クルマ購入の補助金制度を徹底チェック! 【補助金ガイド2025年8月版】EVやPHEVの新車購入で活用したいエコカー補助金を実際に試算してみた

ガソリン代や食料品をはじめとする物価高騰が続くなか、新しいクルマの購入に掛かるコストを少しでも減らしたいと考えている方は多いのではないでしょうか。もちろん、購入できる現実的な予算感の中古車を探すのも選択肢のひとつですが、将来的なランニングコストやリセールバリューを考えると、電気自動車やハイブリッドカーといった「エコカー」の購入も選択肢のひとつです。もちろん、新車は中古車よりも高額のため購入時のコストは大きくなりますが、一方で新車購入時にのみ活用できるのが、国や自治体の「補助金」です。今回は、エコカー購入に活用できる補助金制度についてご紹介します。

小さい頃からのクルマ好きで、大学生で免許を取ると貯めたバイト代で中古車をすぐに購入。以来、年間数万キロを走り回って無事故を維持していることを密かな誇りにしている。趣味は、ドライブ旅行とモータースポーツ。カメラを持ってサーキットに行くと流し撮りに命を懸ける。一般ドライバーの視点で、カーライフとリセールバリューの「これってどういうこと?」を紐解いていきます。
この記事は2025年4月に掲載した「エコカー補助金」徹底ガイドの最新版になります

エコカー補助金の基本的な仕組みについておさらい

エコカー補助金は、国が全国で展開している補助金「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」と、都道府県が行っている補助金制度、市区町村が展開する補助金制度の3種類に分かれています。自分が住んでいる地域で自治体が独自のエコカー補助金を展開している場合には、最大で「国のCEV補助金」「都道府県の補助金」「市区町村の補助金」をそれぞれ受けることができるのです(※注)。3種類の補助金によって、新車購入のコストは大幅に削減できると言えるでしょう。
(※注:地方自治体の補助金については適用条件などを必ずご確認ください)

ただし、この補助金で定義されている「エコカー」に含まれる車種は、「電気自動車(EV)」「燃料電池自動車(FCV)」「プラグインハイブリッド自動車(PHEV)」の3種類。日本メーカーの国産車だけでなく、アウディやテスラ、BYDなど海外メーカーの輸入車も対象ですが、日本国内で最も多く売れている「ハイブリッド車」は補助金の対象外となっているので注意が必要です。加えて、補助の対象となるのは自家用の新車購入時のみで、中古車や事業用車両は対象外となっている点にもご注意ください

CEV補助金の対象車種や金額、申請方法は「一般社団法人 次世代自動車振興センター」をチェック

  • 【クルマ大好きライター】井口裕右

    CEV補助金の対象車種と補助金の金額については、「一般社団法人 次世代自動車振興センター」がウェブサイトで公開していますので、購入を検討しているクルマが補助金の対象か、補助金はいくらになるかを事前にチェックしましょう。

一般社団法人 次世代自動車振興センター

https://www.cev-pc.or.jp/

地方自治体の補助制度は「一般社団法人 次世代自動車振興センター」をチェック

ちなみに、地方自治体の補助金については補助の対象となるエコカーが自治体によってバラバラです。「電気自動車(EV)」のみを補助の対象にしているケースもあれば、「電気自動車(EV)」と「燃料電池自動車(FCV)」を補助の対象にしているケースも、外部給電機能を備えた「電気自動車(EV)」と「プラグインハイブリッド自動車(PHEV)」を対象にしているケースもあります。

住いの都道府県と市区町村で購入を検討しているクルマを対象とする補助金があるか、購入を検討するタイミングで必ず調べてみるようにしましょう

全国の地方自治体の補助制度・融資制度・税制特例措置

https://www.cev-pc.or.jp/local_supports/

(一般社団法人 次世代自動車振興センター)

国のCEV補助金制度がすべてのエコカー補助金の「基本」

それでは、実際に補助金を活用するとどれくらいのコスト削減になるのでしょうか?
まず国のCEV補助金については、「電気自動車(EV)」は上限85万円、「軽電気自動車(軽EV)」は上限55万円、「プラグインハイブリッド自動車(PHEV)」は上限55万円、「燃料電池自動車(FCV)」は上限255万円となっています

注意すべきは2点。まずは、電気自動車(EV)と軽電気自動車(軽EV)で補助金の上限が違う点です。例えば、日産には「リーフ」「アリア」「サクラ」と電気自動車が3車種ありますが、この中で「サクラ」だけは「軽電気自動車(軽EV)」にあたるため補助金は最大55万円となります。また、税抜メーカー希望小売価格が840万円を超えるクルマについては、補助額に0.8を掛けた金額が実際の補助額になるため、高額のクルマを購入する際には注意しましょう。

さらに今年度は、従来のCEV補助金に加えて、環境負荷の低い鋼材(グリーンスチール)の導入状況に応じて最大5万円(軽EVの場合は最大3万円)の補助を加算する制度が新設されました。この加算額を含めたCEV補助金の金額は、車種ごとに公開されているため、購入を検討しているクルマの補助金額は事前にチェックするようにしましょう。

CEV補助金の対象車種一覧

一般社団法人 次世代自動車振興センター
https://www.cev-pc.or.jp/hojo/pdf/R6ho/R6ho_meigaragotojougen_2.pdf

