自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が選ぶ! マツダ CX-60 大研究!エンジン・年式・グレードはどれがいい?

KH系マツダCX-60は、2022年9月に発売されたミドルサイズのSUV。従来のマツダSUVは、前輪駆動(FF)のみの設定だったが、KH系CX-60では、新開発の直6エンジンと後輪駆動(FR)用プラットフォームを組み合わせた。この後輪駆動用(FR)プラットフォームは「ラージ」と呼ばれ中・大型車向けとなっている。その他、多くの新技術が投入されたこともあり、CX-60は非常に注目された。
そんなCX-60は、デビューから約2年(2024年11月)以上が経過。中古車も徐々に増えてきた。高年式の中古車か? それとも新車か? と、悩む人も多いだろう。そこで、KH系CX-60の中古車選びのコツをレポートする。

【自動車情報のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

KH系マツダCX-60の特徴

KH系マツダCX-60は、「ラージ」と呼ばれる新開発の後輪駆動(FR)ベースのプラットフォームが採用された。この「ラージ」プラットフォームは、中・大型用。グローバルで、仕向け地に最適なボディサイズに変更できるフレキシブルなプラットフォームになっている。

このプラットフォームを使ったモデルは、CX-60が第1弾。その他、2024年11月現在で国内販売されているのはCX-80、海外ではCX-70とCX-90が発売されており計4車種となっている。

CX-60は、時代をしなやかに生き抜く大人の情熱を解き放つ「ドライビングエンターテイメントSUV」をテーマに開発された。
CX-60のボディサイズは、全長4740×全幅1890×全高1685mm。ややワイドで、少し全高が低めのシルエットとなっている。そんなCX-60のデザインコンセプトは、「Noble Toughness(ノーブルタフネス)」。マツダのデザイン哲学である「魂動デザイン」をベースとし、力強いFR骨格やインテリア空間のタフさの中に、知性やエレガンスを表現した。直6エンジンを縦置きで搭載するためや、FRらしさをアピールするロングノーズが特徴だ。

インテリアは、骨太なデザインながらマツダ車らしいシンプルで洗練されたラグジュアリーな空間とした。グレードにより、素材やカラーが異なるなど独自の世界も表現している。
パワーユニットは、3.3Lディーゼルターボ+マイルドハイブリッドシステム、3.3Lディーゼルターボ、直4 2.5Lガソリン、直4 2.5L PHEVの4タイプが用意された。駆動方式は、4WDがメインだが、グレードによっては後輪駆動も用意されている。ミッションは、新開発のトルコンレス8速AT。ダイレクト感のスポーティな走りを支えている。

メインの3.3Lディーゼルターボ+マイルドハイブリッドシステムの最高出力は254㎰&550Nmと非常にパワフル。モーターがターボエンジン特有のアクセルレスポンスの悪さをフォロー。アクセルレスポンスに優れ、非常にパワフルなパワーユニットとなった。550Nmもの大トルクを誇りながら、CX-60の燃費値は21.0~21.1㎞/L(WLTCモード)と優れている。

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    CX-60のサスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式、リヤがマルチリンク式。まるで、高級スポーツカーのような設定。ギュッと引き締められたサスペンションということもあり、重心の高いSUVとは思えないほどスポーティに走る。

しかし、モデル途中で改良されているが、乗り心地はかなり硬い。とくに、リヤサスからの突き上げは、かなり大きい。購入時は、試乗して必ずチェックしたいポイントだ。
そして、重要な予防安全装備や運転支援機能は、クラストップレベルの実力。ドライバーが意識消失し運転ができない状態とシステムが検知すると、 ハザードの点滅やブレーキランプ点滅とホーンを鳴らすなどし、異常発生を車外に報知。高速道路などでは、できる限り路肩に寄せ停止。一般道では、同一車線内に停止するドライバー異常時対応システム(DEA)」を装備。衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の機能は、車両や歩行者、自転車、自動二輪も検知可能。右左折時の歩行者と自転車や車両にも対応する。

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    また、全幅1890mmという、狭い道が多い日本ではかなりワイドなボディをもつCX-60。だが、最小回転半径は脅威の5.4m! この数値は、コンパクトSUVのCX-3の5.3mとほぼ同等。ワイドなボディながら、狭い駐車場でも意外と扱いやすい。

