リセバ総研リサーチ:クルマを買い替える理由の1位は“仕方なく”〜物価高のなかで見える厳しい現実〜

クルマとお金の現実

リセバ総研では、全国の自家用車保有者361名を対象とした「自動車購買行動に関する調査」を実施し、その結果を公開しました。物価上昇に賃金の上昇が追いつかない厳しい生活者経済のなか、人々はどのような動機でクルマの購入を決めて、またどのような手段で購入検討を進めているのでしょうか?

小さい頃からのクルマ好きで、大学生で免許を取ると貯めたバイト代で中古車をすぐに購入。以来、年間数万キロを走り回って無事故を維持していることを密かな誇りにしている。趣味は、ドライブ旅行とモータースポーツ。カメラを持ってサーキットに行くと流し撮りに命を懸ける。一般ドライバーの視点で、カーライフとリセールバリューの「これってどういうこと?」を紐解いていきます。
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買い替え動機の1位は“仕方なく”/予算を決めた人の3人に1人は“予算オーバー”に

調査結果によると、回答者のうち「(クルマの購入検討にあたって)事前に予算を決めていた」という人は67.3%。しかし、事前に予算を決めていた人のなかで「予算オーバーになった」という人は35.7%とほぼ3人に1人という結果になりました。ただし、予算オーバーの理由については、カーナビや安全装備などオプションを充実させたり、同じ車種の上位グレードを選んだりしたことによるものが上位に挙がっており、必ずしも「欲しいクルマが予算内で買えなかった」というわけではないことを示唆しています。

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一方で、クルマを買い替える理由で1位だったのは、「故障や不具合、車検のタイミングが来たから」が57.6%と他の選択肢と比較して圧倒的に多く、「燃費・維持費の改善」(18.6%)、「家族構成の変化」(15.8%)など、ライフスタイルの変化への対応やカーライフの改善・拡充などを目的に、積極的な理由で計画的に買い替るという意向の回答者は少数という結果になりました。

 

このことから、多くの人が故障や不具合、車検のタイミングで“仕方なく買い替える”というのがクルマを買い替える動機になっていることがわかりました。また一方で、購入する中古車を選ぶ際には「壊れるまで乗る」ことを前提にクルマの年式や走行距離、コンディションをしっかりチェックすることが重要であることを示唆しています。

若者層の半数がオンライン商談を経験 今後のクルマの買い方は変化するか?

今回の調査では、クルマの購入時における情報収集や商談についても質問しています。自動車メーカー各社ではWebカタログやオンライン見積もり、オンライン商談など購入検討をサポートする様々なオンラインサービスを拡充していますが、全回答者のうち「オンラインで見積もりや商談を利用した」と回答した人はわずか21.9%にとどまり、約8割(78.1%)の人は依然として店舗での商談を中心に購入を検討していることがわかりました。

 

ちなみに、回答者のなかで10代だけは「オンラインで見積もりや商談を利用した」と回答した人が58.3%と半数を超えており、20代でも27.8%と平均を上回っているため、今後若い世代を中心にオンライン見積もりやオンライン商談の活用が拡大していく可能性を示唆しています。

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現在もクルマを検討する上で大きな役割を果たしている対面商談ですが、「販売店の担当者から言われて嬉しかったこと/この人から買いたいと思ったこと」という質問に対しては、男女で傾向に違いが見られました。男性では、「専門家としての的確なアドバイス」(37.2%)や「購入を急かさない誠実な姿勢」(35.5%)を重視する傾向にあったのに対して、女性では「細やかなサービス・気配り」(31.2%)や「価格や条件交渉で顧客に寄り添う姿勢」(29.6%)が上位に。合理的な側面を重視するか、情緒的な側面を重視するか、性別により消費行動における心理に違いが生まれていることが浮き彫りになりました。

高齢層もオンラインでの情報収集を参考にする時代に

なお、自動車購入における情報収集の手段を聞いた質問では、約6割にあたる57.1%が「動画やSNSが購入判断に影響した」と回答。年代別に見てみると、10代と20代では約半数が「動画やSNSが購入の決め手になった」と回答しており、YouTubeなど動画共有サイトに公開されるレビュー動画をはじめ、ソーシャルメディアに掲載される情報が大きな参考材料になっていることがわかりました。

 

一方で、20代から40代では27.8%とおよそ3割近くの人たちが「オンラインでは情報収集していない」と回答。20代から40代は仕事などで非常に多忙な世代でもあることから、クルマの情報収集に割ける時間があまりないことも考えられます。50代・60代になると「オンラインでは情報収集していない」という回答が減少しており、購入の決め手となるほどではないもののオンラインで得られる情報を参考に購入を検討していることがわかります。ネット上の情報がクルマの購買行動に確実に影響を与えていることが示唆されました。

オンラインでの情報収集が購入の決め手になることはありましたか?

“商談中に、買う気が失せた接客”、不名誉な第1位は??

今回の調査ではその他に、クルマの購入検討中や商談中に販売店の営業スタッフから言われて「信じられない」「がっかりした」と感じた経験などについても質問しています。調査結果の詳細については、下記のページからアクセスしてみてくださいね。

アンケート結果の詳細はこちらをチェック