車中泊に必要なものは?車中泊で気をつけるべきことは?安全に車中泊を実践するためには? 【車中泊について聞いてみた(2)】車中泊で日本一周を実現した黒木美珠さんが教える車中泊に必要なもの

クルマに乗って全国各地へ旅に出かけて、宿泊は自分のクルマで。そんな“車中泊”への関心が高まっています。しかし、実際に車中泊をしようと思っても、どんな準備をしてどんな点に注意したらいいのかイメージできない方もいるのではないでしょうか?そこで今回は「車中泊で日本一周の旅」を実現したことのある自動車YouTuber/自動車ライターの黒木美珠さんに、車中泊の魅力や必要な準備、オススメのクルマについてお話を伺いました。第2回では黒木さんに車中泊のコストに関するお話やオススメのアイテムについて伺いました。
ズバリ、車中泊にはどれくらいお金が掛かるの?
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【クルマ大好きライター】井口裕右
今回の日本一周車中旅で掛かったお金のお話も聞かせてください。ズバリ、全体でどれくらいの費用が掛かったのでしょうか?
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【車系YouTuber / 自動車ライター】黒木美珠
総額で45万円くらい掛かりました。内訳は食費とガソリン代がそれぞれ15万円くらい。そのほか観光施設の入場料や日帰り温泉の入浴代金、コインランドリーの利用費用などですね。宿泊費は掛からないので基本的に0円ですが、RVパークを利用する場合には利用料金が掛かりました。
ガソリン代に関しては、当時は今より30円くらい安かったので、現在の価格ではかなり高くなるかもしれませんね。また私のクルマ(ホンダ・ヴェゼル)はガソリン車だったのですが、ハイブリッド車であれば燃費がいいのでガソリン代はもっと抑えられたかもしれません。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
正直、もっと高額かと思っていました。50万円以内で収まるのであれば、若者でもバイト代や給料から貯金して実現できそうですね。
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【車系YouTuber / 自動車ライター】黒木美珠
そうですね。本当は社会人時代にもっとお金を貯めていたのですが、実際にはコンパクトに進みました。宿泊費が掛からないのが大きいと思います。95泊を毎日ホテルや旅館に泊まったら絶対に実現できないですもの。
旅のスタイルとしては、車中泊が一番お金が掛からないと感じますね。あと食費については、ご当地の美味しいご飯は(リーズナブルな)ランチに食べるようにして、夜は道の駅などに売っているお弁当などで済ませることで節約しました。
車中泊に必要なものや役立ったアイテムは?
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【クルマ大好きライター】井口裕右
車中泊をする際に「これは用意したほうがいい」という必要なもの、オススメのアイテムや役立ったアイテムをご紹介ください。
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【車系YouTuber / 自動車ライター】黒木美珠
まずはマットレスですね。折りたたんでコンパクトに収納できるタイプがオススメですが、(前編で話した通り)長期の車中泊ですと身体の疲れをしっかり取る必要があるので2枚重ねにするなど厚みを持たせて寝心地がよい空間を作ることが大切だと思います。
ちなみに枕は自宅で使っているものを持っていきました。寝具はしっかりこだわったほうがいいと思います。ちなみに、寝るときにはスウェットなど夜中にトイレに行きたいときやちょっとコンビニなどへ外出したいときでも着ていられるものをチョイスしました。
あとはポータブル電源ですね。車中泊するときにはエンジンを掛けっぱなしにすることはNGなので、カメラやスマートフォンなどを充電できるポータブル電源は便利です。ポータブル電源にはシガーソケットから充電できるタイプで、運転中に充電させていたほか、一般的なAC電源でも充電できるので、Wi-Fiを求めてネットカフェなどを利用した際にポータブル電源の充電をさせてもらったりもしていました。車中泊をされる方のなかにはソーラー充電ができるタイプを利用している方もいるみたいですね。