新型車なので、改良点は少ない!?マツダCX-60改良の概要

2023年8月
・物価上昇に伴う価格改定。
・メーカーオプション選択をより容易にするために、機種・装備体系を一部見直した。

エンジンの選択が重要。おすすめは3.3Lディーゼルターボ+マイルドハイブリッド

KH系マツダCX-60中古車選びのポイント①

KH系マツダCX-60搭載エンジンの出力や燃費まとめ

3.3Lディーゼルターボ+マイルドハイブリッド エンジン最高出力/254㎰ エンジン最大トルク/550Nm モーター最高出力/16.3㎰ モーター最大トルク/153Nm 燃費 21.0㎞/L
3.3Lディーゼルターボ エンジン最高出力/231㎰ エンジン最大トルク/500Nm 燃費 18.5~19.8㎞/L
2.5LガソリンPHEV エンジン最高出力/188㎰ エンジン最大トルク/250Nm モーター最高出力/175㎰ モーター最大トルク/270Nm ハイブリッド燃費 14.6㎞/L 充電電力使用時走行距離 74㎞
2.5Lガソリン エンジン最高出力/188㎰ エンジン最大トルク/250Nm 燃費 13.0~14.2㎞/L
*燃費値はWLTCモード

CX-60には、4タイプのエンジンが設定されており、選択肢は豊富。しかし、CX-60のキャラクターを生かすエンジンというのであれば、選択肢は2つになる。

最もおすすめなのが、3.3Lディーゼルターボ+マイルドハイブリッドのXDハイブリッドだ。550Nmもの大トルクを誇るエンジンに小さなモーターが加わり、ターボエンジンの悪癖であるアクセルレスポンスの悪さを改善。俊敏なアクセルレスポンスを提供。気持ちのよい走りが可能となっている。さらに、燃費値も含め、3.3Lディーゼルターボエンジンとの差は大きい。

そして、予算に余裕があるのなら、2.5LPHEVもおすすめだ。このモデルはPHEVなので、通常走行時はEV走行となる。充電された電力を使うと、エンジンが始動。走行状況に合わせて、モーターでの走行、エンジンでの走行、モーター+エンジンでの走行と瞬時に最適なモードで走行する。

PHEVは、大きく重い駆動用バッテリーを床下に搭載していることもあり、車両の重心高はCX-60の中で最も低い。そのため、カーブでピタッと路面に吸い付くような安定感は、CX-60シリーズ中ナンバー1だ。また、車重の重さが影響して、乗り心地も最もマイルドになっている。

そして、PHEVは充電電力使用時走行距離が74㎞となっている。日常の送迎や買い物、通勤など近距離移動であれば、ほとんどガソリンを使わない生活が可能。ガソリンより安価な電力で走れるため、経済性にも優れる。

2.5Lガソリンエンジンは、街中中心であれば十分な力強さだが、高速道路やCX-60のキャラクターを考えると、ややアンダーパワー気味。燃費は物足りなく、メリットは、新車価格が安価ということくらいだ。

KH系マツダCX-60中古車選びのポイント②

リコール多発! 対策済みの車両かしっかりチェック

KH系CX-60は、発売直後からリコールが相次いだ。そのため、中古車選びでは、リコール対策(部品交換など)が行われている車両かどうかが重要だ。未対策のまま走行を続けていると、故障リスクも高くなる。まずは、点検整備記録簿で対策を受けているかをチェックしたい。

ただ、CX-60は数多くのリコールとサービスキャンペーンが行われている。そのすべてが対策済みかどうかというのは、顧客側が点検整備記録簿でチェックするのは難しい。購入後に、メーカー保証を継承後、一度マツダディーラーに行き、すべてのリコールとサービスキャンペーンの対策を受けている車両かどうかのチェックも必要だ。

KH系マツダCX-60中古車選びのポイント③

「XDハイブリッドプレミアムスポーツ」がおすすめ

マツダ CX60 XD HV プレミアムスポーツ

日本マーケットでは、スポーツグレード系がよく売れる傾向にある。新車販売でもスポーツグレードであるXDハイブリッドプレミアムスポーツの人気が高い。CX-60の場合、スポーツグレードと言っても、外観の違いはわずかな差しかない。主にインテリアのカラーやマテリアルによる違いが大きい。

XDハイブリッドプレミアムスポーツには、タンカラーのレザーシート、ガンメタのインパネ加飾、ホイールのブラックメタリック塗装などが大きな違いだ。

CX-60 XDハイブリッドプレミアムスポーツは、XDハイブリッドの最上級グレード。そのため、中古車相場はやはり高めになる。

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    ただし、新車価格に対しては、2022年式という高年式ながら、新車価格比79~86%にまで落ちている。SUVの中では、値落ちが進んでいるモデルであり買い得感がある。最上級グレードが安価に低に入るので、まさに、中古車で買うべき1台といえる。

当時の新車価格 547万2500円(CX-60 XDハイブリッドプレミアムスポーツ)
2022年式 CX-60 XDハイブリッドプレミアムスポーツ中古車相場 約430~470万円
2022年式 CX-60中古車相場(PHEVを除く全グレード) 約380~480万円

KH系マツダCX-60、今後のリセールバリューは?

