技術革新が進むEVやハイブリッド車を解説!最新のエコカーとその未来とは?[前編]

2030年のカーボンニュートラル実現に向けて、自動車業界は大きな転換期を迎えています。従来のガソリンエンジン車から、電気モーターを搭載したハイブリッド車やEVへのシフトが加速する中、エコカーの種類を表す「EV」「HV」「PHEV」といった名称を目にする機会も多くなってきました。最新のハイブリッド車は驚異的な低燃費を実現し、EVは航続距離を続々と更新。さらに、充電インフラの整備も着々と進んでいます。本記事では、エコカーの種類や最新技術を解説し、あなたの次の一台選びをサポートします。

【外部ライター】YA

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電車移動が基本の都内で生まれ育ってきたため、いままで触れてこなかったクルマの知識を猛勉強。自動車市場のアレコレを調べながらレポートします。

最新エコカーの種類と特徴を比較

EV(電気自動車)の航続距離の不安は解消されつつある

EVとはElectric vehicle(エレクトリック ビークル)の略で、電気モーターだけで動く自動車、つまり電気自動車のことを指します。

ガソリンエンジンを搭載していないため、公共の充電スタンドや家庭用の充電設備で、車載バッテリーに充電します。その電気代はガソリン代に比べて2分の1ともいわれ、コストパフォーマンスに優れているとともに、走行時に二酸化炭素を排出しないので、環境性能はエコカーの中でもトップクラスです。

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    代表的なEVには、日産 リーフ・アリア・サクラ、トヨタ bZ4X、三菱 ekクロスEV、レクサス UX300e、ホンダ N-VAN e:、テスラなどがあります。

最新のEVは、従来の課題であった航続距離と充電時間の面で大きな進化を遂げています。代表的なEVの一つである日産リーフの初期モデルはバッテリー容量が24kWh、航続距離がJC08モードで200㎞という設定であったのに対し、現行モデルは40kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、JC08モードで400kmの航続距離を実現しています。

航続距離と充電時間をより使いやすく改善するためには、バッテリー性能の向上が欠かせません。各メーカーは、バッテリーの大容量化・小型化のほか、運転中に発生するエネルギーを電力に変換する技術など、独自の航続距離延長技術の開発を続けており、実用的な走行距離の確保を目指しています。

HV(ハイブリッド車)は燃費性能が年々向上

HVとはHybrid Vehicle (ハイブリット ビークル)の略で、ガソリンエンジンと電気モーターの2つの動力を持つ自動車のことです。日本ではハイブリッド車という呼び名が広く知られています。

ハイブリット車は、エンジンとモーターを効率よく使い分けて走行するのが特徴で、従来のガソリン車に比べて燃費がよく、環境性能が高いとされています。

ハイブリット車には大きく分けて、「パラレル式」「シリーズ式」「パラレルシリーズ式」の3つの種類があります。パラレル式ハイブリットは、エンジンを主な動力として、発進時や加速時などにモーターがアシストする方式です。シリーズ式は、エンジンが発電機の役割を担って、モーターを主な動力とし走行します。パラレルシリーズ式は、走行状況に合わせて2つの動力を、エネルギー効率を最適化できるよう使い分ける方式です。

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    代表的なHVには、トヨタ プリウス・アクア、日産 セレナ・エクストレイル、ホンダ フリード・フィットなどがあります。

最新のハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターを高度に制御し、驚くべき燃費性能を実現しています。

ハイブリット車の中でも燃費の良さに定評がある、トヨタ ヤリスX(2WD)は、WLTCモードで36.0km/Lという優れた燃費性能を達成しています。そのほかの車種でも、ハイブリット車のカタログ燃費は30 km/L前後であることが多くなっています。

この背景には、エンジンとモーターの協調制御技術の進化があります。発進時は電気モーターの力強いトルクを活用し、高速走行時はエンジンの高効率域で運転するなど、状況に応じて最適な動力源を選択することで低燃費が実現されています。

EV・HV両方の機能を持つ PHEV(プラグインハイブリッド車)

PHEVはPlug-in Hybrid Electrical Vehicleの略で、プラグインハイブリッド車とも呼ばれる自動車で、メーカーによってはPHVと表記されることもあります。

プラグインハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターを併せ持つハイブリッド車で、充電できる機能がある自動車です。エンジンだけ、モーターだけでも走行することができ、必要に応じて使い分けることができるのが最大の特徴。通勤などの日常的な短距離移動は電気モーターで走行してコストを抑えることができ、休日のレジャーなど長距離移動は、エンジンを併用したハイブリッドモードで走行できるため充電切れの心配もありません。

