担当者の会話に聞き耳をたてる不定期連載 オートオークション最前線こぼれ話:2026年3月第3週は供給過多と様子見ムードで二極化がさらに鮮明に

全国各地のオートオークション最前線に出向いている担当者たちから、リアルタイムで入札状況や売買の情報が飛び交うホットラインのこぼれ話。3月も後半に入り、主要オートオークション会場から上がってくるのトーンが明らかに変化。一言でいえば「重い」感じ。成約率も成約単価もじわじわと下がり、買い手の様子見ムードが広がっているようだ。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    以下は、オートオークション会場からリアルタイムに情報が寄せられる担当者ホットラインから流れ出てくる最新の市況をもとに、中古車市場最前線の情報をかいつまんでお届けしている。

出品台数が膨らみ需給バランスが崩れ始めている

3月後半の市況でまず注目したいのが、出品台数の増加だ。東京の大手オートオークション会場では、過去最多となる2万1千台超が出品され、来週もさらに2万2千台を超える見込みとされている。九州の会場でも前年比で1,300台以上の増加、神戸の会場でも搬入台数が大幅に増え、来週分の搬入制限がかかるほどだったようだ。月末に向けてさらに台数が膨れ上がる懸念もある。

供給が増える一方で、買い手の動きは鈍い様子。応札が減り気味で、競り上がりは限定的。売り切り宣言が出てもそこで止まってしまう車両が目立ち、セリ単体での成約が難しくなっているようだ。

名古屋の会場では全体の成約率が先週のより10ポイント近く落ち込んでいる。キャンセルも増えており、今後さらに厳しくなりそうだという声が上がっている。

新規出品車はまだ堅調だが流札系は大苦戦

コーナー別に見ると、二極化がますます鮮明になっているようだ。

過去6ヶ月以内にオークションに出品されていない新規出品車(プライム系)は、まだ比較的高い水準を保っている様子。東京の会場ではハイブリッド・EV車のプライムコーナーで成約率が非常に高く、先週よりも改善した場面も見られたそうだ。

神戸の会場でも主力ゾーンは高水準を維持している様子。ただし、前回に比べるとわずかに数字が落ちており、勢いにはやや陰りが出てきた印象とのこと。

一方で、一度流札して再出品された車両が集まる再出品コーナー(ワンモア・セカンド・リトライ系)は著しく苦戦しているようで、九州の会場ではセカンドプライムの成約率が10ポイント以上急落。神戸の会場でも国産リトライの成約率が20ポイント近く落ちたようだ。

出品者の希望価格に対して10万〜20万円ほど下で応札が止まってしまう傾向が強いようで、買い手がかなりシビアになっている様子だ。

ハイブリッドは堅調な一方でアルファードやプラドに弱さ

車種別に見ると、引き続きハイブリッド・EV車は底堅い動きを見せているようだ。東京の会場ではリーフ(ZE1型)に輸出業者の応札が集中したとのこと。ステップワゴン(RP型)、ハリアー、マツダ車、スバル車、そして小排気量・低額帯の車両が比較的良好な動きを見せている。

反対に厳しかったのは40系アルファードや150系プラドのようで、アルファード40は応札そのものが少なく、プラドも相変わらず不安定な相場が続いている様子。シエンタやセレナといったミニバン系も応札の弱さが際立ったようだ。

神戸の会場では200〜400万円の価格帯で応札が薄く、80系ハリアーが出品者の希望より20〜40万円ほど下で流れてしまう状況だったとのこと。

高額帯はさらに厳しいようで、東京の会場ではスタート価格2千万円以上の超高額輸入車プライムコーナーの成約率が低く、高額車ほど慎重に見られる傾向が強まっている。

中東情勢の影響はまだ見極めの段階

ホルムズ海峡をめぐる中東情勢の緊迫化がオートオークション市場に影響を及ぼしているかという点については、現時点で明確な悪化要因として確定した情報はないようだ。ただし、海上輸送や決済面への懸念から、輸出業者の一部で応札が慎重になっている可能性は指摘されている。

名古屋の会場では、輸出がらみでも相場を超えた強気の入札は限定的で一部のモデルにとどまり、「市況的にはピークから減退直前の印象だ」という声があった。九州の会場では100万円以下の低価格帯で輸出業者による落札が散見されるものの、全体を引っ張るほどの勢いはないようだ。

中東情勢の影響がオークション相場にはっきり表れるかどうかは、もう少し時間をかけて見る必要がありそうだ。ただ、3月後半はもともと市況が下がりやすい時期でもあり、季節要因と地政学リスクが重なって下押し圧力が強まるシナリオには警戒しておきたい。

供給増と買い控えが重なる調整局面はしばらく続きそう

全体を俯瞰すると、現在のオートオークション市場は、供給増と買い控えが同時に進行する典型的な調整局面に入りつつある。新規出品車にはまだ買い手がつくが、再出品の車両や高額帯にはかなり厳しい目が向けられている様子。

月末に向けてさらに出品台数が膨らむことが見込まれるなかで、調整室の担当者にとっては厳しい判断が続きそうだ。調整室とは、オークション会場の中でセリの成約をコントロールする司令塔のような場所で、出品会社の値付け担当者とオークション運営スタッフが詰めている。セリの最中にモニターで全国からの応札状況を見ながら、売り切りに切り替えるか、希望価格を下げるか、それとも流札にして持ち帰るかをリアルタイムで判断する。

今の市況では、今日売れなければ来週はもっと厳しいという判断を迫られる場面が増えそうだ。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    以上、オートオークション担当者の報告最前線に耳をそばだてた内容だ。

    3月後半は中古車流通の相場がトーンダウンする時期でもあるが、混迷する世界情勢や為替相場の影響も受けやすい市場でもあるため、今後はどのような流れになるのか読みにくい。

    売却や乗り換えを検討中の方は、この市況の流れを注視しておいて損はない。