自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が語る! ホンダのSUV大研究!VEZELにZR-VにCR-VにWR-V、「V」シリーズはどこが違うの?

国内ホンダ車の登録車新車販売台数ランキング(2024年4~9月、軽自動車を除く)で、50位以内を見てみると、フリード6位、ヴェゼル8位、フィット14位、ステップワゴン18位、ZR-V21位、WR-V23位、シビック36位、オデッセイ39位と、8台がランクイン。

そんな中、圧倒的な人気を誇るヴェゼルが上位を押さえ、ZR-VとWR-VといったSUVの販売が好調だ。このように、今や、ホンダにとって、SUVは非常に重要な車種。国内ホンダを支えている車種といってもいい。

ヴェゼル、ZR-V、WR-Vと、ホンダのSUVは、ライバル車とはやや異なる個性派揃いなのも特徴。「なにがどう違うのか? よく分からない?」という人も多いだろう。
そこで、2022年12月まで発売されていたCR-Vも加え、ホンダSUVの各車種の特徴や違い、中古車相場からリセールバリュー、おすすめグレードなどを徹底解説した。

【自動車情報のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

「ホンダのSUV」の特性比較

ホンダのSUVは、各々独自のコンセプトで開発されている。そのため、マツダCXシリーズのように一貫性はあまりないものの、主に都会派SUV系が多いのが特徴だ。 そんなホンダSUVと他社の主要なSUVを、価格及びデザインテイストで比較分類すると、下記の図のような配置になる。

価格幅が大きい車種もあるが、約300万円の価格帯を中心としつつ、各車の売れ筋グレードの価格をベースにザックリと配置した。

ホンダSUVと他社の主要なSUV群との比較マップ

ホンダSUV全体の特徴

2024年12月現在発売されているZR-V、ヴェゼル、WR-Vの3車種は「ホンダSUV」として、「日常をもっと自由にする、そういうものが欲しいんだ。どの道を走っても、何度乗っても、胸が躍る。走りも、快適さも、ぜんぶ諦めない。とことん、やる。」というキャッチフレーズで、CM展開を行っている。 抽象的な部分は除き端的にまとめれば「ホンダのSUVは楽しい走りと快適さ」をアピールしているのだろう。確かに、こうしたテイストは、各モデル共通だ。 また、ホンダはハイブリッドをe:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)と呼ぶ。

*ボディサイズは人気グレード。搭載エンジンは、販売終了のものも含める。燃費はすべてWLTCモードでAT車、4WD車含。最高出力・最大トルクは、最新モデルの数値。価格帯は、最新の新車価格帯。中古車相場は、2024年12月調べ。

ホンダ ZR-Vについて

ホンダ ZR-Vの特徴

  • ボディサイズ(全長×全幅×全高):4570×1840×1620mm
  • 搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L): ・2.0L e:HEV 184/315(モーター) 21.5~22.1 ・1.5Lガソリンターボ 178/240 13.9~14.6
  • 新車価格帯:3,208,700~4,506,700円
  • 中古車相場:2022年式 約280~350万円

ホンダZR-Vは、2022年4月に投入された新型車。日本ではZR-Vだが、北米ではHR-Vとして販売されている。 ZR-Vの開発コンセプトは「異彩解放」。ドライバーがクルマを自在に操ることで自信と余裕を持ち、自分らしさを解放して新たな行動を起こしてほしい、という想いを込めている。つまり、走行性能にこだわったモデルということだ。

それだけに、ZR-Vの走りは上質。いかにも都会派SUV的デザインながら、最低地上高は190mm。SUVに求められる悪路走破性も確保している。

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    通常、190mmもの最低地上高があると車体の重心高が高く不安定になりがちだが、ZR-Vはカーブでも車体が大きく傾くことなくスイスイと駆け抜けていく。

    しかも、乗り心地も上質。しなやかなフットワークが際立っている。

そして、ZR-Vで話題になったのがデザイン。他メーカーと似たデザインを嫌い、独自性を追求するホンダらしく、ZR-Vのデザインは開発コンセプトのように「異彩」を放つ。好き嫌いが明確に出るデザインで賛否両論となった。他人とは異なるデザインのSUVに乗りたいという人には、ピッタリな1台といえる。

ホンダ ZR-Vのオススメ中古車は?新車買うより未使用車を買え!

