2026年2月調査レポート 燃料費も電力も高い!生活インフラ危機の実感調査 「ガソリンも電気も安くない」時代のカーライフ意識
世界的なエネルギー情勢の不安定化を背景に、日本国内のガソリン価格は高止まりし、電気料金も上昇を続けている。本調査では、クルマを所有する20〜50代の男女433名を対象に、エネルギーコスト上昇の家計への影響、世界情勢の認知度、カーライフへの不安、そして今後の車選びやリセールバリューへの意識を多角的に調査した。「ガソリンも電気も安泰ではない」時代に、生活者はどのような判断を下そうとしているのかをデータから読み解いていこう。
リセールバリュー総合研究所 管理運営者
調査名:燃料費・電力・生活インフラ危機の実感調査
調査時期:2026年3月
調査方法:インターネット調査(サーベロイド)
調査対象:自家用車を所有する全国の20〜59歳の男女
有効回答数:433名(男性217名・女性216名)
調査主体:IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所
目次
約8割がガソリン代の上昇を実感しつつも家計への最大打撃は「電気代」の方
直近1年間でエネルギーコストの増加を感じた費目を複数回答で尋ねたところ、「ガソリン代」が77.8%で最多となり、「電気代」が69.1%、「ガス代」が42.7%と続いた。「特に感じない」はわずか7.2%であり、実に9割超のドライバーが何らかのエネルギーコスト上昇を実感していることになる。
一方、「家計への打撃が最も大きいもの」を単一回答で尋ねると、トップは「電気代」の43.2%で、「ガソリン代」(37.0%)を6ポイント上回った。ガソリン代は「増えた実感」では首位だが、電気代は日常の固定支出として家計全体に与えるインパクトが大きいと捉えられていることがわかる。
男女で異なるエネルギーコスト上昇の「痛み」
男女別に見ると、男性は「ガソリン代」を最大の打撃と回答する割合が44.2%と女性(29.6%)を約15ポイント上回った。通勤や業務でクルマを利用する頻度の高い男性にとって、ガソリン価格の上昇は直接的な家計負担として響いているようである。
女性は「電気代」(44.4%)が最多で、家庭内のエネルギー消費を管理する立場からの実感の強さがうかがえる。また「ガス代」を挙げた割合も女性(12.5%)が男性(6.5%)の約2倍であった。
月の燃料費は「5,000〜10,000円」が最多層
月あたりのクルマの燃料費は「5,000〜10,000円」が39.0%で最多、次いで「10,000〜15,000円」が25.2%であった。月1万円を超える層は約4割に達し、年間換算では12万〜18万円規模の燃料支出を負担していることになる。
リッター160円を超えたら「高すぎる!」
ガソリン価格の「高すぎる」と感じる閾値については、「160円」が34.4%、「170円」が26.6%を占め、合わせて約6割が170円以下の水準で「高すぎる」と認識している。現実のガソリン価格が160〜180円台で推移するなか、多くのドライバーが日常的にストレスを感じている状態にあるといえる。
中東情勢の認知は高いがAI電力需要は認知度50%未満
日本のエネルギー価格に影響を与えている3つの事象について認知度を4段階で尋ねた。「中東情勢の緊迫化」は「よく知っている」34.9%+「なんとなく知っている」46.0%で認知率80.9%に達した。「ウクライナ紛争の長期化」も同81.3%と高水準であった。
一方、「AI・データセンターの急拡大による電力需要の増加」は「よく知っている」がわずか13.9%にとどまり、「あまり知らない」(27.9%)と「全く知らない」(22.6%)を合わせると約半数が認知していなかった。
男女別に見ると、すべての項目で男性の認知度が女性を上回った。特にAI電力需要では、「よく知っている」と回答した男性が19.4%であるのに対し、女性は8.3%と約11ポイントの差があった。中東情勢でも「よく知っている」は男性43.8%に対し女性25.9%と18ポイント近い開きがある。
クルマの維持費に最も影響しそうだと思う要因については、「中東情勢」が67.2%で圧倒的であり、「ウクライナ紛争」(15.2%)、「AI電力需要」(3.7%)は大きく引き離された。
約8割がカーライフへの影響を実感
「世界的なエネルギー不安が自分のカーライフに影響する」という実感を問うたところ、「強く感じる」47.8%と「やや感じる」32.3%を合わせて、全体の80.1%が影響を実感していた。男女別では、「強く感じる」が男性53.0%に対して女性42.6%と10ポイント以上の差があり、男性のほうがより強い危機意識を持っていた。
