ホルムズ海峡封鎖の影響でガソリン小売価格が前週比29円の上昇! “ガソリン価格高騰”はEV/PHEVの追い風になるか?新車は補助金で中古車は神コスパを狙え!
資源エネルギー庁が2026年3月18日に発表した、3月16日時点でのレギュラーガソリン1リットルあたりの全国平均小売価格は191.8円で、前週比で一気に29.0円の値上がりとなりました。大幅な値上がりとなりましたが、前週まで1〜3円単位での動きだったのに対して今週は前週比で30円近くの値上がりとなり、イラン情勢の緊迫とホルムズ海峡封鎖の影響が本格的に出始めている形です。
振り返ると、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を皮切りに乱高下が続いているガソリン価格。適切な価格で安定しないエネルギーコストに翻弄される現在は、まさに“ガソリン価格不確実性の時代”と言えるでしょう。こうしたなか、ガソリン価格に影響を受けにくい電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)は、これからのクルマの選択肢としてありうるのでしょうか。様々な角度から検証してみました。
ライター
本記事は2026年3月18日現在の情報をもとに執筆しています。また記事の内容には筆者の主観的な考察・意見が含まれており、リセバ総研の公式な見解ではない点にご留意ください。
目次
ガソリン小売価格はこれからどうなる?
まずは、これまでのガソリン価格と今後の見通しについて整理してみましょう。資源エネルギー庁がまとめた2022年以降のレギュラーガソリン全国平均価格の推移を見てみると、政府によるガソリン価格の補助によって実売価格はある程度抑えられているものの、補助金を含めない価格は2022年から乱高下を続けており、1リットルあたり200円を超えることも多かったことがわかります。店頭に表示される実売価格では実感できませんでしたが、ガソリン価格は私たちが思っているよりも大きく変動し、しかも高止まりの状況が続いていたのです。

今年に入り、ガソリンの暫定税率が廃止されたことで店頭小売価格は154円付近まで大きく下がりますが、その後ジリジリと値上がりが続き、中東情勢の緊迫とホルムズ海峡の封鎖がさらに追い討ちとなり大きく値上がりした形です。日本政府はこの動きに反応し、政府の石油備蓄を早期に放出することを表明しましたが、そのなかで「ガソリン価格を170円程度に抑えることを目標にする」としており、暫定税率の廃止で値下がった分が相殺されるのは必至の状況です。経済アナリストの分析のなかには「石油価格はリッター200円を超えていく」という見方もあり、今後の中東情勢の動きによっては、値上がりはさらに加速する恐れもあります。
レギュラーガソリン1リットルあたりの店頭小売価格推移(資源エネルギー庁資料より)
| 2026年 | レギュラーガソリン平均小売価格 | 前週比 |
|---|---|---|
| 3月16日 | 190.8円 | +29.0円 |
| 3月9日 | 161.8円 | +3.3円 |
| 3月2日 | 158.5円 | +1.4円 |
| 2月24日 | 157.1円 | +0.4円 |
| 2月16日 | 156.7円 | +1.2円 |
| 2月9日 | 155.5円 | −0.1円 |
| 2月2日 | 155.6円 | +0.2円 |
一方、ガソリン価格に影響を与える原油先物市場の価格は、ホルムズ海峡封鎖以降に一時119.48ドルとなり、ロシアによるウクライナ侵攻開始時(2022年)以来となる高値に。その後、各国が協調して石油備蓄の放出に動くのではないかという憶測が広がると原油先物価格は下落の動きを見せ、実際に3月11日深夜には日本を含む国際エネルギー機関(IEA)全加盟国が石油の協調放出を行うことで合意したとしています。しかし、各国の備蓄量には限りがあることから、ホルムズ海峡封鎖の長期化により中東からの原油供給がストップする状況が続くと、世界的なエネルギー不足を招きかねません。価格高騰よりも深刻な「ガソリンの在庫不足」という最悪の状況も考えられます。
ガソリン小売価格に影響されないEV/PHEVはどういうコスト構造なのか
ガソリン価格が不安定であることは、私たちの家計に直結します。特に、日常的に通勤や通学でクルマを使っている人にとっては、ガソリン価格が上がるとクルマのランニングコストが跳ね上がることになるのです。こうした状況を打開するひとつの方法として、ガソリンに依存しないEVやPHEVは有効な選択肢なのでしょうか?そのランニングコストを考えてみましょう。
電気を充電するだけで走ることができるEVとPHEV(ガソリンで発電して走りますが、EVのように充電だけでも走れます)にとっての“燃料代”は、充電するための充電スポット利用料金や家庭の電気代にあたります。ここでは、全国の商業施設、カーディーラー、ガソリンスタンド、高速SA/PAや道の駅などに設置されている約2万5,300機のEV充電器を利用できる「e-Mobility Power」の価格を参考にしてみましょう。
e-Mobility Power「急速・普通併用プラン」の料金体系
| 月額会費 | 4,180円 | |
|---|---|---|
| 急速充電の従量費用 | 27.5円/1分 | 30分あたり825円 |
| 普通充電の従量費用 | 3.85円/1分 | 1時間あたり231円 |
この価格体系で、仮に30分の急速充電を月に4回行ったとすると、月額会費と急速充電費用を合わせた月額費用の目安は7,480円となります。30分の急速充電で走行できる航続距離はEV/PHEVの車種によって大きく異なるため一概には言えませんが、毎月ガソリンの満タン給油を何度もするドライバーにとっては、ガソリンよりも電気のほうがコストパフォーマンスに優れている場合もあるのではないでしょうか。ちなみに、給油のたびに燃油代を精算するガソリンスタンドと異なり、EV/PHEVの充電スポットを利用する際には、会員カードを使用して充電器を使用し、使用料金は後日まとめて精算します。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
会員制充電サービスについては様々な事業者が展開しており、トヨタ、日産、三菱、テスラ、BYDなど自動車メーカーのサービスやガソリンスタンドのENEOSが展開するサービスも。どのサービスも概ね「月額基本料金+充電時間単位の従量課金」という料金体系になっているため、自宅の近くの充電スポットの多さや月額基本料金の安さ、従量料金の安さなどを比較してみるとよいでしょう。なかには「月額基本料金なしの完全従量制」「月額基本料金のみの定額制」といったサービスもあります。
ちなみに、戸建て自宅に駐車している際には専用の機器を設置することで家庭用の電力で充電することができますが、その際の充電料金の目安は車種によって異なり、フル充電の電気代目安は1500円前後から2500円前後となっているようです。自宅にEV充電用の機器を設置する際には別途機器設置費用が必要になるため、カーディーラーなどに相談してみましょう。
“充電スポット”と“充電時間の長さ”、EV/PHEVのネックとどう向き合う?

