自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が語る! 3代目ホンダ フリードの登場で狙い目?2代目フリードの中古車選び

ホンダ フリードは、2024年6月にフルモデルチェンジし3代目となった。GT型となった3代目フリードが登場し、ミニバンでは初となる日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことで、中古車マーケットでは先代となる2代目GB型フリードが注目されている。
3代目GT型フリードの下取車や買取された2代目GB型フリードが、そろそろ大量に中古車マーケットに流入。中古車価格も徐々にリーズナブルになると見込まれているからだ。
この2代目となるGB5/6/7/8型のフリードは、長期間高い人気を得たロングセラーモデルだけに、中古車マーケットでは注目の1台。
まさに、これからが買い時となるのが、2代目GB5/6/7/8型のフリードだ。
そこで、2代目 GB5/6/7/8型のフリードの中古車選びのポイントをまとめてみた。

自動車情報メディア「CORISM」編集長
目次
2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞

第45回 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーは3代目GT型「ホンダ フリード」に決定した。 ホンダの受賞は2010-2011の「CR-Z」以来となり、14年ぶりの受賞となる。 また、日本カー・オブ・ザ・イヤーの歴史において、ミニバンとしての受賞は初となることにも注目だ。
2代目GB型フリードと3代目GT型フリードの新旧比較
デザイン比較
2代目GB型フリード

「Dynamism and Functionality」をテーマに、躍動感、機能性を融合させ、ドライバーズカーとしての魅力を追求。エッジの効いたシャープなキャラクターラインで、コンパクトミニバンでありながら、スポーティさをアピール。
クロスターは、SUVブームの流れを受け、専用のフロントグリルや前後バンパーなど、SUVテイストのデザインを採用しワイルドさを表現。
3代目GT型フリード

