。
純正インフォテイメントシステム「Ready 2 Discover MAX」を全車標準装備。

フォルクスワーゲン ID.4(E2系)航続距離やボディサイズなど主要諸元

代表グレード:フォルクスワーゲン ID.4 「Pro」
ボディサイズ[mm] 全長4,585×全幅1,850×全高1,640
ホイールベース[mm] 2,770
最小回転半径[m] 5.4
車両重量[kg] 2,140
リヤモーター最高出力[kW(PS)] 210(286)
リヤモーター最大トルク[N・m(kg・m)] 545(55.6)
駆動方式 RWD
一充電走行距離 WLTCモード[km] 587
バッテリー種類 リチウムイオン
バッテリー総容量[kWh] 82.0
サスペンション 前/後 ストラット/マルチリンク
タイヤサイズ 前 235/50 R20
タイヤサイズ 後 255/45 R20