地方圏で「生活インフラ」意識が強い
クルマが「生活インフラ」であるかという問いには、「そう思う」55.4%+「どちらかといえばそう思う」32.8%で合計88.2%が肯定的であった。地域別に見ると、中部地方が73.6%で「そう思う」の割合が最も高く、関東地方は44.8%、近畿地方は45.6%と、公共交通インフラが発達した都市部との差は最大約29ポイントに及んだ。
「ガソリン200円超え」が最大の脅威
4つのエネルギー危機シナリオのうち、最も不安を感じるものとして「ガソリン価格がリッター200円を超える状態が続く」が61.9%と圧倒的多数を占めた。「電気料金が1.5倍になりEVの充電コストが上がる」(12.7%)、「地政学リスクにより燃料の安定供給自体が揺らぐ」(10.4%)は1割台にとどまった。
対応策は「乗る頻度を減らす」
そうした状況が現実化した場合の対応策(複数回答)では、「乗る頻度を減らす」が48.3%で最多であった。「特に変えない」も24.9%と約4分の1を占め、代替手段が限られるなかで消極的に耐える姿勢もうかがえる。「低燃費車に乗り換え」は13.6%、「EVを検討する」は9.7%と、積極的な車種変更を考える層はまだ少数派であった。
次の買い替えは「HV」が首位でEVは7%未満
次にクルマを買い替える際に選ぶ車種として、「ハイブリッド(HV)」が31.2%で首位、「ガソリン車」が30.5%で僅差の2位であった。「EV(電気自動車)」は6.9%にとどまり、「プラグインハイブリッド(PHEV)」の10.2%にも及ばなかった。
男女別では、男性のHV選択率が35.9%と女性(26.4%)を約10ポイント上回った一方、女性は「わからない」が22.7%と男性(14.7%)より8ポイント高く、車種選択に対する迷いがより大きいことがうかがえる。
EVに対するイメージは「高い」「充電不安」がトップ
EVに対するイメージ(複数回答)では、「価格が高い」が38.3%で最多、「充電インフラが不安」が35.3%、「電気代が上がれば結局コストは変わらなそう」が33.0%と続いた。
ポジティブなイメージである「燃料費が安そう」は26.8%、「環境に良い」は16.9%にとどまり、エネルギー情勢の不安定化がEVの訴求力をも揺るがしていることが読み取れる。女性は「災害・停電時に使えなくなりそう」を選んだ割合が30.6%と男性(21.7%)を約9ポイント上回った。
「安心できるクルマ」はHVだが「どれも安心できない」も3割近く
「ガソリンも電気も安泰ではない」という前提のもとで最も安心できるクルマを尋ねたところ、「ハイブリッド(HV)」が31.9%でトップとなったが、「どれも安心できない」が27.9%で2位に入った。男女別では、女性の「どれも安心できない」が35.2%に達し、男性(20.7%)との差は約15ポイントであった。
約8割がリセールバリューへの影響を認識
エネルギー情勢の不安定さがクルマのリセールバリューに影響するかという問いに対し、「強くそう思う」23.6%+「ややそう思う」54.5%で合計78.1%が影響ありと回答した。
「ハイブリッド車」は相場上昇に期待?
今後リセールバリューが上がりそうな車種としては、「HV」が20.8%でトップ、「PHEV」が14.8%、「EV」が12.7%と続いた。一方、下がりそうな車種では「EV」が13.9%で最多となった。
ただし、上がる・下がるの両設問とも「わからない」が最多であり、不透明なエネルギー情勢のもとで生活者自身もリセール価格の行方を見通せていないのが実情である。
まとめ
本調査から浮かび上がったのは、「ガソリンも電気も高い」という二重苦のなかで、多くのドライバーが出口の見えない不安を抱えている現実である。
ガソリン価格は既に「高すぎる」と感じる水準に達し、一方で電気料金も上昇しEVへの移行が万能の解決策とはなり得ない。対応策として「乗る頻度を減らす」が最多であることは、積極的な打開策が見出せない生活者の苦悩を如実に物語っている。
-

-
リセバ総研所長 床尾一法
昨今のエネルギー事情を踏まえたクルマ選びが求められるとなると、やはりリセールバリューの観点からもハイブリッド車やPHEVへの期待が高まる。
ただ、次の買い替え先としてはハイブリッド車が上位に上がっているものの、「どれも安心できない」と回答した層も約3割に迫る。
エネルギー問題とカーライフの接点は、今後さらに密接になる。地政学リスクやAI関連の電力需要増といった構造的要因が長期化するなかで、消費者の車種選択・保有判断・売却タイミングの意思決定は、これまで以上にエネルギー情勢と連動していくことが予想される。
