中古車相場のプロに聞く! 【最新中古車市況(12)】輸出が中古車相場を高騰させ価格を押し上げた2025年第3四半期の市場を振り返る
中古車マーチャンダイジング部門管理職
リセールバリュー総合研究所 管理運営者
<<第11回 最新中古車市況 第13回>>
予想以上の好調だった7-9月期の背景にあるコロナ禍の影響
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リセバ総研所長 床尾一法
さて、いよいよ2025年の終盤に差し掛かり、四半期シリーズ企画も第4四半期に突入です。まずは7月から9月の四半期を振り返っていただきましょう。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
非常によかったですよ。
毎年7〜9月期は活況な時期ではあるのですが、今年は8月から9月にかけて需要・市場価格ともに過去最高くらいの増加となったのではないでしょうか。
3ヶ月前のインタビューでも「今後(中古車市況は)よくなりますよ」とは言っていた記憶ですが、さすがにここまでよくなるとはちょっと予想外でしたねぇー。
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リセバ総研所長 床尾一法
2025年下半期の市場予測では、200万円台の売れ筋となる中古車が在庫不足になって相場が上がっていくとのお話でしたが、この四半期が好調だったのはそういった需給バランスが崩れた影響もあるのでしょうか?
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
あると思いますね。
特に、今年から5年落ちにあたる2020年式は、ちょうどコロナ禍で生産量が少なくなってきた時期なので。
新車車検が3年、継続車検で2年で計5年という乗り換えサイクルを考えると、ちょうと今年からコロナ禍に初年度登録されたクルマが市場に出てくることになります。
そう考えると、在庫不足と相場の上昇は今後も当分続きそうな感じはしていますね。
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リセバ総研所長 床尾一法
先程おっしゃっていた“予想外”の要因としては、どのようなことが考えられるのでしょうか?
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リセバ総研所長 床尾一法
アメリカの関税政策や国内の経済政策、日経平均株価など経済動向によるものが考えられますが、なかでも特に影響を与えたのは、やはり円安が進行している為替相場でしょうね。
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リセバ総研所長 床尾一法
やっぱり為替相場、となりますねぇ。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
そうですね。
新車の輸出も為替の影響を受けやすいですが、中古車もかなりの影響が出ます。
アフリカ市場で低価格車の需要が急増
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リセバ総研所長 床尾一法
上半期は価格の安い軽自動車の流通量が増え、全体的に安いクルマに(流通量が)シフトする傾向でしたが、その後の動きに変化はありましたか?
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
特に目立った変化はありませんが、軽自動車を含めて低価格帯の中古車輸出がとても強いですね。アフリカからの需要が大きなポイントです。
いまアフリカ市場が非常に活況で、輸出台数も急増しています。
恐らく、今年は輸出台数の過去最高を記録するのではないかと予測しています。
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リセバ総研所長 床尾一法
アフリカは軽自動車の重要も高いんですね。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
ええ、もう(アフリカの)どの国にでも行きますね。
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リセバ総研所長 床尾一法
リセバ総研では、「週刊リセールバリュー」と題して週間の買取相場をお届けしています。
その中で登録/届出から10年落ちまで(2025年時点では2015〜2024年式)の査定件数上位車種を年式別に抽出して、前週との比較で平均売却予想額(買取相場)が上昇したクルマを紹介しているのですが、8月の上旬からは上昇率の上位が低年式の軽自動車で占められていました。
その後、お盆過ぎからは小型の普通車やSUVが上位に入り混じっていましたが、9月後半からはまた軽自動車が主流になりました。
この動きは、なにか市場に動きがあったということなのでしょうか?やはりアフリカの需要が影響しているのでしょうかね?

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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
このデータはあくまでガリバーの買取査定実績に基づくものなので、ガリバーの特性による影響もあるとは思いますが・・・このランキングのなかだと10年落ちのステップワゴン(※上記画像では圏外)やスペーシアは輸出需要がかなり高いですね。
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リセバ総研所長 床尾一法
スペーシアもアフリカなんですね。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
アフリカと、あとは東南アジアにも行きますね。
・・・実は日本の中古車を輸入する主要国というのはいくつかあるのですが、需要が急激に高まって相場が異常に高騰するのがどの国なのかというのは、私たちからはなかなかわかりにくいんです。
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リセバ総研所長 床尾一法
そうでしょうね。
中古車の輸出に直接関わっているわけではありませんしね。
ところで、10年落ちのステップワゴンやスペーシアでも輸出できるんですね。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
実際にはできてしまっているようですね。
正式には、国によってはあまり古いクルマを流通させたくないという目的で輸入規制をかけている場合もあるのですが、実際には様々な国や地域を迂回して輸入したりなど規制の抜け道もたくさんあったりするので、クルマの輸出入をする業者はそうした手段を駆使して流通させているようですね。
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リセバ総研所長 床尾一法
アレコレ手段を使って、ってことですね。
ガリバーはオークションにクルマを流通させるところまでで、海外での輸出入には直接関与していませんが、そこから先ではいろんなことがあるんですね。
ところで、表の中で興味深かったのが低年式のトヨタ ルーミーで、これまでこのランキングにはあまり登場してこなかった車種ですが、9月に目立つようになりました。
なにか需要の変化があったのでしょうか?
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
ライズ/ロッキーの中古車も輸出需要が強く国内流通量が減少
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リセバ総研所長 床尾一法
ところで、このランキングには入っていないのですが、トヨタの「ライズ」とダイハツの「ロッキー」も中古車の流通価格(買取相場)が高騰していますよね。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
そうですね。ずっと高騰しています。
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リセバ総研所長 床尾一法
ハイブリッドが需要の中心なんでしょうか?
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
いや、そんなことはないですよ。
ガソリン車も人気です。
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リセバ総研所長 床尾一法
パールのボディと黒いルーフのツートンカラーが(オークション市場で)異常な人気ですよね。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
以前からライズとロッキーは人気だったのですが、今はちょっと異常ですよね。
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リセバ総研所長 床尾一法
では、日本国内でライズとロッキーの在庫確保は相当難しい状況なんでしょうかね?
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
そうなんですよ。
なので結構困っていますね(2025年10月上旬時点)。
新車販売台数が伸びれば将来的な中古車流通も期待できるのですが。
ライズとロッキーは、いわゆるダイハツの不正認証問題の影響も大きく、新車販売も低迷しましたが、今年は売れ行きが回復してきているようです。
しかし、中古車として出回るタイミングは今ではないですね。まだまだ先です。
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リセバ総研所長 床尾一法
確かに、中古車が潤沢に出回るまでは時間がかかりそうです。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
とはいっても、やはり在庫が出てくるとほどんどが輸出に持っていかれてしまう。
中古車として日本国内に流通するのはとても少ないですね。
中古車市場に出てきたとしても、価格はかなり高騰してしまっています。
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リセバ総研所長 床尾一法
ライズとロッキーの中古車が手に入りにくい市場になってしまうとは・・・。
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【中古車相場のプロ】〝OKB〟
さきほどのルーミーもそうですね。
スリランカが5年ぶりに中古車の輸入を解禁したということも、価格の上昇に影響しています。
(「第13回に続く)
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