自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長によるトヨタのSUV大研究!特徴や違いは?おすすめグレードはどれ? トヨタSUV購入ガイド&リセールバリュー(3)ランドクルーザー70/ランドクルーザー300&250

トヨタは、国内最多SUV車種を誇っているメーカーだ。国内で販売されているトヨタの乗用SUVは、なんと11車種にもある。
ちなみに、トヨタのカテゴリー別車種数(2025年1月調べ)を見てみると、コンパクト4車種、ミニバン6車種、セダン5車種、ワゴン2車種となっていて、圧倒的にSUVの車種数が多いことが分かる。
これだけ車種が多いと「なにがどう違うのか? よく分からない?」という人も多いはず。

トヨタSUV購入ガイド&リセールバリュー(3)では、トヨタのランドクルーザー70/ランドクルーザー300/ランドクルーザー250各車種の特徴や違い、中古車相場からリセールバリュー、おすすめグレードなどを徹底解説する。ハリアーやヤリスクロス、ライズ、クラウンクロスオーバー、クラウンスポーツ、bZ4Xなど別のトヨタSUVについては、別記事を参照いただきたい。

【自動車情報のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

トヨタ ランドクルーザー70について

ボディサイズ(全長×全幅×全高):4890×1870×1920mm
搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L):
・2.8Lディーゼルターボ 204/500 10.1
新車価格帯:4,800,000円
中古車相場:2024年式 約870~900万円

トヨタ ランドクルーザー70の特徴

ランドクルーザー70は、自動車界のシーラカンス的存在。デビューは1984年と、すでに41年が経過している。ランドクルーザー70は、これほどの長い期間、モデルチェンジが行われず生き続けた驚異の長寿モデルだ。
一旦、日本では2004年に販売を終了したが、ランドクルーザー70の復活を望むファンの要望に応え、誕生30周年を記念して、2014年に期間限定で再版された。このときに発売されたモデルは、バンとピックアップだった。

ランドクルーザー70は、ランドクルーザーシリーズの中で最もヘビーデューティな役割を担うモデル。2023年11月の再販に伴い、信頼性・耐久性・悪路走破性など70らしさはそのままに、保安基準に適合させ、パワートレーン、操縦安定性、デザイン、安全性能を大幅にアップデートした。

このアップデートは、かなり大幅なもの。70らしさを崩さないように最小限の変更にとどめている。とくに、衝突被害軽減ブレーキなどの予防安全装備「トヨタセーフティセンス」を装備することなどもあり、電子プラットフォームは刷新されている。
搭載エンジンは、直4 2.8Lディーゼルターボ。最高出力は204㎰、最大トルクは500Nmをアウトプットする。車重は2300㎏と少々重いが、十分な動力性能を誇る。ミッションは6速ATのみ設定だ。

このランドクルーザー70、クラシカルなデザインの中にモダンさもプラスされている。年配者には懐かしさ、若年層には斬新さを与え、幅広い層に支持されるデザインとなった。
ただし、ランドクルーザー70に乗るには「覚悟」が必要。それは、ランドクルーザー70が、ヘビーデューティ4WDであること。その走りは、かなりクセが強い。

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    高速道路では、エンジンの回転が高めになり、遮音・吸音も最低限といった印象で、なかなか賑やか。乗り心地も少々物足りない。ハンドリングもグニャグニャした感じ。さらに、最小回転半径は6.3m! 狭い道や駐車場では、かなり苦戦する。

2014年に再販されたモデルと比べると、圧倒的によくなっているものの、まさに悪路を走るために特化したモデルであることがよく分かる。最近のSUV並みの走行性能を期待すると、きっと驚くだろう。こうしたマイナス要因さえも受容できるか否か、それには覚悟が必要。その覚悟があれば、ランドクルーザー70への愛は、より深まるはずだ。

トヨタ ランドクルーザー70のおすすめ中古車は?

