自動車情報メディア「CORISM」の大岡編集長が決めた! プチ神コスパ中古車: マツダCX-30購入ガイド!DM系の中古車が 買いである3つのポイント

【自動車のプロ】大岡智彦

自動車情報メディア「CORISM」編集長

自動車情報専門のWebサイト「CORISM」編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、カスタムカーまで幅広くこなす。クルマは予防安全性能や環境性性能を重視しながらも、走る楽しさも重要。趣味は、コスパの高い中古車探しと、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

CORISM大岡が提唱する「神コスパ中古車」の定義とは?

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    神コスパ中古車の定義(1)
    中古車市場では需要が少なく、リセールバリューが良いとは言えないモデルである。

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    神コスパ中古車の定義(2)
    専門家からみて「とても良いクルマ!」と断言できおすすめできるモデルなのに、手頃な中古車価格である。

その中でも、神コスパとまでは言えないが、十分にコスパが高いと言える中古車が、「プチ」神コスパ中古車だ。

マツダCX-30(DM系)がなぜ「プチ」だけど神コスパ中古車といえるのか?

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    今回、プチ神コスパ中古車としてピックアップしたのは、マツダCX-30(DM系)。

マツダCX-30(DM系)は、2019年10月に発売が開始されたコンパクトSUVだ。

プラットフォームやエンジンなど、基本的なメカニズムはマツダ3と共通化されている。デビュー時の全長は4,395mmでCセグメントと呼ばれるカテゴリーに属する。マツダのSUVの中では、CX-3とCX-5の中間に位置するモデルだ。

このCX-30(DM系)のデザインは、マツダのデザイン哲学である「魂動デザイン」を継承し、シンプルさが美しい都会派SUVとした。
都会派SUVということもあり、全高は1,540mmと低め。これは、都市部のマンションなどに多い立体駐車場の全高入庫制限である1,550mmに対応するためだ。

販売時期によって搭載エンジンが異なるが、このクラスでは国内唯一のディーゼルエンジンや、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの長所を併せ持つ世界初実用化に成功した火花点火制御圧縮着火(SPCCI)エンジンも用意した。

マツダCX-30(DM系)2022年式 グレード「プロアクティブツーリングセレクション」の中古車相場を確認してコスパチェック

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    そんなマツダCX-30(DM系)中古車相場は以下の通り。
    中古車相場は、2025年6月23日調べである。

プチ神コスパ中古車 参考比較車
車種 マツダCX-30 トヨタ カローラクロス
型式 DM系 10系
年式 2022年式 2022年式
調査グレード XDプロアクティブツーリングセレクション ハイブリッドZ
駆動方式 FF(前輪駆動) FF(前輪駆動)
新車価格帯 約307万円 約299万円
中古車相場 約200~240万円程度 約270~340万円程度
調査日 2025年6月23日時点 2025年6月23日時点
価格比 約65~78% 約90~114%

2025年6月23日現在、約3年落ちとなるCX-30(DM系)中古車全グレードの中古車相場は、約190~240万円となった。
1.8Lディーゼルエンジンを搭載し、高価な新車価格となっていたXDツーリングセレクションの中古車相場とほとんど変わらない。どのエンジンを選択しても価格差が小さいのであれば、より高価な1.8Lディーゼルエンジン車を買った方がコスパ的に優れるということになる。

XDプロアクティブツーリングセレクションの中古車相場は、約200~240万円。新車価格比は、約65~78%という数値となった。この数値は、人気が高いSUVとしては総じてやや低めの数値となっている。60%台に入っている低価格帯の車両は、他のSUVと比べてもリーズナブル。まさに、プチ神コスパ中古車といえる。

参考としてピックアップしたライバル車であるトヨタ カローラクロス(10系)上級グレードハイブリッドZの中古車相場は約270~340万円。新車価格比は、驚愕の約90~114%!
大幅に新車価格越えをしている車両も多い。これは、CX-30(DM系)に比べカローラクロス(10系)の人気が圧倒的に高かったことが要因。

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    カローラクロス(10系)は、デビュー直後から人気となり、幾度となく受注停止。納期は超長期納期となり、高年式の中古車は軒並み新車価格越えをしていたからだ。
    ただ、2025年5月にカローラクロスは、外観デザインを変更するなどの改良が行われたこともあり、今後、中古車相場は下落傾向になると予想できる。

マツダCX-30(DM系)がプチ神コスパな中古車となるワケは「デザインの方向性」と「ハイブリッドが無い」こと?

