CORISM編集長とリセバ総研所長のクルマ放談:中東情勢とホルムズ海峡に揺れる自動車業界に見えてきた問題
自動車業界で日々生まれる様々なトピックスについて、リセバ総研の“ご意見番”であり日本カー・オブ・ザ・イヤーの運営にも関わっている自動車webサイトCORISM編集長の大岡智彦と、リセバ総研所長の床尾一法の二人が本音で語り合う「クルマ放談」。今回は、2月28日に発生した米国によるイラン攻撃に端を発した中東情勢の緊迫とホルムズ海峡の事実上封鎖をテーマに、浮き彫りになってきた様々な課題を語り合います。
自動車情報メディア「CORISM」編集長
リセールバリュー総合研究所 管理運営者
当記事における発言内容は、床尾一法と大岡智彦の個人的な主観・考察によって構成されています。公式の見解ではございませんのでご注意ください。
ホルムズ海峡封鎖で改めて考える、政府補助金の妥当性
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リセバ総研所長 床尾一法
世界経済は中東情勢の行方で振り回され続けていますが、自動車業界の方々でもホルムズ海峡封鎖の件って結構話題になっていますか?
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【自動車のプロ】大岡智彦
うーん・・・あまり多くの人と話をしたわけじゃないけど、「もう自分たちじゃどうにもならないよね」という印象かな。
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リセバ総研所長 床尾一法
まぁ、そうですよね。
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【自動車のプロ】大岡智彦
事態の行方を見届けるしかないかな。
いまは補助金のお陰で、店頭価格は「高くなったな」程度の感覚だし。
それに僕みたいな年齢になってくると、例えばガソリン価格の高騰も過去に何度も経験しているわけですよ。なので急に価格が30円上がったといってもそこまで驚くようなことではない感じ。
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リセバ総研所長 床尾一法
確かに、過去に何度もありましたもんね。
中東戦争や湾岸戦争のときにもガソリン価格は高騰しています。
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【自動車のプロ】大岡智彦
例えば(今は政府の補助金で価格が抑制されているけど)小売価格が200円を超えたとしても、ずっとそれが維持されるということは過去にもなくて、大体120円から180円くらいの間に収まっているわけです。そのなかで高いときもあれば低いときもあると。

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リセバ総研所長 床尾一法
私は軽自動車に乗っていますが、そもそもそんなに走行距離が伸びない上に低燃費で。
ガソリン代の「単価」は高く感じるものの、ガソリンタンクの容量も大きくないので、1回の給油量が3千円台の中で前後しているので、実はあまり意識していなんです。
毎日使われる方には申し訳ないですが・・・
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【自動車のプロ】大岡智彦
仕事で毎日クルマを使っている人たちにとっては死活問題でもあるので、そりゃ厳しいでしょう。
ただ、ガソリンが高騰した分を国が補助しますと、税金を大量に投入しますというと、クルマをもっていない人にしてみたらもっと他の物価高対策にも動いてほしいという気持ちにはなるかもしれませんね。
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リセバ総研所長 床尾一法
EV向けの補助金と同様に、補助の対象となる人だけが恩恵を受けることになりますし。
国の補助金には大岡さんは以前にも疑問を投げかけていましたもんね。
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【自動車のプロ】大岡智彦
EV向け補助金(CEV補助金)は経済産業省の予算だと思いますが、元を辿れば国民の税金なわけです。
新車でEVを買うと(車種によっては)国から100万円を超えるお金がもらえると考えると、もっと他に使い道があるんじゃないか?と思いたくもなるけどね。
EVが売れることで新しい経済を作っていくというのが理屈なんだろうけど。

