中古車相場のプロに聞く! 【最新中古車市況(14)】中古車仕入れのプロからみたホンダとスズキの戦い方
リセールバリュー総合研究所 管理運営者
中古車マーチャンダイジング部門管理職
<<第13回 最新中古車市況 第15回>>
目次
根強い人気の「デリカD:5」と「デリカミニ」
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リセバ総研所長 床尾一法
(続き)
ここまでは大きなカテゴリーについての動向をお伺いしてきましたが、次は車種単位で気になったクルマなどありましたか?
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
以前もお話しましたが、型落ちのトヨタ クラウン(先代モデル220系)は引き続き人気で需要があるようですね。あとは三菱 デリカD:5も7〜9月は良かったと思いますね。

※「支払総額」は、記事執筆または取材した時点の当月に在庫掲載店舗の所在地で管轄内登録(届出)し、店頭で納車した場合の価格。
| 販売順位 | 2025年7月1日~2025年9月30日に販売された車種 | |
| 39位 | トヨタ クラウン | |
| 年式 | 販売シェア | 平均支払総額 |
| 2021年式 | 12.5% | ¥4,259,272 |
| 2020年式 | 25.0% | ¥3,303,160 |
| 2019年式 | 26.3% | ¥3,212,694 |
| 2018年式 | 28.4% | ¥3,257,211 |

※「支払総額」は、記事執筆または取材した時点の当月に在庫掲載店舗の所在地で管轄内登録(届出)し、店頭で納車した場合の価格。
| 販売順位 | 2025年7月1日~2025年9月30日に販売された車種 | |
| 16位 | 三菱 デリカD:5 | |
| 年式 | 販売シェア | 平均支払総額 |
| 2025年式 | 45.3% | ¥4,844,943 |
| 2024年式 | 6.6% | ¥4,357,260 |
| 2023年式 | 8.7% | ¥4,243,569 |
| 2022年式 | 5.2% | ¥4,108,252 |
| 2021年式 | 2.5% | ¥3,917,638 |
| 2020年式 | 5.6% | ¥3,748,107 |
| 2019年式 | 6.6% | ¥3,480,529 |
| 2018年式 | 4.3% | ¥2,712,504 |
| 2017年式 | 2.5% | ¥2,600,153 |
| 2016年式 | 1.9% | ¥1,916,574 |
| 2015年式 | 2.3% | ¥1,981,723 |
| 2014年式以前 | 8.5% | ¥1,454,086 |
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リセバ総研所長 床尾一法
デリカD:5は根強い人気ですよね。2025年式の登録済み未使用車がよく売れています。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
三菱のクルマは基本的にあまり在庫も豊富に出回っていないですし、値動きも流動的なんですが、デリカD:5だけはやっぱり強いですね。
相場が上がる時期にはとても高騰しますし、相場が下がる時期には一定の下落はありますが、高年式の在庫が多く一定のリセールバリューは担保されています。
末っ子の軽自動車「デリカミニ」も同じように高年式の在庫が豊富に出回っていて人気ですね。

※「支払総額」は、記事執筆または取材した時点の当月に在庫掲載店舗の所在地で管轄内登録(届出)し、店頭で納車した場合の価格。
| 販売順位 | 2025年7月1日~2025年9月30日に販売された車種 | |
| 66位 | 三菱 デリカミニ | |
| 年式 | 販売シェア | 平均支払総額 |
| 2025年式 | 59.1% | ¥2,418,110 |
| 2024年式 | 29.9% | ¥2,250,053 |
| 2023年式 | 10.9% | ¥2,167,190 |
OKBも唸る「巧みな戦略ですよスズキさんは」
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リセバ総研所長 床尾一法
個人的にはスズキのハスラーも人気が根強いと感じていますが、いかがでしょうか?
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リセバ総研所長 床尾一法
スズキのクルマも人気で新車販売も強いですよね。めちゃめちゃ頑張っていると思います。世界戦略も国内戦略も恐ろしく巧みだと感じてます。