ランドクルーザー70の中古車相場(2024年式)は、新車価格比では約187%超(2025年3月6日時点)と、新車価格の2倍近くの中古車価格になっている。転売が目的か?と思われるような登録済み未使用車も流通しており、ここまで高値だと中古車として買うことに戸惑ってしまう。資金に余裕があって、「とにかく今すぐランドクルーザー70に乗りたい」という人向けで、一般ユーザーには手を出しにくい中古車流通価格だろう。

ランドクルーザー70は、AXグレードのみの設定。搭載エンジンも2.8Lディーゼルターボのみ。メーカーオプション設定もない。純正ナビとオーディオのみが、販売店オプションとして設定されている。なので、AXグレードに純正ナビとオーディオが装備されている車両がおすすめとなる。

リセールバリューは非常に高い状態を維持?

ランドクルーザー70のリセールバリューは、非常に高い状態を維持する可能性が高い。月販基準台数が400台/月と非常に少ない状態であることや、2014年に再販されたランドクルーザー70の中古車相場(2015年式)は、10年落ち(2025年比)でも約500~640万円と高値を維持しているからだ。この中古車価格は、新車価格の約143~178%を維持している。新車価格で買えているのであれば、長期間乗っても高値で売却でき、大きなメリットとなるだろう。

トヨタ ランドクルーザー300について

ボディサイズ(全長×全幅×全高):4985×1980×1925mm(ZX)
搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L):
・3.3Lディーゼルターボ 309/700 9.7
・3.5Lガソリンターボ 415/650 7.9
新車価格帯:5,100,000~8,000,000円
中古車相場:2023年式 約950~1200万円

トヨタ ランドクルーザー300の特徴

初代ランドクルーザーは、1951年に登場。すでに、70年以上本格オフローダーとして歴史を積み重ねてきた。そんなトヨタブランドのフラッグシップSUVであるランドクルーザー300が14年振りにフルモデルチェンジしたのが2021年8月。
その卓越したオフローダーとしてパフォーマンスや、ラグジュアリーなインテリアなどが高く評価され、発売直後から世界中で大ヒットした。その結果、早々に受注が停止され、現在(2025年2月)も受注停止中だ。

ランドクルーザー300は、「どこへでも行き、生きて帰ってこられること」を使命とし、その本質である「信頼性・耐久性・悪路走破性」を鍛えた。プラットフォーム(車台)は、伝統のラダーフレームを継承しながら、最新のGA-Fプラットフォームを開発。従来型比+20%も高剛性化された。さらに、約200㎏もボディが軽量化されている。悪路走破性能も大幅に向上している。

搭載されたエンジンは、V6 3.3LディーゼルターボとV6 3.5Lガソリンターボの2タイプ。それぞれ10速ATと組み合わされる。
また、ランドクルーザーと言えば、世界中で人気なこともあり盗難件数ナンバー1の常連。盗難対策として、トヨタ初となる指紋認証スタートスイッチが採用されている。

トヨタ ランドクルーザー300のおすすめ中古車は?

受注が停止されていることもあり、ランドクルーザー300の中古車相場は、1年落ち(2025年2月比)の2024年式で新車価格比の2倍近い価格になっている。やや中古車価格はさがっているとはいえ、この傾向は、2023年式でも同じ。2年落ちとなった2023年式の中古車相場でも、新車価格比で約150~186%という大幅な新車価格越えを維持している。
もはや、ランドクルーザー300は、予算に余裕があり、とにかくすぐ欲しい人のためのモデルとなっている。

専用チューニングのGR SPORT

ランドクルーザー300のおすすめグレードは、3.3Lディーゼルターボエンジンを搭載したGR SPORTだ。700Nmという大トルクをアウトプットするエンジンなので、街中から高速道路、オフロードなどシーンを問わず走りやすい。さらに、GRによりチューニングされたサスペンションやGR専用内外装など、スポーティさが大幅にアップしているのもポイント。乗り心地も基準車よりも快適でありながら、悪路走破性も高い。中古車流通台数が少ないことから、リセールバリューも高値を維持し続ける可能性が高い。

