自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が語る! マツダ CX-8 大研究!エンジン・年式・グレードはどれがいい?

マツダCX-8は、2017年12月に発売を開始された3列シートをもつラグジュアリーSUV。デビュー時、国内マツダにおけるフラッグシップSUVだった。
2列目シートは、2人乗りのキャプテンシートと3人乗りのベンチシートを用意。高級SUVということもあり、販売台数こそ多くなかったが、3列目シートを望むマツダファンを中心に着実な販売を続けていた。そして、CX-8は2023年12月に生産を終了し、国内3列シートをもつSUVは、CX-80へと引き継がれた。
今回はそんなCX-8について見ていこう。

【自動車情報のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

マツダCX-8の特徴

マツダのSUVは、全般的にスポーティな走りに重点を置いていた。ところが、CX-8はスポーティな走りというより、むしろSUVのグランツーリスモ的。長距離を快適に疲れ知らずで移動できるSUVに仕上がっている。

CX-8の走りの美点は、しなやかな乗り心地と優れた直進安定性。路面の凹凸をしっかりと抑え込み、快適な乗り心地を提供。2,930mmというロングホイールベースを生かし、直進安定性にも優れている。さらに、450Nmという大トルクを誇る2.2Lディーゼルターボエンジンは、とても力強い。そのため、高速道路などでの移動は、とても快適。長距離移動の多い人にピッタリなSUVといえる。

そんなCX-8は、普遍的な美しさと上質なデザインによって、日々の暮らしに心地よい刺激を受け続けていただきたいという想いをこめ、「TIMELESS EDGY」をキーワードに開発。マツダの国内フラッグシップSUVに相応しい「走る歓び」と「上質な豊かさやこだわり」を感じられるデザインとしている。

CX-8のボディサイズは、全長4925×全幅1845×全高1730mm。3列シートSUVということもあり、全長は長めだが、全幅はそれほどワイドではないので、狭い道の多い日本でもそれほど苦にはならないだろう。

そして、CX-8の最低地上高は200mmを確保。ラグジュアリーSUVながら、オフロードでの走破性も十分にレベルになっている。
また、最小回転半径は5.8m。扱いやすいとは言えないが、Lクラスミニバン並みなので、及第点といえるレベルになっている。

エンジンの選択は、2.2Lディーゼルターボ一択!

CX-8では、下記のエンジンが用意されていた。スペック、燃費などは以下の通り。燃費はWLTCモード。

  燃費 最高出力 最大トルク
2.2Lディーゼルターボ(最終モデル) 15.4~15.8㎞/L 200㎰ 450Nm
2.5Lガソリンターボ(最終モデル) 11.6~12.0㎞/L 230㎰ 420Nm
2.5Lガソリン(最終モデル) 12.2~12.4㎞/L 230㎰ 420Nm

マツダCX-8の中古車選びでは、エンジンの選択が重要だ。エンジンは、2.2Lディーゼルターボ、2.5Lガソリンターボ、2.5Lガソリンと3タイプから選べる。

この中でおすすめなのが、2.2Lディーゼルターボエンジン。450Nmという大トルクを誇り、余裕ある走りが楽しめる。グランツーリスモ的なCX-8というクルマのキャラクターにベストマッチするエンジンだ。力強さと低燃費性能を兼ね備えていて、まさにCX-8のエンジン選びでは、2.2Lディーゼルターボ一択となる。中古車流通量も、ほとんどが2.2Lディーゼルターボで高い人気を得ている。

さらに、ディーゼルエンジンは、燃料に軽油を使う。軽油はレギュラーガソリンより20円/L前後も安価。そのため、燃費値ではハイブリッド車に敵わないが、燃料費視点ではハイブリッド車に近くなり経済的なメリットもある。

