雪道走行に適した中古車の基本条件
寒冷地仕様車の特徴と利点
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【リセバ総研 外部研究員】YA
雪や寒さが厳しい地域では、「寒冷地仕様車」と呼ばれるクルマを選ぶのがおすすめです。
寒冷地仕様車は、寒さが厳しい環境でも安全で快適に走行できる機能を備えた車両です。通常の車両と比べ、-10℃以下になるような寒冷地での走行を想定して、エンジンまわりや暖房などに様々な工夫がされています。
寒冷地仕様車では、エンジンの始動性を高めるため、低温でも粘度が低いエンジンオイルを使用したり、冷却水の凍結を防ぐために高濃度不凍液を採用したりしているのが一般的です。
さらに、エアコン、シートやハンドルのヒーター、凍結防止機能付きのワイパーや曇り防止機能付きミラーなど、寒冷地特有の問題に対応する装備が充実している車種も多くあります。
こうした装備はバッテリーへの負担がかかりやすいうえ、気温が低いとバッテリーの性能も低下するため、寒冷地仕様車は大容量バッテリーが搭載されます。
また、車体底部の融雪剤による腐食を防ぐため防錆処理が強化されているのも寒冷地仕様車の特徴のひとつです。
このように寒冷地仕様車には様々な工夫がされていますが、装備の充実に伴い価格が高くなる傾向があるため、購入時には自身のニーズと予算を考慮する必要があります。
寒冷地仕様車の特徴とその利点
低粘度エンジンオイル |
低温時のエンジン始動性向上 |
高濃度不凍液 |
冷却水の凍結防止 |
大容量バッテリー |
電装品の安定動作 |
ヒーター類 |
車内の快適性向上 |
防錆処理強化 |
車体の耐久性向上 |
車高と雪道走行の関係
車高が足りないと雪道の轍に足を取られたり、スタックしたりする可能性が高くなります。車高が十分あれば、積雪時にも車体底部が雪に接触しにくく、スムーズな走行が可能です。
たとえば、SUVやクロスオーバー車は、一般的なセダンよりも車高が高く、雪道での走破性に優れています。ただし、車高が高すぎると重心が上がり、カーブでの安定性が低下する可能性があります。
適切な車高は、雪の深さや走行する地域の道路状況によって異なりますが、一般的に、最低地上高が180mm以上あれば、多くの雪道状況に対応できるとされています。
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【リセバ総研 外部研究員】YA
中古車選びの際は、車高だけでなく、4WDシステムや冬用タイヤの装着など、総合的な雪道対策を考慮することが重要です。また、速度は控えめにし、急ブレーキ、急発進、急ハンドルを避けるなど、慎重な運転を心がけましょう。
雪道に強い中古車の選び方
雪道での燃費性能を考慮した選択
中古車選びでは燃費性能を考慮するのもひとつのポイントです。
雪道に強い中古車を探しているなら、4WDが第一の選択肢になりますが、4WDは雪道に強い反面、2WDと比べて燃費が5~10%程度悪化する傾向があります。しかし、最新の技術を搭載した車種ではこの差が縮まってきているため、燃費性能をよく確認することをおすすめします。
特に燃費性能を重視する場合は、次のような項目を考慮してみてください。
- ・カタログ燃費だけでなく実燃費も比較する。
- ・車両重量が軽い車種を選ぶ。
- ・アイドリングストップ機能や低燃費タイヤを選ぶ。
- ・エコドライブを心がける。
中古車を選ぶ時は、走行性能や安全性能などに加えて、燃費性能も確認してみましょう。
保証とアフターサービスの重要性
中古車は基本的に新車に比べて故障や不具合のリスクが高いものです。購入時には保証とアフターサービスの内容をよく確認することも大切です。
中古車の保証は、中古車を販売するメーカー系ディーラーの保証、中古車販売店の保証、中古車販売サイトの保証などの種類があります。
保証の内容は、クルマの故障や不具合が起こった時の修理や定期的なメンテナンス、ロードサービスなど多岐に渡ります。保証される範囲や内容、保障期間の長さ、無料保証の範囲などは、販売店によって異なるため、購入前によく確認する必要があります。
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【リセバ総研 外部研究員】YA
