自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が語る! 神コスパ中古車! 日産サクラ(B6AW型/KE0)たった2年で約40%オフ!?

【自動車情報のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

神コスパ中古車の定義とは?

(1)中古車需要が少なく、リセールバリューが良くないモデル。

(2)激安中古車なのに、専門家からみて「とても良いクルマ!」と断言できおすすめできるモデル。

リセールバリューの要点を押さえて神コスパ中古車を探す!

リセールバリューとは、クルマの売却価格、査定価格など金額のこと。
リセールバリューや売却価格、査定価格などが高ければ、中古車価格は高価になり、安いと中古車価格は安価になる。


リセールバリューは、端的に言えば、中古車マーケットでの需要と供給で決まる。
つまり、需要が供給を上回ればリセールバリューは高くなり、需要より供給が多くなればリセールバリューは低くなる。

リセールバリューについて、詳しくはこちらもチェック!

新車で人気車種だから、リセールバリューが高くなるとはかぎらない!

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    ここで、勘違いしてほしくない点がある。
    それは、新車で爆発的に売れた人気車だからと言って、必ずしもリセールバリューが高くなるとはかぎらないのだ。

たとえば、新車時にとても人気があって売れたモデルでも、中古車流通台数が多すぎると、人気車なのに中古車価格は安くなることがある。これは、需要より供給が上回っているパターンに該当する。とくに、コンパクトカーが、こうした傾向になりやすい。

不人気車種でもリセールバリューが高いモデルがある!

一方、新車販売台数は少なくても、マニアック層に熱烈な支持を得ているモデルは、中古車流通量台数も少ないため、中古車価格は高くなる。
特にスポーツカーなどが、こうした傾向にある。
さらに、中古車の場合、海外への輸出もリセールバリューに大きな影響を与えている。
最近では、円高の影響もあり、海外のバイヤーが日本の中古車を買い漁っているため、海外で人気があるモデルの中古車価格が高騰中だ。

こうした傾向が強く、長年高リセールバリューを維持している代表格がトヨタ ランドクルーザーなどだ。

また、日本ではほとんど売れずに生産を終了してしまったトヨタ プレミオ/アリオンなどは、一部のアジアの国で大人気。日本では、ほとんど売れない中古車なのに、リセールバリューは新車価格に近い価格が付いていたこともあった。

詳しくはこちらのデータもチェック!

リセールバリューが高くても良いクルマであるとは限らない

リセールバリューや売却価格、査定価格などが高いクルマであれば、よいクルマであると思うのも当然のことだ。ところが、リセールバリューが高いからといって、必ずしも良いクルマとは限らない。専門家からみて「ちょっと残念なクルマなのに、なぜ高リセールバリュー?」なんて、モデルもある。

それとは逆に、クラストップレベルの実力をもつ良いクルマであっても、リセールバリューが低くなることも珍しくない。

こうした状況となるのは、前述したようにリセールバリューは需要と供給で決まる。クルマの良し悪しは関係ないのだ。

クルマの実力はクラストップレベル。しかし、中古車人気はイマイチで、リセールバリューが低く、中古車価格は激安。と、いうモデルを「神コスパ中古車」とここでは呼ぶ。安価で優れたモデルを手に入れることができる賢い中古車購入術だ。

たった2年落ちで、新車価格の約40%オフ!?日産サクラ(B6AW型/KE0型)は、おすすめ神コスパ中古車!

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    今回ピックアップしたのは、軽自動車規格のバッテリー電気自動車(BEV)である「日産サクラ」。

日産サクラは、2022年5月に発表された。発売から約1年で、累計受注が5万台を超えたという人気電気自動車だ。専門家からも評価され、2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

そんな日産サクラの中古車相場は以下の通りだ。
*中古車相場は2024年10月調べ

・Xグレード(2022年式) 
中古車相場 約140~180万円
新車価格 約240万円 
新車価格比 約58~75%

・Gグレード(2022年式) 
中古車相場 約160~200万円
新車価格 約294万円 
新車価格比 約54~68%

上記のように、サクラの中古車価格はわずか2年落ち(2024年比)で、新車価格より約25~46%も安価になっていることが分かる。先端技術の塊ともいえる最新の軽EV(電気自動車)が、中古車であれば、新車の軽スーパーハイトワゴン並みの価格で買えるのだ。まさに、神コスパ中古車といえる。

激安の理由は? まさかの補助金?

