自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が語る! スズキ eビターラ プロトタイプ試乗記〜中国BYD製バッテリーを搭載したインド産EVの実力は?〜

スズキ eビターラ(e VITARA)は、スズキ初となるBEV(バッテリー電気自動車)だ。
BEV(バッテリー電気自動車)は、スズキのエネルギー極小化を目指した技術戦略の柱のひとつ。スズキ新中期経営計画(2025~2030年度)よると、2025年度中に日本国内へはeビターラと軽商用バンのBEV 2モデル導入。2030年度までに、BEV 6モデル投入すると発表。この新型eビターラ(e VITARA)は、スズキBEV(バッテリー電気自動車)戦略第1弾モデルでもある。
 
また、新型eビターラ(e VITARA)は、発売済みのフロンクスやジムニーノマドと同じく、インドで生産され日本へ輸入される。インドは、スズキにとって重要な拠点となっていて、BEV戦略のグローバル生産/輸出拠点としも運用されていく。
 
今回は、スズキ初となるBEV、新型eビターラ(e VITARA)のプロトタイプを千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗した。

【自動車のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

スズキ初BEVは「スズキ車らしくない」?

リスク覚悟のBEV専用プラットフォーム

新型スズキ eビターラ(e VITARA)は、スズキ初のBEV。しかも、グローバルBEV戦略でも第1弾モデルとなる。スズキ新中期経営計画を達成するための重要な車種だ。スズキ開発陣にとっては、失敗は許されないモデルだという。

そのため、新型eビターラ(e VITARA)は、スズキ開発陣の総力が結集されたといってもいい。BEVで重要なプラットフォームは、EV専用となるハーテクト-e(HEARTECT-e)を新開発した。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    このEV専用といのがポイント。EV専用プラットフォームであれば、内燃機関車に比べ大きなエンジンやラジエーターを入れるボンネット下のスペースを小さくできる。

    結果として、全長が同じであればホイールベースが長くでき、広い室内空間を実現。さらに、ショートオーバーハングとなることから、BEVらしいと個性的なデザインも可能だ。駆動用バッテリーの搭載位置や搭載量なども、最適化できる。

だが、リスクもある。昨今のように、BEVの販売が伸び悩むと、BEV専用だけに開発コストがメーカー側の大きな負担となる。さらに、ただでさえ高価な駆動用リチウムイオンバッテリーに、高価なBEV専用プラットフォームの組み合わせは、販売価格の上昇も招く。
そのため、最近では、プラットフォームを内燃機関車と共通化、もしくは一部のみ変更するモデルも多くなってきている。こうしたモデルは、BEVの販売が低迷しても、内燃機関車として販売できるため、プラットフォーム開発コストにおけるリスクが軽減できるのだ。

実際、国産BEVであるトヨタbZ4Xや、スバル ソルテラなどは、前後を内燃機関車用のGA-Kプラットフォームを使用しながら、中間のフロア部分を専用開発として、開発コストを軽減させている。
トヨタでさえ、BEV開発コストへのリスク軽減を行っている中、トヨタと比べると企業規模の小さいスズキがBEV専用プラットフォームを開発するということは、リスク覚悟でBEVマーケットへ本格参入するという決意を感じた。

そんなスズキ渾身のBEV専用プラットフォームであるハーテクト-e(HEARTECT-e)は、高ハイテン材を従来の2倍に、電池容量を最大化するためにフロア下メンバーを廃止。スズキの軽量化技術を生かし、軽量化な構造とした。

ニーズに合わせ搭載バッテリー容量49kWhと61kWhを用意

BEV専用プラットフォームを開発したことにより、新型eビターラは全長4,275mmという小さなボディサイズながら、最大61kWhもの大容量駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    ただ、搭載バッテリー容量は、大きければよいというものはない。

バッテリー容量が増えれば増えるほど、車両価格は高価になる。さらに、日々短・中距離がメインという使い方では、重りを乗せて走ることになり、電費なども悪化するなど効率が悪化する。
そこで、スズキは効率や安価な価格を望む顧客用に、約20%バッテリー容量を減らした49kWh容量のバッテリーも用意して、顧客ニーズに対応した。

