中古車仕入れのプロに聞く!最新の中古車市場動向(1) 【2024年秋】下半期の中古車市場はどう動く?いま売れているクルマは?

輸出の活況を受けて、上がり傾向が続く中古車市場。下半期に入ったいま、市場にはどんな動きがあるのか。中古車仕入れのプロに、為替の変動の影響や、これからの市場の予想、注目すべき車種まで、最新事情を聞いてみた。 

【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

中古車マーチャンダイジング部門管理職

大学生時代は自動車研究部でジムカーナや耐久レースに没頭し、2009年入社に旧ガリバーインターナショナル(現IDOM)入社。 ガリバーの店舗で営業職を2年経験した後、本社に異動。電話によるクルマ買取サービスを2年担当する。その後、マーチャンダイジング部門で中古車買取価格の設計、オークションでの売却担当などを歴任。 現在はマーチャンダイジング部門の管理責任者として、中古車の仕入れや商品構成の設計を統括する。お客様のご来店を促進させる在庫構成を設計する、中古車のスペシャリストだ。

【リセバ総研所長】床尾 一法

リセールバリュー総合研究所 管理運営者 兼 アナリスト

中古車情報誌の最大手での制作、旧ガリバーインターナショナル(現IDOM)で自動車メディアの立ち上げ責任者などを経験。20年以上マーケティング界隈でインハウスやコンサルタントとして活動してきたが、2017年に人材開発の世界へ転向。インストラクショナルデザインや対話空間の設計、学習空間の設計、言語化と構造化設計を得意とする。CompTIA CTT+ Classroom Trainer Certification取得。2023年より、マーケティングに復帰。中古車マーチャンダイジングの研究とともに、メディア運営設計を担っている。

為替の影響は最低限。下半期の中古車相場は下り傾向か

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    さてOKBさん、最近の為替相場はドルに対して円高傾向ですが、中古車市場でなにか影響を感じることはありました?

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    8月に日経平均株価が暴落したときに、数日ぐらい、主に輸出業のバイヤーさんたちの動きが止まるという状況はありました。

    ただ、為替に関しては、(インタビューした9月初旬の時点で)それほど大きな影響はないかなと。

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    そうなんですね。

    たしかにリセバ総研の中古車相場のグラフでも、6月や7月に続き、8月も中古車売却の予想額が小幅ながら上がり続けていますね。

  • 【中古車相場のプロ】〝IK〟

    そうですね。例年、お盆休みのあとに仕入れが集中しますので、8月いっぱいは上昇傾向になります。例年通りなら、9月中旬ころから下降傾向に転じるはずです。

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    ではこの秋の中古車相場は、どのような展開になると予想されていますか?

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    複数の要因から考えて、中古車流通の相場はここから下降傾向になると予想しています。

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    ほう、下降傾向になる複数の要因というのは?

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    まず、今年上半期の輸出が爆発的に好調だったことです。

    日本の輸出台数は平均して年間140万~150万台くらいですが、上半期は160万台に届きそうなペースでした。

    ただ、年度替わりの関係で、例年11月、12月は輸出台数が減るので、どうしても下り坂になります。さらに、今年は中国に対する関税引き上げや国際的な紛争の影響もあって、これから輸出が厳しい局面に入るという予想もあります。

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    なるほど。輸出で好調が続いているだけに、中古車相場の下げ幅が心配になりますね。

    では、国内の状況はどうでしょうか?

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    国内では主に軽自動車で新車の出荷台数が伸びているので、中古車の下取りも増えることが予想されます。

    クルマの流通量が増える見込みですから、相場にも影響があるでしょう。

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    あとは、「いつ」「どれくらい」下がるのか?がポイントになりそうですね。

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    まぁ今のところ、相場が一気に暴落することはないと考えていますが、下降傾向になることは間違いないかと。

    それが、9月後半なのか?10月にずれこむのか?というのは、予想が難しいところです。

海外でも人気の高いミニバン/SUVの相場に動きはある?

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    8月も中古車の輸出が活況で、中古車流通の相場も上昇傾向でした。その中でもとくに好調なのはどんなクルマでしょう?

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    やはり、好調の要因となっているロシア向けのミニバンやSUVが強いですね。

    具体的に需要が高いクルマは、ホンダ ステップワゴン、スバル フォレスター、トヨタ シエンタ、ホンダ ヴェゼルといったところです。

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    そのほかに、動きが目立った車種はありますか?

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    注目しているのは、トヨタ アルファード ヴェルファイアですね基本的に相場は下降傾向の車種なんですが、限定的な条件では急に値上がりしているんです。

アルファードが気になる方はこちらもチェック
ヴェルファイアが気になる方はこちらもチェック
  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    限定的な条件?

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    アルファード/ヴェルファイアは、いまマレーシアで急激に人気が高くなっている車種です。

    マレーシアの場合は初年度登録から1年以上経過しないと中古車の輸出ができないというルールがあるんですが、2023年に発売された40系のアルファード/ヴェルファイアがちょうど輸出できるタイミングに入っていることもあって、中古車の売買が活発になっています。

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    アルファード/ヴェルファイアは、アジア諸国でもやはり人気があるんですね。

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    新車は主にシンガポールへの輸出のようで、送迎や観光者向けにでハイヤーのように使われることが多いそうです。

    面白いのが、そのボディーカラーのほとんどが黒なんですよ。

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    ほとんどが黒?

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    ええ。つまり、2023年登録で1年経過の黒いアルファード/ヴェルファイアの人気がとても高く、その条件の車両が値上がりしているという状況になっています。

レクサスが狙い目! いま「売りやすい」クルマ

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    それでは話を変えて。

    いま人気があって値崩れしにくい、「売りやすい」クルマと聞かれて、思いつく車種はありますか?

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    トヨタ レクサスは全体的に相場が上がっていると思います。

    モデルで言うと、SUVではRX/NX/UX、セダンではLS/ES。このあたりが人気ですね。

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    そうなんですね、レクサスは他ブランドと比較しても相対的にリセールバリューが強い印象がなかったのですが。

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    たしかに、そうかもしれません。

    ただ、いまは他のクルマの相場が上がりすぎていることが関係しているかもしれません。

    例えば代表的なミニバンであるトヨタのノア/ヴォクシーでも中古車で400万円以上、ホンダ オデッセイも500万円を超えているので。

  • 【リセバ総研所長】床尾 一法

    たしかに、ファミリー向けで定番のミニバンとしては高いですね。

  • 【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟

    ミニバンやSUVを中心に、どの車種・クラスの車も全体的に相場が高騰しているので・・・。

    とくに、ミニバン以外でお探しの方にとっては、品質や性能と価格を比べると、中古車としてはレクサスのほうが狙いやすくなっているんじゃないでしょうか。

    需要が高まっていますから、いま「売れる」というポイントで見ても、レクサスは狙い目だと思います。

レクサスが気になる方はこちらもチェック
中古車市場が気になる方は、こちらの記事もチェック!