ガリバー最大規模の整備施設で中古車のバリューを生み出す整備士インタビュー ガリバー中古車整備工場「関東商品化センター」(3) DIYだとウン万円!?最新の中古車整備は苦労する?
関東地区のガリバーの店舗で販売される中古車の点検・整備・カーケアを行う一大拠点、ガリバー関東商品化センター(千葉県野田市)。お客様に良質なクルマをお届けするため、中古車の新たなバリューを生み出している整備士たちは、どのような思いで日々の作業に向かっているのでしょうか?
車内の悪臭に電子制御部品・・・整備やカーケアで直面する苦労
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(編集部:AK)前回では、厳しい目でクルマをチェックして、ガリバーの店舗に送り出しているガリバー関東商品化センターの整備クオリティについて伺いました。ここからは、実際に行われる整備やカーケアで苦労している点についても教えてください。
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(平澤)カーケアに関しては、室内の臭いを落とすのがとても大変ですね。車の状態によって差はありますが、タバコのヤニや室内に付着したカビ、シートに染み込んだ汗や食べ物による汚れ、ペットの残した臭いや汚れなどによって車内が強烈な匂いを放つケースがあります。
この場合は、原因となる汚れを物理的に除去してあげないと脱臭だけでは対処できないので、時間と労力をかけてクリーニングしています。
ちなみに近年はシートも電動のものが増えてきたり、エアバッグやシートベルトのセンサーなど電子制御されていたりする部分も増えてきているので、車内のシートは外さずに作業しています。電子制御のパーツを作業で触る場合には安全のためにバッテリーを外す必要があるのですが、すると再通電した際に予期していなかった警告灯が点灯してしまったりするのです。
こちら、用意してある機器で消せればいいですが、警告灯が消せない場合にはディーラーに持ち込んで対応してもらわなければならないので各所にご迷惑になってしまうんです。センサーや電子制御が満載されている最近の車は、部品の脱着にも細心の注意を払っています。
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(加藤)電子制御に関しては、運転支援機能が搭載されているクルマも増えていますね。
たとえば、SUBARUの「アイサイト」に代表される衝突回避機能を搭載したクルマについては、カメラがついているフロントガラスを交換した場合には自動ブレーキの再調整をはじめメーカーが指示した「特定整備」というものを必ず行う必要があったり、バンパーにも衝突回避機能のためのセンサーがついている車種もあるので、バンパーの脱着ひとつとっても非常に気をつけています。
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(編集部:AK)車が高度化しているからこそ、整備には細心の注意を払っているんですね。
一方で、お金の話も聞かせて欲しいのですが、実際に整備やカーケアをしてみて「整備にものすごくコストが掛かってしまった」というケースはあるのでしょうか?
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(平澤)外国車は概ね整備にコストが掛かるイメージですね。たとえば、ある海外メーカーのSUVは乗り込む部分のステップにある樹脂パーツが割れていたので交換するか販売店に確認したのですが、見積もりを出してみたら片側のパーツで12万円、板金など他の作業と合わせると60万円を超える金額になってしまって、驚いたことがありますね。
また、国内メーカーでもエアロパーツなどカスタマイズパーツは高く在庫も少ない印象があります。
あとは、先ほど申し上げたクリーニングに関する部分ですね。たとえば、あるミニバンをチェックした際には、その車はサードシートに生魚を積んでいたのだそうで、フレームを見てみるとすっかり錆びついてしまっていたのです。
匂いにしても汚れにしても、このようなサビにしても、綺麗にしようとすればするほど作業コストや材料コストが掛かってしまいますので、大変ですね。
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(編集部:AK)ガリバー関東商品化センターでは車の状態に応じて様々な努力をしながら車を仕上げていくことがわかったのですが、実際にここでの整備やカーケアをオーナーが自分でやろうとすると、どれくらいのコストが掛かってしまうものなのでしょうか?
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(加藤)もちろん車の状態によって変動はありますが、車検取得を前提に話しますと、点検・整備だけで12万円〜15万円くらいは掛かるのではないかと思います。
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(平澤)カーケアについても内装のクリーニングと洗車・磨き・コーディングなど仕上げの作業で10万円〜15万円くらいは掛かると思います。合計すると、一般的な点検・整備・カーケアで20万円前後から30万円程度のコストをかけて店頭に並ぶ車を仕上げている計算になりますね。
お客様の顔が見えないからこそ、お客様にとってのかけがえのない1台を仕上げたい
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(編集部:AK)本日はありがとうございました!
最後にお2人から、ガリバー関東商品化センターで点検・整備・カーケアに取り組む想いについて、聞かせてください。
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(加藤)ここガリバー関東商品化センターではお客様と直接コミュニケーションをする機会もないし、お客様がどんな方かお目に掛かることもないのですが、私たちにとっては数百台ある在庫車の中の1台だったとしても、お客様にとってはかけがえのない大切な1台であるわけです。
そのことを忘れることなく、お客様のことを第一に考えてしっかりと整備をして車を送り出していきたい。お客様の顔が見えないからこそ、その思いを大切にしてこれからも仕事をしていきたいと思います。
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(平澤)お客様に喜んでいただける車を仕上げるという思いは私も同じです。次もまたガリバーで車を買いたいと思っていただけるような車を仕上げていきたいですね。
そのためには、ガリバー関東商品化センターと販売店の連携は非常に大切だと思っています。例えば、ボディに気になる傷があったら、販売店がその傷をちゃんと認知しているか確認したり、元々の車の状態や目指している整備・カーケアの方針をお互いにしっかりと把握した上で、期待値を超えるクオリティの車を送り出してお客様に感動していただく。そんな仕事をこれからも続けていきたいですね。