日本マーケットは、ハイブリッド車が大好きだ。2024年の電動車(ハイブリッドやPHEVなどを含む)の販売比率は約6割にもなる。

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    年々、この比率は高くなってきているので、ハイブリッド車が無いCX-30(DM系)の販売が伸びないのは、仕方がないといえる。

    ハイブリッド車に近い燃費となるディーゼル車も、純内燃機関車であることに変わりなく、一般顧客にはうまく伝わっていないこともリセールバリュー下落の要因だ。

プチ神コスパ中古車 参考比較車
車種 マツダCX-30 トヨタ カローラクロス
型式 DM系 10系
年式 2022年式 2022年式
調査グレード XDツーリングセレクション ハイブリッドZ
駆動方式 FF(前輪駆動) FF(前輪駆動)
燃費(WLTCモード) 19.5㎞/L 26.2㎞/L
  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    CX-30(DM系)に搭載された1.8Lディーゼルエンジンは、燃費に優れていて19.5㎞/Lを達成。カローラクロス(10系)ハイブリッド車の燃費26.2㎞/Lと比べると、かなり差が開いている。

ところが、燃料費という視点で見ると、その差はグッと縮まる。その理由が燃料費。ディーゼルエンジンに使う燃料は軽油で、レギュラーガソリンより20円/Lも安価。
仮にそれぞれカタログ値で1,000㎞走行した時の燃料費を算出してみた。レギュラーガソリンは170円/L、軽油は150円/Lで計算した。

・CX-30ディーゼル車:約7,700円
*参考:CX-30 2.0Lガソリン車(燃費16.2㎞/L):約10,500円
・カローラクロスハイブリッド:約6,500円

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    そして、リセールバリューが下がるもうひとつの理由が、顧客のデザイン嗜好の変化。

    CX-30(DM系)のデビュー時である2019年時には、SUVであれば「ほぼなんでもOK」な時代だ。
    しかし、急速に、顧客のデザイントレンドは「オフローダー的タフネス系デザイン」へとシフトしていく。CX-30(DM系)の都会派SUVデザインは、好まれなくなってきたのだ。

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    トヨタの一部SUVは、こうしたトレンドを敏感にキャッチ。適時、「オフローダー的タフネス系デザイン」を施したグレードを投入するなどし、ライバル車との差を広げていった。
    都会派デザインのみだったことも、CX-30(DM系)のリセールバリューが低くなった理由だろう

マツダCX-30(DM系)のプチ神コスパ中古車を買いたくなる! 3つの良いところ

美しいシルエットをもつデザイン

CX-30(DM系)の大きな魅力のひとつが、シンプルで美しいデザイン。
マツダのデザインフィロソフィである「魂動デザイン」をベースに、都会派SUVながら下部の幅広クラッディングパネルによりSUVらしい力強さと安心感を表現している。

そして、書道の筆づかいの動きにヒントを得たひと筆書きのようなラインは、フロントフェンダーからリアタイヤへとスピード感ある弧を描いている。周囲の景色がS字型に揺らめきながら映り込む、光の移ろいを表現した。シンプルながら味のあるデザインとなっていて、これだけでCX-30(DM系)が欲しいと思わせる説得力がある。

インテリアデザインも同様。人間中心の考え方に基づき、レイアウトされたメーターやディスプレイ関連は、視認性に優れている。外観デザイン同様、シンプルにまとめられていて、直線基調で広がり感があるインパネデザインもキレイだ。上級グレードになると、1クラス上のモデル並みの質感の高さを誇る。

メカマニアにはたまらない世界初の量産化に成功したSPCCIエンジン

2021年1月に、マツダ独自の燃焼制御技術「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)」を世界で初めて実用化。
このエンジンにマイルドハイブリッドシステム「M Hybrid(エム ハイブリッド)」をプラスした新世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブ エックス)」をCX-30(DM系)に搭載。

このエンジンは、従来不可能とされていたガソリンの高圧縮比による「圧縮着火」に成功。燃焼でリーンバーン(希薄燃焼)を可能としたことで、低燃費化を実現。
その結果、ガソリンエンジンならではの高回転までの伸びの良さと、ディーゼルエンジンの優れた燃費・トルク・応答性といった特長を融合したエンジンになっている。

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    マツダだけの世界初の技術を搭載したエンジンということもあり、マツダファンのメカマニアにはたまらないエンジンとなっている。

