三菱 新型パジェロが世界初公開!ライバルのランドクルーザーとの違いを徹底解説

三菱自動車は2026年9月2日、クロスカントリーSUVのフラッグシップ「パジェロ」の新型モデルを世界初公開しました。パジェロの日本仕様は2019年に生産を終了しており、国内では約7年ぶりの復活となります。かつてパリ・ダカールラリーで活躍した栄光の歴史や1990年代のRVブームを代表するクルマで知られたパジェロは、初代から4代目まで世界170以上の国と地域で累計325万台以上を販売してきた、三菱を代表するモデルです。

このパジェロ復活で真っ先にライバルとして意識されるのが、現在日本のSUV市場で頂点に君臨するトヨタの「ランドクルーザー」なのではないでしょうか。そこで今回は、現時点で公開されている情報をもとに新型パジェロの特徴を整理したうえで、ランドクルーザー250/300との違いを比較していきます。

小さい頃からのクルマ好きで、大学生で免許を取ると貯めたバイト代で中古車をすぐに購入。以来、年間数万キロを走り回って無事故を維持していることを密かな誇りにしている。趣味は、ドライブ旅行とモータースポーツ。カメラを持ってサーキットに行くと流し撮りに命を懸ける。一般ドライバーの視点で、カーライフとリセールバリューの「これってどういうこと?」を紐解いていきます。

7年ぶりに復活する三菱 新型パジェロの特徴

新型パジェロは、初代から受け継ぐ「悪路走破性・信頼性(Confidence)」「快適性と扱いやすさ(Comfort)」に、フラッグシップにふさわしい「上質さ(Prestige)」を新たに加えたモデルとして開発されました。デザインコンセプトは「グランドカリスマ-泰然自若-」。ボディサイズは全長4,920mm×全幅1,925mm×全高1,910mm、ホイールベースは2,870mmで、水平基調のスクエアなプロポーションが特徴です。

骨格はトライトン由来のラダーフレーム+専用サスペンション

新型パジェロは、ピックアップトラック「トライトン」で刷新された高剛性ラダーフレームをベースに、キャビンや前後サスペンションを専用開発しているといいます。フロントはダブルウィッシュボーン式、リアには新開発の「5リンク式リジッド」を採用。高張力鋼板の採用拡大やフレーム断面の見直しでねじり剛性・曲げ剛性を高めつつ、ボディマウントを強化することで荒れた路面でも不快な振動を抑えるとしています。三菱は開発目標として、単に悪路を走れるだけでなく荒れた路面でも快適に過ごせる「悪路快適性」を掲げています。

パワートレインは2.4Lクリーンディーゼル+新開発8速AT

エンジンは、ワイドレンジのシングルVGターボを備えた専用開発の2.4L直列4気筒クリーンディーゼルターボ。最高出力は150kW(201PS)/3,500rpm、最大トルクは480Nm(一部仕様は470Nm)/1,750〜2,500rpmで、発進から高速域まで力強い加速を実現。これに新開発のスポーツモード付き8速ATを組み合わせます。なお、燃費(WLTCモード)は今回の公開時点では公表されていません。

4WDは「スーパーセレクト4WD-II」+「S-AWC」

四輪駆動システムには三菱伝統の「スーパーセレクト4WD-II(SS4-II)」を採用。「2H(後輪駆動)」「4H(フルタイム4WD)」「4HLc(センターデフロック)」「4LLc(ローギヤ+センターデフロック)」の4モードをダイヤルで選べます。これに車両運動統合制御システム「S-AWC」を組み合わせ、フロントブレーキで左右輪のトルクを制御するAYC、駆動力を最適配分するASTC、ABSを統合制御。路面に応じた7つのドライブモード(NORMAL/ECO/GRAVEL/SNOW/MUD/SAND/ROCK)も用意されます。

フラッグシップらしい内装・静粛性・装備

内装は水平基調のインパネに、14.3インチディスプレイを2枚組み合わせた「モノリスディスプレイ」(グレードにより12.3インチ)を採用。歴代パジェロの象徴だった3連メーターは、現代的な「マルチメーター」として復活しました。日本の伝統工芸「木目込み」に着想を得た縫製技法のソフトマテリアルや、キャメル/ブラックの2トーン内装で質感を高めています。静粛性ではフロントガラスに加え前後ドアにも遮音ガラスを採用。そのほかの特徴としては、3ゾーン独立エアコン、ヤマハと共同開発した12スピーカーの「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」、3列7名乗車のパッケージングなどが挙げられます。

安全装備・運転支援システム

予防安全では衝突被害軽減ブレーキ(歩行者・自転車・二輪車検知、交差点アシスト付き)や、三菱初採用の「緊急時車線維持支援機能」、前進時交差車両検知警報などを搭載。運転支援は高速道路同一車線運転支援「マイパイロット(MI-PILOT)」を備えます。SRSセンターエアバッグを含む8つのエアバッグも三菱初採用。オフロードでは車両下の路面を映す「フロントアンダーフロアビュー」付きの3Dマルチアラウンドモニターが役立ちます。

  • 【クルマ大好きライター】井口裕右

    今回はワールドプレミア(世界初公開)の発表で、明らかにされたのは外形寸法やパワーユニット、内外装が中心です。車両本体価格やグレード構成、燃費(WLTCモード)は年内に予定される正式発表まで非公表。車両重量や最小回転半径、室内寸法といった細かな数値も、現時点では公式に発表されていません。続報を待ちましょう。

