カー・オブ・ザ・イヤー実行委員の大岡が本音で語る! 【リセバ総研編集部座談会】「2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー」 を受賞した新型 ホンダ フリード、ぶっちゃけどんなクルマ?(前編)

自動車業界を代表する賞と言っても過言ではない「2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー」。2024年 12月5日(木)の最終選考会にて、ホンダ フリードが選ばれました。
ということで、クルマに関しては一家言あるリセバ総研編集部の面々に、ホンダ フリードの良さ、そしてベストカーに選ばれた理由として考えられることなどを、本音で語ってもらいました。どうぞお楽しみください。

【自動車情報のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

リセバ総研所長

リセールバリュー総合研究所 管理運営者 兼 アナリスト

中古車情報誌の最大手での制作、旧ガリバーインターナショナル(現IDOM)で自動車メディアの立ち上げ責任者などを経験。20年以上マーケティング界隈でインハウスやコンサルタントとして活動後、2017年に人材開発の世界へ転向。インストラクショナルデザインや対話空間の設計、学習空間の設計、言語化と構造化設計を得意とする。CompTIA CTT+ Classroom Trainer Certification取得。2023年より、マーケティングに復帰。中古車マーチャンダイジングの研究とともに、メディア運営設計を担っている。実は元カメラマン。

なぜホンダ フリードが、「2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー」のベストカーに選ばれたのか?

  • リセバ総研所長

    「2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー」(以下、COTY)は、ホンダ フリードが選ばれました。
    そういえば採点方法が変わったらしいですね。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    そうね。今回から点数の付け方が変わりました。前は一人当たり25点満点だったんだけども、16点満点になりました。だから、あまり総得点は気にしない方がいいかもしれない。

  • リセバ総研所長

    それでは、フリードがCOTYを受賞した感想を教えていただいてもよろしいでしょうか?

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    「意外だな」って思いましたね。プラットフォームが先代のもののままだし。まぁフリードに限らず今年ノミネートされたクルマ全体的にそうなんだけど、特別に「すごい!」と思うのはなかったなーって印象ですね。
    まぁその中で、パワーユニットが変わっているとはいえプラットフォームが先代と共通だったのに、フリードがここまで上がってきたのはすごいかな、と思いますね。

  • リセバ総研所長

    選考する各評論家の方々は、どういうところを評価してフリードに点を入れたんだと思いますか?

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    それだけ完成度が高かったという評価なのかなって感じです。

    古いプラットフォームを使っているから悪いというわけではなくて、「プラットフォームが熟成されて、より良くなった」と受け止めた方がいいのかもしれない。

    ターゲット層に刺さるいいクルマになったね、という評価がされたんじゃないかと思います。

  • リセバ総研所長

    プラットフォームの流用については、大岡さん的にはどう思います?

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    そのプラットフォームを何年使うかって、最初に決めるんですよ。「2世代やろうね」とか。

    そういう視点でいうと、コストの部分が占めてるんではないかと。5~6年に1個新しいプラットフォームを作ってたら、お金なくなっちゃいますからね。

  • リセバ総研所長

    ちなみに、ファミリーカーが受賞した率直な感想はいかがですか?

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    全然アリだと思うし、むしろなんで今までミニバンが選ばれてなかったのか、不思議なくらいですね。

  • リセバ総研所長

    確かにミニバンとしては初ですね。

    単にミニバンというくくりにフリードを入れていいのか、トヨタ シエンタと並び独自のジャンルともいえるので、ちょっと悩ましいですけど。

フリードの「受賞理由」は主観じゃないか? 大岡編集長&所長が切り込む!

  • リセバ総研所長

    では、大岡さんにフリードの「受賞理由」にかかれている内容について伺っていきたいです。

基本5ナンバーサイズで3列シート。日本市場で重用されるファミリーカーゆえ、これまでは突出したキャラクターを生み出しづらかったことも事実。ホンダはそこに切り込んだ。居住性、使い勝手の良さに磨きをかけるとともに、動的質感の向上、ひいては操縦の喜びをも加味することに成功した。ガソリンエンジンモデルに加え、ホンダ独自のハイブリッド「e:HEV」を加えたことも大きな魅力のひとつ。ホンダが大切にしているM・M(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)思想を見事現代に体現した1台である。

(「2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー」ホンダ フリード授賞理由)

  • リセバ総研所長

    ここに「日本市場で重用されるファミリーカーゆえ、これまでは突出したキャラクターを生み出しづらかったことも事実。」とありますが、どのように受け止めたらいいんですかね?