この2.2Lディーゼルターボは、2020年12月の改良で、190㎰から200㎰はパワーアップ。パワーアップだけでなく、フィーリングまで改良され高回転まで気持ちよく回るエンジンとなった。さらに、6速ATの応答性向上も加わり、走りの質を向上させている。走りの質を重視するのであれば、この改良後モデルがおすすめだ。

マツダCX-8、改良の変遷

完成度を重視するなら、年式が新しいモデルがおすすめ

マツダは、毎年のように改良を加え、クルマの完成度を上げている。CX-8も同様で、何度も改良を受けた。そのため、年式が新しいほどクルマの完成度は高くなる。完成を重視するのであれば、なるべく年式が新しいモデルを購入するとよい。
CX-8の主な改良点は以下の通り。

■2018年6月

・最上級機種「XD L Package」に、高級ナッパレザーを使った2列目ベンチシート仕様の7人乗りを追加。

■2018年10月

・2.5Lガソリンと、2.5Lガソリンターボエンジンを追加。
・車両姿勢制御技術「GVCプラス」を全車標準装備。
・衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)である「アドバンストSCBS」に夜間歩行者検知機能を追加。
・360°ビュー・モニターを25S L Package、25T L Package、XD L Package、XD PROACTIVEの各グレードに標準設定。
・3列目周辺(後方リフトゲート、および荷室フロア周り)の遮音性能を強化。
・「L Package」専用装備として、前席シート両側に「シートベンチレーション」機能を搭載。
・3眼メーター中央に7インチのフルカラーTFT液晶を用いた「7インチマルチスピードメーター」を採用。

■2019年10月

・L Packageの2列目ベンチシートにワンタッチウォークインスイッチを追加。
・L Packageにナッパレザー素材を採用したウォークスルータイプのキャプテンシートを追加。
・XD PROACTIVE S Packageにブラックのレザーシートを採用。
・25S PROACTIVE、XD PROACTIVE、XD PROACTIVE S Packageにセカンドシート シートヒーター(左右席)を採用。
・新開発「オフロード・トラクション・アシスト」をAWD車に採用。
・WVGAセンターディスプレイのサイズを大型化(7インチ→8インチ)。
・ルーフ部に塗布型制振材を採用し、雨粒がルーフを叩くことで発生する騒音を低減。
・開閉及びチルトアップできる電動スライドガラスサンルーフを一部グレードに設定。
・特別仕様車「Exclusive Mode」を設定。
・新グレード「XD PROACTIVE S Package」を設定。

■2020年5月

・CX-8 SMART EDITIONを設定。(ベース機種:25S、XD PROACTIVE)

■2020年12月

・CX-8 Black Tone Editionを設定。(ベース機種:PROACTIVE)
・2.2Lディーゼルターボエンジン、200㎰へパワーアップ。
・6速AT応答性向上。
・ハンズフリー機能付きパワーリフトゲートを搭載。
・ワイヤレス充電(Qi)を設定。
・センターディスプレイのサイズを大型化(8インチ→8.8インチor10.25インチ採用)。
・コネクティッドサービスの導入。

■2022年1月

・「Exclusive Mode(エクスクルーシブモード)」に2.5Lガソリンモデル追加。
・特別仕様車「Black Tone Edition(ブラックトーンエディション)」に2.5Lガソリンターボモデルを追加。

■2022年11月

・フロントグリル、リアコンビランプ、リアバンパーのデザイン変更
・Mi-DRIVEに「OFF-ROAD」モードを新設定。
・2.5Lターボエンジンの制御を深化
・スプリング・ダンパー特性の変更し、コントロール性も向上。
・前席シートのシートクッションやバネを改良し、コーナリング中などでの乗員上体の安定性を向上。
・グレアフリー(防眩)ハイビームLEDを12分割から20分割とし、夜間の視認性を高め、ドライバーの危険認知をサポート。
・クルージング&トラフィック・サポート(CTS)の採用
・Apple CarPlayにワイヤレス接続機能を追加。
・特別仕様車「Grand Journey」、「Sports Appearance」を追加。

ポイント:「2018年10月の改良以降のモデルを選びたい!」その理由は?

