最新の中古車市場とプロから学ぶ 中古車のプロに聞いてみた(第15回):2025年11月以降も相場は下がらず?中古車市場の展望は?

リセバ総研所長 床尾一法

リセールバリュー総合研究所 管理運営者

中古車情報誌の最大手での制作、自動車メディアの立ち上げ責任者などを経験。20年以上マーケティングのインハウスやコンサルタントで活動。2017年に人材開発へ転向。対話空間や学習空間の設計、言語化と構造化設計を得意とする。CompTIA CTT+ Classroom Trainer Certification取得。2023年より、マーケティングに復帰。中古車マーチャンダイジングの研究とともに、メディア運営設計を担っている。実は元カメラマン。

【中古車相場のプロ】〝OKB〟

中古車マーチャンダイジング部門管理職

大学生時代は自動車研究部でジムカーナや耐久レースに没頭し、2009年入社に旧ガリバーインターナショナル(現IDOM)入社。 ガリバーの店舗で営業職を2年経験した後、本社に異動。電話によるクルマ買取サービスを2年担当する。その後、マーチャンダイジング部門で中古車買取価格の設計、オークションでの売却担当などを歴任。 現在はマーチャンダイジング部門の管理責任者として、中古車の仕入れや商品構成の設計を統括する。お客様のご来店を促進させる在庫構成を設計する、中古車のスペシャリストだ。

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「毎年7月には何かが起きる」

※当記事のインタビューは2025年10月上旬に行われています。

※当記事の内容は、各担当者の経験に基づく主観的な感想や予想を中心とした個人の見解です。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    ところで、OKBさんは以前のインタビューでも「毎年7月には何かが起きる」とおしゃっていましたが、2025年の7月は何か動きはありましたか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    (4月から騒動になった)トランプ関税の影響が輸出ビジネスのほうに出始めましたね。

    特に物流面で影響が出ていて、クルマを運ぶ海運料金はかなり大きな影響が出たと思います。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    流通量や相場の動きにも影響があったのでしょうか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    そこの点はあまり影響がなくて、中間業者(バイヤー)がコスト上昇を吸収しているようでした。

    むしろ流通量は例年より少し多かったくらいですね。

    「今だけ頑張れば影響は長くなないだろう」という判断なのではないでしょうか。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    各々が経験に基づいて判断している、というところでしょうか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    ある程度リサーチはしていると思いますけどね。

    でも、最終的には賭けに近いでしょう。

    これまでのトレンドを鑑みると、相場変動のリスクはゼロではない。

    私自身は警戒感を持って業務に挑んでいます。

中古車業界にコロナ禍の影響が遅れてやってきた

  • リセバ総研所長 床尾一法

    それでは最後に、年末に向けた展望をお聞かせください。

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    セオリー通りに行くのであれば、10月半ばから相場は崩れ始めて、11月、12月は閑散期になるところですね。

    その後、2026年1月の初売りから(3月に向けた)年度末モードになって、2月3月は決算期で新車も中古車も一気に売っていく

    7月から9月期に上がった相場も(例年なら)10月から12月に掛けて落ちていくわけです。

    輸出のほうも、12月は仕向国に着く頃に年式が「年越し」してしまうので、各国の輸入年式制限に引っかからないよう、勢いが弱まるのは確かなんですけどね。

    相場的にも需要的にもこれから下り坂というのはセオリーと言えるわけですが・・・

    ただ、今年度に関しては、夏場からの勢いは続くと見ています(※注)
    ある程度の下落は見られると思いますが。

※注:インタビューは10月初旬に行われたが、実際に例年よりも高めの相場で維持している。

2024年と2025年の比較:国産登録車(軽自動車を除く)の査定件数と平均売却予想額(買取相場)の推移

国産登録車の査定件数トレンドは変わらないが、平均売却予想額の推移は2024年と2025年で明らかに異なっており、秋口以降も相場を維持している。

これは週報をご確認いただけると11月も変わらず相場を維持していることがわかる

  • リセバ総研所長 床尾一法

    要因はなんでしょうか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    やはり、2020年からのコロナ禍が影響していると思います。

    ちょうど5年落ちとなるコロナ禍に販売された新車が、今年も来年も中古車市場になかなか出てこないのではないかと。

    特に、トヨタの人気車種が出てこないので、在庫はますます減っていくでしょうね。

    輸出に関しても、世界的な状況を鑑みるとあまりマイナスのことは起きないのかなと。株価も恐らくこのまま推移していくでしょうし、ガソリン減税(暫定税率の廃止)も実現が見えてきました。

    これらを踏まえると、暴落する要因は見当たりません

中古車在庫は「確保」の方向へ動くか

  • リセバ総研所長 床尾一法

    コロナ禍の影響で3〜5年落ちの在庫が不足しているし、輸出は引き続き旺盛。相場が冷え込む要因が見当たらないと。

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    セオリー通りだと、10月半ばくらいから輸出業者は今年分の在庫確保は終わる。

    つまり「もう今年はクルマを買わない」という時期にはいます。

    そこが年末にかけて中古車相場の下落要因になるのですが、一方で彼らが買わなくなっても需要は減らないと考えています。自分だったら(在庫を確保するために)買います。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    それはコストを掛けてでも、中古車在庫の確保に動いたほうがいいということでしょうか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    そうですね。それを補えるぐらいの相場だと思えますね。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    興味深いですね。

    去年の12月に行ったインタビューでは「このタイミングでの在庫確保は(中古車販売店にとって)リスクがある」というお話だったんですよ。今年は違うようですね。

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    今年は在庫を持っておいてよかったという結果になりそうな気がします。

    あくまで「予感」ですが。

(第16回につづく)

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