ZR-Vのグレード構成は、e:HEVとガソリン車共に、それぞれエントリーグレードXと、上級グレードZの2グレード構成。これに、ブラック系塗装が施されたパーツ類と本革シートを装備した特別仕様車「ブラックスタイル」が加わる。XとZの装備差は、本革シートやパワーシート、アダプティブドライビングビームなど多岐にわたり大きな差がある。

「とにかく安価に」と言うのであればXグレードもよいが、中古車であれば年式走行距離で調整すれば、価格差を十分に埋めることができるので、おすすめは上級グレードのZになる。 さらに、おすすめなのが「未使用車」。未使用車とは、メーカーやディーラーの都合によって登録しただけの車両。登録しただけなので、コンディションはほぼ新車と同じだ。しかし、一度登録すると中古車扱いになるため、中古車店に並ぶ。

ZR-Vは、こうした未使用車が多く流通している。中古車扱いになると、新車価格より安価な設定にしないと売れない。なので、ほぼ新車同様の車両が、新車より大幅に安価で手に入る。ZR-Vの新車値引きは、徐々に拡大中とはいえ、未使用車の方が安価傾向なので、新車を買うよりリーズナブルにZR-Vを手に入れられるだろう。

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ホンダ ヴェゼル(RV系)について

ホンダ ヴェゼル(RV系)の特徴

  • ボディサイズ(全長×全幅×全高):4330×1790×1590mm
  • 搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L): ・1.5L e:HEV 131/253(モーター) 21.3~26.0 ・1.5Lガソリン 118/142 15.0
  • 新車価格帯:2,648,800~3,776,300円
  • 中古車相場:2021年式 約240~310万円

2代目RV系ホンダ ヴェゼルは、2021年4月にデビュー。フィットのプラットフォーム(車台)やパワーユニットをベースに使いSUV化したモデルだ。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用したことから、コンパクトなボディサイズながら広い室内空間を実現している。

RV系ヴェゼルのコンセプトは、「AMP UP YOUR LIFE(アンプ アップ ユア ライフ)」。実用性だけでなく、「信頼」、「美しさ」、そして「気軽な愉しさ」という価値を提供することで、日々の生活をAMP UPさせるモデルを目指している。

RV系ヴェゼルに搭載されたパワーユニットは2つ。1.5Lハイブリッドのe:HEVと、1.5Lのガソリンエンジンだ。圧倒的に人気なのは、ハイブリッドのe:HEVだ。 RV系ヴェゼルは、2024年4月にマイナーチェンジ。デビュー時には、FFと4WDの設定があった1.5Lガソリン車Gグレードだったが、マイナーチェンジ後は4WDのみのせっていとなった。

また、若干のデザイン変更が行われ、よりオフローダー的なテイストとした新グレードe:HEV X HuNTパッケージを追加した。これにより、最新モデルのグレードは、ガソリン車のG、ハイブリッドのエントリーグレードとなるe:HEV X、e:HEV X HuNTパッケージ、e:HEV Z、最上級グレードのe:HEV Z PLaYパッケージの計5グレード設定となった。e:HEVモデルは、それぞれFFと4WDが選択可能だ。

このマイナーチェンジでは、静粛性やアクセルレスポンスの向上、予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」の機能追加が行われている。 RV系ヴェゼルの乗り心地は、少し硬め傾向でホンダ車らしいスポーティな走りが可能。乗り心地そのものは、低速で大きな凸凹では多少ゴツゴツした感もあるものの、このクラスはではトップレベルの乗り心地といえる。

1.5L e:HEVは、モータートルクの急激な立ち上がりを上手く抑えスムースな加速感をみせる。ガソリン車から乗り換えても違和感はない。

RV系ホンダ ヴェゼルのおすすめ中古車は? 

多少、無理してでも未使用車がおすすめ!