予防安全装備重視なら、自動ブレーキの検知対象に夜間の歩行者が加わった2018年10月の改良後モデルがよい。また、上級グレードには、車両に取り付けられたカメラの映像を俯瞰から見た映像に加工し、死角を無くす360°ビューモニターが上級グレードに標準装備された。うっかり衝突リスクを減らす便利で安全な機能だ。
・3列目周辺(後方リフトゲート、および荷室フロア周り)の遮音性能を強化したことにより、車内での会話明瞭度がアップ。多人数乗車時の、車内の会話がしやすくなっている。
「L Package」専用装備として、前席シート両側に「シートベンチレーション」機能を搭載されたことにより、前席の快適性が大幅にアップ。レザーシートは、夏場はとくに熱が逃げにくく、乗車中は背中や腰、お尻が長時間熱いまま。ベンチレーション効果で、熱が逃げやすくなるので、汗で蒸れることも少なくなり快適だ。

マツダCX-8中古車のおすすめグレード

*中古車価格は2024年9月調べ

とにかくラグジュアリーを追求するのであれば
おすすめグレード その1:XDエクスクルーシブモード

後期CX-8において、最上級グレードに位置するエクスクルーシブモード。このグレードは、2022年11月に投入された。
外観はホイールアーチなどもボディ同色に塗装。オフローダー的要素を徹底的に排除し、都会派高級SUVとした。
内装は、ピュアホワイトもしくはブラックの高級ナッパレザーシートを標準装備。上品な金属感を表現したヘアラインシルバーのインパネ加飾が上質感をさらにアップしている。ホワイトの内装は、汚れが気になるかもしれないが、洗練された上質さを最も分かりやすく伝えていて、おすすめの内装色だ。また、2列目シートがキャプテンシートになる6人乗りが、ラグジュアリーSUVであるCX-8の世界観に合っている。
■当時の新車価格:4,657,400~5,058,900円
■中古車相場(2021年式):約400~430万円

スポーティなルックス重視なら
おすすめグレード その2:XDスポーツアピアランス

スポーツアピアランスの外装は、フロントグリル、 シグネチャーウィング、 バンパー下部、 クラッディング、 ボディロアガーニッシュ、ドアミラー、19インチアルミホイールなど、精悍さとスポーティさを際立たせるブラック塗装を施したモデル。
インテリアは、レッドもしくはブラックのスムースレザーシートを採用。ライトグレーのステッチを入れるなど、スポーティさをアピール。また、 ハニカムシルバー・サテンクロームメッキのインパネ加飾を施し、上質感も表現した。CX-8の中でも、最もスポーティな仕様になっている。ただ、中古車流通量は少なく好みの車両を探すには、少々時間がかかるかもしれない。このグレードは2022年11月に投入された。
■当時の新車価格:4,415,400~4,651,900円
■中古車相場(2023年式):約440~480万円

予算重視だが、高級感も重要というのであれば
おすすめグレード その3:XD Lパッケージ

XD Lパッケージでお勧めなのは、2018年10月の改良後モデル。この改良後のモデルには、前席シートベンチレーション機能や360°ビューモニターなどが充実した装備が標準装備となっている。機能面でも、自動ブレーキの検知対象に夜間の歩行者も追加、車両姿勢制御技術「GVCプラス」、3列目シート周りの静粛性向上など、機能面でも大幅に進化している。Lパッケージには、レザーシートが標準装備されており高級SUVらしさは十分。当時は、このLパッケージが最上級グレードだった。年式が古くなってきたこともあり、買い得感も増しており、予算と上質感両方を求めるならLパッケージがおすすめだ。
■当時の新車価格:4,228,200~4,460,400円
■中古車相場(2019年式):約250~330万円


CX-8、今後のリセールバリューは?