SUVとしては、やや安価傾向。今後、ゆるやかに下落傾向と予想

KH系CX-60は、デビュー直後から度重なるリコール問題や品質問題を抱えた。マーケットからの不信感を得たこともあり、他のSUVと比べると人気カテゴリーながら、リセールバリューをやや低い。一度こうした流れになると、なかなかリセールバリューが上がることは難しい。

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    ただ、CX-60はSUVという人気カテゴリーに属しているので、これ以上、大きくリセールバリューが下がることもないと予想できる。今が下げ止まりといったところだろう。今後は、他のモデルと同様に緩やかに価格が下がっていくと予想できる。

高リセールバリューが期待できるKH系マツダ CX-60のグレード、オプション装備は?

人気のXDハイブリッドプレミアムスポーツが高リセールバリューになる可能性大

新車販売で高い人気を誇っていたのがXDハイブリッドプレミアムスポーツ。その流れを受け、中古車でも人気が高く高リセールバリューが期待できる。XDハイブリッドプレミアムスポーツは最上グレードで、新車価格は高めということもあるが、CX-60の中古車で、高価格帯になっているグレードは、ほとんどがXDハイブリッドプレミアムスポーツばかりだ。
中古車流通台数は、やや少なめだが、ラグジュアリー仕様のXDハイブリッドプレミアムモダンのリセールバリューも高めで推移しているようだ。
その他、XDハイブリッドエクスクルーシブスポーツの中古車流通台数も多く人気だ。

高リセールバリューを意識するなら、ボディカラーに注意!

マツダ車というと、レッド系のボディカラーというイメージが強い。しかし、CX-60はラグジュアリーSUVということもあり、新車販売ではレッド系のボディカラーは敬遠されている。初期受注では、ロジウムホワイトプレミアムメタリックが全体の約45%を占めナンバー1人気。マシーングレープレミアムメタリックは、全体の約15%と大きく離されたが人気2位。レッド系のソウルレッドクリスタルメタリックは、ベスト3にも入っていない。
こうした傾向は、中古車マーケットでも同じになると予想できる。そのため、レッド系のボディカラーのリセールバリューはやや低めになるだろう。

プラス査定が期待できる装備は?

CX-60はメーカーオプションが数少ない。とくに、XDハイブリッドやPHEVのグレードは、装備が充実。そのため、選択できるメーカーオプションは、パノラマサンルーフくらい。中古車の場合、サンルーフ系は人気が高いアイテム。そのため、パノラマサンルーフはプラス査定が期待できそうだ。

KH系マツダCX-60燃費、ボディサイズなどスペック

代表グレード CX-60 XDハイブリッド プレミアムスポーツ
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,740×1,890×1,685
ホイールベース[mm] 2,870
最低地上高[mm] 180
車両重量[kg] 1,940
エンジン型式タイプ T3-VPTH型 直6 DOHCディーゼルターボ
エンジン総排気量[cc] 3,283
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 187(254)/3,750
エンジン最大トルク[N・m(㎏-m)/rpm] 550(56.1)/1,500-2,400
モーター最高出力[kw(ps)/rpm] 12(16.3)/900
モーター最大トルク[N・m(㎏-m)/rpm] 153(15.6)/200
ミッション トルコンレス8速AT
WLTCモード燃費[km/L] 21.0
乗車定員[人] 5
サスペンション形式(前/後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
タイヤサイズ 235/50R20

KH系マツダCX-60新車価格(2023年8月の価格改定前)

25S S Package 2WD AT 2,992,000円/4WD AT 3,217,500円
25S L Package 2WD AT 3,415,500円/4WD AT 3,641,000円
25S Exclusive Mode 2WD AT 3,844,500円/4WD AT 4,070,000円
XD 2WD AT 3,239,500円/4WD AT 3,465,000円
XD S Package 2WD AT 3,580,500円/4WD AT 3,806,000円
XD L Package 2WD AT 4,004,000円/4WD AT 4,229,500円
XD Exclusive Mode 2WD AT 4,433,000円/4WD AT 4,658,500円
XD-HYBRID Exclusive Sports 4WD AT 5,054,500円
XD-HYBRID Exclusive Modern 4WD AT 5,054,500円
XD-HYBRID Premium Sports 4WD AT 5,472,500円
XD-HYBRID Premium Modern 4WD AT 5,472,500円
PHEV Exclusive Sports 4WD AT 5,846,500円
PHEV Exclusive Modern 4WD AT 5,846,500円
PHEV Premium Sports 4WD AT 6,264,500円
PHEV Premium Modern 4WD AT 6,264,500円

2022年式 CX-60中古車相場(PHEVを除く全グレード):約380~480万円