バッテリー充電は、公共の充電スタンドや家庭用の充電設備で行い、エンジン使用時のためにガソリンスタンドでの給油も必要です。燃料費の面でも、電気とガソリンを効率的に組み合わせることで、年間の維持費を大幅に抑制できます。さらに、夜間電力を活用すれば、さらなるランニングコストの削減も期待できます。

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    PHEVの代表的な車種には、トヨタ プリウスPHV・RAV4 PHEV、三菱 アウトランダー PHEV、レクサス NX450h+などがあります。

エコカーの維持費は安い?コスパを分析

エコカーの種類別に維持費を比較

  • 【外部ライター】YA

    エコカーはガソリンの消費が少なく済むため、燃費も抑えられるとされています。エコカーの種類別に維持費を考えてみましょう。

EV(電気自動車)は、ガソリンを使わずに走行できるため、ガソリン代ではなく電気代が維持費としてかかります。年間の電気代は、ガソリンエンジン車の2分の1程度になるといわれており、燃費は大幅に削減できるといえます。

一方、ハイブリッド車(HV)のバッテリーの電力は、静動時に発生するエネルギーを変換するなどして充電されるため、電気代はかかりません。
一例として、アルファードZ(2WD)のWTCLモードの燃費を比較してみると、ガソリン車は10.6km/L、ハイブリッド車は17.7 km/Lで、ハイブリッド車のほうがガソリン1リットルあたり約1.7倍の距離を走れる計算です。つまり、ガソリン車で年150,000円の燃料費がかかっている人が、ハイブリッド車に乗り換えるとガソリン代を90,000円程度に抑えられることになります。

プラグインハイブリッド車(PHV/PHEV)は、ガソリンエンジンと電気モーターの2つを使って走行する自動車で、それぞれ給油と充電が必要です。短距離移動では電気モーターのみで走行できますが、長距離を移動した時など充電が足りなくなると、ガソリンエンジンと併用するハイブリッドモードになり、ガソリンを消費します。

多くのプラグインハイブリッド車は、十分充電されていれば50㎞ほど走ることができるため、普段、短距離の移動が多い場合は、ガソリンをほとんど消費せず、バッテリーの充電にかかる電気代が主な維持費と考えられます。

反対に、週末に遠出する機会が多い場合や、高速道路をよく利用する場合などは、ハイブリッド車と同等のガソリン代がかかる可能性もあります。ブラグインハイブリッド車はこのように、使用状況によって維持費に違いが出やすいため、コスパを比較する時には、どのように使うのかを詳しく考えておく必要があります。

エコカーの補助金制度と税制優遇

  • 【外部ライター】YA

    エコカー補助金制度として有名な制度に、CEV(Clean Energy Vehicle)補助金があります。

CEV補助金は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などの新車購入後に申請すると、車両の環境性能に応じた補助金が受けられという制度で、電気自動車(EV)は最大85万円、プラグインハイブリッド車(PHEV)は最大55万円が補助金の上限となっています。

CEV補助金は国の制度ですが、同様の補助金制度を行っている自治体もあります。新車を購入する予定のある人は、居住地の自治体の制度についても確認してみましょう。
補助金のほかに、環境性能の高いエコカーは、エコカー減税やグリーン化特例といった税制上の優遇措置がとられています。

  • 【外部ライター】YA

    エコカー減税とは、環境性能の高い自動車に対して「自動車重量税」を減免する制度です。

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を購入した場合は、新車登録時と初回の車検時に納める自動車重量税が100%免税されます。また、ハイブリッド車を含むガソリン車は、初回車検時に納める自動車重量税が、燃費性能に応じて決められた割合で減額されます。

  • 【外部ライター】YA

    グリーン化特例とは、クルマの所有者に課される自動車税(種別割)について、対象となるクルマの新規登録などを行った場合に、翌年度の支払い分が減税となる制度です。

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)は概ね75%が減額されます。ハイブリッド車を含むガソリン車は、営業車のみ対象で、自家用車は対象外となっています。

新車・中古車に関わらず自動車の購入時に課税される環境性能割は、燃費の達成基準に応じて税率が決まります。税率は購入費用の0~3%となっており、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)は非課税、ハイブリッド車を含むガソリン車は、燃費の達成率に応じて1%から3%が課税されます。