■ランドクルーザー300 GR SPORT中古車相場(2023年式):約960~1300万円
■ランドクルーザー300 ZX中古車相場(2023年式):約950~1200万円

トヨタ ランドクルーザー250について

ボディサイズ(全長×全幅×全高):4925×1980×1935mm(ZX)
搭載エンジン種類 最高出力(㎰)/最大トルク(Nm) 燃費(㎞/L):
・2.8Lディーゼルターボ 204/500 11.0
・2.7Lガソリン 163/246 7.5
新車価格帯:5,200,000~7,350,000円

中古車相場:2024年式 約770~980万円

トヨタ ランドクルーザー250の特徴

ランドクルーザー250は、ランドクルーザー プラドの後継モデルとして2024年4月に発売が開始された。ラダーフレームは、ランドクルーザー300と同じGA-Fプラットフォームを採用。そのため、250はプラドより、ボディサイズがひと回り大きくなった。300と共通のプラットフォームを採用したことで、ボディサイズはほぼ300と同等になっている。

そのため、300と250ではキャラクターを明確にした。250はヘビーデューティ系の70とラグジュアリー系の300との中間に位置するためライトデューティ系としている。
搭載されるエンジンは、70と同じ直4 2.8Lディーゼルターボと直4 2.7Lガソリンの2タイプ。2.8Lディーゼルターボが8速AT、2.7Lガソリンが6速ATと組み合わされる。

2.7Lガソリン車の車重は2240㎏と重い。246Nmという最大トルクでは、少々アンダーパワー気味に感じる。2.8Lディーゼルターボの最大トルクは500Nmもあるので、余裕ある走りが可能。

また、プラットフォームが最新のGA-Fということもあり、70のようなクセの強さは影を潜め、モノコックボディのSUVに近い乗り味となっている。運転しやすいし、違和感もあまりない。250の最小回転半径は6.0mと大きいが、70よりは小回りが効く。狭い道路が多い日本では、少々苦労するがなんとかなる範囲だろう。

トヨタ ランドクルーザー70のおすすめ中古車は?

装備充実、走行性能にこだわるならZX一択

ランドクルーザー250のグレードは、エントリーグレードのGX、中間グレードのVX,上級グレードのZXという3グレード構成になっている。ディーゼル車がメインで、2.7Lガソリン車は、中間グレードのVXにのみの設定だ。また、GXのみ5人乗りで、その他は7人乗りとなっている。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    250は、グレード間の新車価格差が大きいのが特徴。GXとVXの価格差は110万円。VXとZXの価格差は105万円となっている。そのため、装備の格差が大きい。GXは、シンプル装備に徹しているため、選択肢から外した方が無難。

中間グレードのVXか、それとも最上級のZXかという選択になる。この選択では、ZXがおすすめ。新車価格差が105万円もあるので、その差は大きい。とくにZXには、VXには無い悪路走破性を向上させるメカニズムが多く搭載されている。

たとえば、ZXにはスイッチでフロントスタビライザーのロック/フリーを切り替え可能なSDMや、電動リヤデフロック、マルチテレインセレクトが標準装備。豪華装備類では、セカンドシートのシートヒーター&ベンチレーション、おくだけ充電、JBLプレミアムオーディオ、マルチテレインモニターなどが装備され、運転支援機能もより高度な機能もプラスされている。250がオフローダーであることを考えると、より悪路走破性を高める機能が装備されているZXがおすすめとなる。

ただし、下記のようにZXとVXの中古車相場も、新車価格並みの開きがある。価格差が大きいので、予算重視ならVXという選択になる。
■ランドクルーザー250 ZX中古車相場(2024年式):約990万円
■ランドクルーザー250 VX中古車相場(2024年式):約790~900万円

また、ランドクルーザー250の月販基準台数は2250台と多い。ある程度時間が経過すると、バックオーダーが徐々に解消されれば、中古車相場も下がり、リセールバリューも下がる可能性がある。リセールバリューを気にするのであれば、こうしたリスクがあることを理解してから購入するといいだろう。