自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長がCOTYのノミネート車を総まとめ 2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーとリセールバリューを大予想

日本カー・オブ・ザ・イヤーは、1980年に創設された日本を代表するクルマの賞典。41のメディアによる実行員会により運営される。日本カー・オブ・ザ・イヤーを選出するのは、実行委員会から任命されたジャーナリストや有識者など60名の選考委員。選考委員の投票により「日本カー・オブ・ザ・イヤー」が決定。さらに、「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」の部門賞も設定されている。そんな日本カー・オブ・ザ・イヤーの季節が今年もやってきた。

【自動車のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーの概要

2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーのスケジュールとノミネート車は以下の通りだ。

2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考スケジュール

日程 時間 概要
10月15日(水) ノミネート車発表
10月30日(木) 12:20〜13:00
(予定)
10ベストカー発表会
会場:Japan Mobility Show 2025
(東京ビッグサイト)
11月19日(火) 9:00〜 10ベストカー試乗・取材会
12月4日(木) 15:00
(予定)
最終選考会・表彰式最終選考会・表彰式の模様は、当日から「日本カー・オブ・ザ・イヤー 公式YouTubeチャンネル」にてライブ配信。

日本カー・オブ・ザ・イヤー公式HP

2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーのノミネート車一覧

メーカー 車種名
1 スズキ e ビターラ
2 スバル フォレスター
3 ダイハツ ムーヴ
4 トヨタ アルファード PHEV
ヴェルファイア PHEV
5 トヨタ クラウン(エステート)
6 日産 リーフ
7 日産 ルークス
8 ホンダ N-ONE e:
9 ホンダ プレリュード
10 レクサス GX
11 アルファ ロメオ ジュニア
12 アウディ A5 シリーズ
13 アウディ A6 e-tron シリーズ
14 アウディ Q5 シリーズ
15 アウディ Q6 e-tron シリーズ
16 BMW 2シリーズ グラン クーペ
17 BYD シーライオン 7
18 キャデラック リリック
19 シトロエン C3 ハイブリッド
20 シトロエン C4
21 フィアット 600 ハイブリッド
22 ヒョンデ インスター
23 ジープ レネゲード eハイブリッド
24 メルセデスAMG CLE53 4MATIC+ カブリオレ
25 メルセデスAMG E53 ハイブリッド 4MATIC+(PHEV)
(セダン/ステーションワゴン)
26 メルセデスAMG GT 43 クーペ
GT 63 S Eパフォーマンス クーペ
27 メルセデスAMG SL 63 S Eパフォーマンス
28 メルセデス・ベンツ EQS 450+
29 プジョー 3008
30 ポルシェ 911 カレラ GTS
31 ポルシェ マカン
32 テスラ モデルY
33 フォルクスワーゲン ID.Buzz
34 フォルクスワーゲン ティグアン
35 フォルクスワーゲン パサート
ノミネート車は、前年の11月1日より当年の10月31日までに日本国内において発表された乗用車。

ノミネート車の傾向は?

CO2排出量減という流れを受け、今年もBEV(バッテリー電気自動車)とハイブリッド車が多い傾向。ここ数年、輸入車のBEVは年々増えていく傾向にある。また、輸入車のハイブリッド化が目立つ。

こうしたBEV化の流れは、日本車も同じ。10台日本車がエントリーされているが、その内3台がBEVだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    ボディタイプは・・・世界的ブームもありSUVばかりといった傾向だ。

日本カー・オブ・ザ・イヤーの結果はリセールバリューにも影響?大岡の独断で10ベストカーとリセバランクを勝手に予想!

