「CORISM」の大岡編集長が語る!全長4,500mm前後以下の小型SUV 人気コンパクトSUV大研究(1)トヨタ・レクサス・ホンダ編
もはや言うまでもないが、自動車市場ではコンパクトSUVが人気だ。
コンパクトSUVの魅力は、高い全高から生み出されるアップライトな視界、運転しやすさや、アクティブな印象を与えるデザインなどがあげられる。人気の高さから、今やセダンやハッチバックに代わる主流のカテゴリーとなった。
それだけに、各社からたくさんの車種が発売されていて、ボディサイズやタイプ、価格などさまざま。いったいどれを選べばいいのやら?と迷っている方も多いことだろう。
そこで今回は、全長4,500mm前後以下の人気コンパクトSUVをピックアップし、それぞれの価格帯やデザインテイストを好みや予算で選びやすくザックリと分類してみた。
おすすめ中古車についても解説するので、コンパクトSUV選びの参考にしてもらいたい。
自動車情報メディア「CORISM」編集長
最新コンパクトSUVのトレンド
万人受けするデザインがメイン
コンパクトSUVは、多くの販売台数を売らなくてはならない。そのため、好き嫌いが明確に出やすいデザインは、販売台数面でリスクとなるため、万人受けするデザインが多い。
デザインのテイストは、大きく分け都会派系とアウトドア系に分類できるが、万人受けが重要なので、振り切ったデザインをもつモデルは稀だ。
価格はボディサイズに比例。海外生産モデルの高コスパ車も登場
コンパクトSUVの新車価格は、ほぼボディサイズに比例して大きくなるほど高価になる。ただし、最近では、インドやタイといった国で生産したモデルを輸入するケースも増えてきた。そのため、価格競争力が高く、国内生産のモデルより高コスパとなっている。
コンパクトSUVでもハイブリッド車が主流
価格が重視されやすいコンパクトSUVだが、やはり売れ筋はハイブリッド車。そのため、純ガソリン車はエントリーグレード系の価格重視仕様となっているケースが多い。
人気カテゴリーなので、高リセールバリューが期待できる
一般的なコンパクトカーは、中古車流通台数が多いこともあり、リセールバリューはあまり高くならない傾向にある。だが、コンパクトSUVは、人気カテゴリーなので、多くの車種が高めのリセールバリューを維持。売却時のメリットも大きい。
大岡編集長が独断で決定!「各社コンパクトSUVの特性比較」
価格帯では、主にCセグメントと呼ばれる全長4.5m前後のSUVは、約300万円前後。全長4.3m前後以下のBセグメントクラスは、約250万円前後。全長4m前後以下のAセグメントクラスでは200万円前後の価格帯になっている。ほぼ、ボディの大きさで車両価格が決まる。
-
【自動車情報のプロ】大岡智彦
異例なのは、レクサスLBX。クラスのヒエラルキーを超えた新しいラグジュアリーの価値を創造する狙いがあるが、ニッチなマーケットだ。
そんな状況下ではあるものの、インド生産車のフロンクスのコスパには注目だ。フロンクスは、日本仕様専用装備を多数用意。安価ながらも充実装備で非常に魅力ある仕様となっているからだ。
デザインでは、やや都会派系がトレンドのようにも見える。しかし、都会派系モデルの中には、よりアウトドア系デザインを取り入れたグレードが続々と増えてきている。今後のトレンドは、よりアウトドア系となる可能性が高い。
トヨタ カローラクロス
トヨタ カローラクロスの特徴
ボディサイズ(全長×全幅×全高):4490×1825×1620mm
搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L、WLTCモード)
・1.8Lガソリン(改良前) 140/170 14.4
・2.0Lガソリン(改良後) 170/202 16.6
・1.8Lハイブリッド(改良前) システム最高出力 122 – 24.2~26.2
・1.8Lハイブリッド(改良後) システム最高出力 140 - 24.5~26.4
新車価格帯:2,184,000 ~3,459,000円
中古車相場:2021年式 約260~340万円
*スペックは、最新(2024年11月現在)もしくは最終モデル以下同。
*新車価格は最新モデル(2024年11月現在)以下同。
*中古車相場は、2024年11月調べ以下同。
トヨタ カローラクロスは、2021年9月に販売が開始された新型車だ。日本で扱いやすいボディサイズや、安価で優れた燃費値を誇る1.8Lハイブリッドシステムを搭載したことで、大ヒットしたモデル。その結果、長期間受注停止になるなどしたことから、中古車価格が高騰。新車価格越えの中古車価格になったほどだ。