新型スズキ eビターラのスペックを比較する

新型スズキ eビターラの搭載バッテリー容量、駆動方式、最高出力&最大トルク、一充電走行距離(WLTCモード)は以下の通り。

搭載モデル 49kWhバッテリー 61kWhバッテリー
駆動方式 前輪駆動のみ 前輪駆動
モーター最高出力 106kW 128kW
モーター最大トルク 193Nm 193Nm
一充電走行距離(WLTCモード) 400㎞以上 500㎞以上
駆動方式 4WD
最高出力合計 135kW
フロントモーター最高出力 128kW
リヤモーター最大出力 48kW
モーター最大トルク合計 307Nm
一充電走行距離(WLTCモード) 450㎞以上

新型スズキ eビターラの競合車ととボディサイズ/価格/燃費を比較する

メーカー スズキ ボルボ BYD
車種 eビターラ プロトタイプ EX30 ドルフィン(ベースライン/ロングレンジ)
全長 4,275mm 4,235mm 4,290mm
全幅 1,800mm 1,835mm 1,770mm
全高 1,640mm 1,550mm 1,550mm
ホイールベース 2,700mm 2,650mm 2,700mm
最低地上高 185mm 175mm -
車両重量 1,700㎏(49kWh、前輪駆動)~1,890kg(61kWh、4WD) 1,790㎏ 1,520/1,680㎏
駆動用バッテリー容量 49kWh/61kWh 69kWh 44.9kWh/58.56kWh
モーター最高出力 106kW(49kWh、前輪駆動)~計135kW(61kWh、4WD) 200kW 70kW/150kW
モーター最大トルク 93Nm(61kWh&49kW、前輪駆動)~計307Nm(61kWh、4WD) 343Nm 180Nm/310Nm
一充電走行距離 400㎞以上(49kWh、前輪駆動)~500㎞以上(61kWh、前輪駆動) 560㎞ 400㎞/476㎞
新車価格 未定 5,590,000円 2,992,000円/3,740,000円

ボディサイズでは、eビターラの全高が1,640mmと高いのが特徴。EX30とドルフィン1,550mmとやや低め。eビターラは、SUVらしい大きく見える堂々としたルックするといえる。逆に、EX30とドルフィンは、都会的でスタイリッシュなデザインとなっている。

eビターラの一充電走行距離は、搭載するバッテリー容量や駆動方式により異なる。また、正式な数値は出ていないものの、最も一充電走行距離が長いEX30と比べても大きな差は無いと予想できる。
そして、パワフルさという点では、完全にEX30の200kWというモーター最高出力は、頭ひとつ抜け出している。ただし、最大トルクはeビターラやドルフィンと比べても大差はないため、街中での力強さという点では、ほぼ互角と思われる。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    eビターラの価格は非公表。価格面では、ドルフィンのリーズナブルさが際立っている状況。EX30も安いとは言えないが、欧州勢としてはややリーズナブルといった印象だ。

スズキらしくない? 攻めのデザイン!

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    eビターラの内外装デザインは、よい意味でスズキ車らしくない。多くのスズキ車は、華やかさよりも実用性重視。個性的とは言えないが、質実剛健的デザインが多い。

ところが、eビターラのデザインは、BEVらしさを生かした独創的でエモーショナルなデザインとなっている。デザインコンセプトは「ハイテック&アドベンチャー」だ。

eビターラのシルエットは、BEVらしいショートオーバーハングで、ロングホイールベースを強調。グッと張り出したフェンダーで、SUVらしい力強さを与えている。フロントフェイスは、エッジを効かせたシャープなラインを複雑に組み合わせて、立体感ある造形となった。