※「支払総額」は、記事執筆または取材した時点の当月に在庫掲載店舗の所在地で管轄内登録(届出)し、店頭で納車した場合の価格。
| 販売順位 | 2025年7月1日~2025年9月30日に販売された車種 | |
| 7位 | スズキ ハスラー | |
| 年式 | 販売シェア | 平均支払総額 |
| 2025年式 | 4.8% | ¥1,942,498 |
| 2024年式 | 9.1% | ¥1,828,908 |
| 2023年式 | 5.9% | ¥1,770,879 |
| 2022年式 | 7.3% | ¥1,632,530 |
| 2021年式 | 5.9% | ¥1,471,776 |
| 2020年式 | 13.5% | ¥1,423,746 |
| 2019年式 | 6.9% | ¥1,178,192 |
| 2018年式 | 10.5% | ¥1,074,274 |
| 2017年式 | 6.8% | ¥961,188 |
| 2016年式 | 9.7% | ¥942,058 |
| 2015年式 | 9.9% | ¥876,023 |
| 2014年式以前 | 9.7% | ¥819,207 |
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リセバ総研所長 床尾一法
新車販売が好調だから、中古車にも良質な在庫が豊富に流れてくると。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
そうですね。
昔のワゴンRも、新しいワゴンRハイブリッドも、コンパクトカーのソリオも、ラインナップ戦略はとても上手いと感じていますね。
他のメーカーがどんどん車種の統廃合を進めて減らしているなか、スズキは車種ラインナップを拡大し続けている。
最近ではSUVのフロンクスのような、これまでのスズキに持たれているイメージよりもちょっとサイズの大きなクルマも、グローバルな戦略車として売り出しています。そうした戦略は上手いと感じますね。
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リセバ総研所長 床尾一法
そうですね。
とても勢いのあるメーカーだと思います。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
スズキはインドだけでなくタイをはじめアジア各国に生産拠点があります。低いコストですぐに生産体制を整えられるという基礎はありました。
それにしても「やるなぁスズキさん」と。
クルマ屋の視点で現状の戦略を眺めていても、巧みな戦略だなぁと唸ります。
中古車の市場でも、ほとんどのゾーンで偏りなく(スズキ車の)需要があるっていうのが強い。
どのクルマもある程度の台数が新車で売れていて、ワゴンRのような人気車は圧倒的な販売台数がある。
その結果、中古市場にも豊富に在庫が流れてきていて、コスパも良い。「このモデルって在庫ないよね?」というのがほぼないのがすごいと思います。

※「支払総額」は、記事執筆または取材した時点の当月に在庫掲載店舗の所在地で管轄内登録(届出)し、店頭で納車した場合の価格。
| 販売順位 | 2025年7月1日~2025年9月30日に販売された車種 | |
| 33位 | スズキ ワゴンR | |
| 年式 | 販売シェア | 平均支払総額 |
| 2024年式 | 0.4% | ¥1,758,900 |
| 2023年式 | 0.4% | ¥1,448,000 |
| 2022年式 | 2.3% | ¥1,293,551 |
| 2021年式 | 2.3% | ¥1,070,010 |
| 2020年式 | 3.9% | ¥1,002,985 |
| 2019年式 | 7.4% | ¥902,534 |
| 2018年式 | 10.1% | ¥835,003 |
| 2017年式 | 10.1% | ¥868,551 |
| 2016年式 | 5.1% | ¥676,128 |
| 2015年式 | 8.6% | ¥549,022 |
| 2014年式以前 | 49.4% | ¥472,254 |
スズキ最大のライバル?ホンダ N-BOXの人気はまだまだ続く
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リセバ総研所長 床尾一法
現状の軽自動車市場を見ると、スズキにとっての最大のライバルはホンダのN-BOXです。
新車の販売も中古車の販売も、そして買取査定の件数も首位独走状態です。
さて、いつまでこの状況が続くと思いますか?
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
日本国内の軽自動車市場の大勢は崩れないでしょう。
N-BOXの人気はまだまだ続くと考えています。この先もしばらくは崩れないと思いますね。
完成度が高いのはもちろんですし、そもそもスーパーハイトワゴンが支配する軽自動車市場を作ったのは歴代のN-BOXですから。
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リセバ総研所長 床尾一法
かつてのプリウスのような、「無難な一択」での指名のブランドになっているのでしょうね。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
ええ。
既にかなりの販売台数を重ねているし、販売戦略も広告戦略もこの先ずっと力を入れていくでしょう。ある程度の新車販売台数も担保される。
そうなると、中古車市場にもどんどんクルマが流れてくるので、コスパの良さも担保されて、崩れることがないわけです。