そして、2022年10月に大幅改良。1.8Lハイブリッドは、最新タイプに変更。大幅に出力アップしながら、燃費も向上した。また、1.8Lガソリンエンジンは、2.0Lへ変更。排気量アップしながら、燃費も向上させている。
そして、予防安全装備である「トヨタセーフティセンス」もアップデート。検知機能が大幅に進化した。
-
【自動車情報のプロ】大岡智彦
カローラクロスは、ハイブリッドの燃費値以外、飛びぬけた個性があるわけではない。しかし、乗り心地や使い勝手、デザインなど、高いレベルにまとめられていて弱点が見つからない高い完成度が魅力だ。
2022年10月改良後モデルがおすすめだが・・・
トヨタ カローラクロスのオススメ中古車
カローラクロスは、2022年10月に大幅な改良が行われた。1.8Lハイブリッドシステムや予防安全装備「トヨタセーフティセンス」が刷新された。ガソリン車は1.8Lから2.0Lに変更されるなど、完成度は大幅に向上している。その差は非常に大きいので、おすすめは2022年10月の改良後となる。
-
【自動車情報のプロ】大岡智彦
ただ、カローラクロスは、中古車価格が高め。1年落ち以内の高年式車は、新車価格越えしている中古車も珍しくない。
そのため、中古車らしいお買い得感を感じにくい。しばらく待って、価格が下がってきてからが買い時だ。
同様に、現在はかなり高いリセールバリューだが、中古車価格の下落が始まれば、リセールバリューも下落する。今後もリセールバリューが上がる要因が見当たらない。なので、あまりリセールバリュー意識し過ぎた選択はしないほうがよい。
グレードでは、やはり最上級グレードで装備が充実したハイブリッドZがおすすめ。最上級グレードでもメーカーオプション設定が多いモデルなので、パノラマルーフ、ブラインドスポットモニターなどが装備されていれば、さらにおすすめだ。 カローラクロスのライバル車となるのはマツダ CX-30、スバル クロストレックだ。
トヨタ ヤリスクロス
トヨタ ヤリスクロスの特徴
ボディサイズ(全長×全幅×全高):4180×1765×1590mm(ハイブリッドZ)
搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L、WLTCモード)
・1.5Lガソリン 120/145 17.1~19.8
・1.5Lハイブリッド システム最高出力 122 - 25.0~30.8
新車価格帯:1,907,000 ~3,156,000円円
中古車相場:2021年式 約210~280万円
ヤリスクロスは、2020年8月に登場した新型車。車名からも分かる通り、コンパクトカーのヤリスをベースにSUV化されている。ただし、内外装はヤリスとはまったく異なり、独自性の強いコンパクトSUVとなった。
パワーユニット関連は、ヤリスと同じということもあり、1.5Lハイブリッドはクラストップレベルの実力。その他、1.5Lガソリンエンジンもラインアップ。このガソリンエンジンの燃費も高いレベルにあるものの、アイドリングストップ機能が無いところが残念なポイントとなる。
駆動方式は、FF(前輪駆動)に加え、ハイブリッド車とガソリン車、それぞれに4WDも設定。ハイブリッド車は、電動4WDであるE-Fourとなる。
2022年7月には、スポーツグレードとなる「GRスポーツ」と、オフローダーテイストを高めたデザインを採用した「Zアドベンチャー」を追加。
2024年1月には、若干のデザイン変更が行われた。さらに、予防安全装備「トヨタセーフティセンス」の検知機能が向上。交差点での出会い頭時の車両や自動二輪車の検知が可能となった。
-
【自動車情報のプロ】大岡智彦
ヤリスクロスの乗り心地は、ややマイルド系。適度にキビキビ感もあり、誰もが運転しやすい。4WDモデルは、リヤサスペンションがダブルウィッシュボーン式になることから、FFに比べるとやや乗り心地がよい。
ヤリスクロスの荷室容量は390Lと大きく、使い勝手も良好だ。
トヨタ ヤリスクロスのオススメ中古車
値落ちは少ないが、選択肢は豊富
-
【自動車情報のプロ】大岡智彦
ヤリスクロスも人気コンパクトSUVということや、度々、受注停止になっていたこともあり、中古車価格も高めを維持。新車価格越えの中古車も珍しくない。
そのため、中古車らしい買い得感は低い。ヤリスクロスも、中古車価格が下がるまでしばらく待った方がよいモデルといえる。
ヤリスクロスの中古車でおすすめのグレードは2タイプある。スポーティな走りとルックスが好みであるならば「GRスポーツ」。よりオフローダーテイストなスタイリングが好みなら「Zアドベンチャー」となる。通常のグレードなら、装備が充実した「ハイブリッドZ」がおすすめだ。このように、顧客の好みによって、選択肢が豊富なのもヤリスクロスの魅力だ。
