自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が語る! 神コスパ中古車!7代目G30系BMW 5シリーズセダンがたった5年で驚愕の60%オフ?!

7代目G30系BMW5シリーズは2017年2月に登場し、8代目G60系5シリーズが登場する2023年5月頃まで発売されていた。5シリーズセダンは大柄なボディサイズの言わずとしれた高級サルーンであるが、5年落ち(2024年比)中古車相場は新車価格比でなんと約60%オフ以上のバーゲン価格。新車価格では800万円前後となるBMWの高級セダンが激安の状態だ。

【自動車情報のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

神コスパ中古車の定義とは?

(1)とても良いクルマなのに、需要が少なくリセールバリューが良くない中古車。

(2)激安中古車なのに、専門家からみて「とても良いクルマ!」と断言できお勧めできるモデル。

リセールバリューの要点を押さえて神コスパ中古車を探す!

リセールバリューとは、クルマの売却価格、査定価格など金額のこと。
リセールバリューや売却価格、査定価格などが高ければ、中古車価格は高価になり、安いと中古車価格は安価になる。

リセールバリューは、端的に言えば、中古車マーケットでの需要と供給で決まる。
つまり、需要が供給を上回ればリセールバリューは高くなり、需要より供給が多くなればリセールバリューは低くなる。

人気車種のリセールバリューが高くなるとはかぎらない!

  • ここで、勘違いしてほしくない点がある。
    それは、新車で爆発的に売れた人気車だからと言って、必ずしもリセールバリューが高くなるとはかぎらない点だ。

たとえば、新車時にとても人気があって売れたモデルでも、中古車流通量が多すぎると、人気車なのに中古車価格は安くなることがある。需要より供給が上回っているパターンに該当する。とくに、コンパクトカーが、こうした傾向になりやすい。

不人気車種でもリセールバリューが高いモデルがある!

  • 一方、新車販売台数は少なくても、マニアック層に熱烈な支持を得ているモデルは、新車販売台数が少なく中古車流通量も少ないため、中古車価格は高くなる。
    特にスポーツカーなどが、こうした傾向にある。

さらに、中古車の場合、海外への輸出もリセールバリューに大きな影響を与えている。
最近では、円高の影響もあり、海外のバイヤーが日本の中古車を買い漁っているため、海外で人気があるモデルの中古車価格が高騰中だ。
こうした傾向が強く、長年高リセールバリューを維持している代表格がトヨタ ランドクルーザーなどだ。

また、日本ではほとんど売れずに生産を終了してしまったトヨタ プレミオ/アリオンなどは、一部のアジアの国で大人気。日本では、ほとんど売れない中古車なのに、リセールバリューは新車価格に近い価格が付くこともある。

リセールバリューが高くても良いクルマであるとは限らない

リセールバリューや売却価格、査定価格などが高いクルマであれば、よいクルマであると思うのも当然のことだ。ところが、リセールバリューが高いからといって、必ずしも良いクルマとは限らない。

  • 何度も言うが、リセールバリューは需要と供給で決まる。そのため、クルマの良し悪しは関係ないのだ。専門家から見て、ライバル車と比べてやや劣るようなクルマであっても、リセールバリューが高いというのはよくあること。
    それとは逆に、クラストップレベルの実力をもつ良いクルマであっても、リセールバリューが低くなることも珍しくない

「神コスパ中古車」としてピックアップしたモデルは、このように、クルマの実力はクラストップレベル。しかし、リセールバリューが低く、中古車価格は激安というモデル。安価に優れたモデルを手に入れられる賢い中古車購入術だ。

新車時の60%オフ?!G30系BMW 5シリーズセダンはおすすめの神コスパ中古車

  • というわけで、今回取り上げたのが、5年落ち程度のG30系BMW 5シリーズセダンだ。まずは中古車価格の相場を見てみよう。

7代目G30系BMW 5シリーズセダン中古車相場は?