電気で走るEV/PHEVにとって最大のネックとなるのが、充電スポットの数と充電時間の長さです。EVユーザー向けの情報サイト「GoGoEV」によると、日本国内にあるEV充電スポットの数はおよそ2万8千か所。政府もEV充電スポットの設置に積極的に取り組んでおり、その数は近年急増していると言われています。
しかしながら、ひとつのEV充電スポットで同時に充電できるクルマは、1台から多くても5台程度。充電時間は急速充電で30分程度、普通充電の場合には数時間かかることから、充電中のクルマが占有する時間が長く、限られている数のEV充電スポットが埋まってしまっていると後続のクルマが長時間待たされてしまうことになります。ガソリンスタンドのように回転が早くレーンが多ければ余裕をもって充電できますが、なかなかそのようにはいかないのがEV充電スポットの難しいところです。
ちなみに、短時間で充電できる急速充電器には、一般的に設置されている50kWタイプだけでなく、より電圧が大きく充電が速い90kWタイプ、120kWタイプもありますが、こうした“超急速充電タイプ”のEV充電スポットは、まだまだ数が少ないのが現状です。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
過去にEVの中型SUVを長期試乗したときの印象ですが、バッテリー残量が10%程度の状態から30分の急速充電ではフル充電はできず、90kWの超急速充電タイプでも30分では完全なフル充電には届かない印象でした。車種によって必要な充電時間は異なるものの、フル充電にはある程度まとまった時間が必要のようです。また、普通充電タイプ(出力3kW〜6kW)の場合には短時間の使用ではほとんど充電にならないため、長時間駐車することを前提に使用すべきでしょう。
充電スポットの少なさと充電時間の長さ、EV/PHEVユーザーが直面するこの2つの課題にどのように向き合うのか。重要なのは“発想の転換”だと筆者は考えます。
ガソリン車の場合、多くの人はお出かけの前や燃料の残量が少なくなったタイミングで給油をします。給油は数分で完了するため、“必要なときに給油する”という考え方でやりくりできるわけです。しかし、同じ発想でEV/PHEVを充電しようとすると、“充電スポットが見つからない”、“充電に時間がかかり予定が狂う”などの理由で、なかなか上手くいきません。
そこで、お出かけでバッテリーを消費して帰ってきたときに、“使った分を充電してドライブを終える”という発想にすると、次のお出かけの際には常にフル充電の状態でスタートすることができます。また充電スポットの利用者が少ない夜間に充電すれば、充電器の空きを待つことも少なくなります。ドライブした距離にもよりますが、“使った分だけ充電”ならば1回の充電量も少なく済むため30分の急速充電でも十分な充電ができるでしょう。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
使った分を補充して帰るという発想はレンタカーの考え方に近いですが、この考え方で運用すれば、お出かけ先で充電しなければならない事態は少なくなるのではないでしょうか。PHEVの場合はガソリンエンジンでも発電を行うため、ガソリン価格の動きに合わせて上手く併用すれば充電量はさらに少なくなることも考えられます。
新車はエコカー補助金を、中古車は神コスパを狙え
EV/PHEVのクルマを購入しようとした際には、新車の場合でも中古車の場合でも大きなメリットがあります。新車の場合には、国が推進している「エコカー補助金(CEV補助金:クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)」や地方自治体のEV/PHEVを対象にした購入補助金など、様々な補助金が受けられる点が大きなメリットです。
2026年1月1日からはCEV補助金の補助金額の上限が大幅に引き上げられ、EVが最大130万円、軽EVが最大58万円、PHEVが最大85万円に。新車のEV/PHEVはガソリン車、ハイブリッド車と比較して割高な価格設定になっているケースが多いですが、補助金によって実質金額が抑えられている形です。
一方で、中古車の場合は新車のみに適用されるエコカー補助金の恩恵は受けられませんが、車両の価格そのものが同じクラスの他のクルマと比べてお買い得になっている“神コスパ中古車”が多いのがメリットです。車種によっては新車価格と比較するとほぼ半額まで価格が落ちているケースもあり、購入価格を抑えつつ品質のよいEV/PHEVを手に入れたい場合には、中古車を購入することも選択肢のひとつと言えるでしょう。
おすすめの神コスパ中古EV/中古PHEV
日産 リーフ/ZE1型(電気自動車)

