東京で新生活をスタート!クルマを買う場合、毎月どれくらいの支出になる?

新生活がスタートする季節になりましたね。東京で新生活を始める新卒者の方も少なくないのではないでしょうか。そして、中には、東京ライフを満喫するためにクルマが欲しいという方や通勤や仕事でクルマが必要という方もいるはずです。とはいえ、新卒者でクルマを買うとなると、お金の面でいろいろと心配なはず。そこで、今回はクルマを購入する場合、どんな費用がかかるのか、また、クルマを購入する場合に注意しておきたいポイントを解説します。

(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー
クルマの購入金額の目安はどれくらい?
カーライフを満喫したいと思っても、新卒者の場合、お給料も高くなく、貯蓄もほとんどないケースが多いため、高額なクルマを購入するとなるとお金面で心配になる方は多いことでしょう。
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【お金のプロ】高山 一恵
そもそも「どれくらいの金額のクルマを購入して良いかわからない」という方も多いと思いますが、購入金額の目安は、「年収の半分以下」と言われています。
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厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、大卒の初任給は、平均約24万円、専門学校や短大卒で約20万円となっています。つまり、新卒者の平均年収は240万円程度となります。つまり、年収240万円の場合、購入金額の目安は120万円以下ということになります。
クルマは高額ですから、ほとんどの方は、ローンを借りて購入することになりますが、購入金額の目安が120万円以下だからといっても、銀行などの金融機関がどれくらいお金を貸してくれるのかは、年収や信用状況、金融機関などにより違いがあります。一般的には、年収の30〜40%程度が目安と言われています。
ですから、年収240万円の場合、借入可能金額は72万円〜96万円となります。仮に120万円のクルマを購入するとしたら足りない分は頭金で準備する必要があります。
新車の場合はクルマ本体の費用の他にも「登録料」「納車費用」「車庫証明費用」「検査登録手続き費用」「希望ナンバープレート代」などの諸費用がかかります。詳しくはコチラで解説されていますので参考にしてください。
また、中古車の場合は諸経費を含んだ「支払総額」の表示が義務化されていますので、別途オプションプランなどを除けば、基本的には店頭で表示されている価格で購入して乗りはじめることができます。
では、年収240万円の方が支払総額100万円のクルマを頭金なしでローンを借りてクルマを購入する場合、毎月の返済金額はどれくらいになるのか見てみましょう。
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【お金のプロ】高山 一恵
下記にシミュレーション結果の図表を掲載しています。カーローンの金利は、どこで借りるかによって大きな違いがあります。銀行などの金融機関のローンなら1〜5%程度、ディーラーなどで用意されている信販会社のローンの場合、3〜10%程度になります。
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金利の低いところで借りることができれば、毎月の返済負担額や総支払の金額も少なくなるのでベストですが、金利が低い機関は審査が厳しく、金利が高い機関は審査が緩い傾向にあります。

仮に100万円を5%の金利で8年間借りた場合には、月々の返済額は1万2000円程度になります。長く借りれば総返済額は多くなりますが、お給料が少ないうちは、毎月の負担金額を小さくするためにも長期間で借りる方が良いでしょう。お給料が上がり、家計に余裕がでてきたら、繰上げ返済するなどして、ローンを早く完済することも検討しましょう。
クルマの購入後に継続的にかかる「維持費」に注意
クルマを購入すると、毎月のローンの支払いだけでなく、継続的に「維持費」もかかります。
維持費は、購入する車種や住む環境、走行距離などによって異なりますが、購入後、ずっと支払う費用なので、注意が必要です。主な維持費の項目を見てみましょう。
・自動車税/軽自動車税
自動車税も軽自動車税も毎年4月1日時点でクルマを所有している方に課される税金です。
自動車税は、クルマの排気量によって税金が異なりますが、軽自動車税は、クルマの排気量による税金の差はありません。
なお、電気自動車やハイブリッドカーなど、燃費性能に優れたクルマは「グリーン化特例」の対象になり、税金の優遇が受けられます(2026年3月31日まで)。中古車も対象になります。
・自動車重量税
クルマの重量に対して課され、車両の重量が増えるほど、税金が上がります。自動車重量税は、
クルマの新車新規登録と継続車検のタイミングでまとめて納付します。
なお、電気自動車やハイブリッドカーなど、燃費性能に優れたクルマは「エコカー減税」の対象になり税金の優遇が受けられます(2026年4月30日まで)。中古車も対象になります。
・自賠責保険料
法律によってクルマの所有者全員に加入が義務付けられている保険です。どの保険会社で加入
しても金額は一律です。
・任意保険料
法的な義務はありませんが、自賠責保険では補償されないリスクをカバーするために加入
することが一般的です。補償内容により保険料の金額は異なります。
・車検費用
法律によって定められた定期検査のことで、2年に一度(新車購入時は3年後)行います。
車検切れのクルマは公道を走行することはできません。
・点検・整備費用
タイヤやバッテリー、エンジンオイルといった消耗品の交換費用やクルマが故障した時の修理
代、車検以外の点検費用などがあります。
・ガソリン代
クルマを走行するために日常的に必要になります。
・駐車場代
自宅に車庫があるなど、クルマを保管するスペースがあれば問題ありませんが、ない場合には、駐車場代が必要になります。
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【お金のプロ】高山 一恵
年間の維持費の目安は、車種などにより違いがありますが、三井ダイレクト損保調べによると、軽自動車で25万円程度、コンパクトカーで30万円程度、ミニバン、ワゴンで35万円程度です。
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つまり、先ほどの100万円のクルマを購入した場合のローンの例でいうと、毎月のローンの返済金額と合わせて毎月3万円〜4万円程度、クルマの費用としてかかることになります。
憧れの東京ぐらし、クルマのある生活のためには無理のない返済計画を!
では、実際に東京に住みながらクルマを購入するとなると、どのような家計の状況になるのでしょうか。
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【お金のプロ】高山 一恵
東京は国内の中でも特に物価が高いエリアですが、もっとも高いのが「家賃」です。
全国の賃貸物件の仲介・管理会社で作る「全国賃貸管理ビジネス協会」によると、2024年時点での東京の1部屋の家賃の平均は約7万5000円となっています。
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クルマの費用が毎月3万〜4万円かかるとすると、家賃とクルマの費用を合わせると、毎月10万円〜11万円程度かかることに。
上記でお伝えしたように、大卒の方の初任給の平均が24万円程度ですから、税金、社会保険料などを考慮すると、手取り金額は20万円程度。つまり、お給料の半分を家賃とクルマの費用で占めることになります。残りのお金で食費や日用品費、水道光熱費、貯蓄などを賄うことになるので、家計に余裕があるとは言えないでしょう。
クルマを購入するときには、目先のローンばかりに意識が行きがちですが、諸費用や維持費も含めてトータルで返済計画を考えることが大切です。
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【お金のプロ】高山 一恵
東京で新卒時にクルマを購入したいということであれば、新車ではなく中古車を検討して購入するクルマの予算を下げる、維持費を安くできるようなクルマを選ぶ、ローンを借りる機関やローンの組み方をきちんと検討するなどして、費用を下げる努力をすることが大切です。
クルマの購入にこだわらなければ、必要な時だけレンタカーを借りる、「カーリース」や「サブスク」といったサービスを利用して定額で長期間クルマを借りるといった選択肢もあります。
クルマは高価な買い物ですから、家計の状況を把握して、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。