クルマ購入の補助金制度や仕組みを徹底チェック 【調べてみた】新車購入時に得する「エコカー補助金」徹底ガイド(2025年4月版)

今年の夏のボーナスに合わせて新車の購入を検討されている方の中には、リセールバリューの高いクルマをできるだけコストを抑えて購入したいと考えている方も多いのではないでしょうか。新車購入時のコストを抑える方法にはいくつかありますが、中でも電気自動車やハイブリッドカーといった「エコカー」を検討している人にチェックしていただきたいのが、国や自治体の「補助金」です。今回は、エコカー購入に活用できる補助金制度についてご紹介します。

小さい頃からのクルマ好きで、大学生で免許を取ると貯めたバイト代で中古車をすぐに購入。以来、年間数万キロを走り回って無事故を維持していることを密かな誇りにしている。趣味は、ドライブ旅行とモータースポーツ。カメラを持ってサーキットに行くと流し撮りに命を懸ける。一般ドライバーの視点で、カーライフとリセールバリューの「これってどういうこと?」を紐解いていきます。

エコカー補助金は国・都道府県・市区町村の“三階建て”!対象車種にご注意を!

  • 【クルマ大好きライター】井口裕右

    まずは、いわゆる「エコカー補助金」の建付けについて紹介しましょう。エコカー補助金は、下記の3種類に分かれています。

     

    (1)国が全国で展開する補助金
    「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」

    (2)都道府県が行っている補助金制度

    (3)市区町村が展開する補助金制度

例えば、自分が住んでいる地域で自治体が独自のエコカー補助金を展開している場合には、最大で「国のCEV補助金」「都道府県の補助金」「市区町村の補助金」をそれぞれ受けることができます※。3種類の補助金によって、新車購入のコストは大幅に削減できると言えるでしょう。
(※地方自治体の補助金については適用条件などを必ずご確認ください。)

しかし、ここで注意して欲しいのは補助の対象となる「エコカー」の定義です。

  • 【クルマ大好きライター】井口裕右

    国のCEV補助金の場合、補助の対象となるのは、「電気自動車(EV)」「燃料電池自動車(FCV)」「プラグインハイブリッド自動車(PHEV)」の3種類。

    一般的には「エコカー」とイメージできる「ハイブリッド車」は対象外となっているので注意が必要です。

CEV補助金の対象車種と補助金の金額については、「一般社団法人 次世代自動車振興センター」がウェブサイトで公開していますので、購入を検討しているクルマが補助金の対象か、補助金はいくらになるかを事前にチェックしましょう。

ちなみに、日本車だけでなくアウディやテスラ、BYDといった海外メーカーのクルマも対象となります。

詳しくは「一般社団法人 次世代自動車振興センター」のHPをチェック
  • 【クルマ大好きライター】井口裕右

    さらに、地方自治体の補助金については補助の対象となるエコカーが自治体によってバラバラです。

「電気自動車(EV)」のみを補助の対象にしているケースもあれば、「電気自動車(EV)」と「燃料電池自動車(FCV)」を補助の対象にしているケースも、外部給電機能を備えた「電気自動車(EV)」と「プラグインハイブリッド自動車(PHEV)」を対象にしているケースもあります。

なかには、クルマの購入ではなく電気自動車の充電設備の設置に対する補助のみを行っている自治体もあります。お住いの都道府県と市区町村で購入を検討しているクルマを対象とする補助金があるか、検討段階で必ず調べてみるようにしましょう。

*2025年度の補助金については必ず自治体のウェブサイトをご確認ください

補助金を活用すると、どれくらいのコスト削減になる?

それでは、実際に補助金を活用するとどれくらいのコスト削減になるのでしょうか?