日本カー・オブ・ザ・イヤーの結果は、少なからずクルマの人気や販売に影響を与える。リセールバリューは、中古車の需要と供給で決まるが、やはり車種毎の新車人気も大きく影響する。つまり、クルマの人気に影響を及ぼす日本カー・オブ・ザ・イヤーの結果は、リセールバリューにもなんらかの影響を与えるだろう。

そこで、リセバ総研では、2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー ノミネート車の中から、10ベストカーに選出されるモデルを予想。未来のリセールバリューも予想してみた。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    リセールバリューは10段階で評価

    掲載順はエントリーリスト順だ。

(1)スズキ eビターラ

スズキ初のBEVというだけでも注目度大。しかも、インドで生産し世界中で販売されるというチャレンジングなモデルである。

4WDと2WD、それぞれ設定があり、バッテリー容量の異なるグレードもあり、選択肢の幅も広いのも顧客にとってはメリット。

車両価格も比較的リーズナブル。日本でも扱いやすいBセグメントのコンパクトSUVであることも、10ベスト入りする理由のひとつと予想。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    <リセールバリュー予想>

    リセバランクは「5」だ!
    ★★★★★☆☆☆☆☆

    BEVは、高額な補助金が出る。その分を差し引いた金額が、そのクルマの価値とされる傾向なので、リセールバリューはやや低めと予想。ただし、日本で扱いやすいコンパクトSUVなので、大幅に低くなることはないだろう。

(2)スバル フォレスター(SL系)

先代フォレスター唯一の弱点だったのが燃費性能。しかし、新型フォレスター(SL系)では、トヨタの技術を使ったストロングハイブリッドを搭載し弱点を克服。

さらに、深化型SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を手に入れ、より質の高い走行性能を実現。予防安全装備パッケージ「アイサイト」もクラストップレベルの実力。全方位死角なしといえる完成度だ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    <リセールバリュー予想>

    リセバランクは「9」だ!
    ★★★★★★★★★

    スバル車は、中古車流通台数が少な目。さらに、アツいファンに支えられているモデルが多いため総じてリセールバリューは高め。その中でも、人気SUVであるフォレスターの人気は高くリセールバリューも非常に高い。

    新型フォレスター(SL系)は、ストロングハイブリッドを搭載したことから、さらに人気が上がっているため、さらにリセールバリューが高くなる可能性が高い。

(3)トヨタ クラウンエステート(30系)

ステーションワゴンとSUVのクロスオーバーという珍しいデザインをもち、とてもユニークなモデルとなっているのがクラウンエステート(30系)。優れた直進安定性や快適な乗り心地、広い室内、超低燃費性能など、ロングドライブに適したモデルだ。

さらに、ほぼフルフラットになる後席と荷室スペースはとても広く、車中泊やアウトドアでも扱いやすい。また、ハイブリッド車には、100V/1500Wのアクセサリー電源が設定されているので、アウトドアなどでは電源車としても使える。

隙の無い完成度がウリだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    <リセールバリュー予想>

    リセバランクは「8」だ!
    ★★★★★★★★☆☆

    トヨタの高級SUVというだけで、リセールバリューが下がる要素が見当たらない。もはや、無条件で高リセールバリューが期待できる。

    リセールバリューが下がる要素があるとしたら、ボディカラーくらいだろう。モノトーン系のボディカラーなら無難だ。

(4)日産リーフ(ZE2)

国産BEVのパイオニアであるリーフは、3世代目となり劇的進化を遂げた。初代・2代目の弱点だった空冷バッテリーは、液冷式へ変更。バッテリーの温度管理が緻密になり、より高効率な充放電が可能となった。
さらに、バッテリー容量も78.0kWhへと大幅増量。一充電走行距離(WLTCモード) 685kmへと延び十分な航続距離となった。

また、リヤサスペンションは、マルチリンク式へ変更。日本仕様は、乗り心地の仕様となっていて快適な移動が可能だ。この進化の幅の大きさが10ベスト入りのポイントとなりそうだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    <リセールバリュー予想>

    リセバランクは「5」だ!
    ★★★★★☆☆☆☆☆

    BEVは、補助金の影響でリセールバリューが下がる傾向にあり、新型リーフ(ZE2)も例外ではないだろう。

    ただ、大幅に進化したことに加え、流行りのSUVルックになったことで、従来より人気が出る可能性もある。
    新車での人気次第という面はあるものの、従来型リーフに比べると少し高めのリセールバリューになるかもしれない。