エアーは、シンプルな造形かつ上質なデザインとして、信頼感とクルマとしての使い勝手の良さを感じさせるスタイリングを目指した。
クロスターは、専用のブラックのフロントバンパーやホイールアーチプロテクター、サイドシルガーニッシュなど、多くの専用装備を採用。よりアクティブで、力強さを表現している。
ボディサイズ比較
3代目GT型フリードのプラットフォーム(車台)は、2代目GB型フリードのものを改良して使用。
そのため、ボディサイズはほぼ同じ。全高の差はルーフアンテナによるもの。
全長はe:HEVを搭載するためやや長くなった。
世代 | 2代目GB型フリード | 3代目GT型フリード |
---|---|---|
グレード | ハイブリッドGグレード FF 7人乗り | e:HEV エアー FF 7人乗り |
全長 | 4265mm | 4310mm |
全幅 | 1695mm | 1695mm |
全高 | 1710mm | 1755mm |
ホイールベース | 2740mm | 2740mm |
車重 | 1430㎏ | 1460㎏ |
パワーユニットスペック比較
2代目GB型フリードと3代目GT型フリードのハイブリッド車比較
世代 | 2代目GB型フリード | 3代目GT型フリード |
---|---|---|
エンジン | 1.5L SPORT HYBRID i-DCD | 1.5L e:HEV(2モーターハイブリッド) |
エンジン最高出力 | 110㎰ | 106㎰ |
エンジン最大トルク | 134Nm | 127Nm |
モーター最大出力 | 29.5㎰ | 123㎰ |
モーター最大トルク | 160Nm | 253Nm |
燃費 | 19.8~20.9㎞/L(WLTCモード) | 21.1~25.6㎞/L(WLTCモード) |
2代目GB型フリードと3代目GT型フリードの1.5Lガソリンエンジン車比較
世代 | 2代目GB型フリード | 3代目GT型フリード |
---|---|---|
エンジン最高出力 | 129㎰ | 118㎰ |
エンジン最大トルク | 153Nm | 142Nm |
燃費 | 15.6~17.0㎞(WLTCモード) | 14.4~16.5㎞/L(WLTCモード) |
2代目フリードと3代目フリードでは、ハイブリッドシステムがまったく異なる。
そのため、燃費性能はe:HEVが大幅に上回る。
ガソリンエンジンは、基本的に同じで3代目は進化型を採用。
新車価格とグレード展開の比較
2代目GB型フリードの新車価格(最終モデル)
シンプルな標準仕様車と、SUVテイストをプラスしたデザインを採用した「クロスター」と呼ばれるグレードで構成されている。
1.5Lスポーツハイブリッドi-DCD
グレード | 駆動方式 | 定員 | 価格 |
---|---|---|---|
HYBRID CROSSTAR | FF | 6名 | 2,957,900円 |
HYBRID CROSSTAR | 4WD | 6名 | 3,122,900円 |
HYBRID G | FF | 7名 | 2,710,400円 |
HYBRID G | FF | 6名 | 2,688,400円 |
HYBRID G | 4WD | 6名 | 2,853,400円 |
HYBRID Modulo X | FF | 7名 | 3,333,000円 |
HYBRID Modulo X | FF | 6名 | 3,311,000円 |
1.5Lガソリン
グレード | 駆動方式 | 定員 | 価格 |
---|---|---|---|
CROSSTAR | FF | 6名 | 2,627,900円 |
CROSSTAR | 4WD | 6名 | 2,792,900円 |
G | FF | 7名 | 2,352,900円 |
G | FF | 6名 | 2,330,900円 |
G | 4WD | 7名 | 2,517,900円 |
G | 4WD | 6名 | 2,495,900円 |
Modulo X | FF | 7名 | 3,027,200円 |
Modulo X | FF | 6名 | 3,005,200円 |
3代目GT型ホンダ フリードの新車価格
標準仕様車に相当するグレードが「エアー」として新設定。「クロスター」は前型から継続して設定されている。
1.5L e:HEV(ハイブリッド車)
グレード | 駆動方式 | 定員 | 価格 |
---|---|---|---|
e:HEV AIR | FF | 6名 | 2,857,800円 |
e:HEV AIR | 4WD | 6名 | 3,088,800円 |
e:HEV AIR EX | FF | 6名 | 3,047,000円 |
e:HEV AIR EX | FF | 7名 | 3,091,000円 |
e:HEV AIR EX | 4WD | 6名 | 3,278,000円 |
e:HEV CROSSTAR | FF | 5名 | 3,162,500円 |
e:HEV CROSSTAR | FF | 6名 | 3,206,500円 |
e:HEV CROSSTAR | 4WD | 5名 | 3,393,500円 |
e:HEV CROSSTAR | 4WD | 6名 | 3,437,500円 |
1.5Lガソリン
グレード | 駆動方式 | 定員 | 価格 |
---|---|---|---|
AIR | FF | 6名 | 2,508,000円 |
AIR | 4WD | 6名 | 2,739,000円 |
AIR EX | FF | 6名 | 2,697,200円 |
AIR EX | FF | 7名 | 2,741,200円 |
AIR EX | 4WD | 6名 | 2,928,200円 |
CROSSTAR | FF | 5名 | 2,812,700円 |
CROSSTAR | FF | 6名 | 2,856,700円 |
CROSSTAR | 4WD | 5名 | 3,043,700円 |
CROSSTAR | 4WD | 6名 | 3,087,700円 |
ライバル車はトヨタ シエンタ

5ナンバーサイズに収まるスライドドアのミニバンとして、直接のライバルになるのがトヨタ シエンタだ。
基本的なコンセプトやパッケージング、車種の位置付けなど、すべてにおいて競合する。
まさにガチンコの勝負相手である。
ただ、シエンタは世代ごとにデザインコンセプトが大きく変化しており、モデルごとにテイストが異なっている。
逆にフリードは今回の新型でデザインも大きく変化したが、初代から3代目までキープコンセプトで保守的といえなくもない。
2代目GB型ホンダ フリードの特徴

2代目GB型フリードは、「7days Wonderful Mobility」をコンセプトに、「いつでも」、「どこでも」、「だれでも」用途に応じて思い通りに使えるコンパクトミニバンとして開発された。プラットフォーム(車台)は、コンパクトカーのフィットベースながら、フリード用に最適化されている。
2代目フリードの最大の特徴は、全長4265mmというコンパクトなボディの中に、3列シートで最大7人乗りを実現した高効率パッケージングにある。2列目シートがキャプテンシートとなる6人乗り、ベンチシートとなる7人乗りが設定された。Mクラスミニバンレベルの広さとは言えないが、なんとか6人、もしくは7人乗りが可能。フル乗車の場合、あくまで短距離移動がメインと考えた方がよい。通常の4人、もしくは5人乗車であれば、十分に快適で多くの荷物を積んで移動できる。
また、最大7人乗車が可能なのに、コンパクトなボディの恩恵で、狭い道や駐車場が多い日本ではとても扱いやすい。さらに、低床フロア化されているので、高齢者や小さな子供の乗り降りも用意。こうしたことが、フリードが大ヒットした要因といえる。
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2代目フリードに搭載されたパワーユニットは、1.5Lのスポーツハイブリッド i-DCDと1.5L直4ガソリンエンジン。を搭載。スポーツハイブリッド i-DCD は、かなりユニークなハイブリッドシステムで、モーター内臓の7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を採用している。ギアを使ったシンプルな構造なため、伝達効率が高く、鋭いレスポンスやダイレクト感ある加速が特徴だ。