*中古車相場は、2024年9月調べ
・530e系(2019年式) 
中古車相場 約280~310万円
新車価格 約814~839万円 
新車価格比 約34~37%

・523d系(2019年式) 
中古車相場 約280~340万円
新車価格 約750~822万円 
新車価格比 約37~41%

・523d系(2021年式) 
中古車相場 約430~460万円
新車価格 約786~841万円 
新車価格比 約55~55%

BMW523d系(2019年式)インパネ
BMW523d系(2019年式) リアドア
  • このように、7代目30系BMW 5シリーズの5年落ち(2024年比)中古車相場は、新車価格比で、なんと約60%オフ以上のバーゲン価格になっている。新車価格が800万円前後のプレミアムブランドであるBMWの高級セダンが、まさかの激安状態だ。

また、高年式である3年落ち(2024年比)中古車相場でも、新車価格比で約45%オフという状況。BMW車なので、性能や装備などは折り紙付き。まさに、神コスパ中古車だ。
輸入中古車は、新車価格のように高いとイメージをもつ人が多いが、むしろ輸入車の方が、国産車より値落ちが激しいケースが多い。輸入中古車は、意外と買い得なクルマが多いのだ。

こうした激安価格になる理由のひとつは、不人気カテゴリーであるセダンであること。そして、高級車なので、新車が中心で中古車がなかなか売れないことが大きな要因だ。デザインや性能はトップレベルなのに、売れない理由が見つからない、なぜか不人気続きなモデルでもある。その一方でG30系5シリーズは、欧州などでカンパニーカーとして成功を収めている。

7代目G30系BMW5シリーズセダンの特徴と概要

7代目G30系BMW5シリーズは、2017年2月に販売が開始された。8代目となるG60系5シリーズが登場する2023年5月頃まで発売されていた。
G30系5シリーズセダンは、大柄なボディサイズをもつ。ボディサイズは、全長4975×全幅1870×全高1480mm(523d Xdrive Mスポーツ)と、まさに堂々とした大型の高級サルーンだ。

  • フロントフェイスは、キドニーグリルを中心に、ひと目でBMWと分かるデザイン。このキドニーグリルとヘッドライトをつなげることにより、よりワイド感を強調したスポーティなフェイスになっている。グッと低く睨みの効いたフェイスは、精悍でカッコいい。

リヤデザインは、最新式のLEDライトバーをBMW特有の細身のL字型とした。さらに、リヤコンビネーションライトを大きくサイドに回り込ませることで、ワイドなシルエットにまとめている。

インパネは、センターコンソールなどをドライバーに向けてやや傾斜させたドライバーオリエンテッドなデザインとした。また、ナビなどの操作は、タッチパネルの他にシフトレバー手前付近に設置したダイヤル式のiDriveで行う。ダイヤル式なので、ブライド操作が可能で便利だ。
また、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備、運転支援機能が大幅に進化。2017年にデビューしたモデルが、現在でも一定レベルの実力を誇る。

走行性能こそG30系5シリーズ最大の魅力

後述するが、G30系5シリーズのエンジンラインアップは多彩。ガソリン直4、直6ターボ、V8ターボエンジンンにディーゼルターボ、PHEVも用意されていた。自分好みのエンジンを選べるが、人気だったのは力強さと低燃費を両立したディーゼルターボエンジンだ。

このG30系5シリーズでは、アルミニウム合金、高張力鋼板、マグネシウム合金を積極的に採用し軽量化にこだわった。その結果、先代モデル比で約80kgの軽量化を実現。軽量化により、優れた運動性能と低燃費性能にも貢献している。

  • 驚いたのが高速道路での高速安定性。速度が上がるほどに、路面へビタっと張り付いたような安定感が増す。だから、高速道路では、リラックスして高い速度で走ることができた。さすが、欧州の高級サルーンだ。

その一方で、G30系5シリーズは、Cd値(空気抵抗値)0.22を実現した。当時、このセグメントトップの数値。Cd値は燃費アップに効果がある一方、高速安定性に寄与するダウンフォースとは二律背反する。しかし、G30系5シリーズは、そのバランスをうまく取り、優れた高速安定性を担保しながら、Cd値を小さくして低燃費性能に貢献していた。

  • カーブなどのハンドリングは、大きな高級セダンでありながら軽快で緻密。約50:50の重量配分で、ドライバーがクルマの中心にいるような一体感が味わえる。そして、ステアリング操作に対して、クルマは敏感に反応。ドライバーの微妙な操舵にもしっかりと応えてくれる。走り出すと全長5m弱の大型セダンとは思えないほど、軽快でクルマとの一体感がある