あまり、BEVを意識して先鋭化させると好き嫌いが出ることを避けたのか、バンパー下部には、必要のないグリル風デザインを施した。これにより、見慣れた安心感ある内燃機関車風になり、違和感を消しているように見える。
リヤコンビネーションランプは、流行りの一文字タイプを採用。コンパクトなボディサイズながら、一文字タイプのリヤコンビネーションランプにより、ワイド感が協調されている。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    また、リヤコンビネーションランプは、スズキ車の中でも過去イチ高価と言われているフロンクス並みに、鮮やかで立体感ある発光がカッコいい。

スズキ車、最上級レベルの上質感あるインテリア

インテリアデザインは、水平基調のインパネデザインでワイド感をアピールする定番手法を採用。ただ、トレンドはドアとインパネ部分のつなぎ目を滑らかにつなぎ、ラウンドさせることで、包み込まれるようなデザイン。

だが、eビターラでは、ドアとインパネ部分のつなぎ目をスクエアな形状とした。無駄なスペースを生み出すことなく、室内スペースをより高効率に有効活用する実用的なデザインとなった。こうした手法は、コンパクトカーを得意とするスズキ的なデザインだ。

ところが、他の部分はかなり攻めたデザインが採用されている。ステアリングは、Dシェイプっぽい非円形2スポークタイプのステアリングを装着。ステアリング下部には、シルバーの加飾が加えられていて、高級感とスポーティさを表現している。
そして、メーターとセンターコンソールには、それぞれ約10インチ級の大型液晶モニターを装備。グラフィックも美しい。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    さらに、インパネやドアパネルの素材感や色も徹底的に磨き上げられていて、個性的で上質。スズキ車というと、廉価であることが重要視されてきた。そのため、どうしても質感や装備部分に妥協が見られ、少し残念に感じることもあった。

    だが、新型eビターラには、そうしたコスト優先的な質感や装備がほとんどない。これには、かなり驚いた。コストより「いいクルマを造る」。そんなスズキ開発陣の意気込みを感じた。

是か非か? BEVなのに、あえて内燃機関車に近い加速感

今回試乗したeビターラは、プロトタイプということもあり、千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイで行われた。
最初に試乗したのは、フロントに128kW、リヤに48kWのモーターを搭載し、計135kW(約184㎰)の出力をアウトプットする最もパワフルなeビターラ4WDだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    アクセルをゆっくりと踏み込むと、eビターラ4WDはスルスルと普通に加速。アクセルを放すと、エンジンブレーキくらいの緩い回生ブレーキが作動した。このフィーリングは、ちょっと期待外れだったのだ。

    その理由は、BEVらしくアクセルを踏んだ瞬間からグイグイと加速する力強さを期待していたからだ。モーターは、瞬時に最大トルクを発揮する特性があるため、内燃機関車と比べると、アクセルを踏んだ瞬間の力強さとレスポンスは格別。こうしたフィーリングを個人的には、BEVらしさだと思っている。また、最近のBEVはアクセルオフで、電費を稼ぐためにコースティングさせるクルマが増えてきている。

eビターラの内燃機関車に似た加速感と減速感は、最近の個人的にBEVらしくないと思う。
モーターの制御は、いかようにもセッティング可能なので、なぜ、eビターラが内燃機関車風の制御なのかエンジニアに聞くと「内燃機関車から乗りかえた顧客が違和感なく乗れるようにした」とのことだ。

こうしたスズキの選択も間違いではない。ただ、BEVは内燃機関車とは、まったく異なるクルマ。ならば、その違いを明確にした方がよいのではないか? と、感じた。

高速域まで伸びのある加速が気持ちよいモーター

eビターラ4WDの最高出力は、計135kW(約184㎰)、最大トルクは計307Nm。最高出力は、欧州BEV勢と比べると、やや控えめの数値。ただ、最大トルクは計307Nmもあるので、アクセルと強く踏み込めば、頭が急激に後方に引っ張られるほどの加速を披露する。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    しかし、BEV中には、低・中速域では強力なトルクを感じさせるものの、高速域になると加速が鈍る車種もある。こうしたモデルで高速道路を走ると、ちょっとストレスを感じることもある。

