中古車相場のプロに聞く! 【最新中古車市況(13)】2025年7〜9月期の中古車市場動向に感じた印象的な動きとは?

【中古車相場のプロ】〝OKB〟

中古車マーチャンダイジング部門管理職

大学生時代は自動車研究部でジムカーナや耐久レースに没頭し、2009年入社に旧ガリバーインターナショナル(現IDOM)入社。 ガリバーの店舗で営業職を2年経験した後、本社に異動。電話によるクルマ買取サービスを2年担当する。その後、マーチャンダイジング部門で中古車買取価格の設計、オークションでの売却担当などを歴任。 現在はマーチャンダイジング部門の管理責任者として、中古車の仕入れや商品構成の設計を統括する。お客様のご来店を促進させる在庫構成を設計する、中古車のスペシャリストだ。

リセバ総研所長 床尾一法

リセールバリュー総合研究所 管理運営者

中古車情報誌の最大手での制作、自動車メディアの立ち上げ責任者などを経験。20年以上マーケティングのインハウスやコンサルタントで活動。2017年に人材開発へ転向。対話空間や学習空間の設計、言語化と構造化設計を得意とする。CompTIA CTT+ Classroom Trainer Certification取得。2023年より、マーケティングに復帰。中古車マーチャンダイジングの研究とともに、メディア運営設計を担っている。実は元カメラマン。

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海外市場が日本のスポーツカーに熱視線?相場の高騰が続く

  • リセバ総研所長 床尾一法

    続き

    2025年7〜9月期の四半期で印象に残った中古車市場の動きはありましたか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    そうですね。

    スポーツカーですかね。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    なんと、スポーツカー!?

    それはまたどういう動きなんでしょうか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    海外のトレンドがスポーツカーに戻り始めていまして。

    ホンダも新型のプレリュードをだしましたね。

    プレリュードのターゲットは海外ですよね。日本国内にも欲しいという人はいるかもしれませんが、正直にいうと国内では厳しいかと。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    SUVやミニバン、軽自動車が全盛の今どきにしては、挑戦的な車種ですね。

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    SUVやミニバンの市場が成熟してきたなかで、メーカーも新車として展開するセグメントがスポーツ寄りになってきているのかもしれません。

    中古車に目を向けてみると、日産のGT-Rが海外で人気がありますが、ほかのスポーツタイプもどんどん人気が高まってきています。

    日本のスポーツカーはほぼすべての車種で中古車の流通価格が値上がりしている状況です。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    いま流通しているスポーツカーというと・・・やっぱり2000年代以前の?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    2000年代のものから90年代以前のヴィンテージといわれる古い車種まで含めて、かなり幅が広いですね。

    古いシビックやインテグラ、S2000などもとても高騰しています。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    まさかOKBさんとの中古車市況対談でスポーツカーの話が聞けるとは。

    私もDA(インテグラ)やEG(シビック)のB16A DOHC VTECエンジン搭載車を乗り継いで楽しんでました(遠い目)。

    とはい流通量はどうなんでしょう?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    流通量そのものは増えていないですね。

    しかし1台あたりの取引額がとんでもないことになっています。

    インテグラタイプRやEK型シビックタイプRもかなり高額で取引されていますね。GT-Rも年々値上がりし続けていますし、スバル WRXのSTiモデルもずっと高騰しています。

  • 平均売却予想額
  • 査定件数
  • 平均走行距離

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SUVやミニバンの海外需要に見られる特徴とは?

  • リセバ総研所長 床尾一法

    「SUV市場の成熟」というところですが・・・

    もちろん高値が続いているんですけど、全体的に相場価格と流通量の波が小さくなったというか。市場が飽和しているような、流通に停滞感のようなものを感じます。

    相場価格は安くはないけれど、高騰もしていないなと思いまして。そのあたりの肌感覚はいかがでしょうか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    ありますよ。