高年式の軽EVが、これほど安くなるのには理由がある。それが補助金。令和5年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」と呼ばれているものだ。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    なんと、サクラには、国の補助金として55万円が支給される。

ザックリ、この補助金を引いた金額が実質サクラの新車価格となる。この実質新車価格がベースとなり、リセールバリューや買取価格、査定価格などが算出されているようだ。
その結果、正規の新車価格と比べると激安中古車にみえるのだ。
こうした傾向は、多少モデルにより差があるものの、EV(電気自動車)全般に言えるもので、EVの中古車は買い得感がある。

日産サクラ(B6AW型/KE0型)特徴

上質で先進感あるデザイン

日産サクラのプラットフォームは、軽ハイトワゴンのデイズをベースとしている。そのため、全体のシルエットはデイズに似ている。ただ、高価な軽EVということもあり、デイズより上質感がある。次世代日産車らしさを感じさせるフロントフェイスには、光るエンブレムを採用。EVらしさを演出。

さらに、当時、軽自動車初となるプロジェクタータイプの3眼ヘッドランプを採用。バックドアには格子をヒントにしたワイドなLEDリヤコンビネーションランプを搭載し、テールランプ全体を光らせることで、夜間でもひと目でサクラと分かる個性をアピールした。

インテリアデザインも外観同様、先進性と上質感にあふれている。インターフェースには7インチのアドバンスドドライブアシストディスプレイメーターと、大画面の9インチナビゲーションの2つのディスプレイを水平方向にレイアウト。
シートは、高品質なファブリックを広範囲に使用し、座り心地の良いソファデザインを採用した。

ステアリングは、個性的な2本スポークステアリングを搭載。インテリアカラーは定番のブラック、明るく開放感のあるベージュ、ブラックを基調にベージュシートを搭載したプレミアムインテリアの3種類を設定している。

軽じゃない! クラスを超えた最大トルク195Nm!!

日産サクラには、軽自動車最大出力自主規制に合わせた最大出力64㎰を誇るMM48型モーターで前輪を駆動する。最大トルクは、自主規制が無いためクラストップの195Nmを誇る。軽自動車のターボエンジンが、各社若干の差があるものの最大トルク100Nm前後。サクラは、ターボエンジン車より約2倍にもなる最大トルクを誇っている。

しかも、モーターはアクセルをグッと踏み込んだ瞬間から最大トルクを発生する特性がある。そのため、サクラは、もはや軽自動車枠を大きく超えた瞬発力でグイグイと加速する。デイズと比べると、約200㎏車重が重いが、軽自動車にありがちな、アンダーパワー感はない。このMM48型モーターは、エクストレイルの後輪側用と同じ。エクストレイルでは、最高出力136㎰を発生しているだけに、とても贅沢なモーターを使っているといえるだろう。

圧倒的な静粛性と、スポーツカーのような安定感

当然のことだが、電気自動車のサクラにはエンジンが無い。大きな騒音を出すエンジンが無いので、常に静粛性は高い。この静粛性の高さは、ちょっとした高級車レベルだ。軽のガソリン車は、高速道路など速度が高くなるとエンジン音が高くなり、室内はややうるさく感じる。しかし、サクラはエンジンが無いので高速域でも静粛性は高い。強いていうなら、ロードノイズが大きくなるくらいだ。

そして、サクラの運動性能は、とても高いレベルにある。床下に駆動用バッテリーを設置していることから、クルマの重心高がガソリン車よりも大幅に低重心化されている。

  • 【自動車情報のプロ】大岡智彦

    そのため、カーブなどでもグラグラとすることなく、ピタッと路面に張り付いたように走るのだ。この走りも軽自動車の枠を大きく超えるもので、走っていて気持ちがよく安心できる。

サクラの乗り心地は、やや柔らか目。街中では大きな凹凸もしなやかに吸収。強固なボディによるメリットを感じる瞬間だ。ただ、高速道路ではもう少し硬めの方が、より安心できる。

一充電走行距離は180㎞!

日産サクラには、20kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。一充電走行距離は180㎞(WLTCモード)となっている。180㎞という航続距離は、やや短めに感じるが、送迎や通勤、買い物などの日常使いでは十分なレベル。また、片道100㎞位の遠出でも、ルート上で急速充電器を使い継ぎ足し充電すれば、それほど苦にならないレベルだ。

充電時間は普通充電200V(3kW)程度で、満充電まで約8時間。バッテリー残量があれば、もっと短い時間で満充電が可能となる。
ガソリン価格が高騰し高止まりしている時代なので、ガソリンより安価な電気であれば経済的メリットも大きい。

日産サクラ(B6AW型/KE0型)歴史・概要

・2022年5月 デビュー
・2024年5月 X・Sグレードにバックビューモニターとディスプレイ付自動防眩式ルームミラー標準装備。Gグレードには助手席にもヒーター付シートを標準装備。Amazon Alexaを、EV専用NissanConnectナビゲーションシステムに搭載。シルキーライラック/チタニウムグレーの2トーンボディカラーを新規採用。

日産サクラ(B6AW型/KE0型)中古車を選ぶときの注意点

まず、自宅に充電設備が設置できるか要確認

日産サクラは電気自動車なので、基本的に自宅での充電が必要。自宅が戸建てであれば、200Vの充電設備の設置工事が必要。マンションの場合、充電設備が設置されているかなどを要確認。また、中古車の場合、充電設備の設置業者を紹介してくれるかも確認しておきたい。一般的に充電設備の設置費用は、10万円前後と言われている。