2代目GB型ホンダ フリード改良の歴史と概要
2016年9月
・フルモデルチェンジ。2代目GB型ホンダ フリードデビュー。
2017年12月
・カスタマイズモデルのモデューロX投入。
2019年10月
・マイナーチェンジ。クロスオーバースタイルの新グレード「クロスター」を追加。
・内外装デザイン変更。
・ホンダセンシング全車標準装備。
・ブレーキ操作ステップダウンシフト制御の採用。
2020年5月
・モデューロXマイナーチェンジ。
2022年6月
・一部改良。運転席・助手席シートヒーター、コンフォートビューパッケージ、ロールサンシェードなどを標準装備。
・シート表皮には撥水撥油加工が施された「FABTECT(ファブテクト)」を新採用し、標準装備とした。
・エクステリア・インテリアともにブラックをアクセントとした特別仕様車「BLACK STYLE」を設定。
2023年1月
・2022年(1~12月)におけるフリードの販売台数が、ミニバン新車販売台数で第1位を獲得。
2023年6月
・クロスターに、ブラックをベースとしたより引き締まったデザインと個性をアピールする上質な特別仕様車「BLACK STYLE」を設定。
2024年6月
・フルモデルチェンジ。3代目GT型フリードデビュー。
2代目GB型ホンダ フィットの中古車選びのポイントは?
ポイント(1)ハイブリッド? ガソリン? どっちがいい?
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【自動車情報のプロ】大岡智彦
人気があるのは、やはり1.5Lのスポーツハイブリッド i-DCD搭載車だ。
7速DCTとモーターの組み合わせで、レスポンスがよくダイレクト感のあるキビキビとした走りが魅力。
ただ、ハイブリッド車とガソリン車の燃費差が微妙。ハイブリッド車の燃費は、19.8~20.9㎞/L(WLTCモード)に対して、1.5Lガソリンの燃費は15.6~17.0㎞。
ガソリン車に対して、ハイブリッド車は約23~27%程度の燃費アップとなっている。これくらいの差であれば、価格が高いハイブリッド車でなくても・・・と思えるレベルかもしれない。
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さらに、パワフルさという点では、ハイブリッド車とガソリン車は同等程度。
むしろ、若干だがガソリン車の方がパワフルな印象なのだ。ただ、静粛性という面では、やはりハイブリッド車が勝る。こうなると、甲乙つけ難い状況だ。
中古車価格は、ハイブリッド車とガソリン車で、それほど価格差が無いのも特徴。
装備面では、ややハイブリッド車の方が充実しているので、燃費と装備に優れたハイブリッド車がやや優位になる。
ポイント(2)スポーツハイブリッドi-DCDは、整備記録簿を要チェック!
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【自動車情報のプロ】大岡智彦
スポーティな走りと、低燃費性能を両立したホンダ独自のスポーツハイブリッドi-DCD。このハイブリッドシステムが曲者だ。
このi-DCDは、GP型フィットに初搭載されたが、発売直後からリコールが多発した。フリードでは対策済みのシステムとなっているものの、トラブルが多い。
そのため、i-DCD搭載モデルの中古車を購入する場合、整備記録簿を念入りにチェックしたい。しっかり整備されていたり、対策部品に交換されていたりする車両であれば、故障リスクは低くなるだろう。
ポイント(3)ホンダセンシングの有無は要チェック
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【自動車情報のプロ】大岡智彦
2代目フリードは、2019年10月にマイナーチェンジしたタイミングで、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備&運転支援パッケージ「ホンダセンシング」が標準装備された。
そのため、どのグレードを買っても一定レベルの予防安全性能を得ている。しかし、マイナーチェンジ前のモデルは、一部グレードで標準装備だが、B系グレードを中心に非装着モデルがある。
ホンダセンシングは、重要な安全装備なので、マイナーチェンジ前モデルを買う場合、ホンダセンシングの有無をしっかりとチェックしておきたい。