そこで、eビターラ4WDで高速域の伸びをチェック。eビターラ4WDの最高速度は150㎞/h。最高速付近まで、eビターラは伸びのある加速フィールをみせてくれた。気持ちのよいモーターフィールだ。
ちなみに、0-100㎞/h加速は7.4秒。トヨタbZ4Xやスバル ソルテラといった、クラスが上のBEVよりやや速い設定となっている。

とにかく良く曲がる。制御が賢いオールグリップe

eビターラ4WDには、4WD制御である「オールグリップe(ALLGRIP e)」が装備されている。オールグリップeは、悪路や雪上などの走行も想定している。
オールグリップeは、走行状況に応じて4輪に最適なトルク配分を行う。そのトルク配分は、センターコンソール上部のモニターで確認が可能。助手席で試乗中、この画面を確認してみると、とにかく頻繁にトルク配分を最適化しながら走行していることが分かる。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    オールグリップeは、前後のトルク配分だけでなく、ブレーキ制御まで含めたトルクベクタリングを積極的に行う。こうした制御の恩恵により、eビターラ4WDは、とにかく良く曲がる。重いリチウムイオンバッテリー床下に搭載したことによる低重心化で、運動性能が高いとはいえ、驚くほど軽快だ。

タイトなカーブでは、エンジンが無いこともありフロントの重さを感じさせることない。オールグリップeの制御が効いて、クルリと向きを変える。ステアリング操作に対して、想像以上に性格で意外なほどスポーティだった。ドライバーのスキルを問わず、運転が上手くなったように感じるはず。eビターラ4WDの走りやすさは、高く評価したいポイントだ。

まさか? スズキ車なのに、リヤサスがマルチリンク!?

eビターラ4WDで試乗中、乗り心地をチェックするために、あえて少しだけ縁石に乗り上げてみるなど、乗り心地面もチェックした。と、いうのも試乗中、終始乗り心地が妙に良かったからだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    とくに、注目したのがリヤサスペンション。大きな突き上げもバタバタゴツゴツした動きも無く、カーブでの横剛性も高い。

    試乗前に、とくに説明が無かったこともあり、リヤサスペンションはトーションビーム式だと思い込んでいたのだ。そのため、とても乗り心地と操縦安定性が高いトーションビームだと感心しきり。ただ、走れば走るほど、その乗り心地のよさと操縦安定性の高さにトーションビーム式への疑念が沸いてきたのだ。試乗後、早速エンジニアに確認したところ、なんとリヤサスペンションはマルチリンク式だと判明した。

とりあえず、乗り心地の良さと操縦安定性の高さは、マルチリンク式のリヤサスペンションによるものと分かったが、同時に違う疑問も・・・。もしかして、スズキ車でマルチリンク式リヤサスペンションを採用したクルマは、かなり久しぶりなのでは?

そこで、エンジニアに質問すると、ニヤッと笑いながら「キザシ以来のマルチリンクです」と教えてくれた。キザシは、全長4,650mmというセダンで2009年にデビュー。2015年くらいまで、販売されていた。

エンジニアは、続けて「マルチリンク式サスペンションの開発は、あまりに過去のものだったので、設計やセッティングなどのノウハウはほとんどありませんでした。もはや、ほぼ初開発状態でした。何度も設計し直すしたりなど、非常に苦労した部分です」と答えてくれた。
一般的に、価格競争力が重要視されるBセグメント車の場合、高コストとなるマルチリンク式を採用することは稀だ。しかも、廉価重視のスズキであれば尚更。そんなスズキが、高コストのマルチリンク式を採用したのは異例中の異例ともいえる。「失敗は許されない」。eビターラにかけるスズキ開発陣の強い想いを感じた。