※「支払総額」は、記事執筆または取材した時点の当月に在庫掲載店舗の所在地で管轄内登録(届出)し、店頭で納車した場合の価格。
| 販売順位 | 2025年7月1日~2025年9月30日に販売された車種 | |
| 2位 | ホンダ N-BOX | |
| 年式 | 販売シェア | 平均支払総額 |
| 2025年式 | 2.1% | ¥2,028,951 |
| 2024年式 | 5.7% | ¥1,973,177 |
| 2023年式 | 6.0% | ¥1,753,620 |
| 2022年式 | 9.6% | ¥1,630,469 |
| 2021年式 | 7.1% | ¥1,459,209 |
| 2020年式 | 12.3% | ¥1,380,892 |
| 2019年式 | 8.7% | ¥1,306,712 |
| 2018年式 | 12.9% | ¥1,188,639 |
| 2017年式 | 8.2% | ¥1,089,398 |
| 2016年式 | 6.9% | ¥895,297 |
| 2015年式 | 5.2% | ¥836,084 |
| 2014年式以前 | 15.4% | ¥699,026 |
※「支払総額」は、記事執筆または取材した時点の当月に在庫掲載店舗の所在地で管轄内登録(届出)し、店頭で納車した場合の価格。
N-BOXと真っ向勝負せずにセグメントをずらしたスズキの巧さ
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リセバ総研所長 床尾一法
N-BOX、盤石だなぁ・・・。クルマを選ぶ側の視点で見れば、首位を脅かすような存在の登場にもちょっと期待してしまいますけどね。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
それこそ、N-BOXと本気で勝負できるメーカーはどこかと言われたら、スズキなわけですよね。
(N-BOXと同じ系統と思える)「ワゴンRスマイル」というクルマもありますが、私個人としては本腰を入れているようには見えていない。
N-BOXに対抗するクルマを開発しているという話も聞いたことはないので、そこが動かないとちょっと厳しいでしょうね。

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リセバ総研所長 床尾一法
え?OKBさん的に競合は(ハイトワゴンの)「ワゴンRスマイル」ですか?同じスーパーハイトワゴンの「スペーシア」ではなく?
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
スズキ スペーシアは絶妙に顧客層が異なっていると考えてます。
中古車屋としての肌感覚ですが。
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リセバ総研所長 床尾一法
確かに、我が家がスペーシアギアを選択した際は、N-BOXと全く競合してませんでした。
スペーシアギア(先代MK53S型)のデザインとスタイリングで惚れ込んだので。
ただ、購入後は納車までの間は、ネットでN-BOXとの比較をしまくりましたよ(笑)
やはり立ち位置的にもスペック的にもスペーシアが競合と考えるのが一般的だと思いますが・・・
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
そういう所長の好みにマッチしたように、スペーシアは細かくターゲットが別れています。
N-BOXとは顧客層がそれほど被っていないという認識です。
そこで、ですよ。
スズキさんはここでも上手いなぁと思うのは、N-BOXからの買い替えニーズの受け皿が、普通乗用車の「スズキ ソリオ」なんですよ、実は。
ホンダのなかでN-BOXから買い替えようと考えると、候補に挙がるクルマがフリード。もしくはステップワゴンやオデッセイとなりますが、サイズも予算も大きなクルマになってしまう。
価格帯的にも、ちょうどいい買い替え候補がないのです。
それにソリオとソリオバンディットは(N-BOXにはない)マイルドハイブリッドを搭載していますし、実際にかなり売れていますね。

※「支払総額」は、記事執筆または取材した時点の当月に在庫掲載店舗の所在地で管轄内登録(届出)し、店頭で納車した場合の価格。
| 販売順位 | 2025年7月1日~2025年9月30日に販売された車種 | |
| 34位 | スズキ ソリオ | |
| 年式 | 販売シェア | 平均支払総額 |
| 2025年式 | 1.6% | ¥2,662,750 |
| 2024年式 | 10.7% | ¥2,282,867 |
| 2023年式 | 13.1% | ¥2,007,250 |
| 2022年式 | 6.0% | ¥1,748,947 |
| 2021年式 | 12.7% | ¥1,904,438 |
| 2020年式 | 7.5% | ¥1,512,501 |
| 2019年式 | 6.7% | ¥1,317,794 |
| 2018年式 | 14.3% | ¥1,284,229 |
| 2017年式 | 6.3% | ¥1,200,395 |
| 2016年式 | 11.1% | ¥1,005,060 |
| 2015年式 | 4.4% | ¥633,369 |
| 2014年式以前 | 5.6% | ¥540,069 |
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リセバ総研所長 床尾一法
なるほどぉ。
価格帯的にもソリオがN-BOXからのステップアップ先や比較検討の競合になると。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
恐らく、スズキはこれを戦略的にやっているのではないでしょうか。
ホンダのラインナップのなかでN-BOXとフリードの間にあるラインナップの空白をソリオで攻めて行ったと。
スズキは先手を打ってシェアを取っているので、ホンダは後発でソリオのシェアを奪うのは簡単ではないと思いますね。
(つづく)
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