日本における電気自動車のパイオニア的存在である日産の「リーフ」。その2代目にあたるZE1型(2017年〜2025年)は航続距離が最大約450km(e+グレード)まで向上したほか、アクセルペダルの操作だけで加速・減速ができる「e-Pedal」、高速道路の単一車線運転支援技術「プロパイロット」など当時の先端技術を搭載しています。当時の新車価格は400万円を超えていましたが、ガリバーの中古車在庫情報を調べてみると、支払総額(車両価格+諸費用)はその半額以下となる200万円を切るものがほとんど。なかには150万円を切る在庫もあり、神コスパとなっています。
日産 サクラ(電気軽自動車)

軽自動車規格の電気自動車として2022年に登場した日産 サクラは、軽自動車サイズの取り回しの良さと電気自動車ならではの高トルクモーターによる加速力、ハイトワゴンならではの広い室内空間が特徴で、インテリア/エクステリアのデザインが持つ高級感も相まって人気となっている1台です。航続距離は最大約180kmとリーフと比較すると短いですが、日常の通勤・通学やお買い物・送迎などの近距離移動には十分。ガリバーの中古車在庫情報を調べてみると、支払総額が120万円台から140万円台の在庫が多く、高年式・低走行距離のものが多いのが特徴です。
トヨタ プリウスPHV/50系(プラグインハイブリッド)

2017年から2023年まで販売された2代目のプリウスPHVは、初代モデルからバッテリー容量が拡大してEVモードでの航続距離が大幅に伸びたのが特徴。2つのモーターを駆動させる「デュアルモータードライブシステム」を搭載し、ガソリンエンジンに頼らずパワフルに加速でき、低燃費に貢献しています。ハイブリッド車のプリウスとは異なる専用デザインで、室内には11.6インチの大型ディスプレイを装備しています。当時の新車価格は人気グレードの「A」で約380万円でしたが、ガリバーの中古車在庫情報を見てみると支払総額が200万円を切るものも多く、年式の古いモデルであれば170万円前後の在庫も見つかります。
三菱 アウトランダーPHEV/GG型(プラグインハイブリッド)

人気カテゴリーであるSUVタイプのPHEV車でパイオニア的存在と言えるのが、三菱の「アウトランダーPHEV」です。2013年から2021年まで販売された初代モデル(GG型)は「4WDのプラグインハイブリッドSUV」として世界初のクルマとなりました。前後に独立したモーターを配置してトルクやブレーキを緻密に制御することで雪道や悪路の高い走破性を実現したS-AWCを搭載しており、雪の多い地域でも安心して乗れるのがポイントです。おすすめは大幅改良された2015年7月以降のモデルで、支払総額は200万円前後から250万円前後と当時の新車価格の半額に迫るコスパとなっています。
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【クルマ大好きライター】井口裕右
EV/PHEVのバッテリーは、スマホのバッテリーと同じように使い込むことで性能が徐々に落ちていく特性を持っているため、古い年式の中古車の場合はバッテリーの健康状態(充電容量)を確認するようにしましょう。また、中古車が神コスパで買えるということは、売却時の買取価格もあまり期待できないということ。EV/PHEVのリセールバリューはガソリン車、ハイブリッド車と比較して低い水準になることが多い点も留意するようにしましょう。
まとめ
日本では新車販売に占める電気自動車の割合は1.5%〜3%と言われており、まだまだ普及しているとは言えない状況です。しかし、この普及率を上げる目的で政府を含めて様々な施策が展開されており、EV/PHEVを購入しやすい環境は着実に整ってきていると言えます。一方で中古車に目を向けると、普及率の低さ、人気の低さなどを背景に“神コスパ中古車”が次々に誕生しており、高価な新車と比較すると非常に購入しやすい状況になっています。ガソリン価格の不確実性が高まっている今だからこそ、改めてEV/PHEVの可能性を検討してみてもよいのではないでしょうか。