コンパクトSUVの中でも、RV系ヴェゼルは高い人気を誇るモデル。それだけに、中古車マーケットでも人気が高く、未だ高値を維持している。 だが、未使用車が大量に発生しているのだ。未使用車とは、メーカーやディーラーの都合によって登録しただけの車両。登録しただけなので、コンディションはほぼ新車と同じだ。しかし、一度登録すると中古車扱いになるため、中古車店に並ぶ。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    RV系ヴェゼルの未使用車は、2024年式ではマイナーチェンジ前後が混ざっているので注意が必要。マイナーチェンジ前であれば、新車価格より大幅に安価でなければ買うメリットはない。

また、マイナーチェンジ後のモデルでは、新車価格越えの車両も目立つ。新車の納期はそれほど長くはないので、新車価格越えの未使用車を買うメリットが見当たらないからだ。 未使用車をおすすめする理由は、2021年式のe:HEV車の中古車相場が約240~310万円と高価な点だ。当時の新車価格に対して、約90~94%という高値を維持している。これだけ高いと、何も3年落ち(2024年比)の中古車を買うより、少々高価でも2024年式の未使用車を買うべきだろう。

 

さらに、これだけ未使用車が長期に渡り発生し続けると、中古車相場に悪影響を及ぼす可能性が高い。新車より安価な未使用車が増えてくると、それより古い年式の車両は売れなくなるので、価格を下げざるしかない。こうなると、マイナーチェンジ前モデルを中心に中古車相場は徐々に下がっていくと予想できる。そうなると、高値の中古車を買うと、リセールバリュー面でリスクが増える。ならば、やはり少し無理してでも新車より少し安価な未使用車の方がリスクは小さいのでおすすめといえるだろう。

未使用車でおすすめなグレードは、マイナーチェンジ後のe:HEV Z PLaYパッケージ。最上級グレードで、オシャレな内外装にブラインドスポットインフォメーション、Honda CONNECTディスプレー+ETC2.0車載器、ワイヤレス充電器など装備が充実している。人気グレードなので、リセールバリューも高くなると予想できる。また、今後リセールバリューがアップしそうなグレードがe:HEV X HuNTパッケージ。装備は、Z系グレードには及ばないものの、よりアウトドアを意識したアクティブなデザインが人気だ。

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5代目ホンダCR-V(2018年8月発売、2022年12月販売終了)について

5代目ホンダCR-Vの特徴

  • ボディサイズ(全長×全幅×全高):4605×1855×1680mm
  • 搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L): ・2.0L e:HEV 184/315(モーター) 20.2~21.2 ・1.5Lガソリンターボ 190/240 13.6~14.2
  • 新車価格帯:3,925,900~4,558,400円
  • 中古車相場:2019年式 約220~270万円

2018年8月にデビューした5代目CR-V。北米を中心としたグローバルモデルだ。 このCR-Vは、シビックにも採用された新世代プラットフォーム(車台)を採用。大幅に走行性能を高めた。 搭載されたパワーユニットは2タイプ。ダウンサイジングターボエンジンである1.5Lターボと、2.0Lハイブリッドであるエンジンは、「SPORT HYBRID i-MMD」だ。このハイブリッドシステムの呼称は、後に「e:HEV」へと変更されている。

このハイブリッドモデルのモーター最大トルクは、315Nmもある。自然吸気ガソリンエンジンに換算すると約3.2L級の最大トルクである。モーターの特性で、アクセルを踏んだ瞬間から、この315Nmを発生するので、とても力強い走りが特徴。街中では、アクセルに足をちょっと乗せている程度で十分な加速する。さらに、モータードライブ車なので、静粛性が高くスムース。ちょっとした高級車的だ。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    1.5Lターボも悪くは無いが、アクセルのオフからのオン時などで、過給遅れによるアクセルレスポンスに物足りなさを感じる。

ハンドリングは、シビックベースのプラットフォームが採用されたことから、低重心でフラットな姿勢でカーブを駆け抜ける。VGR(可変ステアリングギアレシオ)の恩恵で、スポーティなハンドリングと良好な直進安定性を誇る。1世代古いモデルだが、走りの質は今でも高いレベルにあるといえるだろう。

また、5代目CR-Vのガソリン車には、7人乗車が可能な3列シートモデルも設定されている。3列目は、あくまで大人なら短距離、もしくは子供用といったタイトな空間となるものの「通常は4、5人だけど、いざというときに、7人乗りたい」と言う人にはお勧めだ。 5代目CR-Vは、2020年6月にマイナーチェンジを施した。このマイナーチェンジでは、シーケンシャルターンシグナルランプや、ステアリングヒーターなどの上級装備を標準装備している。

5代目CR-Vのグレード構成は、マイナーチェンジ前がガソリン、ハイブリッド共にエントリーグレードとなるEX、上級グレードのEXマスターピースの2グレード設定。 マイナーチェンジ後は、1グレード増え、EX、EXマスターピース、最上級グレードEXブラックエディションの3グレード設定となった。

5代目ホンダCR-Vのオススメ中古車は?ハイブリッド車一択!