  • 【クルマ大好きライター】井口裕右

    国のCEV補助金については、

     

    「電気自動車(EV)」上限85万円、
    「軽電気自動車(軽EV)」上限55万円、
    「プラグインハイブリッド自動車(PHEV)」上限55万円、
    「燃料電池自動車(FCV)」上限255万円

    となっています。

注意すべきは2点。まずは、電気自動車(EV)と軽電気自動車(軽EV)で補助金の上限が違う点です。

例えば、日産には「リーフ」「アリア」「サクラ」と電気自動車が3車種ありますが、この中で「サクラ」だけは「軽電気自動車(軽EV)」にあたるため補助金は最大55万円となります。また、税抜メーカー希望小売価格が840万円を超えるクルマについては、補助額に0.8を掛けた金額が実際の補助額になるため、高額のクルマを購入する際には注意しましょう。

さらに今年度は、従来のCEV補助金に加えて、環境負荷の低い鋼材(グリーンスチール)の導入状況に応じて最大5万円(軽EVの場合は最大3万円)の補助を加算する制度が新設されました。この加算額を含めたCEV補助金の金額は、車種ごとに公開されているため、購入を検討しているクルマの補助金額は事前にチェックするようにしましょう。

一方で、地方自治体の補助金は自治体によって金額や算定方法に大きな違いがあります。

例えば、東京都の「ゼロエミッションビークル(ZEV)車両購入補助金」の場合は、補助金額は環境対策の取り組み、車両ランナップ数、販売実績などを元にメーカーごとに補助金額が決められています。

国内メーカーの電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド自動車(PHEV)については、日産が50万円、トヨタが45万円、ホンダ・マツダ・三菱が40万円、スバルが30万円と金額に開きがあります。

一方、市区町村についても補助金の対象車種や金額には違いがあり、クルマの種類によって定額の補助金を出している場合もあれば、「CEV補助金の何割」という形でCEV補助金を基準に補助金額を算出するケースもあります。

都道府県単位での補助金制度がない場合でも、市区町村では補助金制度を展開しているという地域もあるため、お住まいの市区町村で補助金制度があるかは必ずチェックしてみましょう。

なお、市区町村の補助金制度では「申請時点で市税を滞納していないこと」という適用条件があるケースが散見されるため、ご注意ください。

  • 【クルマ大好きライター】井口裕右

    地方自治体の補助金で注意したい点は、自治体のよって補助金の開始時期がバラバラだという点です。

例えば、先ほど紹介した東京都の補助金は2025年4月28日に申請受付を開始するとしていますが、一方で埼玉県の補助金「埼玉県電気自動車等導入費補助金事業」については、申請の受付開始時期などの詳細について「5月中旬に公表予定」としています。

自治体の補助金開始時期に合わせてクルマの購入時期を検討してもよいかもしれません。

補助金は「値引き」ではありません!補助金の予算総額にもご注意を!

ここまで、国と地方自治体の補助金制度についてご紹介してきましたが、補助金について覚えておきたい大切なことは、「補助金はクルマを買ったあとに自分で申請する」という点です。

  • 【クルマ大好きライター】井口裕右

    つまり、補助金は「クルマを購入する際の値引き」ではなく「クルマの購入後に返ってくるお金」であることから、新車購入時の値引きと勘違いしないように注意しましょう。

また、申請の方法などについてはカーディーラーがサポートしてくれるケースもありますが、原則として申請はクルマを購入した人が自分で行う必要があるため、事前に申請方法や申請に必要な書類などを確認しておくとスムーズです。

そして、地方自治体の補助金制度については「国のCEV補助金の交付対象になっていること」を適用条件にしているケースも見られるため、申請の順序としてはまず「国のCEV補助金」を行い、補助金の交付が決定してから地方自治体の補助金制度に申請するのがよいでしょう。それぞれの補助金には新車購入時(新車登録時点)からの申請期限があるため、申請期限切れとならないようご注意ください。

最後に、国のCEV補助金制度、地方自治体の補助金制度でそれぞれ、補助金の予算には上限があります。国のCEV補助金については、2025年度の予算は1,100億円で、2024年度の1,291億円から減額となりました。国、地方ともに補助金は「先着順」が原則なので、購入予定時期が近づいてきたら予算が上限に達していないかを必ず確認するようにしましょう。

まとめ

ご紹介した通り、環境負荷の低い電気自動車やプラグインハイブリッド車、燃料電池車、低燃費・低排出ガス車などの普及を目指して、国や自治体では様々な補助制度を設けています。クルマの購入を検討されている方は、検討しているクルマのリセールバリューと共にこうした補助制度についても調べてみるようにしましょう。