(5)ホンダ プレリュード

ホンダのブランドイメージを再構築する役割も担ったプレリュード。あえて売れないクーペというカテゴリーに挑戦し、存在感や優れた技術をアピール。スポーティで若々しいホンダのブランドイメージをどれだけけん引できるか注目されている。

そんなプレリュードの走りは、走り楽しさに満ちたものだ。軽快でスポーティなハンドリングに、快適な乗り心地、そして優れた低燃費性能をもつ。背の高いSUVばかりが人気となっている今、あえてクーペに乗るという漢気が示せるモデルだ。

クルマそのものだけでなく、ホンダのチャレンジ精神も評価のポイントになりそうだ。ただ、車両価格が高価なことが、どう評価されるのかが悩ましい点だろう。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    <リセールバリュー予想>

    リセバランクは「6」だ!
    ★★★★★★☆☆☆☆

    リセールバリューは、中古車マーケットでの人気(需要)と供給で決まる。クーペは、人気のないカテゴリーで需要が少ないのでリセールバリューは下がると思いがちだが、新車で販売台数が少ないことから供給も少ない。

    そのため、一部のスポーツカーのようにマニアックなファンに中古車相場が支えられる可能性も高い。とはいえ、プレリュードは純スポーツカーではないので、平均より少し高めになる程度と予想した。

(6)BMW 2シリーズグランクーペ(F74)

4ドアのボディにクーペのような流麗ルーフラインをもつモデルを4ドアクーペなどと呼ばれているが、BMWはグランクーペと名付けている。

2シリーズグランクーペは、全長4,550mm、全長1,800mmというコンパクトなボディサイズをもつ。主力の3シリーズが大きくなり過ぎたこともあり、日本でも扱いやすいコンパクトなボディサイズであることが、高評価ポイント。

ボディサイズだけでなく、パワートレインはマイルドハイブリッドシステムを搭載。FF(前輪駆動)だが、シャープなハンドリングなど、走る楽しさはクラストップレベル。デザインと走りの質がどう評価されるかがポイントだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    <リセールバリュー予想>

    リセバランクは「6」だ!
    ★★★★★★☆☆☆☆

    輸入車は高いと思われがちだが、いざリセールバリューとなると、むしろ国産車より低いケースが多い。中古車マーケットでは需要が少ないことが理由のひとつだ。

    2シリーズグランクーペは、いわゆる4ドアモデルなので、さらに需要が少なくなることが予想できる。そのため、リセールバリューは上がりにくいと予想。中古車価格は安価傾向になると予想できるので、中古車で買うのがお勧めだ。

(7)BYD シーライオン7

テスラを抑えて、世界BEV販売台数ナンバー1になった中国のBYD。着実にディーラー網を整備しており、日本マーケットに対して積極的なのも好印象。シーライオン7は、国内3車種目のモデルだ。

シーライオン7は全長が4,830mmという大柄なボディサイズながら、充実装備でなんと価格は495万円から。圧倒的コストパフォーマンスが、評価ポイントのひとつ。

しかも、一充電走行距離(WLTCモード)は590㎞(2WD)と十分。また、AWDは0-100km/h加速4.5秒という俊足。走行性能と圧倒的な価格パフォーマンスをもつモデルといえる。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    <リセールバリュー予想>

    リセバランクは「4」だ!
    ★★★★☆☆☆☆☆☆

    先に発売されたセダンであるシールのリセールバリューは、約1年落ち(2025年比)で新車価格の70%前後で推移。
    シーライオン7は、SUVなのでシールのリセールバリューより若干高めになると予想できるものの、他メーカーのBEV同様に高リセールバリューはあまり期待できない状況だ。

    逆に中古車で狙うという視点であれば、良いクルマが安価に買えるというメリットがある。

(8)ヒョンデ インスター

ディーラーでの販売ではなく、オンラインでの販売に特化した韓国メーカーヒョンデ。そのヒョンデで、国内最小モデルとなるのがインスター。

インスターのボディサイズは、全長3,830×全幅1,610×全高1,615mmというコンパクトなボディサイズをもつ。このAセグメントと呼ばれるボディサイズが絶妙。軽自動車より大きく、日本の売れ筋Bセグメントコンパクトカーより小さいボディサイズをもつ。
BセグメントのコンパクトBEVが国内にないこともあり、軽BEVでは物足りないと考えるユーザーにジャストフィットする。