    SUVはずっと輸出に強いカテゴリーですが、今は特定の年式のクルマ限定で需要が高まる傾向があると思います。

    例えば、令和3年式よりも令和2年式のほうが高くなる車種があったり。特定の年式だけ高騰すると、全体の相場も乱れてしまうんですけどね。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    特定の年式に人気が集まるのは、やっぱり輸出相手国の規制に合わせてのことですか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    おそらく貿易相手国の関税免除に関する条件があったりすることじゃないかと思います。

    例えば、新車から2年落ち以内だと税金が高かったり、税制が年次で変更されたり。

    中古車の輸出は相手国の細かい事情によって、相場の動向がめまぐるしく変化します。最近増えてきている動きだと思います。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    一方で、同じく市場が飽和傾向にあるミニバンはどうでしょうか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    人気車種については変わらず在庫は枯渇していますが、ミニバン全体では輸出需要が弱いかなと思いますね。

    ミニバンはオーストラリア、マレーシア、シンガポールで需要が高い傾向がありましたが、最近は少し需要が弱まっていますね。

    ただ、これはミニバンが弱いのではなく、他のカテゴリーが強すぎて相対的に弱く見えてしまっているためかと。

    アフリカの各国やスリランカなど今まで中古車の流通が多くなかった国が一気に盛り上がっていますが、そうした国はミニバンよりもコンパクトなクルマに需要が集中している傾向です。

輸入車の相場が高騰!その背景にあるものとは?

  • リセバ総研所長 床尾一法

    スポーツカー、SUV、ミニバンとカテゴリーを取り上げてきましたが、そのほかに印象的な動きはありましたか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    輸入車は予想以上に高騰しました。

    例年、この時期(第3四半期の終盤)に上がることは上がるのですが、8月から9月前半まではここまで高騰するかの?というくらいに相場は上がりましたね。

輸入車の買取相場推移(2025年11月現在)
  • リセバ総研所長 床尾一法

    これはどうしてなんでしょうか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    もしかしたら・・・ですが、株式市場の好調が要因かもしれません。

    日経平均も上昇基調ですし。

    1000〜2000万円という高価格帯のクルマがかなり売れているので、普段は売れないクルマが結構出ている感触です。

    所得の高い人が購入するとは思うのですが、(そうした人にクルマを売る)大手の輸入車専門店はいま好調なのかもしれませんね。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    高所得者の方はクルマを新車で買うのではないかという先入観がありますが、中古車も買われていくのですね。

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    中古車を買う(所得の高い)人はたくさんいらっしゃいますよ。

    もちろん、新車も買われますが。

    むしろ「今の新車に魅力を感じないから中古車で以前のモデルが欲しい」という意向で中古車を買う人もいると思います。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    なるほど、そういうことなんですね。

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    足グルマは新車を買って基本的に2〜3年乗ってを繰り返しつつ、一方でコレクションとして所有するために中古車を探すなんてケースも多々あります。例えば、古いモデルのポルシェとか。

    高額所得者でクルマをコレクションする人のなかで、ポルシェはとても人気ですね。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    では「輸入車が高騰している」というのは、割とプレミアムなクルマが中心ということでしょか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    いやいや、輸入車の中古車は全体的に高騰しています。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    ではBMWの3シリーズのようなクルマもでしょうか?

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    そうですね。

    ただ、高騰しているといっても、やはり輸入車の中古車というのリセールバリューがよくありませんので、相変わらずコスパは高いですね。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    輸入車の中古車相場って、なかなか読み解くのが難しいですよね。

    突発的に希少なクルマの査定が入ると輸入車全体の平均売却予想額がどんと上がってしまうので、なかなか傾向が掴みにくい。中古車買取の査定件数の波も国産車と異なります。

  • 【中古車相場のプロ】〝OKB〟

    そうですね。

    国産車は基本的に短いスパンで変動して4月頃がピークになることが多いのですが、輸入車はイヤーモデルと言って毎年一部改良を続けています。

    その一部改良モデル(の輸入車)が出る9月から10月というのが、乗り換える人が多いタイミングのようです。

    査定件数の動きも、今の時期は比較的多い時期のはずです。

  • リセバ総研所長 床尾一法

    確かにそうですね。

    今の時期が最も輸入車の流動性が高まる時期なのかもしれませんね。

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