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    (キャラクターという点について)それはたまたまだと思いますね。

    たとえば去年はプリウスが選ばれていますけど、プリウスはプラットフォームを流用しながら、デザインは全く違うものに変えてきました。

    それとパワーユニットも刷新したこともあって、結構大きく評価されました。

    とはいえ、今年は特にそういう新たに評価できるクルマが少なかったな、とも思いますが・・・。

  • リセバ総研所長

    私的な感想で言えば、競合のシエンタはモデルごとにキャラクターを打ち出しているように見えるんですけど、フリードは保守的だったと受け取られているんいるんですかね?私はそう感じないですけど。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    まぁ、書いている人の主観は入っていると思いますね。

    フリードは保守的というよりは、むしろ個性的ですよね。ホンダが採用している「センタータンクレイアウト」という燃料タンク搭載方法によって、フリードの車内スペースの広さって頭一つ分抜けているかな、という印象を受けますね。

    シートアレンジも工夫されていて、フリードを選ぶメリットが十分にありますし。

  • リセバ総研所長

    大岡さんもそう思われますか?

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    そうですね。

    フリードのように、コンパクトなボディに3列シート入れているクルマなんて、グローバル視点で見たら珍しい。そういう意味では、かなり個性的だと思いますね。

    まぁ、日本マーケットだと同じようなクルマも出てきているから、そういう視点で「個性ない」と言われたら、それまでですけどね。

  • リセバ総研所長

    受賞理由に「ホンダはそこに切り込んだ。」ともありますよね。

    これは、「ホンダはこれまでにない突出したキャラクターを生み出せた」って読み解いてもいいんですかね?

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    そうじゃないかな?

    それで後追いして、結局「このクラスで3列シートにしよう」と決断する人って、そんなにいないと思うんだよね。

    こんな小さいクルマで3列シートって、「じゃ誰が一番後ろを使う?」ってなりそうだし。

    そう考えると、発想としてはすごいなって感じ。

  • リセバ総研所長

    う〜ん。大岡さんの話を聞いていると、授賞理由にかかれていることは、フリードの歴代3モデルのことを言っているんですかね?

    「ホンダはそこに切り込んだ」という表現は「今回は個性を出してきた」ってことなんでしょうが。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    どうなんだろうね。今回のモデルに限った個性ではなく、歴代のキープコンセプトではあるよね。

    ともかく、フリードが初めて出てきた時は「なんだこれ?」って驚いたよ。やっぱり3列シートは。

  • リセバ総研所長

    フリードが出た時はまだ家族がいませんでしたが、私も結構響きましたね。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    「コンパクトカーって4~5人乗ればいいじゃん、7人乗る必要ないじゃん」って、普通は思っちゃいますからね。

    それを無理やりに乗せちゃいましたからね。その発想が、良い意味で変わってます。

    フリードが出てきた当時は5ナンバーのミニバンが流行っていたんで、その流れで「実はミニバンのような小さいクルマも需要がある」という背景で作られたクルマだと思うんだけど、それを実際に成立させちゃったのがすごいよね。

  • リセバ総研所長

    そうですね。フリードと言えば、ジョン・レノンの息子さんであるショーン・レノンがCMやっていましたね。「This is サイコーに ちょうどいい Honda!」って。

    このちょうどいいミニバン?のクラスは、トヨタ シエンタと並んで2車種しかないセグメントのように見えています。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    懐かしいですね、あのCM。

    シエンタとフリードはどちらも5ナンバーで3列シートだし、ハイブリッドだし、ガソリンも1.5,1.5で、ほぼ同じって印象ですね。あとはどっちが好きかって問題で。

    まぁ「センタータンクレイアウト」を搭載しているフリードの方が使い勝手はいいかな、っていう印象ですけど。

  • リセバ総研所長

    私見では、シエンタはモデルごとにデザインのテーマが大胆に変わっているので、フリードと差別化を図りつつも、落とし所を探っているように見えています。

    現行型シエンタのデザインは、欧州車の影響が色濃いように見受けられますが。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    この2車種が国内で売れている理由は、ほぼ国内専用車ってことだね。

    東南アジアでも販売していましたけど、日本人が日本人のために、ニーズを調べつくして作られた「これがベストだよね」っていうクルマ達。

     

  • リセバ総研所長

    子育て世代のユーザーを想定してボックスティッシュの収納にこだわったり、そういう日本人らしいニーズを抑えているクルマは強いですね。

    次回は、フリードの乗り心地やエンジンについて、フリードの今後の展望予想などについて伺っていきます。

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