CX-8のリセールバリューは下落傾向と予想

マツダCX-8は、すでに生産を終了している。そのため、2024年8月末現在では、マツダに3列シートを持つモデルが無いので、なんとか高リセールバリューを維持している状態だ。

しかし、2024年秋には、新たに3列シートSUVである新型マツダCX-80が投入される。新型が投入されれば、CX-8は旧型ということになりリセールバリューは下落すると予想できる。さらに、新型CX-80が投入されれば、その下取り車や買取店などに売却された多くのCX-8が中古車マーケットに流通する。流通量が過多になれば、リセールバリューがさらに下がる可能性も高い。

今のところ、CX-8のリセールバリューが高くなる要因が見つからない。なので、CX-8の売却を考えているのならば、早急な売却がおすすめとなる。
ただ、逆を言えば、リセールバリューが下がるということは、中古車価格も下がるということになるので、CX-8の中古車は、これからが買い時だ。

CX-8、低リセールバリュー回避の中古車選びポイント

ポイント①赤のボディカラーは選ばない

赤いボディカラーが似合うマツダ車。しかし、CX-8はラグジュアリーSUVということもあり、新車で赤いボディカラーを選ぶユーザーは少ない状態。中古車のマーケットでも赤いボディカラーのCX-8はあまり流通していない。つまり、CX-8において赤いボディカラーの人気が低いということになる。赤いボディカラーは、リセールバリューは低くなる可能性が高いので避けた方が無難だろう。

ただし、乗りつぶすのであれば、赤いボディカラーも悪くない。リセールバリューが低ければ、中古車価格も安価になり買い得感が増すからだ。
短期間で乗り換えというのであれば、白・黒・シルバーといったモノトーン系が高リセールバリューが期待できる。

ポイント②ディーゼル以外のエンジンに手を出すな!

CX-8では、圧倒的に2.2Lディーゼルターボエンジンの人気が高い。2024年9月調べで、CX-8中古車の中で約84%がディーゼル車だったほど。この結果から、ディーゼル以外のエンジンを選択すると、リセールバリューが低くなる可能性がとても高い。

ただし、乗りつぶすことが前提とするのであれば、ディーゼル以外のエンジンでもよい。リセールバリューが低くなることで、中古車価格も下がりディーゼル車よりもリーズナブルに買えるからだ。

高リセールバリューが期待できるマツダ CX-8のグレード、装備は?

XDエクスクルーシブモード

エクスクルーシブモードは、ラグジュアリーSUVであるCX-8らしさを最も端的に表現したグレード。実質、CX-8の最上級グレードにあたる。2021年式の中古車では、約35%(2024年9月調べ)がエクスクルーシブモードという人気の高さを誇っていることもあり、高リセールバリューが期待できるグレードだ。

プラス査定が期待できる装備は?

ほとんどの装備が標準装備されていたエクスクルーシブモードやスポーツアピアランス、Lパッケージなどの上級グレードを除いたグレードで、オプション設定されていた装備でプラス査定になると予想される装備は、ボーズサウンドシステムやサンルーフ、360°ビューモニター、パワーバックドアなどだろう。

マツダCX-8燃費、ボディサイズなどスペック

代表グレード CX-8 XDエクスクルーシブモード(最終モデル、6人乗り、2WD)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,925×1,845×1,730
ホイールベース[mm] 2,930
最低地上高[mm] 200
車両重量[kg] 1,840
エンジンタイプ/型式 直4 DOHCディーゼルターボ/SH-VPTS
エンジン総排気量[cc] 2,188
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 147〈200〉/4,000
エンジン最大トルク[N・m(㎏-m)/rpm] 450〈45.9〉/2,000
ミッション 6速AT
WLTCモード燃費[km/L] 15.8
乗車定員[人] 6
サスペンション形式(前/後) ストラット/マルチリンク
タイヤサイズ 225/55R19