特に雪道では予期せぬトラブルが起こりやすいため、雪道に強い中古車の購入を検討しているなら、充実した保証内容のものを選ぶことをおすすめします。
雪道走行のための準備と注意点
冬用タイヤとチェーンの選び方
雪道走行をするための準備として欠かせないのが、冬用タイヤとチェーンです。
冬用タイヤの主流であるスタッドレスタイヤは、氷点下でも柔軟性を保つ特殊なゴム素材を使用し、深い溝と細かいサイプ(切れ目)が特徴です。これにより、雪や氷上でのグリップ力が向上します。メーカーやブランドにより雪上性能や氷上性能、ウェットな路面や乾いた路面の走りやすさなどの性能のバランスに違いがあるため、使用環境に応じて重視する性能を考慮する必要があります。
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【リセバ総研 外部研究員】YA
タイヤチェーンはスタッドレスタイヤに比べ凍結路に強いとされます。降雪時の道路状況によってはチェーン規制が実施される場合があり、スタッドレスタイヤを着けていてもチェーンが必要なことがあるため、雪道を走行する場合は用意しておくと安心です。
チェーンには、金属製と非金属製があり、それぞれ特徴が異なります。金属製のチェーンは凍結路に強く、コンパクトに収納できて安価ですが、振動や騒音が大きいというデメリットがあります。
一方、ウレタンやゴムなどの非金属製のチェーンは静かで乗り心地が良く、乾燥路でも使用可能ですが、やや高価です。チェーンを用意する際は、装着方法を事前に確認し、緊急時にスムーズに対応できるよう準備しておきましょう。
雪道での運転テクニック
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【リセバ総研 外部研究員】YA
冬の運転は雪道や凍結道路は想像以上に滑りやすいと意識して、慎重さを持つことが必要です。雪道を走行する際のテクニックを知って、安全運転を心がけましょう。
まず、車間距離を十分に取り、急な操作を避けることが重要です。発進時はアクセルをゆっくり踏み、滑らかに加速しましょう。ブレーキは早めに、そしてゆっくりと踏むことで、スリップを防ぎます。カーブでは、入る前に減速し、ハンドル操作は穏やかに行います。
路面が凍結している箇所は速度を落として走行します。特に風通しが良く凍結することが多い橋の上やトンネルの出入り口付近、凍っていることがわかりにくいブラックアイスバーンなどに、注意が必要です。また、万が一スタックした場合は、慌てずにタイヤ周辺の雪を踏み固めたり、砂を撒いたりして脱出を試みます。
常に周囲の状況に注意を払い、予測不可能な事態に備える心構えが、雪道走行の鍵となります。
地域別の雪道対策
地域によって積雪や寒さが厳しい時期の道路状況は大きく異なるため、それぞれに適した対策が必要です。
北海道や東北などの豪雪地帯では、除雪車の活動が頻繁な路線では路面の状況は比較的安定していますが、道路脇に高い雪の壁ができやすいため、視界の確保に注意が必要です。また、消雪パイプやロードヒーティングなどの設備がある道路とない道路で路面の状態が変わるため、不慣れな道では事前に状況を確認したほうが安心です。
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【リセバ総研 外部研究員】YA
一方、関東や中部地方などの普段降雪のない地域では、急な降雪に備える必要があります。タイヤチェーンの装着のほか、公共交通機関の利用も検討しましょう。
西日本では、積雪や路面の凍結の頻度の高い京都、滋賀や島根や鳥取などを除き、雪に不慣れな運転者が多いため、降雪時は特に慎重な運転が求められます。また、近いエリアでも山間部は除雪の頻度が低く、都市部では除雪の頻度が低いことにも注意が必要です。
たとえ同じ県内であっても、降雪時はエリアによって道路状況が刻々と変わります。冬に慣れない地域で運転する予定がある時は、自治体が提供する雪道情報や除雪状況をチェックし、安全な走行計画を立てましょう。
地域ごとの雪の特徴と対策
北海道・東北 |
豪雪、高い雪壁 |
視界確保、除雪情報確認 |
関東・中部 |
急な降雪 |
