ガリバーの中古車マーチャンダイジングを担うプロにインタビュー 【中古車仕入れのプロに突撃取材(1)】中古車業界の2023年を振り返る
IDOMでガリバー店舗の中古車マーチャンダイジングを統括し、中古車仕入れのプロである〝OKB〟さんへのインタビュー連載企画。第1回となる今回は「中古車業界の2023年を振り返る」というテーマで話を聞いてみました。
中古車マーチャンダイジング部門管理職
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編集部:AK
今回からOKBさんへのインタビューを連載企画としてはじめさせていただきたいのですが、まずは簡単にOKBさんのご経歴を教えてください。
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【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟
はい、よろしくお願いします。中古車業界は、かれこれ15年ほど携わっています。ガリバー(現IDOM)には新卒で入社し、最初は店舗の現場で営業を経験しました。それから本社に異動して、「プライシング」という部門で中古車の値付け(価格設計)を行うようになりました。その後はオートオークションを担当するチームに入り、中古車の仕入れを担当しています。
中古車の仕入れ担当ってどういう仕事?
(中古車仕入れのプロ:OKB)たとえばお寿司屋さんは寿司ネタを仕入れに魚市場に行きますよね。私達はその市場の仲卸の立場で、漁師が獲ってきた魚を仲介する役割です。鮮度が高く品質の良い中古車を仕入れて、ガリバーのお店とその先にいらっしゃるお客様に中古車を提供する仕事をしています。
中古車市場は社会の変化とともに相場変動が起こる
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編集部:AK
ではまず中古車市場についていろいろと聞かせてください。昨年(2023年)を振り返ると、中古車業界はどのような年でしたか?
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【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟
ご存じの方も多いと思うのですが、2023年は自動車業界で世間を騒がせるようなことが色々と起きて、やはりその影響は受けました。それに、そういった特殊なことほどではないものの、毎年やっぱり何かしらの変動や変化が中古車市場には起こるんです。去年(2023年)の場合はほかにも中古車輸出の状況が変化して中古車流の相場が大きく変動したり、その前はコロナ禍の影響うけたりで。
きっかけや状況は違うんですけれど、毎年そういった「変動期」があるので、「今年(2024年)も何かしら変動が起きるのでは?」というのことを想定しながら仕事をしています。
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編集部:AK
その「毎年何かしらの変動」によって、中古車仕入れの現場では特にどのような苦労が多いですか?
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【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟
一番は市場の価値が極端に変動することですね。それが顕著に現れるのはクルマの仕入れ価格や店頭での販売価格です。
そうなってくると、中古車業界の同業他社を含めて在庫を管理する人たちは、「このままだと自分たちが抱えている中古車在庫の価値が一気に下がるかも?」といったことをつい考えてしまいます。ところが過去を振り返ってみると、結局はまた毎年同じような相場の水準にもどっていくんです。だから、仕入れ担当として、自分たちが持っている中古車在庫の相場変動にむやみに左右されないように、適切な相場感や市場価値に対するはっきりとした考え方をもっておかないと、中古車販売店の運営が難しくなってきますね。
扱う車種を絞った専門店化が加速
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編集部:AK
令和は「変化の激しい時代」と言われますが、中古車業界も最近は以前と比べて変動が大きくなっている感じがしますよね。
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【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟
そうなんです。「変動要素」が大きくなって、中古車市場の変化が読みづらくなってきているのが、中古車マーチャンダイジングに携わるものにとって一番の苦労ですね。
中古車業界でいろんな情報を見聞きしていると、その影響で「中古車屋さん」が減ってきていているのではないかという感覚もあります。幅広く多種多様な中古車を扱うお店は在庫や価格の管理が大変でしょうし、取り扱う車種を絞った専門店に転換していくお店も多いようです。
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編集部:AK
取り扱う車種を絞った専門店になると、どのようなメリットがあるんですか?
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【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟
一番は、扱う車種が少なくなるので、クルマの知識に関する専門性の高い販売員の教育や運営をシンプルにできることが大きいですね。たとえば最近の軽自動車専門店の中には、売れ筋のキャンピングカーをメインに取り扱って成功しているお店もあります。専門店はそうやって取り扱い車種を絞り込むことで、お客様へのアピールポイントをはっきりさせられますし、在庫管理などのコストやリスクも減らすことができます。
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編集部:AK
なるほど。専門店になると「相場の変動」にも対処しやすくなりますか?
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【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟
相場の変動に対処しやすい、というよりも、専門店は「(その車種やジャンルの)価値や相場自体を安定させやすい」という点だと思います。
特定の車種やジャンルの中古車在庫を専有して仕入れれば、相場自体もそのお店を中心に作られていくことになります。得意分野を絞ったほうが中古車屋さん的にもリスクが少ないし、先ほどお話ししたように専門知識もつきます。でも、弊社のように取り扱う車種の範囲が広いと、なかなかそういった運営はできません。
身近になった中古車相場の情報
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編集部:AK
先ほどの「相場の変動」の話でいうと、お客様にはどのような影響を及ぼしますか?
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【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟
もちろん相場の変動で所有してらっしゃるクルマの価値も変わりますし、目当ての中古車の販売価格も変動しちゃいます。
ただ、最近はインターネットのコンテンツや動画配信で中古車相場の情報を発信している方も多いですし、この「リセバ総研」もそうですが、昔みたいに自分のクルマの価値や中古車の相場がいくらぐらいなのか、全く予想がつかないなんてことはないと思います。
比較的高くクルマを売却できそうな時期とか買い時の時期とか、中古車相場の情報がつかみやすくなっていますから、相場の変動があったとしても以前よりも対応しやすくなっていると思います。
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編集部:AK
中古車の相場はネットの情報である程度は知ることができる、と。
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【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟
はい。ネットで見た相場が本当にそうなのかを確認するという感覚で店に来るお客様も少なくないですね。
ただ、出どころによっては正確ではない相場情報もあって、お店に来てみたら「ネットでみた価格と全く違う」ということがありますし、最近はそういうことが多くなった感じはします。だからどれが正確な情報なのかを見きわめる必要があります、クルマに限らずネットの情報全般に言えることですけど。
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編集部:AK
中古車相場の情報は以前よりも手に入れやすくなったけど、お客様のリスクとしては「精度の低い情報をキャッチしている可能性がある」ということですね。
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【中古車仕入れのプロ】〝OKB〟
そうですね。 そういうことが多くなったと思います。なので、ネットの情報「だけ」をやみくもに鵜のみにして(価値や価格を)判断するのはリスクがあると思います。
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編集部:AK
そのあたりの「情報収集のポイント」もこのインタビュー連載のなかで聞いていければと思います!(第2回につづく)