    新車価格はかなり高価だったため、一般的なユーザーには敬遠され、モデル途中でラインアップから消えた。しかし、CX-30(DM系)中古車の場合、エンジンによる価格差があまりないので、「SKYACTIV-X(スカイアクティブ エックス)」の世界観をリーズナブルに楽しめる。

ハイブリッドに近い燃料費と、力強い加速を両立した1.8Lディーゼル

CX-30(DM系)のXDと呼ばれるグレードには、1.8Lディーゼルエンジンが搭載されている。このエンジンの燃費は、19.5㎞/L(FF、WLTCモード)と優秀。前述した通り、燃料費視点ではハイブリッド車に近いレベルになる。

それでいて、最大トルクは270Nmという大トルクを誇る。ディーゼルエンジン特有の低回転域から強大なトルクを発揮する特性により、グイグイと力強い加速が楽しめる。街中では扱いやすく、高速道路などでは、余裕あるクルージングが楽しめる。CX-30(DM系)では、イチオシのパワートレインだ。

マツダCX-30(DM系)の主な改良など歴史・概要

2019年10月 

発売開始

2020年1月

マツダが世界初となる燃焼制御技術「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)」を実用化。SPCCIとマイルドハイブリッドを組み合わせたパワートレイン「SKYACTIV-X(スカイアクティブ エックス)」を搭載。

2020年12月 

一部改良と100周年特別記念車 2020ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)TOP3選出記念モデルを投入。
一部改良の概要は、「SPCCI」を搭載したe-SKYACTIV X車の最高出力を132kW(180PS)から140kW(190PS)に、最大トルクは224N・mから240N・mにそれぞれ向上。
1.8LディーゼルであるSKYACTIV-D 1.8の最高出力を85kW(116PS)から95kW(130PS)に向上。

2021年2月

既存モデルに乗るユーザーを対象に、保有車両の商品性向上を目的とした制御プログラムなどの最新化サービス「MAZDA SPIRIT UPGRADE(マツダ スピリット アップグレード)」を開始。

2021年4月

「e-SKYACTIV X」搭載車の排出ガス性能と燃費を改善。
乗り心地性能の改善。

2021年9月

クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.8」搭載車の初期型モデルを対象に、エンジンの制御プログラムの最新化サービス「MAZDA SPIRIT UPGRADE D1.1(マツダ スピリット アップグレード ディー 1.1)」を販売開始。

2021年10月

e-SKYACTIV-X搭載車に新機種「Smart Edition(スマートエディション)」と、すべてのパワートレイン搭載車に特別仕様車「Black Tone Edition(ブラックトーンエディション)」を追加。
一部改良では、吸排気エンジンサウンドの進化。アクセルペダルの踏力特性の変更(AT車のみ)が行われた。

2022年8月

2.0Lガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.0」からマイルドハイブリッドシステムをもつ「e-SKYACTIV G 2.0」に変更。
上級グレードを「Proactive Touring Selection(プロアクティブツーリングセレクション)」に集約し、上級インテリア加飾や装備を取り入れ内装質感を向上。

2023年9月

特別仕様車「Retro Sports Edition(レトロスポーツエディション)」の設定。
一部改良では、AT誤発進抑制制御[前進時/後退時]が、従来の「車・壁などの障害物」に加えて、「歩行者(前方)」も検知対象となった。
ドライバー・モニタリングに「わき見警報機能」を新たに追加。
10.25インチセンターディスプレイを採用。新装備や機能を追加し利便性・快適性を向上させた。

2024年7月

一部改良では、グレード体系を刷新。
「20S S Package」、「XD S Package」に、アルミホイールとドアミラーカバーを黒色に変更できるメーカーセットオプション「ブラックアピアランスパッケージ」を設定。
「Amazon Alexa(アマゾン アレクサ)」の採用など、コネクティッドサービスの機能拡充。
後席の乗員取り残しや、荷物の置き忘れ防止のために、ドライバーへ注意喚起する「リアシートアラート」を採用。

2024年11月

新グレード「Black Selection(ブラック セレクション)」、「i Selection(アイ セレクション)」を設定。

マツダCX-30(DM系)中古車を選ぶときの注意点

e-SKYACTIV Xはハイオクガソリン仕様

メカニズム面や、独特のエンジンフィーリングなど、e-SKYACTIV X車は、かなり魅力的。だが、使用する燃料はハイオクガソリン。

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    e-SKYACTIV X車は、少し燃費が良いが、ハイオクはレギュラーガソリンより10円/L前後高価。そのため、燃料費はやや高めになる。燃費重視の人には向かない。

