自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が語る! 「渋滞時ハンズオフ機能」とは何か?新型車両の試乗経験豊富なプロに聞いてみた

自動車情報メディア「CORISM」の運営責任者であり編集長でもある大岡智彦氏。自動車メディアに30年以上携わり続け、これまでさまざまな新型車に試乗してきた「新車情報のプロ」でもある。今回は昨今注目を集めているクルマの機能的なポイントについて聞いてみた。

【自動車情報のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

「手放し運転」の時代へ! トヨタや日産の最新運転支援技術

(編集部:AK)私はクルマにまつわる記事の編集に携わってまだ日が浅いのですが、正直言って今のクルマ選びってどういう点が注目されているのかあまり理解できていません。最近のクルマ選びのポイントになるようなところって、どういうところでしょうか?

(大岡)トヨタの「アドバンスト ドライブ」や日産の「ProPILOT 2.0」みたいに、高速道路上で手放し運転、ハンズオフ走行が可能になる高度な運転支援機能が充実してきたところですかね。

(編集部:AK)手放し運転、ハンズオフ走行が本当に可能な時代になっているんですね。これは具体的にはどのような機能なんですか?

(大岡)トヨタの「アドバンスト ドライブ」は、ナビで目的地を設定後、高速道路上などでの運転で、ドライバーが常に前方監視をしていることなど、一定の条件を満たすとシステムが作動。車線維持・安全な車間を維持をしながら、車線変更や追い越しをしながら、インターチェンジ出口の分岐まで走行してくれますよ。

この機能は、国道交通省が定める自動運転レベル2に相当します。自動運転レベル2は、ドライバーの監視の元であることが前提ですが、その実力はシステムによる監視が条件になる自動運転レベル3に近いものとなっています。

「アドバンスト ドライブ」は、水素を燃料として走行するトヨタ ミライや、レクサスのフラッグシップセダンであるLSに設定されています。

「アドバンスト ドライブ」の機能を簡略化した機能が「アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)」で、こちらは、高速道路上とか自動車専用道路でレーダークルーズコントロール及びレーントレーシングアシスト作動中に、ドライバーが常に前方監視しているなど、一定の条件を満たすとシステムが作動します。手放し運転状態で、車線を維持しながら先行車に追従走行してくれる機能です。

どちらの機能も、ドライバーはステアリングやアクセル、ブレーキ操作から解放されるので、疲労軽減に役立ちます。システムと人間が常に監視しているので、安全面でも高いレベルにありますね。

日産の「ProPILOT 2.0」も、基本的な機能はトヨタの「アドバンスト ドライブ」とほぼ同じです。

どちらも簡単に言えば、高速道路上などで一定条件を満たせば、ステアリングから手を放してもシステムが運転を支援してくれる機能です。

車線変更やカーブでのステアリング操作は、「運転が上手いと思っている人」よりもかなりウマいですね。まるで自動車メーカーのトップレベルのテストドライバーが運転しているような高いレベルで、慣れてくると「自分で運転しているより安心」と思ってしまうほどですよ。

こうした優れた先進技術ということもあり、お値段は高めです。「アドバンスト ドライブ」で、40~50万円ほど高価になりますけど・・・。

リーズナブルな価格で手を出しやすい「渋滞時ハンズオフ機能」

(編集部:AK)1つの機能をつけるだけで40~50万円価格アップ……確かに、ちょっとハードルが高いですね。

(大岡)なかなか手を出しにくいですよね。ただ最近は、似たような機能で「全車速追従機能付クルーズコントロール」というものが登場しています。

この機能は、手放し運転はNGですが、多くのモデルが車線を維持しながら先行車に追従、停止からの再スタートも簡単な操作で繰り返し行えます。

こうした機能は、トヨタ「セーフティセンス」や「ホンダセンシング」、スバルの「アイサイト」といった予防安全装備パッケージ中の1つの機能として、多くの車種で標準化されています。

これは「渋滞時ハンズオフ機能」とも呼ばれるもので、高速道路など渋滞がはじまって速度が約0-50㎞/hになると、システムが一定の条件を満たすと「ハンドルから手を離していいよ」と合図をしてくれます。トヨタの「アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)」と、ほぼ似たような機能です。

その他、カーブの手前で適切な速度に減速、料金所手前での減速、車線変更時にウインカーを出すとステアリング操作をアシストする機能なども用意されています。

ただ、多くの車種に標準装備化されているものの、使用率は低めとメーカー関係者から聞いています。慣れれば便利で安全性も高く、疲労軽減にもなる機能なので、積極的に利用してみることをおすすめします。

(編集部:AK)凄い機能が搭載されるようになってきたんですね。

(大岡)はい、「アイサイトX」はまだ一部の車種に限られますが、これがあると渋滞時の高速道路などで手放し運転ができるので、ロングドライブでの疲労を大幅に軽減できます。
一度体験すると分かりやすいのですが、アクセルやブレーキ、ステアリング操作から解放されるというのは、とても移動が楽になります。

しかも、自ら運転していると他人の運転にペースを乱されイライラすることがあると思います。ですが、こうした機能を使うとシステムが操作を行ってくれることもあり、心が平穏に保てるというか……。結果的に、安全な移動にも貢献していると実感できます。

たとえば、長期休暇でロングドライブすることが多い方や、土日に高速道路をよく使うことがあって渋滞にはまることが多い人にとっては、とても便利な機能でしょう。

ハンズオフ機能の今後の展望 現在は日産のセレナが人気!?

(編集部:AK)運転支援機能は、どんどん進化しているんですね。

(大岡)ハンドルを放した状態でクルマが運転できるって、本当に凄いことですよ。

この機能がついているクルマって、カーブもシステムによって自動で曲がっていくんですよ。前のクルマに合わせて車間も一定に保ってくれるので、「一般的なドライバーが運転するより、システムのほうが圧倒的に上手い」というぐらいのレベルになっています。

これからの時代は、むしろ積極的につけたほうが安全かもしれないですね。

ただ、運転中に横を向いたりするとクルマに怒られます。
システムがドライバーの動作をモニターで全て確認しているので、ちょっと横を向いて話していたりすると、コーションランプ(注意喚起のランプ)がついて結構うるさいんです。それでもやっぱり手離して運転できるというのは大きなメリットかなと。

さらに運転者の前方監視をしなくてよい状態になると、自動運転レベル3になります。すでにレベル3のクルマも登場しているので、これからも注目の技術です。

(編集部:AK)今後、ますますハンズオフ、手放し運転が浸透していきそうですね。

(大岡)実際にハンズオフ機能は徐々に浸透していると思うところはあります。
最近、「ProPILOT 2.0」標準搭載の日産「セレナ」が結構売れたという話を聞きましたから。

一方で、そういう機能があることさえ知らない人たちもたくさんいます。先進の運転支援技術に関する認知をどうやって広めていくか、メーカーの今後の重要な仕事になるのかなという気はしています。

(編集部:AK)確かに、どのようにハンズオフが広まっていくのか、どんどん普及してほしい機能ですね!

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