G30系BMW 5シリーズセダン搭載エンジン

*出力&トルク、燃費は最終モデル、燃費はWLTCモード

・523i系 2.0L直4ガソリンターボ
最高出力184㎰ 最大トルク290Nm 燃費13.0㎞/L

・530i系 2.0L直4ガソリンターボ
最高出力252㎰ 最大トルク350Nm 燃費12.1㎞/L

・540i系 3.0L直6ガソリンターボ
最高出力340㎰ 最大トルク450Nm 燃費10.5㎞/L

・M550i系 3.0L直6ガソリンターボ
最高出力530㎰ 最大トルク750Nm 燃費8.6㎞/L

・523d系 2.0L直4ディーゼルターボ
最高出力190㎰ 最大トルク400Nm 燃費15.0㎞/L

・530e系(PHEV) 2.0L直4ガソリンターボ+モーター
マイナーチェンジ前 システム最高出力252㎰ 最大トルク420Nm 燃費17.4㎞/L(JC08モード)
マイナーチェンジ後 システム最高出力292㎰ 最大トルク420Nm 燃費12.8㎞/L

G30系BMW 5シリーズセダンの歴史概要

・2017年1月 フルモデルチェンジ。7代目G30系5シリーズ誕生。
・2017年8月 BMWコネクテッド・ドライブを標準装備。
・2018年7月 BMW 523i/523d/530i(いずれもM Sportモデル)に特別仕様車「Edition MISSION: IMPOSSIBLE」を投入。
・2018年10月 BMW 523iセダンをベースに、よりスポーティさを際立たせた特別仕様車「BMW 523i M Spirit」を投入。
・2019年7月 クリーンディーゼルエンジンとインテリジェント4輪駆動システム「BMW xDrive」を搭載した「523d xDrive M Spirit」を投入。
・2019年12月 BMW M社が手掛けたV型8気筒エンジンを搭載し、5シリーズの中で最も高い走行性能を誇る「BMW M550i xDrive Ultimate Edition」を55台限定で発売。
・2020年9月 マイナーチェンジ。内外装デザインを若干変更。ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能を全モデルに標準装備。iPhoneによるロック解除/施錠、エンジン始動が可能とした。高性能3眼カメラ&レーダー、および高性能プロセッサーを採用し、予防安全装備&運転支援機能の性能が大幅に向上。
・2020年9月 BMW M社が開発する高性能モデルであるBMW M550i xDrive」を投入。
・2021年5月 BMW Group Japan設立40周年を記念した限定車「BMW 523d xDrive M Sport 40th Anniversary Edition」を投入。
・2023年1月 5シリーズの日本発売50周年を記念した特別仕様車「50th Anniversary Edition」を投入。
・2023年7月 フルモデルチェンジ。8代目G60系5シリーズ誕生。

G30系BMW 5シリーズセダンの中古車を選ぶときの注意点

(1)マイナーチェンジ後モデルを中心に選びたい

2020年9月のマイナーチェンジでは、コネクティッド系が強化。さらに、予防安全装備&運転支援機能の重要なカメラ、センサー類も一新。従来のステレオカメラから、3眼カメラとなった。こうした進化により、ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能を全モデルに標準装備された。こうした機能は、ドライバーの疲労軽減に大きく寄与。高級セダンらしい装備だ。

(2)レザーシート仕様は擦れや汚れなどに注意

年式が古く、走行距離が長いレザーシート仕様の車両は、擦れや汚れに注意したい。擦れはいずれ破れにつながる。補修費用も高額になるので、あまり擦れ跡がある車両は注意が必要。結果的に、高級車らしさを損なうので満足度も下がる。

(3)点検整備記録簿は要チェック+延長保証があれば加入をおすすめ

G30系5シリーズは、輸入高級セダン。そのため、部品交換や修理などの費用は、国産車よりかなり高価になる。購入後、すぐに故障などすると大きな出費に。そうしたリスクをできるだけ避けるために、点検整備記録簿をしっかりチェックし、定期点検をしっかりと受けている車両か確認したい。
その上で、販売店独自の延長保証制度がある場合は、加入することをお勧めする。前述した通り、輸入高級セダンなので、修理代などは高価になるケースが多いからだ。

