リセバ総研調査レポート 新社会人カーライフ意識を徹底調査!約半数がクルマ購入に前向きな一方で「必要性を感じない」層も過半数
2026年も春の「新年度」が近づき、就職に向けた準備や引っ越し作業におわれる学生の方も多いことだろう。そこで、今回は社会人デビューを果たす18〜25歳の若年層(474名)を対象に、クルマの購入意向・通勤スタイル・お金の考え方を調査した。「買う派」と「買わない派」の間に横たわる意識の溝を、性別・地域・関心度などの軸から多角的に読み解いていこう。
リセールバリュー総合研究所 管理運営者
目次
1. 調査のハイライト——数字で見る新社会人とクルマ
2026年2月、リセールバリュー総合研究所は18〜25歳の若年層(学生・新社会人・フリーターなど)474名を対象に「新社会人のクルマ購入・通勤に関する意識調査」を実施した。回答者の男女比は50:50、平均年齢は22.5歳である。
全体を俯瞰すると、すでにクルマを購入した人が17.5%、購入予定がある人が17.3%で、合計34.8%が「購入実行・確定」層となっている。さらに検討中(16.5%)を加えると51.3%が何らかの形でクルマ購入に前向きな姿勢を示した。一方で48.7%は「購入予定はない」と回答しており、若年層のクルマ離れは依然として根強い実態が浮かび上がった。
2. クルマへの関心度——男女間の「温度差」が鮮明に
周囲の同世代と比べたクルマへの関心を尋ねたところ、「かなり高い」「やや高い」を合わせた”関心層”は全体の35.0%にとどまり、「低いと思う」が44.7%と最多であった。この構成比には男女差が顕著に表れている。
男性は「かなり高い+やや高い」が43.5%と4割を超えるのに対し、女性は26.6%と約4人に1人にとどまる。特に女性の56.1%が「低いと思う」と回答しており、男性(33.3%)との差は22.8ポイントに達する。クルマへの興味・関心の入口で、すでに男女間に大きなギャップが存在している。
3. 購入状況と男女差——男性の4割超が購入実行・確定
「新社会人になってからクルマを購入したか/する予定があるか」という設問では、全体の34.8%が購入済みまたは購入予定ありであった。しかし男女別に見ると、男性は43.5%が購入実行・確定であるのに対し、女性は26.2%と大きく下回る。「購入予定はない」は女性で56.5%に達し、男性(40.9%)を15.6ポイント上回った。
新社会人の購入意欲は高い
社会人の回答を見ると、「新社会人(2〜3年目)」は48.7%がすでに購入または購入予定と最も高く、社会人生活に慣れてくるタイミングで購入が進んでいることがうかがえる。「新社会人(1年目)」も57.8%が購入予定あり+購入済みと積極的である。一方、「フリーター/アルバイト中心」は15.1%にとどまり、雇用形態や収入の安定性が購入ハードルに直結している可能性が示唆される。
4. 購入理由と不購入理由——「必要性」が最大の分岐点
クルマを購入した(またはする予定の)層に最大の理由を尋ねたところ、「生活(買い物・移動)に必要だから」が30.9%でトップとなった。「通勤に必要だから」(25.9%)と合わせると、生活インフラとしての必要性がクルマ購入の最大の原動力である。一方で「クルマが好きだから」も25.9%と同率で並び、趣味嗜好としてのクルマの魅力も購入の重要なドライバーとなっている。
購入しない理由は「そもそも必要ない」が過半数
購入予定がないと答えた231名に理由を聞くと、「そもそも必要性を感じない」が51.1%と圧倒的であった。次いで「購入資金がなく経済的に買えない」(17.7%)、「親に反対されている」(12.6%)、「公共交通機関で足りている」(11.3%)と続く。「カーシェア・レンタカーで十分」はわずか3.5%にとどまり、シェアリングサービスの台頭がクルマ離れの主因とは言い切れない結果となった。