走行距離が長い車両は注意

日産サクラの駆動用バッテリー保証は手厚く、新車保証が継承されていれば「8年160,000km」となっているので、バッテリーの劣化はそれほど失敗しなくてもいいだろう。
ただし、バッテリーの劣化は頻繁な急速充電の繰り返しなどで悪化するケースもある。また、使い方によるが、やはり走行距離と比例して劣化は進む。そのため、長期間乗り続けるのであれば、2年落ち(2024年比)の高年式だと、念のため2万㎞程度以下の車両がおすすめだ。

日産サクラ(B6AW型/KE0型)おすすめグレードは?

日産サクラのグレードは、エントリーグレードのS、中間グレードのX、Xをベースとした特別仕様車90周年記念車、最上級グレードのGと3グレード構成。
Sグレードは、カタログにも装備表がない。いわゆる、法人の営業車向けというグレードなので、まず選択肢から外したい。

日産サクラ、デビュー時の新車価格

・S 2,333,100円
・X 2,399,100円
・G 2,940,300円

Xには無く、Gに装着されている大きな装備差は以下の通り(デビュー時)。
*印は、Xでオプション装着できる装備。

・アダプティブLEDヘッドライトシステム*
・インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)*
・統合型インターフェースディスプレイ *
・USB電源ソケット(タイプA 1個、タイプC 1個) *
・6スピーカー〈フロント、リヤ、ツイーター〉 *
・EV専用NissanConnectナビゲーションシステム * 
・NissanConnect専用車載通信ユニット *
・ETC2.0ユニット *
・プロパイロット *
・プロパイロット緊急停止支援システム(SOSコール機能付) *
・SRSニーエアバッグ〈運転席〉 *
・ロードリミッター付プリテンショナーシートベルト〈後席〉 *
・ステアリングヒーター *
・ヒーター付シート運転席 *
・カッパー加飾〈インストパネル、ドアフィニッシャー〉
・クリアブラックシールド

日産サクラのおすすめグレードは?

上記のようにXとGグレードでは、装備が大きく異なる。当然、新車価格差も大きく約54万円(デビュー時)も差がある。

ところが、中古車になると、その差がイッキに圧縮される。Xの中古車相場が約140~180万円なのに対して、Gの中古車相場は約160~200万円。なんと、価格差は約20万円になっている。こうなると「中古車だとGグレードがお得だよね」だ。まさに、これぞ中古車選びの醍醐味。上級グレードが安価に買えるのだから、サクラのグレード選びはGグレード一択といえる。

とはいえ、予算はなるべく抑えたいという人もいるだろう。新車のXグレードの場合、メーカーオプションで色々な装備が選択できるのが特徴。なので、Xグレードで自分の欲しいオプションが装備されている車両をジックリ探すと良いだろう。

その場合でも注意したいのが価格。メーカーオプションがたくさん装備されているので、中古車価格もGグレード並みでは意味がない。メーカーオプションがたくさん装備されていても、Gグレードより明確に安価と感じる車両でなければ、結局、充実装備のGグレードを買った方がよい、ということになりかねないからだ。
おすすめのGグレードに装備されるメーカーオプションもある。その中で、とくにおすすめなのが下記の装備。

・165/55R15 タイヤ&15インチアルミホイール
・プロパイロットパーキング
・プレミアムインテリアパッケージ
これらの装備が付いていて、価格が他のGグレードと同等程度ならお買い得度は急上昇だ。

日産サクラ(B6AW型/KE0型)のリセールバリューは?

日産サクラのリセールバリューは、新型車なので予想は難しい。補助金の影響で、高年式はドーンと価格が落ちている。ただ、この後は、他のモデルと同様、年式に比例してジリジリと下落していくと予想できる。

だが、6年落ち(2024年比)位になると、やや安価になりそうだ。2代目リーフの場合、新車価格の約30~40%にまで落ちているからだ。新車で買ったのであれば、少々ガッカリなリセールバリューになるが、中古車であれば、購入時にはすでに安価なので、大損するようなことはないだろう予測した。

日産サクラ(B6AW型/KE0型)航続距離、ボディなどスペック

代表グレード サクラGグレード(デビュー時)
全長×全幅×全高 mm 3,395×1,475×1,655
ホイールベース mm 2,495
乗車定員 名 4
車両重量 kg 1,080
最小回転半径 m 4.8
モーター型式 MM48
モーター最高出力[kw(ps)] 47(64)
エンジン最大トルク[N・m(㎏-m)] 195(19.9)
一充電走行距離WLTCモード[km/L] 180
サスペンション形式(前/後) マクファーソン/トルクアーム式3リンク
タイヤサイズ 155/65R14 
駆動方式 FF(前輪駆動)