素直な動きで好感度大の前輪駆動車

eビターラの前輪駆動車は、最高出力128kW(約174㎰)、最大トルク193Nmとなる。加速感は、4WDモデルと比べると、それなりにおとなしい。だからといって非力感があるわけではなく、同じBセグメントの内燃機関車よりはパワフルだ。
前輪駆動車のハンドリングは、オールグリップeを搭載した4WD車ほど積極的に曲がってい感じはなかった。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    ただ、素直で軽快感のあるハンドリングで、タイプが異なるものの運転しやすいと感じる部分は共通。また、前輪駆動だが低重心化されているので、内燃機関車より操縦安定性も高い。とくに、走りにこだわらない人であれば、十分に優秀と感じるレベルにまとめられていた。もちろん、快適な乗り心地は、4WDモデルと同様だ。

優れたバッテリーの温度管理

eビターラの試乗は、約30分間サーキット走り放題という設定。サーキットでは、タイヤやエンジンなど、大きな負荷がかかるため、3周程度でピットイン。ちょっとクールダウン後に再スタートというパターンが多い。とくに、BEVは駆動用バッテリーであるリチウムイオンバッテリーにかなり負荷がかかり発熱が大きくなる。発熱温度次第では、ワーニングが表示され出力抑制されることもある。そうさせないために、クールダウンは必須とされてきた。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    ところが、eビターラは、30分間走り放題。正直、大丈夫? と、心配になりエンジニアに確認すると、「大丈夫だと思っていましたが、昨日念のためテストしましたが、何の問題もありませんでした」と、自信満々。実際、30分間走行したが、バッテリーの機嫌が悪くなることはなかった。徹底したバッテリーの温度管理ができている証でもある。

この優秀なバッテリーの製造元は、なんとBYDだった。BYDは2024年BEVの販売台数ナンバー1になったメーカー。BYDの前身は、バッテリーメーカーで多くの自動車メーカーにリチウムイオンバッテリーの供給もしている。

スズキがなぜBYD製バッテリーを選択したのか? それは、BYD製リン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーは、高い熱安定性をもつこと、長期使用時における高い性能維持率、耐久性が高かったからだ。とくに、スズキは、リチウムイオンバッテリーの発火リスクに対する高い安全性を重視した。

期待したいのは「スズキ車らしい価格」?

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    新型スズキeビターラは、想像を超えた高い完成度を誇るBEVだった。メカニズムやデザインなど、コスト度外視でよりクルマを造るという意思が明確で、より意味で「スズキらしくないスズキ車」だった。

    失敗が許されないモデルであるのに、多くのエンジニアが楽しそうに開発できたようで、eビターラのことについて色々と教えてくれた。経験上、エンジニアが楽しく開発できたクルマは、よいクルマが多い。eビターラもそんなモデルだ。

今回、eビターラはプロトタイプということもあり価格は明かされていない。eビターラは、従来のスズキ車では、前例がないくらい高コストとなったモデル。心配なのは価格だ。
「スズキらしくないスズキ車」であるeビターラだが、価格だけは「スズキ車らしい価格」に期待したい。

スズキ eビターラ電費、ボディサイズなどスペック

スズキ eビターラ スペック一覧

代表グレード eビターラ
ボディサイズ 全長4,275mm×全幅1,800mm×全高1,640mm
ホイールベース 2,700mm
トレッド(前/後) 1,540mm/1,540mm
最低地上高 185mm
車両重量 1,890kg(61kWh、4WD)、1,790㎏(61kWh、FF)、1,700㎏(49kWh、FF)
一充電走行距離(WLTCモード) 450km以上(61kWh、4WD)、500㎞以上(61kWh、FF)、400㎞以上49kWh、FF)
駆動方式 FFと4WD
モーター最高出力 計:135kW F:128kW、R:48kW(61kWh、4WD)、F:128kW(61kWh、FF)、106k(49kWh、FF)
モーター最大トルク 計:307Nm(61kWh、4WD)、193Nm(61kWh&49kW、FF)
0-100㎞/h加速 7.4秒(61kWh、4WD)、8.7秒(61kWh、FF)、9.6秒(49kW、FF)
最高速度 150㎞/h
サスペンション 前:ストラット、後:マルチリンク式
タイヤサイズ 225/55R18
最小回転半径 5.2m