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【クルマ大好きライター】井口裕右
確かに電源の確保は大事ですよね。最近ではアクセサリー電源を完備したクルマも増えてきました。
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【車系YouTuber / 自動車ライター】黒木美珠
そうですね。プラグインハイブリッド車(PHEV)はエンジンを掛けなくても電源車として使用できるのでいいかもしれません。ただポータブル電源はACとUSBで複数のソケットがついているものが多いので、使い勝手はとてもいいですね。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
車内で利用する電化製品で役立ったものはありましたか?
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【車系YouTuber / 自動車ライター】黒木美珠
車載冷蔵庫は役に立ちましたね。パソコンを開く際のテーブルにもなりましたし、飲み物や食べ物を備蓄しておけるのでコンビニの少ない地域を走る際やちょっと夜食が欲しいときなどに便利でした。一方で、オートキャンプで使えるような炊飯器も持っていったのですが、実は一度も使いませんでしたね(笑)。
あとは、電気ランタンはとても役立ちましたね。窓を目隠ししてエンジンを切ると明かりが全くないので、夜を過ごすためにはとても大切でした。USBから電源を取るタイプを使っていましたよ。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
車内の衛生面で気をつけていたことなどありましたか?
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【車系YouTuber / 自動車ライター】黒木美珠
防犯の観点から窓は締め切りで夜を過ごしていたので、車内の湿気には気をつけていましたね。寝具がカビてしまう恐れがあったので、マットレスに除湿シートを敷いて湿気を取っていました。また寒暖差があると窓が結露してしまい、特にフロントガラスに結露ができると運転時の視界が悪くなってしまうので、ガラスクリーナーやマイクロファイバーのウェスはよく使用していました。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
荷物などはすべてクルマのなかに収納していたのでしょうか?
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【車系YouTuber / 自動車ライター】黒木美珠
屋根に載せるルーフボックスも使っていました。実はルーフボックスを使うと雨の日にはクルマの屋根に直接雨粒が当たらなくなるので、夜寝るときなどはかなり静かに眠れましたね。
ちなみにルーフボックスの中には洗濯物やシーズン違いの服、雪かきができるスコップやタイヤがスタックしたときに使えるスロープなど悪天候対策グッズ、あとはできたらいいなという思いで釣具なども入れていました。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
95泊と長い旅行でしたが着替えはどれくらい用意していたんですか?
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【車系YouTuber / 自動車ライター】黒木美珠
ボトムスは5〜6本、トップスは半袖と長袖を合わせて10数着は持っていっていましたね。5日に1度くらいコインランドリーに行ってまとめて洗う形でした。最近ではガソリンスタンドにコインランドリーを併設したり、コンビニの跡地がコインランドリーになっていたりするので、特に困りませんでしたね。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
小物類で持っていったものや役立ったものなどはありますか?
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【車系YouTuber / 自動車ライター】黒木美珠
タイヤの空気圧を測れる空気圧計は用意していましたね。あとはもしものための防犯ブザー、あと面白いものでは熊鈴も用意していました。実際、北海道を走っているときに熊には5〜6回遭遇したんです。もちろんクルマのなかにいたので安全でしたが驚きましたね(笑)。
災害対策の観点から考える車中泊
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【クルマ大好きライター】井口裕右
お話を伺っていると、車内で快適に夜を過ごせる準備というのは大規模災害などで避難が必要になった際にも役立つのではないかと感じました。
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「災害時に最初に避難する場所」に車内を挙げる人はかなり多いようですね。過去の大規模災害でも車中泊避難が注目されたことがあります。その点からも、快適な車中泊のノウハウを知っていることは災害の多い日本では役立つかもしれません。
また例えばこれからのクルマ選びでもフルフラットにできるかどうかを気にしてみるとか、いいかもしれませんね。最近は完全フルフラットにできるクルマは減ってきましたし、ミニバンも2列目シートがフラットにできなかったりシートを倒した際に段差や隙間ができてしまうものが多いので、そうしたクルマで快適に車中泊をするにはどうしたらいいのかを考えてみるのもいいかもしれません。
加えて、食料やお水をクルマのなかに備蓄しておいたり、避難訓練を兼ねて一度車中泊を体験してみたりするのもいいですね。避難所への避難は衛生状況やプライバシーの保護に不安があったり、他の人の生活音が気になったり、パーテーションだけで区切られた空間で防犯上の不安があったりしますので、「車中泊で避難できる」という選択肢があるだけで気持ちは楽になるのではないかと思います。

まとめ
車中泊で快適に夜を過ごすことができる準備をしておくことは、楽しい車中泊旅だけでなく実は災害への備えにもなるということが興味深い気付きになりました。第3回では価格帯別に黒木さんオススメの「車中泊にぴったりのクルマ」をご紹介いただきます!