ヤリスクロスは、とくにメーカーオプションを必要としないほど充実した装備となっているのも特徴。また、新車販売台数が多いモデルなので、中古車流通台数も多く好みの色やグレードなど、選びやすくなっている。
レクサスLBXハイブリッド
レクサスLBXハイブリッドの特徴
ボディサイズ(全長×全幅×全高):4190×1825×1545mm(クール/リラックス/エレガント)
搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L、WLTCモード)
・1.5Lハイブリッド システム最高出力 136 - 26.2~28.0
新車価格帯:4,200,000 ~4,860,000円(特別仕様車を除く)
中古車相場:2021年式 約440~540万円
レクサスLBXは、2022年11月にデビューした新型車だ。レクサスブランドで最もコンパクトなSUVとなった。目指したのは、クラスのヒエラルキーを超えた新しいラグジュアリーの価値だ。
LBXのプラットフォームやパワーユニットは、トヨタ ヤリスクロスと共通化されている。しかし、パワーユニットは中身を変更。システム最高出力は136㎰へ引き上げられた。パワーだけでなく、よりEVに近いモーターの力強さと優れたアクセルレスポンスを手に入れている。
プラットフォームもLBX用に大幅に改良。ホイールベースは、+20mmの2,580mmとなった。新開発サスペンションには、高価な高剛性アルミ鍛造ナックルを採用するなど、ハイブランドのレクサス車らしい上質で気持ちよく走るコンパクトSUVに仕上げれた。
-
【自動車情報のプロ】大岡智彦
ただ、レクサスブランドということもあり、新車価格はこのクラスのモデルとしては、かなり高価で420万円からとなっている。
レクサスLBXハイブリッドのオススメ中古車
ほぼ、新車価格越えの中古車価格
レクサスLBXハイブリッドの納期は、約2カ月(2024年11月現在レクサスHPより)とそれほど長くはない。しかし、長期納期でもないのに2024年式の中古車は軒並み新車価格越えという異常事態。しかも、未使用車もわずかだが流通している。大幅新車価格越えの未使用車価格に引っ張られ、他の中古車も高額になっているとも予想できる。
-
【自動車情報のプロ】大岡智彦
こうなると、あえて中古車のLBXを買う理由が見いだしにくい。
あえて中古車を狙うのであれば、流通価格が安定してくるまで待ったほうがいいかもしれない。
LBXハイブリッドのおすすめグレードは、クールかリラックス。この2グレードは、新車価格が同じ。インテリアカラーなどが若干異なる程度なので、好みで選べばよい。
ただし、LBXハイブリッドは高額車種な割に予防安全装備が一部オプションという残念な仕様。そのため、Advanced Drive(渋滞時支援)、Advanced Park(リモート機能付)+パーキングサポートブレーキ(周囲静止物)、緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付)+フロントクロストラフィックアラート[FCTA]+レーンチェンジアシスト[LCA]+ドライバーモニター連携、マークレビンソンプレミアムサラウンドサウンドシステムなどのメーカーオプションが装備されている車両を積極的に選びたい。マークレビンソンプレミアムサラウンドサウンドシステムが装備されていれば、より高リセールバリューが期待できそうだ。
ホンダ ヴェゼル
ホンダ ヴェゼル(RV系)の特徴
ボディサイズ(全長×全幅×全高):4330×1790×1590mm(e:HEV Z PLaYパッケージ)
搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L、WLTCモード)
・1.5Lガソリン(マイナーチェンジ前) 118/142 15.6~17.0
・1.5Lガソリン(マイナーチェンジ後) 118/142 15.0
・1.5L e:HEV (マイナーチェンジ前) モーター最高出力 131 253 22.0~25.0
・1.5L e:HEV (マイナーチェンジ後) モーター最高出力 131 253 21.3~26.0
新車価格帯:2,648,800 ~3,776,300円
中古車相場:2021年式 約240~310万円
ホンダ RV系ヴェゼルは、2世代目で2021年4月に登場した。ヴェゼルは、コンパクトカーであるフィットをベースとしたSUV。エンジンやプラットフォームなどは、ヴェゼル用に改良されている。