男女別では、女性は「必要性を感じない」が53.0%と男性(48.5%)よりやや高い一方、男性は「経済的に買えない」(21.6%)が女性(14.9%)を上回り、「買いたいが買えない」男性層の存在が見て取れる。また「親に反対されている」は男性15.5%・女性10.4%で、男性のほうが親の反対を受けやすい傾向も確認された。
5. 予算感と重視ポイント——堅実志向の中にデザイン重視の声も
新車の支払い上限を尋ねた結果、「新車は考えていない/わからない」を除いた260名の平均予算帯は約224万円であった。男性は平均240万円に対し、女性は平均205万円と、35万円の差が見られた。最も多い価格帯は男女ともに「100〜150万円」と「200〜250万円」に集中しており、手頃な価格帯を志向する若年層の実態が表れている。
300万円以上の予算を持つ層は男性で29.4%なのに対し、女性は15.9%にとどまる。男性はより高価格帯にも手を伸ばす傾向がある一方、女性は「100〜150万円」が27.1%と最も多く、コンパクトカーや軽自動車を視野に入れた現実的な選択をしていることがうかがえる。
購入時に最も重視するポイント
男性は「安全性・運転のしやすさ」(26.4%)がトップで、運転初心者が多い世代ならではの傾向が表れている。女性は「価格・維持費」(21.4%)、「デザイン・見た目」(20.4%)、「実用性」(19.4%)が拮抗し、コストと見た目と使い勝手をバランスよく見極める姿勢が特徴的である。なお「リセールバリュー」を最重視する回答は全体で1.2%と極めて少数派であり、若年層の初回購入時にはまだ売却価値まで意識が及んでいない実態が明らかとなった。
6. クルマに対する価値観——「あれば便利」が最多、趣味派は14%
「クルマを持つことの意味」を尋ねた結果、「あれば便利なもの」が33.5%で最多となった。「生活に必要な道具」(23.4%)と合わせると、約6割がクルマを”実用品”として捉えている。「趣味・楽しみ」は14.1%にとどまり、「なくても困らないもの」が23.0%を占めた。
女性は「なくても困らないもの」が27.0%と男性(19.0%)を8ポイント上回り、クルマに対するマストアイテム感が薄い傾向にある。対照的に男性は「生活に必要な道具」(26.6%)と「趣味・楽しみ」(17.3%)が相対的に高く、クルマへの実需と情緒的価値を併せ持つ層が多いことが示されている。
7. お金の問題——親の支援は7割超、「身の丈志向」が主流
クルマを購入した(またはする予定の)層に支払い方法を聞くと、「現金とローンの併用」が34.2%で最多であった。「現金のみ」が30.5%、「ローンのみ」が23.9%と続く。注目すべきは、購入費用における親・家族からの金銭的支援の割合である。
全体の73.0%が何らかの親の金銭的支援を受けてクルマを購入しており、特に女性は79.8%と約8割に達した。「全額または大半を出してもらった」だけでも女性は44.9%にのぼり、男性(35.7%)を9.2ポイント上回る。新社会人のクルマ購入には、依然として”親の財布”が大きな役割を果たしていることが明確である。
維持費についても、「継続的に支援してもらっている」と「一部支援」を合わせると約66%が何らかのサポートを受けており、購入後の経済的負担も親子で分担する構図がうかがえる。
お金をかけることへの態度
最も多い回答は「身の丈に合った範囲であれば問題ない」(35.7%)で、堅実志向がうかがえる。注目すべきは女性の35.4%が「そもそもクルマにお金をかける価値を感じない」と回答した点で、男性(21.5%)と13.9ポイントもの差がある。一方、「多少無理してでも好きなクルマに乗りたい」は男性15.6%に対し女性5.9%と、”クルマへの情熱消費”は男性に偏った現象であることが明らかになった。
8. 通勤手段とクルマ通勤への本音
現在(または就職後を想定して)の主な通勤手段は「電車・バス」が28.9%でトップ。「自家用車」が27.0%で僅差の2位に入り、クルマ通勤が若年層にとっても身近な選択肢であることがわかる。男女別では、男性の32.1%が自家用車通勤であるのに対し、女性は21.9%にとどまり、「リモートワーク中心」が女性で21.1%と男性(15.2%)よりやや高い傾向が見られた。