トヨタ ランドクルーザーとの違いを比較

本格クロスカントリーSUVの代名詞といえば、やはりトヨタ ランドクルーザー。ここでは、サイズが近い「ランドクルーザー250」と、より上級の「ランドクルーザー300」を取り上げ、現時点で公表されている情報を元に新型パジェロとの違いを見ていきます。まずは主要スペックを表で整理してみましょう。

三菱 新型パジェロ トヨタ ランドクルーザー250 トヨタ ランドクルーザー300
全長 4,920mm 4,925mm 4,950mm(GR SPORT 4,985mm)
全幅 1,925mm 1,980mm(GX 1,940mm) 1,980mm(GR SPORT 1,990mm)
全高 1,910mm 1,925〜1,935mm 1,925mm
ホイールベース 2,870mm 2,850mm 2,850mm
最低地上高 230mm 約215mm 約225mm
エンジン 2.4L 直4ディーゼルターボ 2.8L 直4ディーゼルターボ/2.7L 直4ガソリン 3.3L V6ディーゼル ツインターボ/3.5L V6ガソリン ツインターボ
最高出力 201PS 204PS(ディーゼル)/163PS(ガソリン) 309PS(ディーゼル)/415PS(ガソリン)
最大トルク 480Nm 500Nm(ディーゼル)/246Nm(ガソリン) 700Nm(ディーゼル)/650Nm(ガソリン)
変速機 8速AT 8速AT(ディーゼル)/6速AT(ガソリン) 10速AT
駆動方式 スーパーセレクト4WD-II フルタイム4WD フルタイム4WD
乗車定員 7名 5/7名 5/7名
価格(税込) 年内発表予定 約520万〜735万円 約525万〜814万円

ボディサイズと取り回し:パジェロは全幅がひとまわり小さい

全長やホイールベースは3車とも近い水準ですが、目立つのは全幅です。新型パジェロの全幅1,925mmに対し、ランドクルーザー250/300は主要グレードで1,980mm。数値上は55mmの差ですが、狭い道でのすれ違いや立体駐車場の制約を考えると、この差は日常の扱いやすさに影響してくるでしょう。最低地上高はパジェロが230mmと高く、対障害物のクリアランスも確保しています。

4WDの考え方:シーンで選ぶパジェロ、常時四駆のランクル

ランドクルーザー250/300はセンターデフを備えたフルタイム4WDが基本で、常に四輪を駆動します。一方の新型パジェロは、SS4-IIによって乾いた舗装路では「2H(後輪駆動)」を選べるのが特徴。状況に応じて2H〜4LLcを使い分けられる柔軟性は、歴代パジェロから続く持ち味です。どちらが優れているというより、「常時四駆で安定志向のランクル」「シーンに応じて切り替えるパジェロ」という考え方の違いといえます。

パワートレイン:ディーゼル一本のパジェロ、選択肢の広いランクル

新型パジェロのパワートレインは、2.4Lディーゼルターボ+8速ATのみ。対して、ランドクルーザー250は2.8Lディーゼルと2.7Lガソリン、ランドクルーザー300は3.3L V6ディーゼルと3.5L V6ガソリン(いずれもツインターボ)と、幅広いパワーユニットをそろえます。出力・トルクの絶対値では大排気量のランクル、とくにランクル300のV6が上回ります。一方で、パジェロは排気量2,439ccで、毎年の自動車税の区分が総排気量2.5L以下となり、2.5Lを超えるランクル勢よりひとつ下の区分に収まります。ディーゼルエンジンの経済性と相まって、維持費を気にする人にとってはパジェロ優位になる場合もあるのではないでしょうか。

  • 【クルマ大好きライター】井口裕右

    三菱自動車は「アウトランダーPHEV」で電動SUVの実績があるだけに、パジェロにも電動化モデルが追加されるのではという期待もありましたが、現時点では伝統のディーゼルターボでの船出になるようです。今後PHEVなどの電動化モデルが追加されるかにも注目です。

価格帯:パジェロは未公表、ランクルは520万円台から

車両本体価格は、ランドクルーザー250が約520万〜735万円、ランドクルーザー300が約525万〜814万円(いずれも税込)。新型パジェロの価格は現時点で未公表ですが、3列7名乗車の2.4Lディーゼルターボというパッケージを踏まえると、ランドクルーザー250が直接の競合になると見られます。正式な価格発表を待ちましょう。

まとめ

新型パジェロは、7年ぶりの復活にあたり、歴代の走破性・信頼性に「上質さ」を加えたフラッグシップとして登場しました。ランドクルーザーと比べると、全幅がひとまわり狭く扱いやすいサイズ感、2H(後輪駆動モード)を選べるスーパーセレクト4WD-II、2.4Lディーゼルによる税区分の優位といった点が個性として見えてきます。一方で、出力の絶対値やパワーユニットの選択肢、そして「すでに市場で選べ、リセールバリューも非常に高い」という実績ではランドクルーザーに分があります。

ただし現時点では、新型パジェロの価格やグレード、燃費、細かな諸元は正式発表待ちの段階です。まずは「新型パジェロはランドクルーザー250に近いサイズ感で、扱いやすさと上質さを両立させようとしたモデル」という輪郭を押さえ、最終的な比較検討は正式発表を待つとよいのではないでしょうか。