搭載されているエンジンは、1.5Lハイブリッドと1.5Lガソリンの2タイプ。ホンダは、この1.5Lハイブリッドモデルをe:HEVと呼ぶ。
ホンダ車は、ハイブリッド比率の高いメーカーのひとつ。その中で、ヴェゼルはとくにハイブリッド比率が高く、デビューから1ヶ月後の受注ベースでは、なんと93%もハイブリッド車が売れたほどだ。
ヴェゼルのデザインは、ホンダ車らしく個性的。とくに、インテグレーテッドグリルと呼ばれるデザインは、なかなかスタイリッシュだ。
ヴェゼルは、2024年4月にマイナーチェンジ。オフローダー的なルックスが人気ということもあり、よりアウトドア志向デザインを施したe:HEV X HuNTパッケージを設定。また、e:HEVシステムの改良を行い、エンジン始動回数、停止頻度を大幅に低減。静粛性を高めると同時に、アクセルレスポンスをさらに向上させた。
-
【自動車情報のプロ】大岡智彦
さらに、ホンダの運転支援システムである「ホンダセンシング」の機能に、トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)、急アクセル抑制機能、アダプティブドライビングビームの機能が追加された。
ヴェゼルの乗り心地は、やや硬めだが、ホンダ車らしいキビキビとした走りが特徴だ。
ホンダ ヴェゼル(RV系)のオススメ中古車
最上級グレードがおすすめだが、4WDの設定が無い・・・
ホンダ ヴェゼルのマイナーチェンジ後モデルは、まだ中古車流通台数が少ないので、おすすめはマイナーチェンジ前のモデルとなる。
おすすめグレードは、最上級グレードで装備が充実したe:HEV Z PLaY。ただ、このグレードはFF(前輪駆動)のみで4WDの設定が無かったのだ。4WDが条件になると、中間グレードのe:HEV Zグレードになる。このe:HEV Zには、パノラマルーフが装備されない。また、予防安全装備でもあるブラインドスポットインフォメーションや後退出庫サポートもオプション設定。中古車購入時は、ブラインドスポットインフォメーションや後退出庫サポートを装備された車両がおすすめだ。
また、両グレード共に、マルチビューカメラシステムがオプション設定だったので、この装備も便利なので装備されている車両がおすすめとなる。
ヴェゼルは2024年4月にマイナーチェンジしており、マイナーチェンジ前の前期モデルの中古車価格が徐々に下がってきている。そのため、前期モデルはそろそろ買い時といえる。ヴェゼルは、リセールバリューが高いため、中古車価格も高めだ。だが、人気モデルなので、短期の乗り換えなら売却時も高査定が期待できるだろう。
ホンダWR-V
ホンダWR-Vの特徴
ホンダWR-Vのオススメ中古車
すでに、登録済み未使用車も大量流通中!
2024年4月に登場したホンダWR-V。インド生産でコスパに優れるモデルとして話題になった。
WR-Vは、X、Z、Z+の3グレード構成。おすすめは中間グレードのZ。Z+との差は、加飾関連が多く、装備類の差はほとんどないからだ。
登場したばかりのWR-Vだが、すでに多くの中古車が流通している。しかも、その多くが登録済み未使用車となっている。
登録済み未使用車とは、メーカーやディーラーの都合により、新車を登録だけした車両。一度登録すると中古車扱いになるので、中古車店に並ぶのだ。
当然、登録しただけなので、ほぼ新車に近いコンディションなのが特徴だ。
-
【自動車情報のプロ】大岡智彦
一般的な未使用車は、新車価格より大幅に安価になる傾向が多いが、WR-Vの場合、少々異なる状況になっている。新車価格よりやや高価か、ほぼ同等といった中古車価格になっているようだ。多くの未使用車が流通しているのに、新車価格並みの中古車価格というのは珍しい。
こうした車両は、選択肢から外した方が無難で、新車を値引きしてもらって買った方が安くなる。WR-Vの新車値引きは、交渉次第だが20万円前後とも言われているからだ。
中古車WR-Vの購入を考えているのであれば、新車価格より安価な未使用車を選びたい。
また、未使用車の流通量が多くなると、リセールバリューも下がる傾向になるので注意が必要だ。
<参考>
WR-V新車価格帯:2,098,800 ~ 2,489,300円
WR-V中古車相場:2024年式 約210~260万円
-
【自動車情報のプロ】大岡智彦
以上、当記事では、トヨタ・レクサス・ホンダの人気コンパクトSUVをピックアップして紹介してみた。
別記事で日産・スバル・スズキ・ダイハツ・マツダの人気コンパクトSUVも紹介するので、こちらもぜひ注目いただきたい。