5代目CR-Vは、新車時の販売台数があまり多くなかったことから、中古車流通量が少な目だ。その影響もあり、2019年式の中古車相場は、SUVとしては安価な約220~270万円となっている。当時の新車価格の約56~59%と順調に値落ちが進んでいる。高値維持を続ける他の人気SUVと比べると、かなり買い得感がある。また、装備やクルマの完成度も高いので、気に入ればコストパフォーマンスはとても高い中古車といえる。

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    また、2020年6月にマイナーチェンジが行われているが、基本的に装備の見直しや新グレードの追加などがメイン。なので、マイナーチェンジ前後で大きな違いがない。そのため、どの年式でも機能的な差は少ないので選びやすい。

5代目CR-Vのオススメ年式は、2019年式のハイブリッド車。ハイブリッド車は、比較的中古車流通台数が多めで選びやすい。ガソリン車の流通台数は少な目で、中古車価格はハイブリッド車より少し安い程度。ガソリン車は、メリットが少ない。

また、2019年式は、中古車流通台数が多いこともあり中古車価格もリーズナブルになっている。この2019年式でお勧めとなるグレードは、上級グレードのハイブリッドEXマスターピースの4WDだ。エントリーグレードのEXに対して、ハンズフリーアクセスパワーテールゲート、電動パノラミックサンルーフ、本革シート、専用インテリア、助手席4ウェイパワーシート、ルーフレールがプラス装備され満足度もアップする。さらに、5代目CR-Vの4WDモデルは、都会派SUV的ではあるものの最低地上高が200mmもあり悪路走破性も高い。アウトドアレジャーや降雪地域などで、十分活躍できる。

ホンダ CR-Vのリセールバリューはこちらをチェック!

ホンダWR-Vについて

ホンダWR-Vの特徴

  • ボディサイズ(全長×全幅×全高):4325×1790×1650mm
  • 搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L): ・1.5Lガソリン 118/142 13.6~14.2
  • 新車価格帯:2,098,800~2,489,300
  • 中古車相場:2024年式 約210~250万円
WR-Vの試乗レポートについて、詳しくはこちらをチェック!

ホンダWR-Vのおすすめ中古車は?

積極的に未使用車を選ぶべきモデルになってしまった?

ホンダWR-Vは、2024年3月に登場したばかりの新型車だ。しかし、すでに大量の未使用車が流通している。未使用車とは、メーカーやディーラーの都合によって登録しただけの車両。登録しただけなので、コンディションはほぼ新車と同じだ。しかし、一度登録すると中古車扱いになるため、中古車店に並ぶ。

WR-Vの新車価格帯は、2,098,800~2,489,300円。これに対して、2024年式未使用車の中古車相場は約190~270万円。なんと、新車価格越えの価格が付いた未使用車と、新車より少し安価な価格が付いた未使用車が混在している状態だ。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    発売直後から未使用車が大量発生している状態だと、今後、WR-Vのリセールバリューは下落傾向になる可能性が高い。しばらくすると、新車価格越えの未使用車は売れなくなり、中古車価格も下がるしかなくなるだろう。

そのため、WR-Vの中古車はこれからがチャンス。値落ちが進み、新車価格より十分に安価になった未使用車であれば、あえて新車を買う理由がみつからない。積極的に自分好みの未使用車を買った方がコスパに優れる。 WR-Vのグレードは、エントリーグレードのX、中間グレードのZ、最上級グレードのZ+という3グレード設定。ZとZ+は、豪華な加飾の有無程度なのでZグレードで十分。価格次第だが、基本Zグレードがおすすめだ。

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