チェーン準備、公共交通機関利用検討 |
西日本 |
雪に不慣れな運転者多い |
特に慎重な運転 |
山間部 |
除雪頻度低い |
地域情報確認 |
都市部 |
除雪頻度高い |
地域情報確認 |
中古車購入後の雪道対策とメンテナンス
雪道走行に向けたカスタマイズ
中古車を購入したあとも、雪道対策のための装備やメンテナンスによって、雪に強いクルマへのカスタマイズが可能です。
降雪量の多い地域では、冬用ワイパーがよく使われます。冬用のワイパーは、凍結や積雪に強く、視界確保に役立ちます。また、ウォッシャー液を凍結しにくいものに交換するのもおすすめです。
降雪や吹雪で視界が悪い時の運転に不安がある人は、霧などによる乱反射を防ぐフォグランプの使用を検討してみてもいいでしょう。
さらに、寒冷地でエンジンがかかりにくくなる状況を緩和するための対策も可能です。冷え切ったエンジンの始動性を高めるエンジンブロックヒーターや、離れた場所からエンジンをかけておくことができるエンジンスターターを取り付ける場合もあります。
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【リセバ総研 外部研究員】YA
雪対策として、融雪剤などの影響により車体底部が傷むのを防ぐ対策も挙げられます。
この場合、アンダーコートなどと呼ばれる防錆塗装を施すことで、融雪剤の影響や飛び石による傷を防ぐことができます。タイヤハウスライナー(泥除け)の装着も有効で、タイヤが跳ね上げる雪や石から車体を守ります。
これらのカスタマイズは、専門店での施工がおすすめです。
冬季の点検・メンテナンスのポイント
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【リセバ総研 外部研究員】YA
雪道を安全に走行するためには、冬季シーズン前のメンテナンスも欠かせません。
まず、点検しておきたいのはタイヤの溝や空気圧です。溝が浅くなっていたり、空気圧が下がっていたりするとグリップ性能が低下し雪道走行での危険が増します。スタッドレスタイヤに付け替える際に必ず点検しましょう。
次にバッテリーの点検も必須です。気温が低くなる冬はバッテリー性能が低下しやすくなるため、シーズン前にバッテリーの状態を確認し、必要に応じて交換してください。エンジントラブルを避けるため冷却水の点検・交換も忘れずに。
さらに、ワイパーやウォッシャー液もチェックしましょう。ワイパーのゴムが劣化していると機能が十分に発揮できず危険です。凍結しにくい冬用のウォッシャー液に交換するのもおすすめです。
車用の解氷・再凍結防止スプレーを準備しておけば、フロントガラスが凍ってしまっても安心です。
これらのポイントを押さえることで、雪道走行時の安全性を高めることができます。早めの準備で、冬の運転を快適に楽しみましょう。
冬季の点検・メンテナンスのポイント
タイヤ |
溝や空気圧を点検 |
バッテリー |
性能低下の確認、早めの交換 |
冷却水 |
濃度チェック、エンジン凍結防止 |
ワイパーゴム |
劣化確認・交換 |
タイヤ空気圧 |
低下していないか確認 |
凍結防止剤 |
車用スプレーを準備 |
リセールバリューを考慮した維持管理
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【リセバ総研 外部研究員】YA
中古車のリセールバリューを維持するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
エンジンオイルの交換やブレーキの点検、タイヤのローテーションなど、基本的な整備を怠らず、整備記録もしっかり保管しましょう。
外観と内装の綺麗さも重要です。定期的な洗車やワックスがけ、内装のクリーニングを心がけ、常に清潔な状態を保ちます。修理やカスタマイズの際は純正パーツを使用することで、車の信頼性を維持できます。
また、走行距離が少ないほどリセールバリューは高くなるため、必要以上の使用は控えめにしましょう。事故歴のないクルマを選び、所有中も安全運転を心がけることで、将来的により高い価値での売却が期待できます。維持管理に気を配ることが、中古車の資産価値を守り、次の購入時の資金にもつながるのです。