日本の中古車は海外との奪い合い?中古車登録は増えているものの値段は下がらず

日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が8月13日に発表した7月の中古車登録・届け出台数は、前年同月比1%増の57万807台で、2カ月連続のプラスとなりました。

自販連がまとめた7月の中古車登録台数は0.3%減の32万1227台、全軽自協が発表した同月の軽中古車販売台数は3%増の24万9580台です。

新車供給の回復を受けて市場に流通する車両は着実に増えています。しかし、多くの消費者が期待する中古車価格の下落は起きていません。

その背景には、歴史的な円安も関係する、輸出バブルとも呼べるほどの海外需要の過熱があります。国内の消費者は今、世界中のバイヤーと中古車を奪い合うという、かつてない状況に直面しています。

【外部ライター】KY

中古車派のドライブ好きライター

家族を持ったことがきっかけで自家用車を購入し、子どもの誕生などライフスタイルに合わせて買い替えて今は3台目。旅行先ではレンタカーを借りて、いつもと違う車でのドライブを楽しんでいます。安全性と運転のしやすさ、デザイン重視。新車だと手が出ない車種に乗れるので中古車派。リセバ総研で書き始めてからは街で走っている車についつい目が行きます。日常とレジャーで年間1万キロほど走っている、一般的なカーユーザーの視点をお届けします。

国内市場:供給は回復基調、オークションも活況

まず国内市場の動向です。新車販売の正常化に伴い、下取り車が増加したことで、市場の中古車不足は緩和されつつあります。

 

総販売台数: 57万8,07台(前年同月比1.0%増)

普通車(登録車): 32万1,227台(同0.3%減)

軽自動車: 24万9,580台(同3.0%増)

  • 【外部ライター】KY

    供給増は、中古車オークションのデータにも明確に表れていて、市場が活発に動いていることを示しています。

なぜ価格は下がらないのか?円安が招いた「輸出バブル」

国内の流通量が増えているにもかかわらず、中古車価格は高止まりしています。

  • 【外部ライター】KY

    その根本原因は、海外バイヤーによるすさまじい買い付け、すなわち「輸出バブル」だと言われています。

このバブルを引き起こしている要因の一つは円安です。海外のバイヤーにとって日本の中古車は質の良さからみると、バーゲンセール状態。円安という強力な追い風を受け、品質が高く耐久性のある日本の中古車は、海外で圧倒的な価格競争力を持つに至っています。特に、海外で人気の高いSUVや「ランドクルーザー」「ハイエース」といった特定車種は、国内価格を大きく上回る金額で落札されることも珍しくありません。

スリランカが2025年2月、約5年ぶりに自動車とバイクの輸入を再開したことも影響があると言われています。2025年上期の輸出額は469億円と最高水準に達したため、日本の中古車相場を上昇させる要因になると見られています。スリランカではもともと日本メーカーの自動車人気が高く、2015年と2018年には中古乗用車の金額ベースでの最大の輸出先がスリランカだったこともあります。ちなみに、日本と同じ左車線で右ハンドルです。

国内消費者は「グローバルな価格」での競争を強いられる

現在の状況をまとめると以下のようになります。

  1. 国内の中古車供給は回復:新車販売の回復で、中古車の流通は増えている。
  2. 海外需要が異常過熱:円安を燃料に輸出バブルが発生し、海外バイヤーがオークション価格を押し上げている。
  3. グローバルな争奪戦:結果として、日本の消費者は自国の中古車を、世界中のバイヤーと同じ土俵で競って購入せざるを得ない状況にある。

まとめ

今後、この「輸出バブル」が落ち着き、中古車価格が安定に向かうには、少なくとも円安トレンドの転換が大きな条件となります。それまでは、国内の供給が多少増えたとしても、海外の旺盛な需要が価格を下支えし続ける可能性が高く、消費者にとっては我慢の時期が続きそうです。