(4)カスタマイズ車は選択肢から外す

ローダウンするなど、カスタマイズされている車両は確かにカッコいい。しかし、最近の高級車は、ハイテクの塊。予防安全装備&運転支援機能などが、しっかりと機能しないリスクも高くなる。また、高級セダンらしい乗り味や静粛性などが失われているケースもあるからだ。

BMW523d リアドア

7代目G30系BMW 5シリーズのおすすめグレードは?

*中古車相場は、2024年9月調べ

なるべく安価で燃費のよいモデルが欲しい場合

2017年式 523d Mスポーツ

おすすめグレード
2017年式 523d Mスポーツ
中古車相場 約230~300万円
当時の新車価格 約698~768万円

  • 人気の2.0Lディーゼルターボエンジン搭載モデル。400Nmという大トルクを誇るエンジンなので、大柄な5シリーズセダンでも十分な加速性能をもつ。燃費は21.5㎞/L(JC08モード)と良好。燃料の軽油は、ハイオクガソリンより約30円/Lも安価。燃費が良く燃料費自体も安価なので、ランニングコストに優れている。

とにかく速いBMW5シリーズセダンが欲しい場合

2017年式 540i xDrive

おすすめグレード
2017年式 540i xDrive
中古車相場 約340~400万円
当時の新車価格 約972~1017万円

  • 単純に速さという点では、M550iなのだが中古車流通台数が極端に少ないので、探し出すことが困難。540i xDriveであれば、なんとか見つかるといったところ。540i系は最高出力340㎰、最大トルク450Nmを誇る直6 3.0Lターボエンジンを搭載。あまりにスムースなエンジンで「シルキー6(シックス)」と呼ばれるほど高く評価された直6エンジンのフィーリングを十分に楽しめる。540i系にはラグジュアリーとMスポーツと2グレードの設定。お勧めは、もちろんMスポーツ。xDriveは、4WDシステムで高い操縦安定性を誇る。

最新の安全装備&運転支援機能やコネクティッドが欲しい場合

2021年式 523d xDrive Mスポーツ

おすすめグレード
2021年式 523d xDrive Mスポーツ
中古車相場 約440~500万円
当時の新車価格 約831万円

  • G30系5シリーズセダンは、2020年9月にマイナーチェンジした。このマイナーチェンジで、予防安全装備&運転支援機能を支えるカメラは3眼式に変更。その他のセンサー、CPUも大幅に進化。高速道路上で渋滞時にハンズオフできる渋滞運転支援機能を全モデルに標準装備している。コネクティビティでは「OK, BMW」と話し掛けることで、エアコンなど車両の操作、ナビの目的地の設定等が可能となるBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントを装備している。現在でも高いレベルの先進装備だ。

おすすめは2.0Lディーゼルターボを搭載した523d。経済性に優れたエンジンに加え、xDriveと呼ばれる4WD機能を搭載。高いスタビリティと優れた操縦安定性をもつ。523d系には、Mスポーツとラグジュアリーがあるが、やはりスポーティなルックスと走りが可能なMスポーツがおすすめ。Mスポーツは、総じて人気が高くリセールバリューも高めになる。

7代目G30系BMW 5シリーズスペック(最終モデル)

代表グレード 523d xDrive Mスポーツ
全長×全幅×全高 mm 4,975×1,870×1,480
ホイールベース mm 2,975
乗車定員 名 5
車両重量 kg 1,770
最小回転半径 m 5.8
エンジンタイプ/型式 直4 DOHCディーゼルターボ/B47D20B
エンジン総排気量[cc] 1,995
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 140 〈190〉/ 4,000
エンジン最大トルク[N・m(㎏-m)/rpm] 400〈40.8〉/ 1,750~2,500
ミッション 8速AT
WLTCモード燃費[km/L] 15.0
乗車定員[人] 5
サスペンション形式(前/後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
タイヤサイズ フロント:245/40R19 リヤ:275/35R19
駆動方式 4WD(xDrive)