2代目GB型ホンダ フィット 中古車のおすすめグレードは?
*以下の中古車相場は、2024年9月調べとなります。
マイナーチェンジ前なら
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【自動車情報のプロ】大岡智彦
前期型はハイブリッドG ホンダセンシングがおすすめ。
ハイブリッドG ホンダセンシング中古車相場(2018年式)約150~190万円
G ホンダセンシング(ガソリン車)中古車相場(2018年式)
約160~180万円
本来なら、最上級グレードのハイブリッドEXをお勧めしたいところだが、中古車相場(2018年式)が約170~210万円と高い。中古車流通量も少な目で、少し選びにくい。また、6人乗りの設定しかないため、お勧めはG系グレードとした。
ハイブリッドとガソリン車共に、G系グレードの中古車相場は、ほぼ同等。こうなると、燃費のよいハイブリッド車がおすすめだ。
また、ガソリン車のGホンダセンシンググレードでは、ハイブリッドGホンダセンシングで標準装備のLEDヘッドライトもオプション設定。こうした装備差があるので、価格のバランスを見ながら選択するとよい。
そして、両グレード共に、オプションのサイドエアバッグや純正ナビが装備されている車両なら、さらにおすすめだ。
マイナーチェンジ後なら
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【自動車情報のプロ】大岡智彦
後期型もハイブリッドG ホンダセンシングがおすすめ。
ハイブリッドG ホンダセンシング中古車相場(2021年式)
約210~240万円
G ホンダセンシング(ガソリン車)中古車相場(2021年式)
約180~240万円
マイナーチェンジ後のモデルも、ガソリン車とハイブリッド車の中古車相場は、低価格帯を除き、ほぼ同等程度となっている。ハイブリッド車とガソリン車の中古車価格差が、約20万円程度あり、装備も同等程度であれば、お勧めはガソリン車のGホンダセンシングになる。
マイナーチェンジ後のモデルも、ハイブリッドGホンダセンシングで標準装備のLEDヘッドライトがオプション設定。装備差があるので、価格と装備のバランスを見ながら選択するとよい。
ただし、ガソリン車とハイブリッド車の価格が同等程度であれば、燃費性能に優れたハイブリッドGホンダセンシングがおすすめだ。
マイナーチェンジでは、SUVとのクロスオーバーモデルであるクロスターも追加されている。ただ、クロスターの中古車流通台数は少なく、価格も高め。買い得感は低い。
ガソリン車、ハイブリッド車共にGホンダセンシンググレードには、Cパッケージと呼ばれるオプションが設定されていた。このCパッケージは、運転席・助手席シートヒーター、ロールサンシェード、フロント&フロントドアガラスIRカット〈遮熱〉/ UVカット機能付、親水/ヒーテッドドアミラー+フロントドア撥水ガラス+熱線入りフロントウインドウなどが装備される。最近の猛暑を考えると、IRカット〈遮熱〉/ UVカット機能付きは必須ともいえるアイテムで、Cパッケージを装備した中古車は、さらにおすすめだ。
高リセールバリューが期待できる2代目GB型ホンダ フリードのグレードや装備は?
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【自動車情報のプロ】大岡智彦
2代目フリードは、総じてリセールバリューが高いといえる。
たとえば、ハイブリッドG ホンダセンシング中古車相場(2021年式)は約210~240万円。当時の新車価格が、約256~280万円。2021年式の中古車は、新車価格の約82~86%と高値を維持している。
そんな中、2019年10月のマイナーチェンジで追加されたSUVテイストのクロスターは、より高いリセールバリューが期待できそうだ。
2021年式ハイブリッド クロスターホンダセンシングの中古車相場、約230~270万円となっている。新車価格が約278~302万円だったので、新車価格の約83~89%となっている。昨今のSUVブームの影響がさらに加わると、クロスターのリセールバリューは、さらにアップする可能性がある。
装備されていればプラス査定となると予想できるオプション装備は、純正ナビや15インチアルミホイールくらいだろう。