メーカーによって補助金額が異なるケースも!自治体の補助金制度

国のCEV補助金に上乗せされる地方自治体の補助金については、自治体によって金額や算定方法に大きな違いがあります。

例えば、東京都の「ゼロエミッションビークル(ZEV)車両購入補助金」の場合は、補助金額は環境対策の取り組み、車両ランナップ数、販売実績などを元にメーカーごとに補助金額が決められています

国内メーカーの電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド自動車(PHEV)については、日産が50万円、トヨタが45万円、ホンダ・マツダ・三菱が40万円、スバルが30万円と金額に開きがあります。

東京都のゼロエミッションビークル(ZEV)車両購入補助金

東京都 EV・PHEV・FCV車両助成金額シミュレーション

(公財)東京都環境公社 クールネット東京 助成金算定ツール
https://coolnet.tokyo/zev_subsidy_calculator/

さらに、市区町村についても補助金の対象車種や金額には違いがあり、クルマの種類によって定額の補助金を出している場合もあれば、「CEV補助金の何割」という形でCEV補助金を基準に補助金額を算出するケースもあります

都道府県単位での補助金制度がない場合でも、市区町村では補助金制度を展開しているという地域もあるため、お住まいの市区町村で補助金制度があるかは必ずチェックしてみましょう。なお、市区町村の補助金制度では「申請時点で市税を滞納していないこと」という適用条件があるケースが散見されるため、ご注意ください。

トヨタ プリウスPHEVで補助金の総額を試算してみた

ここで、簡単なシミュレーションをしてみましょう。「東京都足立区在住で、プラグインハイブリッドモデルのトヨタ プリウスを購入した場合」について、メーカーの購入シミュレーションと各種補助金を組み合わせて試算してみました。

この試算はメーカーが公表している購入シミュレーションによる2025年8月現在の価格をもとに、国、東京都、自治体が公表している補助金の金額をまとめたものです。

補助金の内容については各事業主体の判断によって変更される場合がありますので、必ず各補助金の公式な情報をご確認ください。

CEV補助金の対象車種一覧
https://www.cev-pc.or.jp/hojo/pdf/R6ho/R6ho_meigaragotojougen_2.pdf

東京都ゼロエミッションビークル(ZEV)車両購入補助金
https://www.tokyo-co2down.jp/wp-content/uploads/2025/03/ZEV_Topics_20250331_Ver3.pdf
https://coolnet.tokyo/zev_subsidy_calculator/(補助金シミュレーション)

足立区電気自動車等購入費補助金
https://www.city.adachi.tokyo.jp/kankyo/kurashi/kankyo/denkijidousya.html

  • 【クルマ大好きライター】井口裕右

    この試算では、国のCEV補助金に加えて、東京都のZEV補助金「トヨタのPHEVで給電機能がある」場合の補助金、そして足立区の購入補助金が対象となりました。車両購入価格の概算は約470万円ですが、国のCEV補助金、東京都のZEV補助金、足立区の購入補助金を組み合わせることで125万円の補助が受けられることがわかります。ただし、この補助金には大きな注意点があるので、必ず確認するようにしましょう

誤解している人は要注意!補助金は「値引き」ではない!

エコカー補助金の仕組みについて、多くの人が誤解してしまうこと。それは「補助金を使えば購入価格から値引きしてくれるのか!」という誤った理解です。ここを間違えてしまうと大きな失敗をしてしまう可能性があります。

国や自治体が展開しているエコカー補助金は、「クルマを買ったあとに自分で申請する」のが原則です。つまり、クルマそのものは見積額の満額で購入する必要があり、オートローンも満額で組む必要があります。その上で補助金は、「クルマの購入後に返ってくるお金」となっているのです。エコカー補助金を新車値引きと勘違いしないように十分に注意しましょう

裏を返せば、クルマの購入後に100万円以上の補助金が返ってくるため、その資金をどのように有効活用するかを決めておくことをおすすめします。

加えて、申請の方法などについてはカーディーラーがサポートしてくれるケースもありますが、原則として申請はクルマを購入した人が自分で行う必要があるため、事前に申請方法や申請に必要な書類などを確認しておくとスムーズです。

そして、地方自治体の補助金制度については「国のCEV補助金の交付対象になっていること」を適用条件にしているケースも見られるため、申請の順序としてはまず「国のCEV補助金」を行い、補助金の交付が決定してから地方自治体の補助金制度に申請するのがよいでしょう。それぞれの補助金には新車購入時(新車登録時点)からの申請期限があるため、申請期限切れとならないようご注意ください

補助金制度には予算上限あり!年度末は必ず確認を!

最後に、国のCEV補助金制度、地方自治体の補助金制度でそれぞれ、補助金の予算には上限があります。国のCEV補助金については、2025年度の予算は1,100億円。国、地方ともに補助金は「先着順」が原則で、予算が尽きたら補助金自体が終了になります。

CEV補助金を運営している一般社団法人次世代自動車振興センターでは年度末になると補助金の終了見通しについてウェブサイトで公表するほか、各自治体もウェブサイトなどを通じて受付状況などを公表しています。年末年始から年度末にかけて対象車種の購入を検討されている場合には、国や自治体が公表している情報を必ず確認するようにしましょう