乗り心地重視なら、2021年4月以降のモデル

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    デビュー時のCX-30(DM系)は、気持ちよいハンドリングをもつモデル。
    しかし、リヤサスペンションがトーションビーム式であることや、スポーティさを重視した結果、リヤサスペンションからの突き上げがやや大きく乗り心地面では、少々微妙だった。

しかし、2021年4月の改良で、乗り心地面を改善。リヤサスペンションからの突き上げもやや穏やかなものとなっている。乗り心地を重視するのであれば、この改良後のモデルがよい。

マツダCX-30(DM系)中古車のオススメのグレードと年式は?

1.8Lディーゼル車なら、2022年式以降。グレードはXD Lパッケージがお勧め

マツダは、毎年のように改良を行い、完成度を高めていく。CX-30(DM系)も同様。そのため、買い時のタイミングが難しく、中古車であれば2024年11月の改良後モデルがベストということになる。しかし、あまりに高年式のため、中古車として買い得感があまりない。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    そこで、買い得感と完成度のバランスを考えた結果、お勧めとしたのは2022年式Lパッケージグレードだ。2020年12月の改良で、1.8Lディーゼルは85kW(116PS)から95kW(130PS)へパワーアップ。2021年4月の改良で乗り心地も改善しているからだ。

Lパッケージは、レザーシートやパワーバックドアなど豪華装備が標準装備されているので、コンパクトSUVながらラグジュアリー感を満喫できる仕様だ。
このXD Lパッケージは人気が高く、年式を古くしてもあまり中古車価格は下がらない傾向。そのため、改良が施された2022年式がベストといえそうだ。

・CX-30(DM系)XD Lパッケージ
・中古車相場(2022年式):約220~240万円
・新車価格比:72~78%

予算が少し厳しいのであれば、レザーシートなどの豪華装備は無いが、上級グレードのXDプロアクティブツーリングセレクションも装備が充実しておりお勧め。

・CX-30(DM系)XDプロアクティブツーリングセレクション
・中古車相場(2022年式):約200~240万円
・新車価格比:約65~78%
中古車相場は、2025年6月23日調べ。

マツダCX-30(DM系)のリセールバリューは?

マツダCX-30(DM系)は、人気のSUVカテゴリーに属するが、トレンドではない都会派デザインであることや、ハイブリッド車が無いことなど、弱含み傾向となっている。
また、立体駐車場対応で全高を1,540mmとしたことも、マイナス要因。ライバル車と比べると小さく見えるからだ。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    美しいデザインに低燃費のディーゼルエンジンなど、とても魅力的。しかし、残念ながら、現在のSUVトレンドとは合致していない部分が多い。「オフローダー的タフネス系デザイン」というトレンドは、しばらく続くとみられ、CX-30(DM系)のリセールバリューが今後上がることは考えにくい。

さらに、デビューが2019年でモデル後期に入っていて、そろそろフルモデルチェンジ時期となるのもリセールバリューが上がらない要因のひとつになる。

  • 【自動車のプロ】大岡智彦

    正直、リセールバリューが上がる要因が見つからないのが現状だ。むしろ、徐々にリセールバリューが下がると予想できる。そのため、CX-30(DM系)の売却を考えているのであれば早い方がよい。

リセールバリューが上がらないとはいっても、CX-30(DM系)はSUVなので、トヨタ アクアや日産ノートと言ったコンパクトカーよりは、大幅に高いリセールバリューを維持しているので安心だ。

また、リセールバリューが上がらないということは、中古車価格も上がらないということになる。つまり、現状プチ神コスパだが、徐々に神コスパ寄りにシフトしていくということになる。CX-30(DM系)の魅力に共感できるのであれば、とても魅力的なモデルなのだ。

マツダCX-30(DM系)の燃費、ボディサイズなどスペック

代表グレード CX-30 XDツーリング
ボディサイズ[mm] 4,395×1,795×1,540
ホイールベース[mm] 2,655
最小回転半径[m] 5.3
最低地上高[mm] 175
車両重量[kg] 1,460
エンジン型式 S8-DPTS型
総排気量[cc] 1,756
エンジン種類 ディーゼルターボ
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 95(130)/4000
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 270(27.5)/1600-2600
ミッション 6速AT
駆動方式 FF(前輪駆動)
WLTCモード燃費[km/l] 19.5km/l
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム式
タイヤサイズ 215/55R18