1回の充電で走行できる距離は393~459㎞(WLTCモード)と十分なレベルで、価格は2,849,000円から。韓国車らしい圧倒的なコストパフォーマンスも高評価ポイントになりそうだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    <リセールバリュー予想>

    リセバランクは「4」だ!
    ★★★★☆☆☆☆☆☆

    すでに発売済みのアイオニック5の中古車相場は、2025年時点で2年落ちの2023年式が新車価格の約60%前後にまで落ちてきている。

    インスターの今後の人気次第という面はあるものの、やはりBEVのリセールバリューは安価傾向になることは確実とみられ、インスターも同様の傾向になると予想できる。

(9)ポルシェ 911 カレラ GTS

日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストでは、新車価格1,000万円を超えるモデルが選ばれるケースは稀。しかも、911カレラGTSは、23,790,000円からという超高額車だ。

ただし、今回注目したいのは、テクノロジー部分。911初のハイブリッドである「T-ハイブリッド」。電動ターボチャージャーなどを搭載し、独自の技術をアピール。システム最高出力は541㎰を誇る。

ハイブリッドというと燃費向上のイメージが強いが、911かれらGTSは燃費より走行性能を重視。新たなスポーツカー増を提案したことが、評価ポイントになりそうだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    <リセールバリュー予想>

    リセバランクは「10」だ!
    ★★★★★★★★★★

    もともと、新型の911系が登場すると納期は1~2年となるのは当り前な状態。そのため、新型911系の中古車は、長期間に渡り新車価格を大幅に上回る傾向がある。

    こうした状況なので、911カレラGTSのリセールバリューも、非常に高くなることが予想できる。中古車流通量も少ないモデルなので、長期に渡り高値維持が期待できるだろう。

(10)フォルクスワーゲン ID.Buzz

1950年に登場し、現在も愛され続けているフォルクスワーゲン タイプ2。その名車をオマージュしたBEVがID.Buzz。タイプ2と同じく、癒し系愛されキャラデザインが最大の魅力。

デザインだけで、欲しくなるくらい強烈な個性をもつ。6人乗りのプロと、ロングホイールベース化し7人乗りとしたプロロングホイールベースの2グレードを設定。開放的でカジュアル感とラグジュアリー感を融合したインテリアも個性的だ。
1回の充電で走行できる距離は524~554㎞(WLTCモード)と十分な数値となっている。

アルファードやヴェルファイアといった国産ミニバンとは対極にある存在だが、1,000万円弱という高額な新車価格がどう評価されるかがポイントだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    <リセールバリュー予想>

    リセバランクは「8」だ!
    ★★★★★★★★☆☆

    BEVなのに、数少ない高リセールバリューとなりそうなID.Buzz。納期が超長期化しているので、しばらくは新車価格を超えるような中古車価格となりそうだ。当初は高リセールバリューが期待できるだろう。

    ただし、アツいファン層への納車が進み、納期が短くなるにつれてリセールバリューは下落傾向になると予想。それでも、他のBEVに比べればかなり高めのリセールバリューになるだろう。

まとめ

以上、大岡流で勝手に10ベストカーを選出してみた。今回選ばれたクルマたちはBEVも多く、必然的にリセールバリューは厳し目の評価になってしまう。一方で、クラウンエステートや911 カレラ GTSのように、高いリセールバリューが約束されたような車種もいる。
自分で勝手に評価していながら、つくづく新型車の評価と中古車市場の評価というものは別の要素で決まっているものであると気づかされる。
はたしてみなさまの評価はいかがだろうか。ノミネートされたクルマたちが、これからどのような「需要」に応えることができるのか?
長期的な視点で振り返ってみると、また違った評価が生まれてくるかもしれない。