クルマ通勤に前向き(「したい」+「どちらかといえばしたい」)な層は全体の44.9%で、否定的(「避けたい」+「抵抗がある」)な41.1%をわずかに上回った。男性では前向きが48.5%と半数近くに達する一方、女性は41.4%にとどまり、女性のほうが「クルマ通勤には抵抗がある」(30.0%、男性は21.9%)と感じる傾向が強い。
クルマ通勤の不安要素
不安のトップは「ガソリン代・維持費がかかる」(37.6%)で、コスト面の懸念が最も広く共有されている。次いで「事故のリスクが不安」(34.2%)、「運転経験が浅く不安がある」(26.8%)と安全面の不安が続いた。男女間で大きな差はないものの、女性のほうが「運転経験が浅い」(28.3%)や「渋滞がストレス」(20.3%)をやや多く挙げる傾向にある。
9. 人気メーカーランキング——トヨタが圧倒的1位
「今後クルマを購入するとしたら最も買いたいメーカー」では、「特に決まっていない」(38.2%)を除くと、トヨタが24.1%で圧倒的な1位となった。2位はホンダと日産が各9.5%で同率、4位にスズキ(7.2%)と続く。
トヨタは男性30.0%・女性18.1%と性別を問わず支持を集めたが、特に男性での人気が際立つ。日産は男女差が少なく安定した支持がある一方、スズキは女性(9.3%)が男性(5.1%)を上回り、軽自動車を中心としたラインナップが女性に響いていると推察される。「未定・わからない」は女性で44.3%と半数近くに達しており、メーカーの選定以前にクルマ購入そのものへの関心が低い層の多さが反映されている。EV専業メーカー(テスラ/BYDなど)は全体でわずか0.8%にとどまり、若年層の初回購入においてEVブランドの存在感はまだ限定的である。
10. 地域差——東北は購入率トップ、近畿は消極的
地域別に「すでに購入した」+「購入予定がある」の合計を見ると、東北地方が58.3%で最も高く、次いで北海道(41.2%)、中部地方(36.1%)と続く。いずれもクルマが生活の足として不可欠な地域である。一方、近畿地方は19.3%と相対的に低く、公共交通機関の発達度や都市部の比率との関連が見て取れる。関東地方は35.6%で全国平均に近い水準だが、エリア内に東京都心部と郊外が混在するため、一概に論じにくい点には留意が必要である。
まとめ——新社会人のクルマ選びは「必要性×予算×親の支援」で決まる
本調査から見えてきた新社会人のクルマ事情は、大きく3つのポイントに集約される。
第一に、購入の最大のトリガーは「必要かどうか」である。通勤や生活に不可欠な環境にいる若者は高い確率で購入に踏み切るが、公共交通が充実した都市部の若者は「そもそも必要性を感じない」として購入を見送る。関心度と購入率の相関も極めて強く、関心が高い層の7割超が購入済み・予定ありという結果は、クルマへの”入口”をいかにつくるかが業界の課題であることを示している。
第二に、「身の丈志向」と「親の支援」の二本柱で購入が成立している構造である。予算は200万円台が中心で、73%が親の支援を受けてクルマを入手している。新社会人の限られた可処分所得だけでは購入は難しく、ファミリー全体をターゲットにしたマーケティングの重要性が改めて浮き彫りとなった。
第三に、男女差の大きさである。関心度・購入率・予算・メーカー選好のいずれにおいても男女差が顕著であり、特に女性向けの訴求では「必要性」と「コストパフォーマンス」を軸にしたコミュニケーションが効果的と考えられる。女性は「デザイン」や「実用性」も重視するため、スタイリッシュかつ低コストなモデルの提案が鍵となるだろう。
調査名:新社会人のクルマ購入・通勤に関する意識調査
調査時期:2026年2月
調査方法:インターネットアンケート
調査対象:18歳〜25歳の男女(学生・新社会人・フリーターなど)
有効回答数:474名(男性237名・女性237名)
調査主体:©2026 IDOM Inc. リセールバリュー総合研究所