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リセバ総研所長 床尾一法
ちなみに、自動車メーカーの人たちはEV向けの補助金をどう捉えているんでしょう?
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【自動車のプロ】大岡智彦
ビジネスが上手くいけばそれでいいでしょう(と、考えてるのかも)。
むしろ、どんどん拡大して欲しいと思っているんじゃないですかね。
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リセバ総研所長 床尾一法
新車価格にはある程度補助金を織り込んでいるとか・・・。
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【自動車のプロ】大岡智彦
もちろん考えていると思いますよ。
補助金の見込みがこれくらいだから、じゃあ新車価格はこれくらいに設定して、実質価格がこれくらいに落ち着けば売れるんじゃないかと。
こうした計算はしていると思います。
中東情勢で浮き彫りになったガソリンの不確実性はEVの追い風になるか
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リセバ総研所長 床尾一法
さてさて。
ホルムズ海峡の封鎖で原油価格が一気に高騰したことで、EVや低燃費車への注目というのは高まっているんでしょうか?
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【自動車のプロ】大岡智彦
日本の場合にはもともと燃費の良いハイブリッド車が主流になっているので、これ以上のランニングコストの抑制ということを考えると、EVにいかざるを得ないというのはみんな考えているのかも。
といっても、急にEVシフトが加速するということは多分ないんじゃないかな。
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リセバ総研所長 床尾一法
ハードルは高そうですね。
そのあたりは、いろいろ語り尽くされいる感はありますが。
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【自動車のプロ】大岡智彦
以前、2008年前後にガソリン価格が急騰したときは、トヨタ プリウス(20系)がとても売れたしね。
この時に、ハイブリッド車の燃費の良さが認知され、その後の30系プリウスや10系アクアのようなハイブリッド車が一気に伸びてきた。
その火つけ役となったのが、ガソリン価格の高騰だったんですね。「ガソリンが値上がりするなら燃費のいいクルマを買おう」と。
ガソリン車とハイブリッド車を比較すると、当時は30万円くらいの価格差があって、個人的には30万円分のガソリンを買えばどれだけ走れるんだよと思いたくなるところだけど。
日本人の感覚からするとイニシャルコスト(車両価格)よりもランニングコスト(ガソリン代)が負担になるのを嫌がる傾向が強いようだから、ハイブリッド車が支持されたんだと捉えてます。
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リセバ総研所長 床尾一法
それを現在に当てはめると、EVやPHEVへの注目も高まる可能性があるということでしょうか。
いまのクルマを見渡してみると、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)とパワートレインが多種多様になってきましたが、一般消費者のみなさんはどこまで(違いや差を)気にしているんでしょうね。
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【自動車のプロ】大岡智彦
そこだよね。
以前に聞いたことのある話では、ディーラーの営業担当者がハイブリッド車の仕組みを説明しようとすると、お客さんが「そんな話はもういいから。燃費がいいってことでしょ」と。
ハイブリッド車=燃費がいいということくらいしかわかっていないんじゃないかなという気がしますね。
だから、ランニングコストの最適化を考えるとプラグインハイブリッド車や電気自動車のほうがいいはずなんだけど、そもそもそうしたクルマの仕組みを理解していないから、なかなか普及は厳しいんじゃないかなとも感じていますよ。
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リセバ総研所長 床尾一法
それぞれの利点を認識されにくい、理解されてにくいから売りづらい、というのは全然ありうる話でしょうね。
ガソリンでも充電でも走るPHEV、いい選択肢だと思うんですけどね・・・。

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【自動車のプロ】大岡智彦
これは過去にも言ったことだけど、日本でEVが普及しない理由を問われると「トヨタが本気になっていない」からって言いたくなるんですよね。
国内のシェアが50%を超えるメーカーがEVの販売に積極的じゃなかったら、そりゃ浸透しないよね。いま国内トヨタのブランドでBEVって言ったら、bZ4xしかないじゃない。
ツーリングも追加されたし、すこし売る気になってきたみたいだけど。
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リセバ総研所長 床尾一法
確かに。
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【自動車のプロ】大岡智彦
トヨタはマルチパスウェイとういう戦略で、BEV一辺倒という方法とは異なる手法で、カーボンニュートラルへの道を築こうとしています。
とはいえ、日産ですら、国内でリーフ、アリア、サクラと3車種展開しているのに、世界ナンバー1のトヨタが1車種しかないってのは・・・。しかも、あまり積極的にプロモーションしている雰囲気もない。
最近bZ4xの売上が伸びているという話もありますが、本気で売り出しているかというとそんな雰囲気はあまり感じないよね。
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リセバ総研所長 床尾一法
BEVは「需給」の鏡となるリセールバリューも厳しいので、そういったことも考えると普及への壁はまだまだ高そうですね。
